M&Aや再編対象となる電池メーカーや電力会社の分析

今後M&Aの対象となる電池メーカーや電力会社について概要や動向を掲載しています。本記事の作成日以降にM&Aによって下記会社が買収されている可能性もありますことを予めご了承下さい。なお、※はプライベートエクイティやベンチャーキャピタルが買収や出資を行った着眼点への考察コメントです。

今後M&Aが予想される電池メーカーや蓄電池システムプロバイダー

蓄電池や乾電池は今後も成長が期待できる業界です。蓄電池は特に発電量が不安定なリニューアブル電源の調整弁として、また今後EV化が進むであろう輸送機の動力として需要が高まることが予想されます。乾電池もコイン型はIoTの機器のセンサー用として需要が高まっていくと見込まれます。

業界の再編としては、GSユアサが、パナソニックから2016年に鉛蓄電池事業を買収した案件やフランスの石油会社TOTALによるSAFT社買収が挙げられます。主だったM&A案件は下記の通りです。アドバンテッジパートナーズと昭和電工マテリアルズの鉛蓄電池事業の案件を除けば、売上高倍率では概ね2倍前後です。

買手対象会社企業価値通貨売上高倍率
2021アドバンテッジパートナーズ昭和電工マテリアルズ600億円0.6x
2019天能動力国際天能バッテリー14億ドル2.2x
2018ブルックフィールドクラリオス132億ドル1.7x
2016トタルSAFT9.5億ユーロ1.4x
2016GSユアサパナソニック鉛蓄電池---
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算©ディールラボ
今後投資ファンドがM&Aを通じて売却を検討する可能性のある電池メーカーは以下の通りです。

社名:FlexGen(フレックスジェン)
本社所在地:米国
買収した年:2021年8月
現在の株主:Altira Group、アポロ
フレックスジェンは2009年に設立された米国に本拠を置くエナジーストレージ(蓄電事業)のシステムプロバイダーです。リニューアブル発電所を運営する電力会社向け、またはマイクログリッド向けの蓄電システムとして活用されています。アポログループが2021年8月に1.5億ドルの出資を行いました。
※温暖化ガスの削減に向け、リニューアブル発電はますます増加します。蓄電は発電力を安定化するために必要な技術であり、成長が期待できます。投資ファンドの傘下で規模の拡大をはかるものと思われます。

社名: 昭和電工マテリアルズの鉛蓄電池事業
本社所在地: 日本
買収年: 2021年
株主: アドバンテッジパートナーズ、東京センチュリー
昭和電工マテリアルズは、買収した旧日立化成が手がける鉛蓄電池事業をアドバンテッジパートナーズなどへ売却しました。

社名:C&D Technologies
本社所在地:米国
買収年:2018年
株主:KPSキャピタルパートナーズ
C&D Technologies(C&Dテクノロジーズ)は、電力貯蔵および伝送のための産業用鉛酸蓄電池と電池システムのメーカーです。KPSキャピタルパートナーズが2018年にディープサイクルバッテリー(少量の電流を長時間供給する能力に優れたバッテリー)大手であるTrojan Batteryを買収し誕生しました。

社名:ContinentalBatteries
本社所在地:米国
買収年:2021年
株主:HIGキャピタル
Continental Batteriesは、1932年に設立された米国に本拠を置く船舶、産業機器、商用車等向けの修理交換用バッテリー製造会社です。2021年にHIGキャピタルが買収しました。

社名:Edison
本社所在地:米国
株主:アトラス
Edison Group(エディソングループ)は、フォークリフトやボート等向けの鉛蓄電池大手企業であり経営破綻したExide Technologies(エキサイドテクノロジーズ)を買収して設立されたStryten Manufacturing(ストラテンマニュファクチャリング)、鉛蓄電池のリサイクルをしているElementResources等が経営統合して誕生しました。アトラスホールディングス傘下です。

社名:Aypa Power
本社所在地:米国
買収年:2020年
株主:Blackstone
Aypa Powerは発電所向けに定置型の蓄電池を設置しています。2020年にブラックストーンが買収しました。

社名: クラリオス
本社所在地: 米国
買収年: 2018年
株主: ブルックフィールド
カナダの資産運用会社ブルックフィールドはジョンソンコントロールズ から自動車用バッテリー事業(現クラリオス)を132億ドルで2018年に買収しました。さらに詳しく

社名: パナソニック欧州乾電池
本社所在地: ベルギー
買収年: 2021年
株主: オーレリウス
パナソニックは欧州の消費者向け乾電池事業をオーレリウスに売却しました。

今後M&Aが予想される電力会社

社名: Cypress Creek Renewables(サイプレスクリークリニューアブルズ)
本社所在地: 米国
買収した年: 2021年
現在の株主: EQT
Cypress Creek Renewables(サイプレスクリークリニューアブルズ)は米国のリニューアブル発電所の運営会社です。2021年にEQTのインフラファンドが買収をしました。

社名:Nevel
本社所在地:フィンランド
買収した年:2021年
現在の株主:アーディアン
Nevel(ネベル)は、フィンランド、スウェーデン、エストニアで事業を展開する地域暖房運営会社です。150超の発電所と40を超える地域暖房ネットワークを所有および運営しています。2021年にアーディアンが買収しました。

社名:Hunterstown
本社所在地:米国
買収した年:2018年
現在の株主:プラチナエクイティ
Hunterstown Power Generation Station(ハンターズタウン発電所)は、810 MWの天然ガス焚き複合サイクル発電所(810 MW natural gas fired combined cycle power plant)です。プラチナエクイティが2018年にGenOnエナジーから買収をしました。

社名:Rooftop Energy
本社所在地:オランダ
買収した年:2019年
現在の株主:NPMキャピタル
Rooftop Energyは主に商業施設の屋上等に設置した太陽光パネルの設置運営をする発電会社です。NPMキャピタルが買収しました。

社名:シンガポール電力
本社所在地:シンガポール
現在の株主:テマセク
シンガポール電力はシンガポールの電力会社です。テマセクが100%の株式を保有しています。

社名:Strata Solar
本社所在地:米国
買収した年:2021年
現在の株主:ブラックストーン
米国に本拠を置くStrata Solarは蓄電池併設型の太陽光発電所を開発する会社です。ブラックストーンが150百万ドルの投融資を行いました。

社名: Covanta Holding(コバンタホールディングス)
本社所在地: 米国
買収した年: 2021年
現在の株主: EQT
Covanta Holding(コバンタホールディングス)は米国に本拠を置く廃棄物発電会社です。金属のリサイクルも行います。

電力設備分野で今後M&Aが予想される会社

社名:Sabre
本社所在地:米国
買収した年:2021年
現在の株主:ブラックストーン
Sabreは送電用の鉄柱やワイヤレスおよびスモールセル用タワーの製造会社です。ブラックストーンがジョーダンより買収しました。