カーディナルヘルスの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

カーディナルヘルスは米国に本社を置く、医薬品・医療製品の流通・販売・製造・サービスを提供するグローバル企業です。1979年に設立され、ニューヨーク証券取引所に上場をしています。医療製品は主に医療用手袋、手袋、手術衣料、体液管理製品などの医療製品、外科製品などを製造しています。さらに、米国最大の放射性薬局ネットワークを運営しています。米国内での影響力は大きく、国内75%以上の病院に医療製品を提供しています。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は145,534百万ドルで、前年度比6%増となりました。営業利益は2060百万ドルになりました。営業利益率は1.4%になりました。医薬品事業の売上は、主に医薬品流通と特殊医薬品の顧客からの売上増加により前年度比で7%増加。医療機器事業の売上は前年度とほぼ同額でした。医薬品事業の営業利益は、ジェネリック医薬品プログラムの成績の低迷、顧客契約更新による悪影響、麻薬性鎮痛薬関連の訴訟費用が原因で、前年度比で8%減少しました。医療機器事業の営業利益は、サプライチェーンコストの増加、2015年に買収した Cordis のサプライヤーとの独占販売契約に関連する費用、商品価格の上昇などの影響により、前年度比で13%減少しました。

2020年度
売上高は152,922百万ドルで、前年度比5%増となりました。営業利益は4098百万ドルの赤字になりました。営業利益率は-2.7%になりました。医薬品事業の売上は、主に医薬品流通および特殊ソリューションの顧客からの売上増加により前年度比で6%増加しました。医療機器事業の売上は、新型コロナウイルス感染症パンデミックの悪影響により減少しましたが、カーディナル・ヘルス・アット・ホーム・ソリューションの売上増加により一部相殺し、対前年比で1%の減少となりました。医薬品事業の営業利益は、主に顧客の契約更新による影響で前年度比4%減少しました。医療機器事業の営業利益は、コスト削減策の効果と医療部門のサプライヤーとの独占販売契約に関連する影響により前年度比で15%増加しました。

2021年度
売上高は162,467百万ドルで、前年度比6%増となりました。営業利益は472百万ドルになりました。営業利益率は0.3%になりました。医薬品事業の売上は、主に医薬品流通および特殊ソリューションの顧客からの売上増加により前年度比で6%増加しました。医療機器事業においては、PPEや検査事業における生産量の増加など、新型コロナウイルス感染症による影響で売上が前年度比で8%増加しました。医薬品事業の営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響を含むジェネリック医薬品プログラムの数量減少により悪影響を受け、前年度比で4%減少しました。医療機器事業の営業利益は、主に新型コロナウイルス感染症の悪影響により前年度比で13%減少しました。

2022年度
売上高は181,364百万ドルで、前年度比12%増となりました。営業利益は596百万ドルの赤字になりました。営業利益率は-0.3%になりました。医薬品事業では医薬品流通および特殊医薬品の売上の増加により前年度比で売上が14%増加しました。既存および新規顧客共に売上が増加しました。医療機器事業においては Cordis の売却の影響により売上が前年度比で5%減少しました。医薬品事業の営業利益は、ジェネリック医薬品プログラムが順調のため増加しましたが、情報技術インフラへの投資に関連する費用の増加と輸送費と人件費の増加に関連するインフレの影響によって部分的に相殺され、前年度比で5%の増加にとどまりました。医療機器事業の営業利益は前年度比で63%減少しました。これは主にインフレの影響(輸送コストや製造コスト上昇などの影響)、世界的なサプライチェーンの制約による悪影響、および Cordis の売却によるものです。

2023年度
売上高は205,012百万ドルで、前年度比13%増となりました。営業利益は727百万ドルになりました。営業利益率は0.4%になりました。医薬品事業では前年度比で売上が15%増加しました。これは非ジェネリック医薬品と特殊医薬品において、既存顧客と新規顧客共に売上が大きく増加した為です。医療機器事業においては前年度比で5%売上が減少しました。これは主に、パーソナルプロテクティブ機器の価格及び販売量の低下によるものです。医薬品事業の営業利益は前年度比で13%増加しました。これは、非ジェネリック医薬品と特殊医薬品の売上増加による効果と、カーディナルヘルスのジェネリック医薬品プログラムが順調であるためです。医療機器事業の営業利益は前年度比で49%減少しました。これはインフレの影響と販売量の低下によるものです。

カーディナルヘルスの業績推移

カーディナルヘルスの業績推移

業績推移(四半期)

2024年第1四半期(7-9月)
売上高は54,763百万ドルになりました。営業利益は14百万ドルの赤字になりました。

カーディナルヘルスの四半期業績推移

カーディナルヘルスの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比130%減の1ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比1%増の1.98ドルになりました。配当性向は198%になりました。

カーディナルヘルスの希薄化後EPSの推移

カーディナルヘルスの希薄化後EPSの推移


業績予想

2023年11月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期業績予定は以下の様に記載されています。医薬品事業の売上高は前年度比で10%から12%増、利益は前年度比で7%から9%増。医療機器事業の売上高は前年度比で最大3%増、利益は最大で400百万ドル。


売上構成

セグメントは、医薬品事業、医療機器事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

カーディナルヘルスの売上構成(2022年度)

カーディナルヘルスの売上構成(2023年度)

医薬品卸事業
米国で先発医薬品(非ジェネリック医薬品)、ジェネリック医薬品、特殊医薬品、市販のヘルスケア製品を販売しています。製薬メーカーや医療提供者に特殊医薬品の販売も行っています。病院や薬局に薬剤管理サービスの提供も行っています。

医療機器事業
カーディナルヘルスブランドの医療製品、外科製品、研究室製品の製造、調達、販売を行っており、米国、カナダ、ヨーロッパ、アジア、その他の市場で販売されています。主な製品は診察・手術用手袋、針・注射器・シャープの廃棄サービス、圧迫機器、失禁用製品、栄養供給、創傷ケア、使い捨て手術用ドレープ・ガウン・アパレル、液体吸引・収集システム、泌尿器、手術室用品、電極製品などです。

直近のM&A(合併買収)

地域や商品面での補完を目指したM&Aを積極的に行っています。


2015年
投薬治療管理サービスを患者に提供する OutcomesMTM を買収
2015年
心臓血管系の治療に使用される製品を提供する、Cordis を Johnson & Johnson から買収
2015年
退院計画ソフトウェアと再入院管理を専門とする RightCare Solutions を買収
2016年
患者が異なる医療の段階へ円滑に移行できるようなサポートを提供する Curaspan Health Group を買収
2017年
医療製品と医薬品を提供する Medtronic の患者ケア、深部静脈血栓症、栄養不良事業を買収
2019年
モバイルおよびインターネット上で健康管理プラットフォームを提供する mscripts を買収
2021年
カテーテルやステントなどの医療機器を製造するCordis事業をHellman & Friedmanへ売却
2022年
特殊リウマチ市場で専門診療管理、研究ソリューションを提供する Bendcare (米) を買収

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