レイセオンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies)は、2019年に防衛大手のレイセオンとユナイテッド・テクノロジーズグループが経営統合して誕生しました。旧ユナイテッド・テクノロジーズグループは、2020年にエレベーター事業のオーチス(Otis)及び空調事業のキャリア(Carrier)の分社化を実施し、現在は、航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニー、民間工機向けシステムを提供するコリンズエアロスペース、宇宙防衛機器製造を行うレイセオンが主力事業となっています。

ユナイテッド・テクノロジーズグループ(UTC)とは
現在のボーイングやユナイテッド航空の源流となったユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートが、1975年にユナイテッド・テクノロジーへと社名変更して誕生しました。航空機エンジン、エレベーター、空調機の分野でそれぞれ強力な製品群を揃えています。2018年に、ユナイテッド・テクノロジーズ社は、航空機部品事業、エレベーター事業、空調事業の分社化を発表、2019年に防衛大手のレイセオンと経営統合し、レイセオンテクノロジーズとなりました。2020年にエレベーター事業のオーチス(Otis)及び空調事業のキャリア(Carrier)の分社化を実施しました。

分社化時点の売上高

分社化時点の売上高
出所:UTC

業績推移(年次)

2021年度
民間・防衛航空機事業が堅調に推移し、前年度比増収増益になりました。

2020年度
レイセオンとユナイテッドテクノロジーズが経営統合し、売上規模は拡大しましたが、民間航空機部門が低迷し営業損失を計上しました。

レイセオンテクノロジーズの業績推移

レイセオンテクノロジーズの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第3四半期(7-9月)
売上高は前年同期比4.55%増の16,951百万ドルになりました。営業利益は前年同期比10.20%増の1,480百万ドルになりました。営業利益率は8.7%になりました。

2022年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比2.73%増の16,314百万ドルになりました。営業利益は前年同期比5.54%増の1,353百万ドルになりました。営業利益率は8.3%になりました。民間航空機部門の需要が堅調で、増収増益になりました。

2022年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比3.05%増の15,716百万ドルになりました。営業利益は前年同期比6.61%増の1,080百万ドルになりました。営業利益率は6.9%になりました。ミサイル&防衛事業が堅調に推移しました。

2021年第4四半期(10-12月)
民間・防衛航空機事業が堅調に推移しましたが、物流や原材料コストが上昇し営業利益率が3.9%へと低下しました。

レイセオンテクノロジーズの四半期業績推移

レイセオンテクノロジーズの四半期業績推移

EPS成長(年次)

好調な業績を反映して、2021年度はEPSも黒字化しました。

レイセオンテクノロジーズの希薄化後EPSの推移

レイセオンテクノロジーズの希薄化後EPSの推移

EPS成長(四半期)

2022年第3四半期(7-9月)
希薄化後EPSは前年同期比1.08%増の0.94ドルになりました。1株当たりの配当は前年同期比7.84%増の0.55ドルになりました。配当性向は58.51%になりました。

レイセオンのEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

レイセオンのEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

製品別事業構成

事業構成は大きく、航空機エンジン、民間航空機システム、宇宙防衛事業に分かれます。

レイセオンテクノロジーズの売上構成(2021年度)

レイセオンテクノロジーズの売上構成(2021年度)

航空機エンジン事業はPratt & Whitney(プラット・アンド・ホイットニー)が手掛けています。民間航空機用や戦闘機用エンジンを提供していて、航空機エンジンの分野ではGEやロールス・ロイスと競合しています。ナローボディ機向けのエンジンでは、MTUエアロ・エンジンズ、日本連合(三菱重工、川崎重工、IHI)とともにIAEインターナショナル・エアロ・エンジンズを展開しています。

航空機部品事業は、旧UTCエアロスペース・システムズ(2011年に買収をした航空機の着陸装置メーカー大手のグッドリッチがベース)と2017年に買収した、ロックウェル・コリンズと事業を統合したものです。

防衛と航空宇宙システムは旧UTC系のハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand)とレイセオンの事業が統合されています。レイセオンは歩兵携帯用の地対空ミサイルには「スティンガー」、「パトリオット」、イージス艦搭載の「SM‐3」、歩兵携帯用の地対空ミサイルには「スティンガー」(ロッキードマーチンとの合弁会社が製造)、空対空ミサイルの「サイドワインダー」、「スパロー」、「フェニックス」といったミサイルに強みがあります。レーダーの開発・製造も行っています。

地域別売上構成

宇宙防衛事業という性質上、米国での売上割合が8割を超えています。

レイセオンテクノロジーズの地域別売上構成(2021年度)

レイセオンテクノロジーズの地域別売上構成(2021年度)

M&A(合併・買収)の動向

2020年 オーティスとキャリアの分社化
2019年 レイセオンとの経営統合
2018年 エレベーター事業と空調事業の分社化を発表
2017年 米航空システム・機器大手ロックウェル・コリンズを買収
2015年 Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のロッキード・マーティンへの売却
2015年 仏セキュリティ大手のCIATの買収
2013年 Goodrich Pump(グッドリッチポンプ)の売却
2012年 ハミルトン・サンドストランドの産業材事業を投資ファンドへ売却
2011年 航空機部品大手の米Goodrich Corporationの買収
2009年 防災大手のGE Securityの買収
2009年 セキュリティ大手の香港GST Holdings
2007年 消防設備大手のフィンランドMarioff Corporation
2007年 セキュリティ大手の英国Initial Electric Security Groupを大手害虫駆除会社の英Rentokilからの買収
2005年 セキュリティ大手の米国Lenel Systems Internationalの買収
2004年 セキュリティ大手の英国Kiddeの買収
2003年 セキュリティ大手の英国Chubbの買収
1975年 エレベーター大手オーチスの買収
1979年 空調機大手のキャリアの買収

市場シェア

EN