バス業界(バス製造会社)

バス業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模について分析をしています。世界大手のバスメーカーである、中国の2強(ユートン、キンロン)、欧州四天王(マン、スカニア、ボルボ、CNHインダストリアル)やインドのアショック・レイランドの動向も掲載しています。

市場シェア

バスメーカーの2017年/2018年の年間バス販売台数ランキングの世界1位は、中国のユートンとなります。1993年にバス事業に参入して、15年程度で世界1位となっています。世界2位は、同じく中国のキンロンとなります。廈門市系の投資会社や台湾のメーカーが株主となっています。中国国内には、この他にも安徽安凱汽車股份有限公司(アンキ社)がバス大手と言われています。世界3位は、ドイツのダイムラーとなります。バス事業の売上高で比較すれば、ダイムラーがユートンを僅差にぬき、引き続き世界1位と思われます。世界4位はインドのアショック・レイランドとなります。インド国内では、タタ自動車と市場を2分していると言われています。世界5位は、マンとスカニアを擁するフォルクスワーゲングループ、世界6位はイタリアのCNHインダストリルの傘下イベコ、世界7位はスウェーデンのボルボとなっています。

出典:世界のバスメーカーの市場シェアを分析

市場規模

調査会社のMordor Intelligenceによれば、2019年のバスの市場規模は502億ドルです。(The bus market was valued at USD 50.25 billion in 2019)

EV(電気)バスの動向

今後の環境規制からリチウムイオン電池等を動力源にしたEVバスのニーズが高まっていくものと考えられています。中国のリチウムイオン電池メーカー大手であるBYD(比亜迪股份有限公司)はEVバスの分野では、同じく中国のユートンバスと競って、世界大手となっています。

日本でもBYDのバスを採用するバス会社が出てきていますが、ディーゼルエンジンのバスが1台2千万円程度に対して、EVバスはその3倍程度すると言われており、普及にあたっては低価格が重要な決めてとなるものと思われます。

主要企業

Volvo Group(ボルボ・グループ)

ボルボグループはスウェーデンに本拠を置くトラック・建機メーカーです。1928年にトラックメーカーとして設立されて以降、現在もトラックの売上がグループ全体の約60%超を占めるなど、最大の事業部門となっています。2019 年の売上規模は3兆3千億円程度です。

ボルボ売上高推移

ボルボ売上高推移
出所:同社

同社は、トラックの分野では、ボルボ・トラックス、ルノー・トラックス、マック・トラックスの4種類のブランドを有し地域ごとに展開しています。またインドでは合弁会社アイシャー・モーターズ (Eicher Motors)、中国ではドンフェントラックを展開し、各地域ごとに使い分けています。

ボルボ地域別売上高

ボルボ地域別売上高
出所:同社

日本では、日産から買収した旧日産ディーゼル(現UDトラックス)がボルボグループの主軸となっていますが、2019年に日本のいすゞへ売却をしました。
販売台数ベースでは約23万台のトラックを年間販売しています。ブランド別ではボルボとルノーブランドのトラックが売れ筋であり、大型トラックに強みを持っていることがうかがえます。

ボルボのトラック販売台数

ボルボのトラック販売台数

ボルボのもう一つの柱である建機部門は、全体の売上の約20%を占めており、売上規模では約1兆円となります。ブランドは、ボルボ、SDLG、Terex Trucksの3ブランドで展開をしています。
年間約8万6千台の建機を販売しており、ここでもボルボブランドの建機が最も売れています。地域別の最大の市場は中国となっています。建機1台当たりの価格は、1100万円程度と計算されます。

建機販売台数

建機販売台数
出所:同社

同社の3本目の柱はバス部門となっています。バスは、ボルボバスという名称で、85ヶ国、1500のディーラー網を通じて世界展開しています。Volvo、Prevost、Nova Bus、UDバス等のバスブランドを保有しています。電動化バスも積極的に推進しています。売上構成比では全体の約8%、約3千700億円弱の規模です。年間約10千台のバスを販売しており、1台約3千万程度の価格であることが計算できます。
また、ボルボ・ペンタでは、船舶や産業機器向けのエンジンを販売しております。全体の売上の約3%、約1千億円の売上規模で、年間約4万個のエンジンを販売しております。その他には、販売金融事業も保有しています。

ボルボは上場会社であり、株主構成をみるとインダストリバルデン (Industrivarden AB) が最大議決権保有株主となっています。富裕ファミリーであるLundberg(ルンドベル)一族が大株主でもあるインダストリバルデンは、Investor ABと並ぶスウェーデンの長期投資を行うファンドです。
一方、2位の株主は、アクティビストであるCevian Capitalが入っており、利益率の向上を求めた事業再編の動きが活発化する可能性があります。

ボルボ株主

ボルボ株主構成
出所:同社

格付けは、投資適格の水準を維持しています。乗用車メーカーのボルボは現在は中国の浙江吉利控股集団(Zheijiang Geely Group Holding)傘下にあります

1999年 ボルボの乗用車部門のフォードへの売却
2000年 ボルボによるルノートラックスの買収
2007年 日産ディーゼルの子会社化
2007年 インガソルランドからの道路舗装用建機事業の買収
2012年 航空機事業のボルボエアロを英GKNへ売却
2013年 米国建機レンタル会社のBlueline Rentalの売却
2019年 UDトラックスのいすゞへの売却

ボルボのバスブランド一覧

出所:同社アニュアルレポート

MAN Group(マン・グループ)

ドイツに本拠を置くエンジン、トラック、バスメーカーです。フォルクスワーゲン(VW)傘下です。MAN Diesel & Turbo(マン・ディーゼル&ターボ)は、船舶エンジンの分野では、船舶エンジンの老舗であるデンマークBurmeister & Wain(B&W)のディーゼルエンジン部門を買収し、ライセンサーとして圧倒的な地位を占めています。

トラックとバスは、MAN Truck & Bus(マン・トラック&バス)を通じて展開しています。

Scania AB(スカニア)

スウェーデンに本拠を置くトラック・バスメーカーです。元々はスウェーデンのサーブと親しかったのですが、現在はマンと同じくフォルクスワーゲン(VW)傘下にあります。バスは、地盤の欧州のみならず、ラテンアメリカおよびアジアでも強みを有しております。

出所:同社アニュアルレポート

Iveco(イベコ)

イタリアに本拠を置く建機・農機・バス・特殊車両メーカーです。FIATグループの創業一族が株主であるCNH Industrial(CNHインダストリアル)社傘下にあります。バスは、IVECO BUS (イベコバス、以前は Irisbus(アイリスバス)ブランドであった) とフランスのHeuliez Bus(ユーリエ・バス)ブランドで展開しています。

CNHインダストリアル

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。従業員数は約6万人を超え、65ヶ所超の工場、50超のリサーチ拠点を有し、全世界180ヶ国で事業を展開しています。2017年の売上高は262億ドル、営業利益率は約5.8%です。フィアット創業家が大株主となっています。
事業領域としては、CASEブランドで展開する建設機械、New Holland(ニューホランド)及びCASEブランドで展開する農業機械、商用車・トラックのIveco(イベコ)、旧ルノーの流れを汲むHeuliez Bus(ユーリエ・バス)、IVECO BUS (イベコバス、以前は Irisbus(アイリスバス)ブランド)、1864年から続く老舗消防車メーカーであるMagirus(マギルス)、エンジン・車軸・変速機等を製造するFPT Industrial(フィアット・パワートレイン・インダストリアル)となっています。なお、CNHグローバルは、1999年にNew Holland(ニュー・ホランド)とCase Corporation(ケース・コーポレーション)が経営統合し誕生しています。
エリア別の売上比率では、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が、一番多く約50%超、北米の20%超、アジア、南米と続きます。中央アジアにおける製造拠点は、中国、ウズベキスタン、インディア、パキスタン、ロシア、トルコにあります。

CNH地域別売上高

CNH地域別売上高
出所:同社AR

事業別の売上比率では、農機(AG)が39%と最大。続き商用車・トラック事業(CV)の37%、エンジン(PT)の15%、建機(CE)の9%となっています。

CNH商品別売上構成

CNH商品別売上構成
出所:同社AR

農機の売上高は111億ドルです。営業利益率は8.5%と全社平均を上回っています。農機カテゴリーでは、トラクターが農機売上の58%を占め、コンバインの21%を大きく上回っています。地域別では、欧州と北米が4割弱とほぼ拮抗しています。主な競合先としては、John Deere(ジョン・ディア)、AGCO(アグコ)、Claas(クラース)、 the Argo Group(アルゴ・グループ)、Deutz Fahr Group(ドイツファール・グループ)やクボタがあげられます。
建機の売上高は約26億ドルです。営業利益率は0.8%です。地域別では、北米が約過半を占め、最も大きな販売先となっています。大型建機と中小型建機をバランスよく取り扱っています。主な競合先としては、Caterpillar(キャタピラー)、Komatsu(コマツ)、JCB(JCバンフォード・エクスカベターズ)、日立建機、Volvo(ボルボ)等が挙げられます。
商用車・トラック部門の売上高は約104億ドルです。営業利益率は2.6%です。製品別ではトラックが約8割、地域別では欧州が約8割の販売先となっています。欧州でのトラックの市場シェアは約12.8%です。

CNHの商用車市場シェア

CNHの商用車市場シェア
出所:同社AR

トラックの主要競合先としてはDaimler (ダイムラー、同社はMercedes-Benz、三菱ふそう、Freightliner(フレイトライナー)、 Western Star(ウェスターン・スター)、Setra(ステラ)、Bharat-Benz(ブハラット・ベンツ)ブランドで展開)、Volkswagen (MANとScaniaブランドで展開)、Paccar (パッカー、同社はDAF、Kenworth(ケンワース)、Ken Mex、Peterbiltブランドを展開)、Volvo Group (同社はボルボ、ルノー、MACK、UDトラックスブランドで展開)、Navistar(ナビスター)、消防車ではRosenbauer International(ローゼンバウワー・インターナショナル)、 Rheinmetall(ラインメタル)、米国のOshkosh(オシュコシュ)等があげられています。

トランスミッション・エンジン部門の売上高は44億ドルです。営業利益率は約8.3%。売上に占める製品の割合では、エンジンが約9割と最大です。外部への販売割合は約56%(グループ内売上は約44%)です。エンジンは年間約60万機、変速機は7万機、車軸は19万本販売しています。同社によれば主要競合先としては、Cummins(カミンズ)、 Daimler(ダイムラー)、Deutz(ドイツ)、Perkins(パーキンス)、John Deere(ジョン・ディア)、Volvo(ボルボ)とヤンマーがあげられています。
主要株主は、フィアットの創業家のアニェッリ家が所有するエクソール(Exor NV)であり、議決権ベースで約4割程度の株式を保有しています。エクソールは、CNHインダストリアルに加え、FCA(フィアット・クライスラー)、再保険のパートナーRe、フェラーリ、ユベントス、エコノミストの大株主でもあります。

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Daimler(ダイムラー)

ドイツを代表する自動車・商用車メーカーです。バス事業部がメルセデスベンツとゼトラ(Setra )ブランドで展開しています。売上の約66%が欧州となっています。インドではバーラト・ベンツ (BharatBenz) ブランドを展開しています。

宇通集団(Yutong Group、ユートングループ)

中国のバスメーカーです。鄭州市に本拠をおきます。1997年に上海証券取引所に上場しています。中国国内だけでなく、フランス、英国、オーストラリア、キューバ、ベネズエラ、ロシア、サウジアラビア等にもバスの輸出を行なっています。小型~大型バスまで全レンジのバスを生産しています。

金龍客車(King Long、キンロン)

中国のバスメーカーです。廈門金龍汽車集団(キンロン・グループ)傘下にあります。中国では、バスの分野におてユートンとキンロンが双璧です。中国では、安徽安凱汽車股份有限公司(Anhui Ankai Automobile Company)もバス生産の大手です。

Ashok Leyland(アショック・レイランド)

インドの商用車メーカーです。英国に在住する印僑であるヒンドゥージャ氏が指揮するヒンドゥージャ・グループ(Hinduja Group)傘下にあります。同グループ傘下には、インダスインド銀行(IndusInd Bank)、病院、ガソリンスタンド、ITベンダーのHGS等があります。競合にはタタモーターズがあります。

日本勢では、日野自動車が最大手、いすゞやトヨタがバス大手です。

参考図書

The Complete Book of VW BUS [ムック]

いすゞ自動車のすべて 新版 (GEIBUN MOOKS) [ムック]

バスを良く知る基礎知識 (深遠なるマニアの世界への第一歩!) [単行本(ソフトカバー)]

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