ボーイングの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。

業績推移(年次)

2021年度
737 MAXの受注の回復や記録的な貨物機需要によって、前年度比増収増益となりました。部材価格や物流コストが上昇し、引続き営業損失を計上しています。

2020年度
売上高は前年度比184億100万ドルの減収となりました。コロナ禍におけると渡航制限をうけ、民間航空機事業および商業サービス事業の収益が減少したことによるものです。

ボーイングの業績推移

ボーイングの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第3四半期(7-9月)
売上高は前年同期比4.44%増の15,956百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-950.76%の-2,799百万ドルになりました。営業利益率は-17.5%になりました。

2022年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比-1.86%の16,681百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-24.34%の774百万ドルになりました。営業利益率は4.6%になりました。787型機についての改修コストが増加しています。

2022年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比-8.06%の13,991百万ドルになりました。営業利益は-1,169百万ドルになりました。営業利益率は-8.4%になりました。高価格機の販売割合が低下したことに加え、供給網の混乱によるコスト増やウクライナ戦争に関する損失が営業損失の主因です。

2021年第4四半期(10-12月)
787型機の品質をめぐってアメリカ連邦航空局から指摘を受けたことで改修のコストが増加、営業損失を計上しました。

2021年第3四半期(7-9月)
売上高153億ドル、営業利益計上と前年同期比に比べ増収増益となりました。主力小型機737MAXの安全運航再開のタイミングに注目が集まります。

ボーイングの四半期業績推移

ボーイングの四半期業績推移

EPS成長

パンデミックの影響を受け、2019年以降希薄化後のEPSはマイナスとなっています。

ボーイングの希薄化後EPSの推移

ボーイングの希薄化後EPSの推移

売上構成

航空機、宇宙防衛、メンテナンスと航空機リースが主力事業です。

ボーイングの売上構成(2021年度)

ボーイングの売上構成(2021年度)

防衛・宇宙事業
米国のロッキード・マーティン、英国のBAEシステムズ、フランスのThales(タレス)といった軍事・防衛大手企業と並ぶ大手です。米国国防総省(U.S. DoD)、米国航空宇宙局(NASA)が主要顧客です。F/A-18E/Fスーパーホーネット、F-15プログラム、P-8プログラム、KC-46Aタンカー、T-7Aレッドホーク、CH-47 Chinook、AH-64 Apache、V-22 Ospreyなどの回転翼機および回転翼プログラムを生産しています。無人機では、MQ-25、QF-16、Insitu社のスキャン・イーグル機などがあります。商業衛星、NASAのスペースローンチシステム(SLS)、国際宇宙ステーション、コマーシャルクルー、ミサイル防衛および武器プログラム、統合直接攻撃弾なども開発製造しています。

民間向けの航空機事業
中大型機の分野では、欧州のエアバスとほぼ市場を二分する最大手です。三菱重工、川崎重工、スバル(旧富士重工)のスリーへビーズが機体の主要な構造物の提供を行っています。737のナローボディモデル、747、767、777、787のワイドボディモデルがあります。開発 777Xプログラムと一部の737 MAX派生機の開発を続けています。今後の需要の拡大が予想される100席未満のリージョナルジェット機分野では、自社で手掛けておらず、また競合大手のボンバルディアがエアバスと資本提携したことを受け、エンブラエルの小型旅客機部門を買収で合意しましたが、2020年に合意を解消しました。
ヘリコプターの分野でもボーイング・ロータークラフト・システムズ(Boeing Rotorcraft Systems)を展開していますが、規模では、Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)やシコルスキー・エアクラフト(Sikorsky Aircraft)の後塵を拝しています。

航空機リース
子会社にボーイング・キャピタルを有して、同分野の世界シェアでも上位クラスです。一方、航空機リース業界では、GEの子会社であるGECAS(ジーキャス)と旧ILFCを買収したAerCap(エアキャップ)が2強として君臨していましたが、2021年に経営統合を発表しました。

航空機向けのサービス
2017年7月にボーイング・グローバル・サービシーズを立ち上げ、部品、修理、保守、人材養成(パイロット等)に注力をしています。部品関連では、アビオニクス、座席シート、エンジン、アクチュエーター等の内製化を図っています。こうした航空機の巨人ボーイングの動きに対抗して、航空機エンジンの大手のユナイテッド・テクノロジーズ(現レイセオンテクノロジーズ)は、電子機器に強いロックウェルコリンズの買収をしたとされます。一方で、航空機サービス全体におけるボーイングの世界シェアは7%程度とされ、拡大余地は大きいと考えられます。

市場シェア

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