富士フイルムの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

富士フイルムは、1934年に大日本セルロイドの写真フイルム事業がスピンオフして誕生した会社です。写真フイルムでは長らく世界最大級の会社でしたが、カメラのデジタル化やスマホ化が加速度的に進展した結果、フイルム技術を転用することが可能な医薬品・医療機器・ドキュメンテーションといった分野へ事業転換を進めています。デジタルカメラはコンパクトカメラやインスタントカメラに注力しています。
かつての世界を席巻した写真フイルムという成功の罠にはまらず、事業構造の転換を果たしつつあることは、大企業の成長戦略の成功事例として数多くケーススタディ化されています。

業績推移(年次)

2021年度
売上高は前年度比15.20%増の2,525,773百万円になりました。営業利益は38.82%増の229,702百万円になりました。営業利益率は9.09%になりました。

2020年度
前年度比減収減益となりました。ヘルスケア事業や好調でしたが、在宅勤務シフトによるオフィス稼働低下によってドキュメントソリューション事業が落ち込みました。

富士フィルムの業績推移

富士フィルムの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比16.32%増の724,071百万円になりました。営業利益は38.25%増の71,260百万円になりました。営業利益率は9.84%になりました。医療機器や医薬品の開発製造受託(CDMO)などヘルスケア分野が牽引しました。

富士フィルムの四半期業績推移

富士フィルムの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移

2021年度
希薄化後EPSは前年度比16.46%増の526.11円になりました。1株当たりの配当は前年度比10.00%増の110.00円になりました。配当性向は20.91%になりました。

富士フィルムのEPS・1株配当・配当性向の推移

富士フィルムのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2022年11月10日に業績の上方修正をしました。今期の売上高は2,800,000百万円、営業利益は260,000百万円、営業利益率は9.29%、1株配当は120円を見込みます。前期比、増収・増益・増配です。

売上構成

医療機器などのヘルスケア、マテリアルズ、複合機などのドキュメントソリューションとイメージングソリューションが事業の4本柱となります。サブセグメント毎の売上構成は以下の通りとなります。

富士フィルムの売上構成(2021年度)

富士フィルムの売上構成(2021年度)

メディカルシステム
X線画像診断システム、医用画像情報システム、内視鏡システム、超音波診断装置、体外診断(IVD)システムなどの製造販売を行っています。

バイオCDMO
抗体産生、ヒト細胞や微生物培養技術をベースにバイオ医薬品の開発製造を行っています。

ライフサイエンス
細胞、培地、試薬に特化した創薬支援、ドラッグデリバリーシステムやサプリメント・ヘアケアといったコンシューマヘルスケアを提供しています。

電子材料
フォトレジスト、CMPスリラー、カレーレジストといった半導体プロセス材料の製造販売を行っています。

ディスプレイ材料
偏光板保護フィルム、視野角拡大補償フィルム、有機EL/タッチパネル用材料、フィルムなどを製造販売しています。

産業機材
タッチパネル用センサー、非破壊検査用機材などを製造販売しています。

記録メディア
磁気テープ(データストレージ用、ビデオ用)を製造販売しています。

グラフィックコミュニケーション
印刷用材料・CTP版、インクジェットデジタルプレス、産業用インクジェットプリンター・インクなどを提供しています。

ドキュメンテーション
オフィス用複合機、オフィスプリンター、デジタル印刷機、印刷ワークフロー・ソリューション、複合機管理などの製造販売を行っています。

イメージング
カラーフィルム、インスタントカメラ(チェキなど)、現像・プリント機器、写真プリントサービス、デジタルカメラ、ミラーレスデジタルカメラ、産業用レンズ、交換レンズなどの製造販売を行っています。

直近のM&A(合併買収)

2019年 日立製作所の画像診断関連事業を買収
2019年 富士ゼロックスを100%子会社化
2019年 豪州のオフィスITサービス企業CSG社を買収
2019年 バイオ医薬品大手バイオジェン社のCDMO子会社を買収
2019年 ドイツ内視鏡処置具メーカー medwork(メドワーク)を買収
2018年 ENEOSから細胞培地事業を買収
2017年 和光純薬を武田薬品工業から買収
2015年 iPS細胞製造大手米セルラーを買収

市場シェア

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