GEの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。

業績推移(年次)

ラリー・カルプ氏就任以降、事業の再編が進み、売上高は減少しています。2021年度は再編に係るDebt extinguishment costsが発生し営業損失を計上しました。

GEの業績推移

GEの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第3四半期(7-9月)
売上高は前年同期比2.77%増の19,084百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-165.13%の-340百万ドルになりました。営業利益率は-1.8%になりました。

2022年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比2.15%増の18,645百万ドルになりました。営業利益は851百万ドルになりました。営業利益率は4.6%になりました。

2022年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比-0.46%の17,040百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-301.92%の-525百万ドルになりました。航空機エンジンは好調でしたが、電力および再生可能エネルギーが伸び悩みました。物価高やサプライチェーンの遅延も収益を圧迫する要因となっています。

GEの四半期業績推移

GEの四半期業績推移

EPS成長

2021年度の希薄化後EPSはマイナスになりました。

GEの希薄化後EPSの推移

GEの希薄化後EPSの推移

売上構成

デジタル・インダストリアル・カンパニーを標ぼうして、IoTの今後の動向を見据えた製造業の変革に積極的に取り組んでいます。2020年には、電力制御、送電やスマートグリッド等の機器の製造や火力・水力・原子力発電所向けのタービン等の機器を取り扱うパワー事業、CTスキャン等の医療用機器の製造を行うヘルスケア事業、航空機エンジン等の製造を行うアビエーション事業、風力や太陽光発電等の機器の製造を行うリニューアブル・エナジー事業、そしてキャピタル事業の5本部体制となっております。さらなる事業再編を経て、2021年度はアビエーション、ヘルスケア、リニューアブル、パワーが主力事業となっています。

GEの売上構成(2021年度)
GEの売上構成(2021年度)

GEの売上構成(2021年度サブセグメント)

GEの売上構成(2021年度サブセグメント)

セグメント情報

セグメント サブセグメント 事業概略
パワー ガスパワー ガス火力発電所向けのタービン
石炭火力・原子力 石炭、原子力発電所向けのタービン、ボイラー、発電機
リニューアブルエナジー 陸上風力 風車やタービン
グリッドソリューション 送電配電機器やシステム
水力と洋上風力 水力発電所向けのタービンやその他機器(設置容量ベースで世界の25%)
アビエーション 航空機エンジン 商業用の航空機エンジン
防衛機器 軍用機向けのエンジン
航空機システム アビオニクスシステム、ギア、トランスミッションなどの航空機部品
ヘルスケア ヘルスケア機器 画像診断、X線撮影、各種医療用検査機器
GEのセグメントと事業概略©ディールラボ

パワー事業では、ガスタービン、蒸気タービン、ボイラ(熱交換機)、分散電源向け発電機器(イエンバッハ、ワーキシャー、但し2018年に投資ファンドへの売却を発表)、原子力発電所のGE日立ニュークリア、フランスのアルストムより買収した送配電設備、特高変電設備等を製造しています。タービン、送配電、原子力発電の分野では大手です。
リニューアブルエナジー事業では、風力発電所のタービン(Haliade 150-6MW等の超大型のものも対応可能)や設備、風車の羽根(ブレード)、水力発電所のポンプや設備を製造しています。水力発電設備の総発電能力のうち、4分の1以上がGEの発電機器によるものとされます。フランスのアルストムを買収し更なる事業の拡大を図っています。2021年に東芝と洋上風力事業で提携を発表しました。
ヘルスケア事業は、従業員約5万超、世界の約140ヶ国で展開、部門の売上は約200億ドルとGEの売上の約22%を占めるGEの主力事業の一角です。画像診断装置(MRI, CT, MIや超音波診断装置、骨密度測定装置、各種X線撮影装置、心臓カテーテルモニタリングシステム)、麻酔器、生体情報モニタおよびユニークパラメータ、分娩監視装置、新生児黄疸光線治療器、保育器、バイオテクノロジー関連機器・分析ソフト・試薬、バイオ医薬品製造向けシステム等を提供。医療機器分野では世界最大手の一角です。
アビエーション事業は、商用・軍用航空機エンジンの世界3大メーカーの一角となっています。軍事用も手掛けています。ワイドボディー機向けのエンジンに強みを持ちます。ナローボディ機では、フランスのスネクマとCFM Internationalを展開しています。

2023年以降GEはアビエーション事業、ヘルスケア事業、パワー&リニューアブル事業へと分社化される予定です。

GEの主要なM&A

2006年 保険事業をスイス再保険へ売却
2007年 プラスチック部門をサウジアラビアのSABICに売却
2007年 GEセキュリティを米国のUTC(ユナイテッド・テクノロジーズ)に売却
2009年 メディア事業のNBCユニバーサルをコムキャストへ売却
2015年 仏重電大手のアルストムと発電事業及び鉄道車両事業における経営統合
2016年 家電事業を中国のハイアールへ売却
2016年 GEキャピタル傘下の消費者金融部門をシンクロニー・フィナンシャルとして分社化IPO
2017年 GE Waterをスエズエンバイロメントに売却
2017年 フランスで展開する消費者金融のGE Moneyを投資ファンドのサーベラスへ売却
2017年 デンマークのブレードと呼ばれる羽根の部分を製造する風力発電機器メーカー、LMウインド・パワーを買収
2018年 業務用照明部門(カレント)をアメリカン・インダストリアル・パートナーズに売却
2018年 分散型電源対応用のガスエンジンを生産するブランド「イエンバッハ」と「ワーキシャー」をアベンティスに売却
2018年 機関車事業を米鉄道機器メーカーのワブテックと経営統合
2018年 フィールドサービス管理ソフトウェアを提供するServiceMax(サービスマックス)をSilver Lakeに売却
2018年 ヘルスケア部門の分社化を発表
2019年 ベーカー・ヒューズの持分の売却
2019年 GEトランスポーテーションをワブテックへ売却
2020年 照明事業をサバント・システムズへ売却
2020年 GECASとエアキャップが経営統合
2021年 アビエーション事業、ヘルスケア事業、パワー&リニューアブル事業へ分社化

(ご参照)GEのかつての事業部門
オイル・ガス事業では、ガス・蒸気タービン、圧縮機、ポンプ、エキスパンダー等の回転機器、大型回転機械の振動計測サービス、発電所の制御装置、工業用計測機器、放射線モニタリング機器、非破壊検査機器、流体制御のバルブ製品等を製造していました。石油やガス関連向けに採掘・生産・パイプライン輸送、化学プラント向けの機器を提供するオイル&ガス事業は、2017年に、イメルト氏の「水より石油」というリーダーシップの下、水処理膜事業や水処理向けのプラントを含む工業用水処理事業のGE Waterをスエズエンバイロメントに売却し、石油サービス大手であるベーカー・ヒューズを買収しています。GEオイルガス事業をベーカー・ヒューズと事業統合し、2019年には保有しているベーカー・ヒューズ株式を市場で売却しました。
GEトランスポーテーションでは、ディーゼル機関車等鉄道用車両や船舶用エンジンなどを製造・販売していました。2017年の売上高は約39億ドル。従業員数は約9000人。2018年に米機関車・貨客車製造大手ワブテックに株式の49.9%を29億ドルで売却されました。
照明事業はGEの祖業です。2018年に業務用照明部門を投資ファンドに売却をしました。消費者向けの照明は2020年にサバント・システムズに売却しました。
航空機リースの分野は、GECAS(ジーキャス)を保有していました。2020年にエアキャップと経営統合をしました。

市場シェア

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