水処理膜業界の世界市場シェアの分析

水処理膜業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。デュポン、東レ、日東電工、旭化成、スエズ、北京碧水源科技、三菱ケミカルといった主要な水処理膜メーカー概要も掲載しています。

【市場シェア】

水処理膜各社の2019年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2019年の水処理膜業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はデュポン、2位は東レ、3位はスエズとなります。

  • 1位 デュポン 13.5%
  • 2位 東レ 8.6%
  • 3位 スエズ 6.5%
  • 4位 旭化成 5.2%
  • 5位 北京碧水源科技 5.1%
  • 6位 日東電工 4.7%
  • 7位 三菱ケミカル 4.1%
水処理膜業界の世界シェア(2019年)
水処理膜業界の世界シェア(2019年)

水処理膜の種類別に見ると、MBR膜ではスエズや三菱ケミカル、UF/MF膜では旭化成、RO膜ではデュポンと東レが強くなっています。

【市場規模】

当サイトでは、各調査会社等の公表データを参考にし、水処理膜業界の2020年の世界市場規模を54億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

マーケッツアンドマーケッツによると、2019年の同業界の市場規模は54億ドルです。2024年にかけて年平均9%での成長を見込みます。
フォーチュンビジネスインサイツによると、2019年の同市場規模は69億ドルです。2027年にかけて5.7%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

水処理膜用語集

MF膜
MF/UF膜
MBR用膜
RO膜

MFはMicrofiltration(精密ろ過)の略。
UFはUltrafiltration(限外ろ過)の略。
MBRはMembrane Bio Reactor(膜分離活性汚泥法)の略。
ROはReverse Osmosis(逆浸透)の略です。

【会社の概要】

DuPont Water Technology(デュポンウォーターテクノロジー)

デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I du Pont de Nemours)は、1802年にフランス人のエルテール・イレネー・デュポンによって設立された世界最大級の化学メーカーです。2015年米同業のダウケミカルと経営統合しましたが、特殊産業材事業が分社化され新生デュポンとなりました。2011年にデンマークに本拠を置く食品成分大手であるDanisco(ダニスコ)を買収し、ニュートリション&バイオサイエンス事業で食品成分事業を強化していましたが、同事業は2019年に香料大手のIFFとの経営統合し、香料と食品成分を手掛ける総合食品成分会社となりました。水処理膜事業についてはDuPont Water Technology(デュポンウォーターテクノロジー)で展開しています。RO膜に強みがあります。さらに詳しく

Suez(スエズ)

Suez(スエズ)は、1880年に設立された世界トップクラスの水道事業運営・産業用水処理会社(ウォーターバロン)です。電力・ガス大手であるエンジ―(Engie)が主要株主でしたが、2021年にヴェオリアが買収をしました。スエズの源流は1800年代中盤にスエズ運河を建設したスエズ運河株式会社にまで遡ることができます。インドスエズ銀行の売却やフランスガス公社(GDF)と合併によるGDFスエズの誕生、その後エンジ―ヘの社名変更を行っております。2017年にはGEから水処理機器大手であるGEウォーターを32億ユーロで買収し、運営会社から水処理機器製造販売へと事業領域を拡大しております。MBR、UF/MF膜の分野に強みを持ちます。2020年にはドイツの化学メーカーであるランクセスよりRO膜を買収しました。2021年にヴェオリア傘下となりました。

Cabot Corporation(キャボット)

米国に本拠を置く化学メーカーです。ニューヨーク証券取引所に上場しています。オランダのNorit(ノリット)を買収して、UF膜/MF膜分野を強化しています。

東レ

1926年に三井物産が設立した東洋レーヨンを祖とする総合化学メーカーです。祖業は繊維で、東レは東洋レーヨンの略です。現在は日本を代表する素材系メーカーとなっています。
水処理分野ではRO膜の分野に強みを持ちます。ダウ、キャボットと並び大手です。炭素繊維では航空機向けに強みを持ちます。
熱硬化性炭素繊維、CFRPにも強く1971年に発売を開始した「トレカ」の商標で販売をしています。航空機分野ではボーイングへの納入実績では他社を圧倒しています。熱可塑性の炭素繊維複合材に強みを持つオランダのテンカーテ・アドバンスト・コンポジット社を2018年に買収し、熱硬化性と熱可塑性の素材に対応できる技術力を高めています。
セパレータはセティーラブランドで展開しています。車載電池向けでは、ボリューム拡大よりも、利幅が大きいとされるハイエンド向けに特化する方針です。ドイツのダイムラーと提携しています。
エアバッグの生地やおむつ等に使用する不織布でも大手です。さらに詳しく

日東電工

日本を代表する包装材料・半導体関連メーカーです。1987年に買収をしたHydranautics社が水処理膜事業の中核です。水処理膜ではRO膜に強みを持ちます。

旭化成

日本を代表する化学メーカーです。化学や住宅など多角化経営に特徴があります。水処理膜ではUF/MF膜に強みを持ち、マイクローザブランドで展開しています。膜事業ではセパレータにも強みを持ちます。

LG

LGグループは1952年にク・インフェ氏によって設立された韓国を代表する財閥グループです。1958年にLuckyとGoldStarが経営統合をして設立されました。電機事業、化学事業、通信事業が3本柱です。子会社は、家電メーカーのLGエレクトロニクス、電子部品の製造を手掛けるLGイノテック、液晶ディスプレイを手掛けるLGディスプレイ、総合化学メーカーのLG化学など多岐にわたります。さらに詳しく

北京碧水源科技(Beijing Originalwater Technology)

中国の水処理機器メーカーです。元々は三菱ケミカルの水処理膜の合弁会社であった経緯もあり、MBR膜に強みを持ちます。

三菱ケミカル

三菱ケミカルホールディングスは、日本の最大手の化学メーカーです。三菱レイヨンや大陽日酸を買収し、機能性化学分野の強化を図っています。アクリル樹脂の分野では、ダウケミカルやエボニックといった、大手化学メーカーを抑え、世界最大級の規模となっています。また、炭素繊維分野では、傘下の三菱レイヨンがパイロフィルの商標で炭素繊維を世界展開し、自動車会社とも開発を加速させています。電池材料では、正極材からは撤退し、電解液と負極材を強化しています。水処理膜事業では、MBR膜に強く、ステラポアーブランドで展開をしています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

売上高ランキングの情報
水処理膜メーカーの売上高ランキング(2019年度)

市場規模の情報
Markets and Markets
Fortune Business Insights

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