IBMの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

IBMは、1911年に設立された世界を代表する米国に本拠を置くIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。2021年にマネージドインフラサービス事業をKyndrylとして分社化上場しました。

業績推移(年次)

2021年度は、前年度比売上成長は3.93%、営業利益成長は88.10%となり、増収増益となりました。クラウド関連サービスやコンサルティングサービスが成長を牽引しました。

IBMの業績推移
IBMの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比6.46%増の14,107百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-653.63%の-4,501百万ドルになりました。営業利益率は-31.9%になりました。メインフレームなどのインフラストラクチャー事業が好調でしたが、年金債務にかかる一時費用が膨らみ、営業損失を計上しています。

IBMの四半期業績推移

IBMの四半期業績推移

EPS成長(年次)

2021年度は、希薄化後EPSが増加しました。

IBMの希薄化後EPSの推移
IBMの希薄化後EPSの推移

EPS成長(四半期)

希薄化後EPSは前年同期比-411.40%増の-3.55ドルになりました。

IBMの希薄化後EPS(四半期)の推移

IBMの希薄化後EPS(四半期)の推移

売上構成

クラウドサービス、コンサルティング、クラウド向けのインフラ構築、ファイナンスが主力セグメントとなっています。

IBMの売上構成(2021年度)
IBMの売上構成(2021年度)

Hybrid Platform & Solutions
マルチクラウド構築のRed Hat、ビジネスワークフローからIT運用の自動化、データ&AI機能の実装、リアルタイムのセキュリティ管理などのサービスを提供しています。オンプレミス、パブリック・クラウド、プライベート・クラウドを問わず、顧客のハイブリッド・クラウド環境の運用を可能にするサービスやRed Hatをはじめとする分散型ミドルウェア、データプラットフォームソフトウェアや
IBMのWatsonのAIテクノロジーを利用したサービスを含みます。

Transaction Processing Platforms(トランザクションプロセッシングプラットフォームズ)
銀行、航空会社、小売業などの業界で、顧客のミッションクリティカルなオンプレミスのワークロードをサポートするDB2やWebSphereといったソフトウェアを提供しています。

Consulting(コンサルティング)
オープンなハイブリッド・クラウド・アーキテクチャを設計・構築し、IBMとエコシステム・パートナーのテクノロジーを使用して主要なワークフローとビジネス・プロセスを最適化します。意思決定の改善、戦略の策定、新しいテクノロジー・アーキテクチャの構築といったビジネスコンサルティングサービス、財務や人事面でビジネス・プロセス・アウトソーシング・サービス、パッケージ・ソフトウェアに加え、カスタム・アプリケーションや従来型アプリケーションのシステム・インテグレーションといったサービスを提供しています。

Infrastructure (インフラストラクチャー)
ハイブリッドクラウドのための信頼性、俊敏性、安全性の高いソリューションを提供ししています。IBMのサーバーやストレージ機器を販売します。IBM製品やその他のテクノロジー・プラットフォームの保守を行います。IBM Zオペレーティングシステムやマネージドサービスやクラウドサービスを提供しています。

Global Financing(グローバルファイナンス)
顧客へのファイナンスサービスを提供しています。

クラウドコンピューティングの分野では、アマゾンの展開するAWSやマイクロソフトと世界上位の座を競っています。
顧客管理業務、財務・会計、人事、仕入れ調達、サプライチェーンマネジメントの分野のアウトソーシング・BPOでは、世界ランキングの上位に位置づけています。ビジネスインテリジェンスや統計解析の分野でもSASやSAPと世界上位を競います。コンサルティングの分野では、PwCコンサルティングを買収しました。戦略及びITコンサルティングを総合的に展開し、コンサルティング業界の世界シェアではアクセンチュアと並び上位に位置します。デジタル広告分野はIBM iXという機能を持ち強化しています。デジタルマーケティングの技術を提供することで、WPP、オムニコム、インターパブリックに次ぐ規模となっています。コグニティブ・コンピューティングでは、ワトソンを活用したAI事業を展開しています。

M&A(合併買収)

クラウドやセキュリティ分野を強化するためのM&Aを積極的に行っています。

1995年 ロータスを買収
2001年 Informixを買収
2003年 Rational Softwareを買収
2003年 ハードディスクドライブ (HDD) 事業を日立製作所に売却
2005年  パーソナルコンピュータ (PC) 事業を联想集团(レノボ)に売却
2005年 Ascential Softwareを買収
2006年 FileNet、Internet Security Systemを買収
2007年 DataMirrorを買収
2008年 Cognosを買収
2009年 統計ソフトのSPSSを買収
2010年 PwCコンサルティング、Sterling Commerce、Netezzaを買収
2011年 DemandTecを買収
2012年 Worklight、Kenexaを買収
2013年 ソフトレイヤー、Trusteerを買収
2014年 パソコン事業を联想集团(レノボ)に売却
2014年 グローバルファウンドリーズ(GF)に半導体製造事業 を売却
2016年 動画配信サービスのUstreamを買収
2019年 レッドハットを買収
2020年 フィンランドのマネージドサービスプロバイダーNordcloudの買収
2021年 マネージドサービスプロバイダーのTaos買収
2021年 マネージドインフラサービス事業をKyndrylとして分社化上場
2022年 メタデータ解析企業のDatabandを買収
2022年 疑似攻撃によるサイバーセキュリティー提供会社であるRandoriを買収
2022年 Azureに特化したコンサルティングを行うNeudesic(ニューデシック)を買収

市場シェア

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