鉛蓄電池業界の世界市場シェアの分析

蓄電池業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。クラリオス、エキサイド、GSユアサ、エネシス、イーストペン、ティエンノン・パワー、チャオウェイ・パワーといった鉛畜電池メーカーの一覧も掲載しています。

市場シェア

最新業界別売上高ランキング」に記載の鉛蓄電池メーカーの売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はクラリオスの13.6%、2位はティエンノン・パワーの9.7%、3位はチャオウェイ・パワーの6.4%となります。

1位 クラリオス 13.6%
2位 ティエンノン・パワー 9.7%
3位 チャオウェイ・パワー 6.4%
4位 GSユアサ 5.5%
5位 エネシス 5.3%
6位 イーストペン 4.8%
7位 エキサイド 3.9%

鉛蓄電池メーカーの世界シェア・ランキング1位は米国のクラリオス(旧ジョンソン・コントロールズ社のパワーソリューション事業)です。世界に流通する鉛バッテリーの約3割は同社製であり、今後投資ファンドの売却先によって業界順位が大きく変動する可能性があります。2位と3位は中国の鉛蓄電池メーカーであるティエンノン・パワーとチャオウェイ・パワーです。中国国内の車の電動化や再エネシフトの追い風をうけて業績を伸ばしています。4位は日本のGSユアサとなっています。5~7位は米国のメーカーです。7位のエキサイドは2020年5月にチャプター11を申請し、今後の業界再編の目となっています。

市場規模

当サイトでは、各調査会社等の公表データを参考にし、鉛蓄電池業界の2019年の世界市場規模を589億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。グランドビューリサーチによれば2019年の同業界の市場規模は589億ドルです。主に車載用電池、据置鉛蓄電池、小型鉛蓄電池等の用途で利用されます。産業別では、自動車、通信、無停電電源、電動バイク、カート等が主要用途となります。EnerSysによれば、2018年の産業用鉛蓄電池の市場規模は104億ドルです。鉛蓄電池の主な原材料は酸化鉛と硫酸です。これらの原材料をもとに鉛蓄電池メーカーが電池の組み立てを行います。酸化鉛の主要プレーヤーはPENOX、Gravita India(グラビタインディア)、Waldies Compoundが挙げられます。硫酸の主要プレーヤーは、ニュートリエン(旧ポタシュ)、モザイク、OCPとなります。鉛蓄電池は、人体に有害な物質が含まれるため、使用済み電池はリサイクルするといった適正な管理が必要となります。

世界の主要な鉛蓄電池メーカーの一覧

Clarios(クラオリス)

米国に本社を置く自動車部品、ビル管理や電力システム関連企業であるJohnson Controls(ジョンソン・コントロールズ)から、2018年に自動車の鉛バッテリー事業を含むパワーソリューション事業を約1兆5000億円でブルックフィールド・ビジネスパートナーズおよびケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)が買収しClariosが誕生しました。世界に流通する鉛バッテリーの約3割は同社製と言われています。

Johnson Controls(ジョンソン・コントロールズ)は、米国に本社を置く自動車部品、ビル管理や電力システム関連企業です。自動車用のバッテリー等の分野に強みがあり、電気式サーモスタットを発明した歴史を持ちます。2016年に火災警報分野に強いTyco(タイコ・インターナショナル)と経営統合をしました。世界150ヵ国で展開し、エネルギー効率ソリューションや各種オートメーション事業を展開しています。

ジョンソン・コントロールズの事業は大きく分けて、ビルオートメション事業、 空調冷熱機器事業、自動車用バッテリー事業及びタイコとの経営統合後は警報機・報知器事業となります。ビルオートメーション分野ではハネウェルやシーメンスと並び世界大手の一角を占めています。

2016年米ビルディングシステム大手のジョンソンコントロールズと防犯、防火、火災検知サービス大手のタイコインターナショナルが経営統合を発表。
タイコの株式評価に基づく買収総額の144億ドルは、同社株価の前日終値に約11%のプレミアムを加えた水準。ジョンソンコントロールズ株主が56%、タイコ株主が44%の統合新会社の株式を所有する予定。
新会社の社名はジョンソンコントロールズ。本社は現在のタイコ本社のあるアイルランドとなる。
経営統合により、売上高320億ドル規模の総合ビルマネジメント・オートメーション会社が誕生。
新会社は、バッテリー分野に加え、ビル全体の空調冷熱管理、ビル中央管理、自動制御、監視システム、防災セキュリティ等を提供可能となる。
なお、ジョンソンコントロールズは、統合完了までに、自動車向けのシートやインテリアを手掛けるAdientを売却する見込み。
売上シナジーとして、両社製品のクロスセルの強化、グローバル展開等により650百万ドル、コストシナジーとして500百万ドル、本社をアイルランドに移すことに伴う節税比奈地―として150百万ドルを予定する。

空調冷熱機器事業(HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning))は、傘下にYork International(ヨーク・インターナショナル)を擁して、キャリア、ダイキンやトレイン・テクノロジーズと世界シェア首位の座を争っています。
自動車用バッテリーでは、コストパフォーマンスがよく中~大容量の蓄電設備として力を発揮する鉛蓄電池の分野に強みを持ちます。年におよそ1億34万個のバッテリーを製造し、世界に流通する鉛バッテリーの1/3はジョンソン製と言われています。鉛蓄電池業界の世界シェアでは、同社は米エキサイドやGSユアサ等とともに世界最大級の1社となっていましたが、2018年にブルックフィールド・ビジネスパートナーズおよびケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)へ約1兆5千億円で売却し、現在はClarios(クラオリス)となっております。

自動車用バッテリーや鉛蓄電池を含むパワーソリューションズ事業の売却後のジョンソン・コントロールズの事業構成は以下の通りとなります。

ジョンソンコントロールズの事業セグメント

ジョンソンコントロールズの事業セグメント
出所:JC

今回の売却によって、ジョンソンコントロールズはビル関連技術専門のソリューションプロバイダーとなり、コネクテッドビルの統合と進化をけん引するとともに、HVAC業界における戦略的商機を獲得するためにより強固な態勢を整えることになります。
売却したパワーソリューションズ事業は、売上高で約80億ドル、EBITDAで17億ドルと、ほぼ会社の半分の売上高のある事業を売却したことになります。売却金額のうち約80億ドルは自社株買い、約40億ドルは負債の返済に充てました。
ジョンソンコントロールズの展開するブランド

ジョンソンコントロールズのブランド

ジョンソンコントロールズのブランド
出所:JC

空調部門では、York(ヨーク)に加え、2014年に買収したエア・ディストリビューション・テクノロジーズ社の換気・送風関連製品ブランドであるRuskin(ラスキン)、Titus(タイタス)を展開しています。ビルマネジメント部門では、ビルオートメーションシステムのブランドであるMetasys(メタシス)、スマートロックのSoftware House(ソフトウェア・ハウス)等のブランドで展開をしています。防火システム部門では、旧タイコのブランドであるGrinnell(グリネル)、スプリンクラー、レストラン消化設備、泡消化設備、車載用設備に強みを持つAnsul(アンスル)を展開しています。
2020年11月時点では、売上構成でみるとビルディングマネジメントを含む商業施設向けの空調事業が売上高の40%、住宅向けの空調事業が12%、監視カメラやアクセスコントロール等を含むセキュリティビルマネジメント及び防災システムが41%となります。

2002年 Varta AG(ファルタ)のバッテリー事業を買収
2005年 米冷暖房機器大手のヨーク・インターナショナルを買収
2010年 自動車シート大手の独カイバー、レカロを買収
2013年 HomeLink事業をGentex Corporationに売却
2014年 換気・送風関連のエア・ディストリビューション・テクノロジーズ社を買収
2015年 日立との空調関連の合弁会社を設立
2015年 自動車シートやインテリア部門をAdientとして分社化
2016年 タイコ・インターナショナルとの経営統合を発表
2018年 Power Solutions(パワーソリューション)事業をブルックフィールズに約1兆5千億円で売却

Exide(エキサイド)

米国に本拠を置く鉛蓄電池メーカーです。自動車用はEXIDE Technologies(エキサイドテクノロジーズ)、産業用はGNB Industrial Power(ジーエヌビーインダストリアルパワー)にて事業を展開しています。2020年5月にチャプター11を申請しました。

GSユアサ

日本を代表する蓄電池メーカーです。2004年に京都の名門島津グループの日本電池(GS)と関西のバッテリーの名門ユアサが合併し誕生しました。車載向けは三菱商事との合弁であるリチウムエナジージャパン、ホンダとの合弁会社であるブルーエナジーを通じて供給を行っています。2020年はブルーエナジーのバッテリーがトヨタに採用されたことが話題になりました。GSユアサ以外の日本勢では日立化成(2016年にイタリアの自動車部品会社フィアム社から自動車・産業用の鉛蓄電池買収を発表)、古河電池が大手です。

EnerSys(エナーシス)

米国に本拠を置く産業用鉛蓄電池大手です。フォークリフト向けの蓄電池にも強みを持ちます。2002年に英Hawker社と米国Exide社が合併し誕生しました。

East Penn(イースト・ペン)

1946年創業の米国に本拠を置く大手鉛電池メーカーです。

天能動力(Tianneng Power、ティエンノン・パワー)

中国に本拠をおく蓄電池メーカーです。太陽光等の再エネや電気自動車向けの蓄電池の製造販売を行っています。

超威動力(Chaowei Power、チャオウェイ・パワー)

中国に本拠をおく鉛蓄電池メーカーです。2019年は電動バイク向けの売上が約7割占めています。中国に8箇所の工場を有しています。

チャオウェイ 売上高構成 出所:同社アニュアルレポート

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