フレゼニウスの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

フレゼニウスは、ドイツに本拠を置くヘルスケアグループです。フランクフルト証券取引所に上場しています。病院運営、医療機器、ジェネリック医薬品が事業の3本柱となっています。病院運営ではドイツのレーン・クリニクムやスペイン病院大手であるキロンサルー(Quironsalud)を買収し成長しました。ドイツ国内では100以上の病院を展開しています。医療機器では、人工透析装置や人工腎臓等まで透析関連事業に強みを持ちます。輸液用ジェネリック医薬品、輸液治療薬、臨床栄養製品の開発製造、病院の建設エンジニアリングも手掛けています。

業績推移(年次)

2018年度
売上高は前年度比1.05% 減の335億3000万ユーロになりました。営業利益は0.49%増の49億6100万ユーロになりました。営業利益率は14.80%になりました。

2019年度
売上高は前年度比5.6%増の354億900万ユーロになりました。営業利益は5.76%増の52億4700万ユーロになりました。営業利益率は14.82%になりました。全ての事業セグメントにおいて良好な成長を見せています。

2020年度
売上高は前年度比2.45%増の362億7700万ユーロになりました。営業利益は2.71%減の51億0500万ユーロになりました。営業利益率は14.07%になりました。買収、売却による寄与が売上成長率につながっています。営業利益の減少はCOVID-19の影響によるものが大きいです。例えば、緊急でない治療(選択治療)の遅延、労働力不足、病院建設プロジェクトの遅延などが挙げられます。

021年度
売上高は前年度比3.43%増の375億2000万ユーロになりました。営業利益は0.57% 減の48億580万ユーロになりました。営業利益率は12.95%になりました。COVID-19の影響を受けながらも成長を続け、コスト削減の計画を立てて営業利益の減少が抑えられています。

2022年度
売上高は前年度比8.85%増の408億4000万ユーロになりました。営業利益は18.05%減の39億8100万ユーロになりました。営業利益率は9.75%になりました。COVID-19の影響が緩和された影響で、売上が増加したものの、労働力不足やコストインフレの影響を受け営業利益は大きく下がっています。

フレゼニウスの業績推移
フレゼニウスの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比8.35%増の100億1800万ユーロになりました。営業利益は10億4700万ユーロ、営業利益率は10.48%になりました。有機成長率は2%。買収/売却による寄与は、成長に対して純で1%、通貨換算による売上成長は5%増加。推定されるCOVID-19の影響を除外すると、グループの売上成長率は通貨ベースで2%から3%です。

2022年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比12.17%増の104億5900万ユーロになりました。営業利益は10億9600万ユーロ、営業利益率は10.48%になりました。有機成長率は、3%、買収/売却による寄与は、成長に対して純で1%を占めました。通貨換算による売上高の成長は6%増加しました。

2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比6.79%増の106億4300万ユーロになりました。営業利益は7億5800万ユーロ、営業利益率は7.12%になりました。

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比5.20% 増の102億2500万ユーロになりました。営業利益は9億8500万ユーロ、営業利益率は9.63%になりました。有機成長率は5%でした。買収/売却による寄与は、成長に対して実質0%でした。通貨換算の影響は売上高の成長に対して影響を与えませんでした。フレゼニウスメディカルケアを除くと、グループの売上高は7%増加しました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比3.4%増の103億5900万ユーロになりました。営業利益は7億4400万ユーロ、営業利益率は7.18%になりました。実質成長率は5%でした。買収/売却による寄与は、成長に対して実質1%を占めました。

フレゼニウスの四半期業績推移

フレゼニウスの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比25.15%減の2.44ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比増減無しの0.92ユーロになりました。配当性向は25.27%になりました。

フレゼニウスの希薄化後EPSの推移
フレゼニウスの希薄化後EPSの推移

業績予想

2022年12月
今期の売上高408億4000万ユーロ、営業利益39億8100万ユーロ、営業利益率は15.2%、1株配当は0.92ユーロを見込んでいます。

2023年第2四半期(4-6月)
COVID19や地政学的緊張の課題がさらに大きくなると予想。原材料の高騰が営業利益に負の影響を及ぼすことが予想されます。また、フレゼニウスメディカルケアが株主の変更を行い、子会社から除外されたため、会計は今後フレゼニウスメディカルケアを除外したものになります。売上成長率1%〜9%の割合で増加することを目標においています。

売上構成

セグメントは、医療機器、製薬、病院、病院施設に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

フレゼニウスの売上構成(2021年度)
フレゼニウスの売上構成(2022年度)

医療機器(フレゼニウス メディカルケア)
慢性腎臓病患者向けの製品・サービスを提供します。北米、欧州、ラテンアメリカ、アジア太平洋、アフリカに約4,100の透析クリニックを展開しており、透析を提供する患者は約34万4,000人にのぼる。フレゼニウス・メディカルケアはまた、血液透析機、透析器、関連の使い捨て製品など、透析製品の世界的なプロバイダーでもあります。

製薬(フレゼニウス・カビ)
フレゼニウス・カビは、点滴、輸血、臨床栄養のための命を救う医薬品と技術を提供しています。重症および慢性的に病気の患者の治療とケアに使用されています。同社の製品ポートフォリオには、高度に複雑なバイオ製剤、臨床栄養、医療技術、I.V.ジェネリック薬が含まれています。バイオ製剤分野では、自己免疫疾患と腫瘍学に焦点を当てたバイオシミラー薬などを提供しています。臨床栄養ポートフォリオには、腸管内栄養および静脈内栄養の幅広い製品が含まれています。医療技術セグメントでは、使い捨ての必需品、点滴ポンプ、アフェレーシスマシン、細胞療法装置などを提供しています。

病院(フレゼニウス・ヘリオス)
ヨーロッパの主要な民間医療提供者です。スペイン、ラテンアメリカのクイロンサルード、世界的な生殖医療クリニックのユージングループとともに、ヘリオス・ヘルス・ホールディングスの一部です。

医療施設運営(フレゼニウス・ヴァーメッド)
病院や他の医療施設向けのサービスの世界的な主要プロバイダーです。同社の事業はプロジェクトの開発と計画から医療施設の全面的な運営管理、患者へのサービス提供です。これらのサービスは、予防から急性治療、リハビリテーション、看護など、医療のさまざまな分野を対象としています。

M&A情報

フレゼニウスは病院運営でコロンビアなどラテンアメリカでの事業展開を推進しているとともに、生殖医療の展開も進めています。また、医療機器部門では透析での垂直統合を目指しています。

2017年 ゼニウスヴァメッド、スイスの3番手リハビリ診療所を買収
2017年 ゼニウスメディカルケア、ネクステージメディカルを買収、透析の垂直統合へ
2018年 ゼニウスメディカルケア、中国の腎臓病院と透析センターを買収
2018年 ゼニウスヘリオス、コロンビアの私立病院運営会社を買収
2019年 フレゼニウスヘリオス、コロンビアの私立病院、医療診断プロバイダー、2病院を買収
2020年  フレゼニウスの子会社キュレリーがドイツの競合であるDigitale Gesundheitsgruppe を買収
2020年 フレゼニウス、ドイツモルティーザーの病院を買収
2020年 フレゼニウスヘリオス、Eugin Groupの不妊治療サービス業者、西ドイツ病院・コロンビアの首都ボゴダの第一病院買収、
2021年 フレゼニウスヘリオスがコロンビアの腫瘍学センターと眼科、ドイツカッセルの2病院買収
2022年 フレゼニウスヘリオスがデラウェア生殖医療機構の株式過半数を取得
2023年 フレゼニウスカビがmAbxienceの株式過半数を取得、Ivenixを買収

株主構成

創業家系のフレゼニウス財団が筆頭株主となっています。

フレゼニウスの株主構成(直前期末時点)
フレゼニウスの株主構成(直前期末時点) 出所:マーケットスクリーナー

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