ジョンソンコントロールズの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Johnson Controls(ジョンソンコントロールズ)は、1885年に設立された米国に本社を置く業務用空調制御システム、セキュリティシステム、火災検知システム、ビル管理サービスを提供する会社です。電気式サーモスタットを発明した歴史を持ちます。2016年に火災警報分野に強いTyco(タイコ・インターナショナル)と経営統合をしました。世界150ヵ国で展開し、エネルギー効率ソリューションや各種オートメーション事業を展開しています。自動車用のバッテリー等の分野に強みがありましたが2018年に売却しました。

業績推移(年次)

2022年度
売上高は前年度比6.89%増の25,299百万ドルになりました。営業利益は前年度比-31.81%の1,923百万ドルになりました。営業利益率は7.60%になりました。

2021年度
前年度比増収増益となりました。為替の影響、事業の買収や売却の影響を除くと売上高は前年度比4%増加しています。営業利益の増加は、売上の増加や年金負債の調整が主因となります。

ジョンソンコントロールズの業績推移

ジョンソンコントロールズの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比5.21%増の6,725百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-21.92%の666百万ドルになりました。営業利益率は9.9%になりました。

2022年4-6月
売上高は前年同期比4.31%増の6,614百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-32.97%の553百万ドルになりました。営業利益率は8.4%になりました。

2022年1-3月
売上高は前年同期比9.01%増の6,098百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-75.23%の161百万ドルになりました。営業利益率は2.6%になりました。

2022年10-12月
前年同期比増収増益となっています。アジア太平洋や欧州での需要回復を受けた成長が貢献しています。

ジョンソンコントロールズの四半期業績推移

ジョンソンコントロールズの四半期業績推移

希薄化後EPS・1株配当・配当性向の推移

2022年度
希薄化後EPSは前年度比4.29%増の2.19ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比29.91%増の1.39ドルになりました。配当性向は63.47%になりました。

ジョンソンコントロールズのEPS・1株配当・配当性向の推移

ジョンソンコントロールズのEPS・1株配当・配当性向の推移

事業構成

ジョンソンコントロールズの事業は大きく分けて、ビル全体の空調冷熱管理、ビル中央管理、自動制御、監視システム、防災セキュリティを行うビルディングソリューション事業、 空調冷熱機器事業、消火防火システム機器事業となります。

ジョンソンコントロールズの売上構成(2022年度)

ジョンソンコントロールズの売上構成(2022年度)

ジョンソンコントロールズの展開するブランド

ジョンソンコントロールズのブランド

ジョンソンコントロールズのブランド
出所:JC

空調冷熱機器事業(HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning))は、傘下にYork International(ヨーク・インターナショナル)を擁して、キャリア、ダイキンやトレイン・テクノロジーズと世界シェア首位の座を争っています。2014年に買収したエア・ディストリビューション・テクノロジーズ社の換気・送風関連製品ブランドであるRuskin(ラスキン)、Titus(タイタス)を展開しています。

ビルディングソリューション部門では、ビルオートメーションシステムのブランドであるMetasys(メタシス)、スマートロックのSoftware House(ソフトウェア・ハウス)等のブランドで展開をしています。

防火システム部門では、旧タイコのブランドであるGrinnell(グリネル)、スプリンクラー、レストラン消化設備、泡消化設備、車載用設備に強みを持つAnsul(アンスル)を展開しています。

ジョンソンコントロールズのM&A

2002年 Varta AG(ファルタ)のバッテリー事業を買収
2005年 米冷暖房機器大手のヨーク・インターナショナルを買収
2010年 自動車シート大手の独カイバー、レカロを買収
2013年 HomeLink事業をGentex Corporationに売却
2014年 換気・送風関連のエア・ディストリビューション・テクノロジーズ社を買収
2015年 日立との空調関連の合弁会社を設立
2015年 自動車シートやインテリア部門をAdientとして分社化
2016年 タイコ・インターナショナルとの経営統合を発表
2018年 Power Solutions(パワーソリューション)事業をブルックフィールズに約1兆5千億円で売却


【参考】タイコとの経営統合のポイント

タイコとの経営統合2016年米ビルディングシステム大手のジョンソンコントロールズと防犯、防火、火災検知サービス大手のタイコインターナショナルが経営統合を発表しました。
タイコの株式評価に基づく買収総額の144億ドルは、同社株価の前日終値に約11%のプレミアムを加えた水準。ジョンソンコントロールズ株主が56%、タイコ株主が44%の統合新会社の株式を所有する形となりました。
新会社の社名はジョンソンコントロールズ。本社は現在のタイコ本社のあるアイルランドになります。
経営統合により、売上高320億ドル規模の総合ビルマネジメント・オートメーション会社が誕生します。
新会社は、バッテリー分野に加え、ビル全体の空調冷熱管理、ビル中央管理、自動制御、監視システム、防災セキュリティ等を提供可能となります。
なお、ジョンソンコントロールズは、統合完了までに、自動車向けのシートやインテリアを手掛けるAdientを売却する見込みです。
売上シナジーとして、両社製品のクロスセルの強化、グローバル展開等により650百万ドル、コストシナジーとして500百万ドル、本社をアイルランドに移すことに伴う節税として150百万ドルを削減します。


2016年米ビルディングシステム大手のジョンソンコントロールズと防犯、防火、火災検知サービス大手のタイコインターナショナルが経営統合を発表。
タイコの株式評価に基づく買収総額の144億ドルは、同社株価の前日終値に約11%のプレミアムを加えた水準。ジョンソンコントロールズ株主が56%、タイコ株主が44%の統合新会社の株式を所有する予定。
新会社の社名はジョンソンコントロールズ。本社は現在のタイコ本社のあるアイルランドとなる。
経営統合により、売上高320億ドル規模の総合ビルマネジメント・オートメーション会社が誕生。
新会社は、バッテリー分野に加え、ビル全体の空調冷熱管理、ビル中央管理、自動制御、監視システム、防災セキュリティ等を提供可能となる。
なお、ジョンソンコントロールズは、統合完了までに、自動車向けのシートやインテリアを手掛けるAdientを売却する見込み。
売上シナジーとして、両社製品のクロスセルの強化、グローバル展開等により650百万ドル、コストシナジーとして500百万ドル、本社をアイルランドに移すことに伴う節税比奈地―として150百万ドルを予定する。

【参考】自動車用バッテリー売却のケーススタディ

自動車用バッテリーでは、コストパフォーマンスがよく中~大容量の蓄電設備として力を発揮する鉛蓄電池の分野に強みを持ちます。年におよそ1億34万個のバッテリーを製造し、世界に流通する鉛バッテリーの1/3はジョンソン製と言われています。鉛蓄電池業界の世界シェアでは、同社は米エキサイドやGSユアサ等とともに世界最大級の1社となっていましたが、2018年にブルックフィールド・ビジネスパートナーズおよびケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)へ約1兆5千億円で売却し、現在はClarios(クラオリス)となっております。
自動車用バッテリーや鉛蓄電池を含むパワーソリューションズ事業売却後のジョンソン・コントロールズの事業構成は以下の通りとなります。

ジョンソンコントロールズの事業セグメント

ジョンソンコントロールズの事業セグメント
出所:JC

今回の売却によって、ジョンソンコントロールズはビル関連技術専門のソリューションプロバイダーとなり、コネクテッドビルの統合と進化をけん引するとともに、HVAC業界における戦略的商機を獲得するためにより強固な態勢を整えることになります。
売却したパワーソリューションズ事業は、売上高で約80億ドル、EBITDAで17億ドルと、ほぼ会社の半分の売上高を占める事業を売却したことになります。売却金額のうち約80億ドルは自社株買い、約40億ドルは負債の返済に充てました。


競合会社

ハネウェル、シーメンス、シュナイダーエレクトリック、キャリア、トレーン、ミディア、珠海格力电器(グリーエレクトリックアプライアンス)、ダイキン、パナソニック等が挙げられます。

市場シェア

 

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