エマソンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Emerson Electric(エマソンエレクトリック)は、1890年創業の米国を代表するコングロマリット企業です。交流モーターが祖業ですが、モーター事業は日本電産に売却しております。現在は自動制御装置、計測・分析機器や精密空調、配管工具といった分野で事業を展開しています。プラント向けのプロセスオートメーションにも強みを持ちます。オートメーション分野の更なる強化に向け、選択と集中を図っています。

業績推移(年次)

2018年度
売上高は前年度比14.05%増の17,408百万ドルになりました。営業利益は12%増の3,163百万ドルになりました。営業利益率は18.17%になりました。エネルギー関連市場の需要拡大などによりオートメーションソリューション事業が好調だったこと、HVAC・冷凍冷蔵市場の需要拡大により売上が伸びたことなどが影響し、前年比増益増収となりました。

2019年度
売上高は前年度比5.54%増の18,372百万ドルになりました。営業利益は6.17%増の3,358百万ドルになりました。営業利益率は18.28%になりました。 過去数年間のM&Aによる事業再編などがプラスに働き、増収増益となりました。

2020年度
売上高は前年度比8.64%減の16,785百万ドルになりました。営業利益は9.98%減の3,023百万ドルになりました。営業利益率は18.01%になりました。新型コロナウイルス感染症の発生・拡大により悪影響を受け、減収減益となりました。

2021年度
売上高は前年度比8.64%増の18,236百万ドルになりました。営業利益は11.94%増の3,384百万ドルになりました。営業利益率は18.56%になりました。バルブや計測機器は需要減となりましたが、ソフトウェアやソリューション事業は好調でした。また住宅向けの空調関連事業も堅調に推移しました。

2022年度
売上高は前年度比7.64%増の19,629百万ドルになりました。営業利益は16.43%増の3,940百万ドルになりました。営業利益率は20.07%になりました。中国のロックダウン、サプライチェーンと物流の制限などがマイナス要因となりましたが、アスペンテック増収による売上増、全地域で良好な結果を遂げたことなどにより、前年比増益増収となりました。

エマソン・エレクトリックの業績推移

エマソン・エレクトリックの業績推移

業績推移(四半期)

2022年1ー3月
売上高は3,291百万ドルになりました。営業利益は588百万ドル、営業利益率は17.87%になりました。オートメーションソリューション部門は北米・中国での売上が堅調でした。

2022年4-6月
売上高は前年同期比6.56%増の5,005百万ドルになりました。営業利益は1,045百万ドル、営業利益率は20.88%になりました。中国のロックダウンやサプライチェーン・物流の制約などの影響はありましたが、北米での業績は好調で前年同期比増益増収となりました。2022年5月にロシアからの事業撤退を表明したため、今後の業績に影響が出る可能性を示唆しています。

2022年7-9月
売上高は前年同期比8.35%増の5,360百万ドルになりました。営業利益は1,181百万ドル、営業利益率は22.03%になりました。前期に引き続き中国のロックダウンやサプライチェーン・物流の影響を受けましたが、全地域で良好な結果を遂げ、前年比増益増収となりました。

2022年10-12月
売上高は前年同期比6.88%増の3,373百万ドルになりました。営業利益は590百万ドル、営業利益率は17.49%になりました。前年同期比増収増益となりましたが、成長率はそれほど大きくありませんでした。北米での売上高は好調でしたが、アジア・中東・アフリカはほぼ横ばい、ヨーロッパはロシアからの事業撤退が影響しわずかに減少しました。

2023年1-3月
売上高は前年同期比14.13%増の3,756百万ドルになりました。営業利益は801百万ドル、営業利益率は21.33%になりました。 アスペンテックの買収による売上増に加えて、多くのセグメントで堅調な成長が見られ、前年同期比増収増益となりました。

エマソン・エレクトリックの四半期業績推移

エマソン・エレクトリックの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比41.62%増の5.41ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比1.98%増の2.06ドルになりました。配当性向は38.08%になりました。

EPS・配当額・配当性向の推移

EPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2023年度
通期の売上高は前年度比7〜9%の上昇を見込みます。

2023年4月
通期の売上高が上方修正され、前年度比9〜10.5%の上昇を見込んでいます。

売上構成

セグメントは、オートメーションソリューション、アスペンテック、クライメート・テクノロジー、ツール&ホームプロダクツに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

エマソンエレクトリックの売上分析(2022年度)

エマソンエレクトリックの売上分析(2022年度)

オートメーションソリューション
計測・分析機器、工業用バルブ・機器、プロセス制御ソフトウェア・システムなどの製品・サービスを販売しています。販売地域と売り上げシェアは、北南米地域47%、アジア・中東・アフリカ35%(うち中国15%)、欧州18%で、グローバルに展開しています。

アスペンテック
産業用機器メーカーの設計、操業、保守を支援する資産最適化ソフトウェアを製造・販売しています。地域による売上シェアの内訳は、北南米地域55%、アジア・中東・アフリカ21%(うち中国3%)、欧州24%となっています。

クライメート・テクノロジー
空調、冷蔵機器を主に製造・販売しています。また、温度のコントロールシステムも手がけており、住宅・商業施設向け空調システムや食品品質保護のソリューションも提供しています。

ツール&ホームプロダクツ
コマーシャル&レジテンシャルソリューション事業の1つに分類されるセグメントで、配管の修理・設置などに使用される製品を製造・販売しています。2022年10月には食品ディスポーザー事業(SinkErator)をワールプールに売却しました。

M&A情報

システムやソフトウェア技術で補完性がある企業を積極的に買収、またノンコア事業の売却を行っています。

2016年 コールドチェーンマネジメントに強いPakSense&Locus Traxxを買収
2016年 データセンター向けの無停電電源やスイッチ等を手掛けるNetwork Power事業(現Vertiv)をプラチナエクイティに売却
2017年 モーター、ドライブ事業と発電機事業を手掛けるLeroy-SomerとControl Techniquesを日本電産に売却
2017年 制御弁に強いPentair Valves & Controlsを買収
2018年 GEからプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)技術を提供するIntelligent Platforms事業を買収
2019年 クラウドベースの監視制御およびデータ収集プラットフォームを提供するZediを買収
2020年 オートメーションソリューションズのソフトウェア開発会社のオープンシステムズインターナショナルを買収
2020年 IoTプロバイダーのProgea Groupを買収
2021年 オイル・ガス測定の子会社Daniel Measurement and ControlをTurnspire Capital Partnersに売却
2021年 風力発電の制御事業大手のMita-Teknikを買収
2022年 センサー事業(Therm-O-Disc)をOne Rock Capital Partners, LLC.の関連会社に売却
2022年 ライフサイエンス業界大手のFluxaを買収
2022年 アスペン・テクノロジー(アスペンテック)と工業用ソフトウェア事業を統合
2022年 食品ディスポーザー事業(SinkErator)をワールプールへ売却
2023年 クライメートテクノロジー事業の過半数の株式をブラックストーンへ売却(エマソンは引き続き株式の40%を保有)

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