水処理薬品・機器業界の世界市場シェアの分析

水処理薬品・機器業界の世界シェアや市場規模について分析をしています。エコラボ、ザイレム、ケミラ、栗田工業、エボクアといった世界の大手水処理薬品・機器会社の動向も掲載しています。

市場シェア

水処理薬品・機器メーカー各社の2020年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の水処理薬品・機器業界の世界市場シェアを計算すると、1位はエコラボ、2位はザイレム、3位はスエズとなります。

水処理薬品・機器メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

順位水処理薬品・機器メーカー名市場シェア(2020年)
1位エコラボ13.0%
2位ザイレム10.7%
3位スエズ8.6%
4位ソレニス7.6%
5位ペンテア6.5%
6位栗田工業5.5%
7位ダナハー5.4%
8位エボクア3.0%
9位ケミラ2.6%
水処理薬品・機器メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)
©ディールラボ

水処理薬品・機器メーカーの世界シェア(2020年)
水処理薬品・機器メーカーの世界シェア(2020年)

エコラボは水処理のナルコを2011年に買収し水処理分野では世界1位の座を守っております。

2位はポンプ業界大手のITTコーポレーションから分社化したザイレムが肉薄しています。

3位はGEウォーターを買収し、水処理分野へ再参入をしたスエズです。コンセッションが主流の上下水道のオペレーターとしてはウォーターバロンとして君臨している同社が、ウォーターソリューション分野を取り込むことで水領域での事業拡大を図っています。なお同社は2021年に同業のヴェオリアに買収されました。

4位は2019年にBASFの水処理薬品事業と経営統合をしたソレニスとなりました。BASFは引き続き同社の49%の株式を保有し、今後の業界再編の要となる可能性があります。

5位は米国のペンテア、6位には日本の栗田工業が入っています。9位にはデンマークのケミラとなっています。ケミラの大株主はフィンランドのファミリーオフィース系の投資ファンドであるOras Investであり、今後同社も業界再編の目となる可能性があります。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、水処理薬品・機器業界の2020年の世界市場規模を460億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のアイマークによると、2020年の同市場規模は503億ドルです。2026年にかけて年平均5.2%での成長を見込みます。
調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年の同市場規模は333億ドルです。2027年にかけて年平均5.1%で成長し、同年には465億ドルへと規模が拡大する見込みです。⇒参照したデータの詳細情報

水処理薬品・機器の市場規模成長率
2020年503億ドル5.2%
2019年333億ドル5.1%
水処理薬品・機器業界の推定市場規模の推移

水処理薬品業界の主要M&A

投資ファンドによる買収が相次ぎます。M&Aにおける買収倍率は、対象会社の企業価値に対して売上高が何倍かを示す企業価値・売上高マルチプルの中央値で約2倍、企業価値に対してEBITDAが何倍かを示す企業価値・EBITDAマルチプルの中央値で11.7倍となります。

2011年 エコラボによるナルコ(Nalco)買収
2013年 AEAインベスターズによるエヴォクア買収
2016年 ザイレムによるスマートメーター大手のセンサスの買収
2017年 エコラボによるドイツのホルケム(Holchem)の買収
2017年 エコラボによるキャスケードウォーターサービス(Cascade Water Services)の買収
2018年 ザイレムによるカナダのピュアテクノロジーズ(Pure Technologies)の買収
2019年 エコラボによるBioquellの買収
2019年 エヴォクアによるATG UVテクノロジーの買収
2021年 プラチナエクイティがソレニスを買収

水処理業界の買収マルチプル
水処理業界の買収マルチプル

水処理薬品メーカーの動向

エコラボ(Ecolab)

1923年に創業された米国に本拠を置く水処理会社の老舗です。Economics LaboratoryからEcolabへ社名変更しています。投資ファンドのブラックストーン、Apollo Management(アポロマネジメント)、Goldman Sachs Capital Partners(ゴールドマンサックスキャピタルパートナーズ)がフランスの水道大手のスエズから買収した水処理大手のNalco Holding(ナルコホールディングス)を、エコラボが買収し、工業用水処理分野では世界最大級となりました。洗浄機、水のろ過、殺菌、廃水処理等化学、ヘルスケア、食品業界等幅広い分野へのソリューションを提供しています。2019年には消毒液大手の英国のBioquellを買収しました。

ケミラ(Kemira)

フィンランドに本拠を置く水処理会社大手です。水処理用薬剤に強みを持ちます。2014年にはオランダのアクゾノーベルから保水、サイジング製品等の製紙薬品事業を買収しています。

ザイレム(Xylem)

米国に本拠を置く水処理大手です。2011年にポンプ業界大手のITTコーポレーションから分社化して誕生しました。2016年にスマートメーター大手であるセンサスを買収しています。

ダナハー(Danaher)

米国に本拠を置くコングロマリット企業です。計測器、歯科向け機器、水処理、ライフサイエンスの分野で事業を展開しています。水処理の分野では2015年に業界大手の米ポール(Paul)を買収して事業を強化しています。

栗田工業

日本を代表する水処理メーカーです。水処理薬品の製造、水処理装置の製造・販売、超純水供給、水質分析、環境分析、化学洗浄、プラント設備洗浄を行っています。

スエズ(旧GEウォーター)

米国を代表するGEの傘下の企業でした。食品、化学工場向けの測定、制御装置、水処理膜の分野では世界大手です。2017年にスエズがGEウォーターをケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)と共同買収しました。

スエズについて

Suez(スエズ)は、1880年に設立された世界トップクラスの水道事業運営・産業用水処理会社(ウォーターバロン)です。電力・ガス大手であるエンジ―(Engie)が主要株主でしたが、2021年にヴェオリアが買収をしました。スエズの源流は1800年代中盤にスエズ運河を建設したスエズ運河株式会社にまで遡ることができます。インドスエズ銀行の売却やフランスガス公社(GDF)と合併によるGDFスエズの誕生、その後エンジ―ヘの社名変更を行っております。2017年にはGEから水処理機器大手であるGEウォーターを32億ユーロで買収し、運営会社から水処理機器製造販売へと事業領域を拡大しております。MBR、UF/MF膜の分野に強みを持ちます。2020年にはドイツの化学メーカーであるランクセスよりRO膜を買収しました。2021年にヴェオリア傘下となりました。

エヴォクア(EVOQUA)

旧シーメンスの水処理事業です。2015年にシーメンスが投資ファンドへ売却し、その後上場を果たしました。上水処理、排水処理、下水処理など様々な水処理製品を手掛けています。2019年に紫外線消毒システム大手であるATG UVテクノロジーを買収しました。

ソレニス(Solenis)

2019年に投資ファンドのクレイトン・​デュビリア・アンド・ライス傘下にあったAshland Water TechnologiesとBASFの水処理化学・パルプ製紙化学事業が経営統合し誕生しました。49%をBASFが出資しています。2021年にプラチナムエクイティが買収し、同ファンド傘下にあるSigura Waterと統合をしました。

ペンテア(Pentair)

フィルターなど水処理アプリケーションなどを提供しています。

参照したデータの詳細情報について


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