パナソニックの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となりました。

業績推移(年次)

2021年度
売上高は前年度比10.30%増の7,388,791百万円になりました。営業利益は38.18%増の360,395百万円になりました。営業利益率は4.88%になりました。電気自動車(EV)向け電池事業、中国の白物家電、産業用モーターや電子部品などが好調で、原材料費の上昇は製品価格の引き上げによって、増収増益を達成しました。

2020年度
売上高は2019年度比10.6%減の6兆6987億円、当期利益は26.9%減の1650億円となりました。コロナ禍で特にアビオニクス事業が低迷しました。

パナソニックの業績推移

パナソニックの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第2四半期(7-9月)
売上高は前年同期比20.04%増の2,090,068百万円になりました。営業利益は-11.12%の86,059百万円になりました。営業利益率は4.12%になりました。資材や人件費の増加、上海でのロックダウンなどの影響を受け前年同期比増収減益になりました。

2022年第1四半期(4-6月)
売上高は前年同期比10.12%増の1,973,861百万円になりました。営業利益は-38.97%の63,700百万円になりました。営業利益率は3.23%になりました。車載電池は販売が伸びましたが、半導体・部材不足と原材料・物流費高騰が響き、増収減益になりました。

2021年第4四半期(1-3月)
売上高は前年同期比7.67%増の1,965,435百万円になりました。営業利益は162.19%増の83,375百万円になりました。営業利益率は4.24%になりました。

2021年第3四半期(10-12月)
売上高が前年同期比4%増の1兆8898億円、営業利益が729億円と前年同期比増収減益となりました。インダストリーやエナジー事業が好調な一方で、原材料費の増加やブルーヨンダー資産の再評価などの影響を受け減益となりました。

パナソニックの四半期業績推移

パナソニックの四半期業績推移

EPS成長

希薄化後EPSは前年度比8.18%増の109.42円になりました。1株当たりの配当は前年度比-25.00%の15.00円になりました。配当性向は13.71%になりました。

パナソニックのEPS・1株配当・配当性向の推移

パナソニックのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想と進捗率

今期の売上高は8,200,000百万円、営業利益は320,000百万円、営業利益率は4.05%、1株配当は未定です。

2022年第2四半期(7-9月)
売上高の業績予想に対するの進捗率は51.44%です。営業利益の業績予想に対する進捗率は46.80%です。営業利益率は予想より-0.37%上回っています。

売上構成

アプライアンス、 オートモーティブ、インダストリアルソリューションズ 、ライフソリューションズ、コネクティッドソリューションズにセグメントは分類されます。製品別の売上構成は以下の通りです。

パナソニックのセグメント別売上構成(2021年度)

パナソニックのセグメント別売上構成(2021年度)

アプライアンス
空調冷熱ソリューション、ホームアプライアンス、スマートライフネットワークと
食品流通が主要事業部となります。東芝やシャープ等他の日本電機大手が苦戦するなか、家電分野でグローバル展開を目指しています。低コスト戦略のアジア勢、プレミアム戦略の欧米勢と競合しています。掃除機は国内トップクラスのシェアを誇り、今後成長が見込まれるロボット掃除機分野へも参入しています。電気シェーバーはラムダッシュブランドで展開しています。その他の商品としては、空調、テレビ、デジタルカメラ、ビデオ、オーディオ、白物家電、掃除機、調理家電、美容器具、ショーケース等があります。

オートモーティブ
車載機器と車載電池が主要事業となります。車載電池は、テスラとの米ネバダ州でのギガファクトリー、日本、中国の大連工場(遼寧省)での3極の生産体制を構築しています。テスラ以外にもトヨタと協業し、全方位戦略で中国勢を迎えうっております。円筒形電池はテスラに供給し、角形電池はトヨタに供給しています。
装置産業化した事業におけるパワーゲームを制することができるか、に注目が集まります。自動車部品は、音響機器(カーオーディオ)やカーナビゲーション等の電子機器の分野に強みを持ちます。ディスプレイメーター、ヘッドアップディスプレイといった次世代コックピットやコネクティッドと言われている自動車のCASE対応では総合力を発揮できる立場におります。

インダストリアルソリューションズ
小型用リチウムイオン電池は、ノートPC、スマホ向けの電池事業にも強みを持ちます。エアコン空調:1957年からエアコン事業を展開しております。日本国内では最大手クラスです。エオリアブランドで展開をしています。
1931年から乾電池の生産をしています。ナショナルハイトップブランドで一世を風靡し、現在はEvoltaで世界展開しています。欧州の乾電池事業は撤退し、中国の生産工場も2021年に閉鎖しました。その他、制御機器、モーター、FAデバイス、液晶パネル等の開発製造を行っています。

ライフソリューションズ
ハウジングシステム、エナジーシステム、エコシステムズが主要な事業部となります。トイレ・浴室:樹脂製のトイレ、浴室、システムキッチンといった水まわりの住設を手掛けています。その他、照明器具、配線器具、太陽光発電システム、建材、換気、空気清浄機、住宅、自転車、介護関連器具を開発製造しています。

コネクティッドソリューションズ
アビオニクス、プロセスオートメーション、メディアエンターテイメント、モバイルソリューションズ、ITソリューションが主要な事業部となります。航空機内エンターテインメントシステム・溶接機、プロジェクター、パソコン・タブレット、監視カメラなどを開発販売しています。製品を活用したソリューション型のビジネスモデルへと転換を図っています。

2022年4月に設立されるパナソニックホールディングスのグループ構成
パナソニックは2022年4月にホールディングス(持株会社)化されました。

新社名 事業領域
パナソニック スマートライフ事業部、空調冷熱、キッチン、白物、自転車、美容、コールドチェーン、業務用冷蔵庫、照明、
パナソニックオートモーティブシステムズ インフォテイメント、HMI、車載システム、フィコサ
パナソニックエンターテイメント スマートライフネットワーク
パナソニックハウジングソリューションズ ハウジングシステム
パナソニックコネクト アビオニクス、モバイル、メディア
パナソニックインダストリー メカトロニクス、産業デバイス
パナソニックエナジー エナジーデバイス、テスラエナジー
©同社2021年2月の開示資料よりディールラボ作成

直近のM&A(合併買収)

2022年 スウェーデンの空調大手システムエアから業務用空調事業を買収
2021年 倉庫管理、輸送管理やSCMソフトウェアに強いブルーヨンダーをブラックストーン及びニューマウンテンキャピタルから買収(企業価値85億ドル、売上高企業価値倍率14.2倍)
2021年 パナソニックライティング アメリカズを投資ファンドのAtarへ売却
2021年 欧州乾電池事業をオーレリウス(Aurelius)へ売却
2020年 パナソニック ライティングヨーロッパを投資ファンドのFidelium Partnersへ売却

市場シェア

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