ボルボの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ボルボグループは、スウェーデンに本拠を置くトラック・建機メーカーです。1928年にトラックメーカーとして設立されて以降、現在もトラックの売上がグループ全体の約60%超を占めるなど、最大の事業部門となっています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は431,980百万スウェーデンクローナで、前年度比11%増となりました。営業利益は49,531百万スウェーデンクローナになりました。営業利益率は11%になりました。トラック部門の売上高は、北米と南米の両方でトラックの納入量が増加したことにより増加しましたが、ヨーロッパでの納入量の減少により部分的に相殺されました。建設機械の売上高は増加傾向にあり、ヨーロッパとアジアでの増加がアフリカとオセアニアでの減少によって部分的に相殺されました。バスはすべての市場で売上を伸ばしました。

2020年度
売上高は338,446百万スウェーデンクローナで、前年度比22%減となりました。営業利益は27,484百万スウェーデンクローナになりました。営業利益率は8%になりました。為替変動を調整すると、売上減少率は 18% となりました。顧客の需要に影響を与えた新型コロナウイルス感染症のパンデミックを緩和するための措置の結果、売上高はすべての事業分野で減少しました。

2021年度
売上高は372,216百万スウェーデンクローナで、前年度比10%増となりました。営業利益は43,074百万スウェーデンクローナになりました。営業利益率は12%になりました。輸送車両市場の成長により、車両販売は 25% 増加しました。 トラック事業の売上高は、新車と中古トラックの両方とサービスへの強い需要の結果、為替とUDトラックスの売却を調整後、27%増加しました。 建設機械の為替調整後の純売上高は、インフラへの投資とコモディティー部門の高い需要に支えられ、中国で予想されるすべての市場での成長により、17%増加しました。 バスの純売上高は為替変動を調整すると5%減少しました。大型バス部門が新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるマイナスの影響を受けました。

2022年度
売上高は473,479百万スウェーデンクローナで、前年度比27%増となりました。営業利益は45,712百万スウェーデンクローナになりました。営業利益率は10%になりました。トラック事業の売上高は、新車と中古トラックの両方に対する強い需要に牽引され、為替変動とUDトラックを調整後25%増加しました。建設機械の純売上高は、中国市況の低迷により、為替変動調整後、2%減少しました。

2023年度
売上高は552,764百万スウェーデンクローナで、前年度比17%増となりました。営業利益は66,784百万スウェーデンクローナになりました。営業利益率は12%になりました。為替の変動を調整すると、売上高は11%増加しました。車両売上高は、価格管理の成功、販売台数の増加、パンデミック以来延長されていた受注残の削減により12%増加し、サービス売上高は、車両や機械をうまく活用することで、スペアパーツやサービスの需要が高まり10%増加しました。トラック事業は、ほとんどの市場での新車および中古トラックの納入量が増加したことに牽引され、為替変動を調整すると14%売上が増加しました。

ボルボの業績推移
ボルボの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は131,420百万スウェーデンクローナになりました。営業利益は17,109百万スウェーデンクローナ、営業利益率は13%になりました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は140,821百万スウェーデンクローナになりました。営業利益は14,462百万スウェーデンクローナ、営業利益率は10%になりました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は132,405百万スウェーデンクローナになりました。営業利益は18,320百万スウェーデンクローナ、営業利益率は14%になりました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は148,118百万スウェーデンクローナになりました。営業利益は16,894百万スウェーデンクローナ、営業利益率は11%になりました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は131,177百万スウェーデンクローナになりました。営業利益は18,159百万スウェーデンクローナ、営業利益率は14%になりました。

ボルボの四半期業績推移

ボルボの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比52%増の24.5スウェーデンクローナになりました。1株当たりの配当は前年度比29%増の18スウェーデンクローナになりました。配当性向は73%になりました。

ボルボのEPS・配当額・配当性向の推移
ボルボのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

セグメントは、トラック、建機、バス、ボルボペンタに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ボルボのセグメント別売上構成(2023年度)
ボルボのセグメント別売上構成(2023年度)

トラック事業

日本では、日産から買収した旧日産ディーゼル(現UDトラックス)がボルボグループの主軸となっていますが、2019年に日本のいすゞへ2430億円で売却をしました。
販売台数ベースでは約16.6万台のトラックを年間販売しています。ブランド別ではボルボとルノーブランドのトラックが売れ筋であり、大型トラックに強みを持っています。

ボルボのトラック販売台数推移
ボルボのトラック販売台数推移

ボルボの販売トラック内訳
ボルボの販売トラック内訳

建機事業

建機事業は、全体の売上の約25%を占めており、売上規模では約1兆円となります。ブランドは、ボルボ、SDLG、Terex Trucksの3ブランドで展開をしています。
年間約9万3千台の建機を販売しており、ここでもボルボブランドの建機が最も売れています。地域別の最大の市場は中国となっています。建機1台当たりの価格は、1100万円程度と計算されます。

ボルボの建機販売台数推移
ボルボの建機販売台数推移

バス事業

同社の3本目の柱はバス部門となっています。バスは、ボルボバスという名称で、85ヶ国、1500のディーラー網を通じて世界展開しています。Volvo、Prevost、Nova Bus、UDバス等のバスブランドを保有しています。電動化バスも積極的に推進しています。売上構成比では全体の約8%、約3千700億円弱の規模です。年間約10千台のバスを販売しており、1台約3千万程度の価格であることが計算できます。

ボルボのバス販売台数推移
ボルボのバス販売台数推移

ボルボペンタ

船外機や産業機器向けのエンジンを販売しております。その他には販売金融事業も保有しています。

M&A情報

1999年 ボルボの乗用車部門のフォードへの売却
2000年 ボルボによるルノートラックスの買収
2007年 日産ディーゼルの子会社化
2007年 インガソルランドからの道路舗装用建機事業の買収
2012年 航空機事業のボルボエアロを英GKNへ売却
2013年 米国建機レンタル会社のBlueline Rentalの売却
2019年 UDトラックスのいすゞへの売却
2021年 海洋バッテリーシステムを提供するZEMを買収
2024年 Proterraからバッテリー事業を買収

株主構成

ボルボは上場会社であり、株主構成をみるとインダストリバルデン (Industrivarden AB) が最大議決権保有株主となっています。富裕ファミリーであるLundberg(ルンドベル)一族が大株主でもあるインダストリバルデンは、Investor ABと並ぶスウェーデンの長期投資を行うファンドです。
一方、2位の株主は、中国の吉利(Geely)となっています。

格付けは、投資適格の水準を維持しています。乗用車メーカーのボルボは現在は中国の浙江吉利控股集団(Zheijiang Geely Group Holding)傘下にあります

ボルボの株主構成(直前期末時点)
ボルボの株主構成(直前期末時点) 出所:マーケットスクリーナー

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