病院の世界市場シェアの分析

病院(民間)の世界シェア、業界ランキング、市場規模の情報について分析をしています。世界最大級の民間病院運営会社であるホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカ、コミュニティー・ヘルス・システムズ、テネット・ヘルスケア、IHHヘルスケア、バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズ等の動向も掲載しています。

【市場シェア】

2020年度の民間病院の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年の病院業界の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカ、2位はアセンションヘルスアライアンス、3位はテネット・ヘルスケアとなります。

病院の世界シェアと業界ランキング(2020年)

  • 1位 ホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカ 1.03%
  • 2位 アセンションヘルスアライアンス 0.51%
  • 3位 テネット・ヘルスケア 0.35%
  • 4位 コミュニティー・ヘルス・システムズ 0.24%
  • 5位 フレゼニウス 0.24%
  • 6位 ユニバーサル・ヘルス・サービシズ 0.23%
  • 7位 ラムゼー・ヘルスケア 0.19%
  • 8位 アスクレピオス 0.10%
  • 9位 IHHヘルスケア 0.07%
  • 10位 バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズ 0.04%
病院業界の世界シェア(2021年版)
病院業界の世界シェア(2021年版)

病院の運営会社の世界市場シェアの1位は、2019年に続き米国のホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカとなります。世界4位のコミュニティー・ヘルス・システムズと共に、投資ファンドの傘下に入ったのちに、上場を果たし、成長を遂げています。世界3位はこちらも米国のテネット・ヘルスケア、6位はユニバーサル・ヘルス・システムズです。5位には、医療機器や治療薬製造も手掛けるドイツのフレゼニウス、7位には豪州のラムゼー・ヘルスケアとなっています。アジア最大手のIHHヘルスケアやバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズも上位入りを狙っていますが、2020年はコロナ禍による渡航制限の影響もあり、医療ツーリズムに強みを持っていたアジアの病院チェーンが売上を落としました。

【市場規模】

当サイトでは、下記調査会社の情報も参考にして、2020年の病院業界の市場規模を5兆ドルとしています。参考にした情報は以下の通りです。
調査会社のグランドビューリサーチによれば、2018年の同業界の市場規模は7.8兆ドルです。2019年から2026年にかけて年平均8.1%での成長を見込みます。ザビジネスリサーチカンパニーによれば、2018年は3.6兆ドルの市場規模です。2014年から2018年で年平均8.2%の成長です。プレセデンスリサーチによると2019年の同市場規模は8.22兆ドルです。2027年にかけて8.2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

医療機関はサービスの内容な規模で「病院」と「クリニック」に分類されます。また医療サービスの提供方法によって、「入院治療」、「外来診療」、「在宅ケア(遠隔診療)」に分類されます。

【M&Aの動向】

病院関連の過去のM&A
病院の民営化の進展とともに地域をまたいだ大型M&Aが増加しています。
2019年 ブルックフィールドが豪州のHealthscopeを買収
2018年 三井物産がマレーシアのIHHの持分をカザナから買収
2018年 RamsayがスウェーデンのCapioを買収
2018年 IHHがインドのFortisヘルスケアを買収
2017年 キロンサルーがQuality Medical Serviceを買収
2016年 ドイツのフレゼニウスがスペインのキロンサルーを買収

買収マルチプル
買収マルチプル(売上高倍率)は2倍~4倍のレンジの件数が最も多くなっています。

病院の買収マルチプル(売上高倍率)

病院の買収マルチプル(売上高倍率)

投資ファンドが保有する病院の本社所在地
投資ファンドが保有し、今後M&Aの可能性のある病院の本社所在地別の件数は以下の通り、病院の民営化が進んでいる米国が最も多くなります。

今後M&Aの可能性のある病院(所在地別件数)

出所:M&Aの対象となる病院やクリニックの分析

さらに詳しく業界を理解するためにお薦めの書籍

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【会社の概要】

ホスピタルコーポレーション・オブ・アメリカ(Hospital Corporation of America、HCA)   

米国を代表する病院チェーン運営会社です。米国と英国で内科、外来手術、心臓、神経・整形外科、ガン、救急治療等を展開。病院の種類としては、一般・救急病院から外科手術センターといった幅広い種類の病院を保有しています。2006年にKKRとべインキャピタルが、病院チェーンの創業家から同社を買収し、2011年にニューヨーク証券取引所に再上場を行いました。

コミュニティー・ヘルス・システムズ(Community Health Systems)

1986年に設立された北米に本拠を置く病院チェーン運営会社です。一般・救急医療、外科、内科、産科、精神科等を幅広く手掛けています。1996年に投資ファンドのForstmann, Little & Company(フォースマン・リトル)が買収しましたが、2000年に上場を果たしました。2012年にメモリアル・ヘルス・システムズ、2014年にヘルス・マネジメント・アソシエイツを買収する等、事業拡大に積極的です。

Tenet Healthcare(テネット・ヘルスケア)

1967年に設立された米国に本拠を置く病院チェーン運営会社です。65の病院と、外科病院、外来手術センター、画像センター、その他の外来施設を含む約450の医療施設を運営しています。外来施設にはリハビリテーション専門病院、専門病院、長期ケア施設、精神療養所、診療所があります。

Universal Health Services(ユニバーサル・ヘルス・サービシズ)

米国に本拠を置く病院チェーン運営会社です。救急、外科、内科、産科、精神科、放射線治療等多岐に亘る診療サービスを提供しています。

Ascension Health Alliance(アセンションヘルスアライアンス)

米国に本拠を置く非営利かつカトリック系の医療機関です。貧困層向けの医療サービスの拡充に注力しています。

Fresenius(フレゼニウス)

フレゼニウスは、ドイツに本拠を置くヘルスケアグループです。フランクフルト証券取引所に上場しています。病院運営、医療機器、ジェネリック医薬品が事業の3本柱となっています。病院運営ではドイツのレーン・クリニクムやスペイン病院大手であるキロンサルー(Quironsalud)を買収し成長しました。ドイツ国内では100以上の病院を展開しています。医療機器では、人工透析装置や人工腎臓等まで透析関連事業に強みを持ちます。輸液用ジェネリック医薬品、輸液治療薬、臨床栄養製品の開発製造、病院の建設エンジニアリングも手掛けています。さらに詳しく

Asklepios(アスクレピオス)

1985年に設立されたドイツに本拠を置く病院チェーンです。急性期医療とリハビリテーションの分野に強みがあります。

Ramsay(ラムゼー・ヘルスケア)

オーストラリアに本拠を置く病院チェーンです。豪州以外では、英国、インドネシア、フランス、マレーシアで病院を運営しています。外科、リハビリテーション、精神科等の分野を中心に豪州では100以上の病院を展開しています。

IHHヘルスケア

マレーシアに本拠を置く病院チェーンです。アジア域内では、タイのバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズと並び、民間病院としては最大手です。マレーシアの政府系ファンドであるカザナと日本の三井物産が主要株主です。

バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズ(BDMS、Bangkok Dusit Medica Services)

タイに本拠を置く民間病院チェーン大手です。富裕層向けの診療サービスに注力しています。カンボジアにも展開しています。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

病院業界の売上高ランキング(2021年版)

病院業界の売上高ランキング(2021年版)

参照した市場規模の情報

Precedence Research
Grand View Research
The Business Research Company

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