広告代理店・広告業界の世界市場シェアの分析

広告業界や広告代理店業界の世界シェア、市場規模や再編について分析をしています。WPP 、オムニコム、 インターパブリック、ピュブリシス、電通イージスといった世界大手広告代理店やアクセンチュア、IBM、PWCといったデジタルエージェンシーの概要や動向も掲載しています。

広告代理店の市場シェア

2020年度の広告代理店各社の売上及びコンサルティング会社系の広告事業の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の広告代理店の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はWPP 3.73%、2位はオムニコム・グループ 2.93%、3位はピュブリシス・グループ 2.59%となります。

2020年広告代理店市場シェア

  • 1位 WPP 3.73%
  • 2位 オムニコム・グループ 2.93%
  • 3位 ピュブリシス・グループ 2.59%
  • 4位 アクセンチュア 1.98%
  • 5位 電通 1.96%
  • 6位 インターパブリック・グループ 1.80%
  • 7位 デロイトデジタル 1.76%
  • 8位 IBM ix 1.24%
  • 9位 PWCデジタルサービシーズ 0.96%
  • 10位 藍色光標伝播集団 0.94%
  • 11位 博報堂DY 0.69%
  • 12位 ジーセードコー 0.61%
  • 13位 ハバス 0.53%
  • 14位 ラマー・アドバータイジング 0.36%
  • 15位 MDCパートナーズ 0.27%

広告代理店の市場シェア(2020年)
広告代理店の市場シェア(2020年)

1位、2位、3位は広告代理店業界の御三家、WPP、オムニコム、ピュブリシスです。イギリス、フランス、米国に本拠を置く各社が、広告業界を支配する体制は、1980年代に、WPPがジェイ・ウォルター・トンプソンや、オグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイドを、買収して以降続きます。

従来は4強の一角であったインターパブリックは6位へと後退し、単独の広告代理店としては、世界最大の電通が、マッキャエリクソンの比重が高い、インターパブリックを抜き5位になりました。

一方、こうした伝統的な広告代理店の領域に、デジタル広告の技術を用いて、急速に勢力を増しているのが、ITコンサルティンググループです。電通とインターパブリックを抜いて4位となったアクセンチュアを筆頭に、PWC、デロイト、IBMが、データ分析力を武器に、デジタル広告代理店として、インターネット広告分野で、存在感を急速に伸ばしています。伝統的な大手広告代理店であった、ハバスやジーセードコーも、売上高総利益では、これらのデジタル広告代理店の後塵を拝しています。なお、広告代理店の場合、売上高の計上基準が総額(グロス)か手数料のみ(ネット)かで異なる場合があります。こうした会計基準の相違を避けるために、売上高総利益をランキング比較の基準としております。

1位 WPP
2位 オムニコム・グループ
3位 ピュブリシス・グループ
4位 電通
5位 インターパブリック・グループ
6位 アクセンチュア
7位 PwC Digital Services
8位 デロイト
9位 IBM ix
10位 ジーセードコー
11位 藍色光標伝播集団
12位 博報堂DY
13位 ハバス
14位 ラマー・アドバータイジング
15位 MDC Partners

市場規模

下記市場規模の情報も参考にしつつ、当サイトでは、2020年の広告代理店業界の規模を4500億ドルとして、市場シェアの計算を行なっております。調査会社のIBIS Worldによれば同業界の2021年の市場規模は3516億ドルを見込みます。調査会社のアイマークによれば2020年の広告市場規模は6470億ドルです。国別の広告宣伝費の推移でみると、米国・中国・日本が広告市場シェアの3強です。⇒参照したデータの詳細情報

広告代理店の再編

広告主(例えば自動車メーカー等)の事業展開の国際化の流れを受けて、広告代理店各社も買収を通じて世界展開を加速しました。

近年は、広告媒体の中でもデジタル広告(検索連動広告、動画広告等)の分野が急拡大する中で、単なる広告宣伝枠の確保を超えた、ITテクノロジーを駆使したデジタルマーケティングの戦略立案から実践が求められています。既存の広告代理店はアドテクノロジーの分野で、システム会社やコンサルティング会社の挑戦を受けています。クライアントの製品や商品に関する広告を制作し、適切なメディアで配信することを代理するビジネスに変化はありません。しかし、メディアのデジタル化によって、マスからターゲット広告へ、メディアの多様化による広告枠確保の重要性の相対的な低下、広告効果測定の緻密化、リアルタイム化といった変化が訪れ、クライアント側で新しい広告運用へのニーズが高まっています。

買収マルチプルでは、過去売上高の1~3倍のレンジでM&Aが行われています。

広告代理店の主な再編事例

  • 1986年 BBDO、ドイル・デーン・バーンバック、ニーダムハーパーの3社によってオムニコム・グループ設立
  • 1987年 WPPによるジェイ・ウォルター・トンプソンの買収
  • 1989年 WPPによるオグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイドの買収
  • 1993年 オムニコムによるTBWAワールドワイドの買収
  • 1999年 オムニコムによるGGT BDDPの買収
  • 2000年 WPPによるYoung & Rubicamの買収
  • 2005年 オムニコムによるResolution Media買収
  • 2008年 WPPによるTaylor Nelsonの買収
  • 2012年 WPPによるAKQAの買収
  • 2012年 電通による4000億円での英国のイージスの買収
  • 2012年 電通と仏ピュブリシス・グループの提携解消
  • 2014年 ピュブリシス・グループによる米国のデジタル広告の大手サピエント社の買収
  • 2017年 ベインキャピタルがアサツーDKを買収
  • 2018年 インターパブリック・グループがAcxiomのデータマーケティング事業を買収
  • 2019年 ピュブリシス・グループによるイプシロン買収
  • 2020年 WPPによるKantar Groupのベインキャピタルへの売却

広告代理店の買収マルチプル(売上高倍率)
広告代理店の買収マルチプル(売上高倍率)

世界の主要広告代理店一覧

WPP

WPPは世界最大級の広告代理店会社です。2020年度の売上高は120億ポンドとなっています。広告代理店業界の売上高市場シェアでは、世界最大となっています。

7事業本部体制によって、クライアントである企業のマーケティング領域のカバーを行なっています。ただし、近年、グーグルやフェイスブックなどの、広告代理店を介在させないオンラインにおける巨大メディア・媒体が誕生し、従来得意としていた新聞やテレビなどの媒体の比率が低下してきています。さらに、コンサルティング会社が、デジタル技術を用いて、広告における上流工程であるコミュニケーション戦略やデジタルマーケティングなどに進出しており、データの分析からマーケティングを構築する手法で、広告代理店との競合が増しています。

事実上の創業は、Martin Sorrell(マーティン・ソレル)卿が、Wire and Plastic Products(WPP)を1985年に買収してからとなります。以降急速に広告業界で頭角を示し、総従業員数13万人、世界112カ国にまたがる広告帝国を1代で作り上げています。

グループ会社には、ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)、GREY(グレイ)、ヤング・アンド・ルビカム、およびPR会社のヒル・アンド・ノウルトン、バーソン・コーン&ウルフ、企業ブランディング・デザインのランドーアソシエイツ、またメディアプランニング会社Mindshare、Mediacom等の持ち株会社であるGroupMがあります。
グループ内再編を積極的に行っており、2018年には、ヤング・アンド・ルビカムとデジタルエージェンシーのVMLを合併させて、VMLY&Rを設立しています。
同じく、2018年にOgilvy & Mather(オグルヴィ・アンド・メイザー)がオグルヴィへと社名変更しています。
ジェイ・ウォルター・トンプソンとワンダーマンが経営統合して、ワンダーマン・トンプソンが誕生しています。
PR会社の分野では、バーソン・マーステラとコーン&ウルフが合併し、世界3位のPR会社である「バーソン・コーン&ウルフ」が誕生しています。
売上のうちVMLY&R、ワンダーマントンプソン、カンタールで収益全体の4割を占めていますWPPのグループのグループ会社一覧は下記の通りとなりますが、グループ会社は多岐にわたります。マーケティングリサーチのKantar Group(カンタール・グループ)は2020年ベインキャピタルへ売却しました。

WPPグループ会社

WPPグループ会社
出所:同社

グローバルインテグレーテッドエージェンシーが最大の売上となっています。

20202019
売上合計9,76210,847
Global Integrated Agencies7,3198,108
Public Relations854898
Specialist Agencies1,5891,841
WPPパススルー経費控除後の売上高推移(百万ポンド)©ディールラボ
Harris Associates LP 5.95%
Massachusetts Financial Services Co. 3.98%
Miller Value Partners LLC 3.62%
Schroder Investment Management Ltd. 2.58%
Norges Bank Investment Management 2.48%
The Vanguard Group, Inc. 2.41%
Jupiter Asset Management Ltd. 1.93%
BlackRock Investment Management (UK) Ltd. 1.89%
First Eagle Investment Management LLC 1.62%
BlackRock Advisors (UK) Ltd. 1.30%

筆頭株主であるハリス・アソシエイツはアクティビスト・ファンドで、デジタル広告の取り込みなどWPPの経営陣へのプレッシャーをかけています。

Omnicom Group(オムニコム・グループ)

米国に本拠を置く大手広告代理店会社です。傘下にBBDO、DDB Worldwide、TBWA Worldwide社等の広告代理店を有しています。2013年に仏Publicis(ピュブリシス)グループとの合併を発表したが破談しました。日本では東急エージェンシーと提携関係にあります。

Interpublic Group(インターパブリック・グループ)

米国に本拠を置く大手広告代理店会社です。WPP、オムニコム、ピュブリシスと併せてビッグ4と呼ばれています。傘下にMcCann Erickson(マッキャエリクソン)を有します。日本の大手広告代理店の大広と提携しています。

Publicis Group(ピュブリシス・グループ)

フランスに本拠を置く大手広告代理店会社です。オムニコム・グループとの合併破たん後はM&Aを加速しています。2014年には米国のデジタル広告の大手サピエント社、2019年にイプシロンを買収しました。

EPSILON(イプシロン)
米国に本拠を置く広告代理店です。Eメール・データを中心にしたCRMに強みを持ちます。非上場会社です。2019年にピュブリシスが買収しました。

電通イージス(Dentsu Aegis)

日本を代表する広告代理店会社です。買収当時業界6位の英イージスグループを買収し、上位3社も射程圏内に入っています。

イージス買収のハイライト

  • 2012年日本の最大手の広告代理店の電通 が英国の大手広告代理店のイージスグループを買収
  • 買収金額は31億6400万ポンド。イージスの 終値に対して48%のプレミアム
  • イージスは電通が手薄な東欧、中東、アフリカにてプラットホームを保有し、地域補完性が高い
  • また、テレビ主体の電通に対して、イージスは デジタル広告にも強みを持ち、事業特性の補完性も期待できる
  • 電通は、イージス買収に伴い提携先の世界大手広告代理店グループであるフランスのピュブリシスグループとの提携を解消
  • イージスのFY2011年の売上と営業利益は1135百万ポンド、197百万ポンドと前年比増収増益を達成している

電通は2012年以降買収を加速しています。2012年のブラジルのラブ社、カナダのボス、・インドのタプルート社、2013年の米国ミッチェル・コミュニケーション・グループ、タイのブランドスケープ社、スペインの Wink 社、ルーマニアのキネクト社、中国のトリオ社、2014年は中国ベラウォム社、フランスのレ・モビリザーズ社、ブラジルのNBS社、カザフスタンのフィフティー・フォー・メディア社、インドのマイルストーン社、米国のロケット・インタラクティブ社、ポーランドの Socializer 社、ドイツの explido社、2015年はインドのWATコンサルト社、イスラエルのアバガダ・インターネット社、米国のアスリーツ・ファースト社、シンガポールのマンガム・ギャクシオーラ社、フランスのセイム・セイム社、2016年はブラジルのSEO会社のNVG Participacoes社、スペインの Groupo Alesport 社、オランダの Achtung BV 社、ニュージーランドの Barnes, Catmur & Friends社、チェコの Adexpres.com社を立て続けに買収しています。

アクセンチュア

米国を代表するコンサルティング会社です。元々は世界4大会計事務所であったアーサーアンダーセンのコンサルティング部門が分社化して誕生しました。デジタル広告分野の急進を受け、デジタルマーケティング戦略強化の一環として広告部門が急成長しています。アクセンチュア・インタラクティブがデジタル広告の事業展開を担っています。

Havas(ハバス)

パリに本拠を置く大手広告代理店です。フランスの大手メディア企業であるビベンディのグループ会社です。

ビベンディについて

ビベンディ(Vivendi)は、フランスを代表するメディアグループです。傘下にユニバーサルミュージック、ペイTVのCanal+、広告代理店のHavas、ソーシャルゲームのGameloft、イベント運営のVidendi Village、ビデオ配信プラットホームのDailymotion、出版社のEditisを有しています。投資会社のBollore(ボロレ)が主要株主です。さらに詳しく

Cir(Compagnie Industriali Riunite、カンパーニュ・インダストリアーリ・リウニテ)

イタリアの広告代理店大手です。

JCDecaux(ジーセードコー)

仏広告代理店大手です。

Lamar Advertising(ラマー・アドバータイジング)

米国に本拠を置く屋外広告大手です。

Bluefocus Communication Group(藍色光標伝播集団)

中国最大級のPR会社です。

IBM

IBMは世界を代表するIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。さらに詳しく

博報堂DYホールディングス

日本第2位の広告代理店です。電博と並び称されています。

MDC Partners

米国に本社を置く広告代理店大手です。

参照したデータの詳細情報について


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