航空機エンジン業界の世界市場シェアの分析

航空エンジンの世界市場シェアと市場規模の情報を分析しています。航空エンジン御三家のGE、ロールスロイス、プラット・アンド・ホイットニー、それに続くハネウェル、サフランといった世界大手航空エンジンメーカーの概要や動向も掲載しています。

世界市場シェア

航空機エンジンメーカーの2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の航空機エンジン業界の世界市場シェアを簡易に試算しますと、1位はGE、2位はプラット・アンド・ホイットニー(レイセオン)、3位はロールスロイスとなります。

2020年航空機エンジンの世界シェアと業界ランキング

  • 1位 GE 22.4%
  • 2位 プラット・アンド・ホイットニー(レイセオン) 21.5%
  • 3位 ロールスロイス 20.1%
  • 4位 ハネウェル・インターナショナル 14.7%
  • 5位 サフラン 11.7%

航空機エンジン業界の世界シェア(2020年)
航空機エンジン業界の世界シェア(2020年)

ターボジェットエンジン系の航空機エンジンの分野では、GEが世界1位となっています。GEはワイドボディー機のエンジンに強みを持っています。ナローボディ機のエンジンでは、GEとフランスのサフラン傘下のスネクマとの合弁会社である、CFMインターナショナルが担っています。世界2位はレイセオン傘下の、プラット・アンド・ホイットニーとなっています。こちらもワイドボディ機のエンジンに強みをもっています。世界3位は英国のロールス・ロイスとなっています。2014年に電力業界向けのガスタービンおよびコンプレッサー事業をドイツにシーメンスに売却をして、航空機エンジンへ事業を集中しています。第4位は米国のハネウェル、世界5位はフランスのサフランとなります。

レシプロエンジンの分野では、テキストロン子会社のライカミング・エンジンズと中国AVICインターナショナル傘下の米コンチネンタルモーターズが市場を2分しています。ナローボディー機のエンジンは、ドイツのMTUエアロ・エンジンズ ドイツ と、日本連合の合弁会社であるIAEインターナショナルがあります。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、航空機エンジン業界の2020年の世界市場規模を780億ドルとして市場シェアを計算しております。参考した公表統計データは以下の通りです。調査会社リサーチアンドマーケッツによると、同業界の世界市場規模は、2020年に780億ドルと推定されます。2021年には822億円に達し、年平均成長率5.64%で2026年には1085億ドルに達すると予測されます。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば、同業界の2019年の市場規模は799億ドルです。2027年までに年平均11.3%で成長での成長を見込みます。調査会社のT4によれば、2019年の同業界の規模は730億ドルです。2025年までに年平均1%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模成長率見込み
2020年780億ドル5.64%
2019年730~822億ドル1~11.3%
航空機エンジンの推定市場規模の推移
©業界再編の動向

航空機エンジンは、航空機1機につき2もしくは4基の航空エンジンは搭載されます。航空機は今後も需要が増えると予想されており、航空機エンジンの市場の拡大も見込まれます。また、航空機エンジンは、定期的な交換を含めた継続的なアフターサービスが必要となりますので、補修部品やサービスは、リカーリングインカムとして航空機エンジン会社の収益源となります。反面、高い耐久性や安全性が求められるため、開発や生産には長期にわたり、資金的な負担も大きく、寡占的な市場構造が続くものと考えられます。

航空機エンジンの構造と種類

航空機エンジンは、通常「ガスジェットエンジン」と言われ、下図の通り吸気・圧縮・燃焼・排気によってタービンを回転させることで推進出力を得る動力です。プロペラ機と旅客機ではエンジンの構造も若干異なりますが、推進出力を回転から得ることは同じです。

航空機エンジン
出所:川崎重工業のデータから作成

さらに業界に詳しくなるためのお薦めの書籍

航空機エンジンメーカーの概要

General Electric(GE)

GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。さらに詳しく

 

Raytheon Technologies(レイセオン・テクノロジーズ)

レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies、旧ユナイテッド・テクノロジーズグループ)は、米国に本拠を置く複合企業体です。現在のボーイングやユナイテッド航空の源流となったユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートが、1975年にユナイテッド・テクノロジーへと社名変更して誕生しました。航空機エンジン、エレベーター、空調機の分野でそれぞれ強力な製品群を揃えています。2018年に、ユナイテッド・テクノロジーズ社は、航空機部品事業、エレベーター事業、空調事業の分社化を発表、2019年に防衛大手のレイセオンと経営統合し、レイセオンテクノロジーズとなりました。2020年にエレベーター事業のオーティス及び空調事業のキャリアの分社化を実施しました。

分社化時点の売上高

分社化時点の売上高
出所:UTC

航空機エンジン事業Pratt & Whitney(プラット・アンド・ホイットニー)が手掛けています。民間航空機用や戦闘機用エンジンを提供していて、航空機エンジンの分野ではGEやロールス・ロイスと競合しています。ナローボディ機向けのエンジンでは、MTUエアロ・エンジンズ、日本連合(三菱重工、川崎重工、IHI)とともにIAEインターナショナル・エアロ・エンジンズを展開しています。
航空機部品事業は、旧UTCエアロスペース・システムズ(2011年に買収をした航空機の着陸装置メーカー大手のグッドリッチがベース)と2017年に買収した、ロックウェル・コリンズと事業を統合したものです。
防衛と航空宇宙システムは旧UTC系のハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand)とレイセオンの事業が統合されています。レイセオンはミサイルに強みがあります。レーダーの開発・製造も行っています。

2020年 オーティスとキャリアの分社化
2019年 レイセオンとの経営統合
2018年 エレベーター事業と空調事業の分社化を発表
2017年 米航空システム・機器大手ロックウェル・コリンズを買収
2015年 Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のロッキード・マーティンへの売却
2015年 仏セキュリティ大手のCIATの買収
2013年 Goodrich Pump(グッドリッチポンプ)の売却
2012年 ハミルトン・サンドストランドの産業材事業を投資ファンドへ売却
2011年 航空機部品大手の米Goodrich Corporationの買収
2009年 防災大手のGE Securityの買収
2009年 セキュリティ大手の香港GST Holdings
2007年 消防設備大手のフィンランドMarioff Corporation
2007年 セキュリティ大手の英国Initial Electric Security Groupを大手害虫駆除会社の英Rentokilからの買収
2005年 セキュリティ大手の米国Lenel Systems Internationalの買収
2004年 セキュリティ大手の英国Kiddeの買収
2003年 セキュリティ大手の英国Chubbの買収
1975年 エレベーター大手オーチスの買収
1979年 空調機大手のキャリアの買収

Safran S.A (サフラン)

Safran S.A (サフラン)はフランスに本拠を置く防衛・通信大手企業です。傘下のSnecma(スネクマ)にて民間及び軍用の航空機エンジンの製造を行っています。ナローボディー機ではGEと手を組んでいます。2018年に機内エンターテイメント、シート、機内食機器に強いゾディアックを買収しました。

Honeywell International(ハネウェル・インターナショナル)

ハネウェル(Honeywell)は1886年に設立された米国に本拠を置く複合企業です。航空機エンジンや電子制御機器、自動化機器、特殊素材分野、自動車部品等幅広く展開しています。ビルディング・オートメーションやターボチャージャーの分野では世界大手の1社です。2017年にターボチャージャー事業と住宅向け空調機器、火災報知器事業を分社化しました。さらに詳しく

Rolls-Royce(ロールスロイス)

Rolls-Royce(ロールス・ロイス)は英国に本拠を置く航空機・船舶エンジンメーカーです。自動車のロールス・ロイスとは同根です。一時は英政府により国有化されましたが、ドイツのBMWとの航空機エンジン事業を子会社する等、積極的な買収により成長しました。民間航空、防衛、パワーシステムが3本柱です。産業用ディーゼルエンジンでは、発電所、建機、鉄道、船舶向けのエンジンを製造・販売し、キャタピラー、カミンズ、GE等と競っています。民間船舶部門が低調であり、2018年以降リストラを加速しています。燃料噴射装置を手掛けるロランジュ(L’Orange)を米航空機部品メーカーのウッドワードへ売却しました。船舶用エンジンではMTUブランドの高速エンジンとBergenブランドの中速エンジンがメインとなっていますが、2021年にBergenをロシアの鉄道車両大手であるJSC Transmashholdingへ売却しました。さらに詳しく

CFM International(CFMインターナショナル)

フランス・パリに本社を置き、CFM56シリーズのジェットエンジンの製造とサポートを行っています。アメリカのGEとフランスのサフランの合弁事業(持分比率は双方50%)です。

日本航空機エンジンメーカー

航空機エンジンは、IHI、三菱重工業、川崎重工業が手掛けています。戦後の航空禁止令の影響が大きく、大手航空機エンジンメーカーの下請け的な位置づけであすが、IHIはXF9―1で、三菱重工はMRJで巻き返しを図ります。

川崎重工業について

1896年に松方正義の支援によって川崎正蔵氏によって設立された川崎築地造船所を源流とする日本を代表する宇宙防衛・重電大手メーカーです。戦前の神戸川崎財閥には、川崎造船(川崎重工)の他に、川崎汽船、川崎製鉄(JFE)が属していました。技術者の育成には定評があります。現在は、防衛、航空エンジン、鉄道車両、プラント、油圧機器、溶接やシリコンウエハの搬送等の産業用ロボット、造船、中大型バイク、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト(ジェットスキーの商標で展開しています)、農機等の汎用エンジンを開発製造しています。さらに詳しく

三菱重工について

1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。
会員の方はログイン下さい。
会員登録はこちらです。