コンプレッサー業界の世界市場シェアの分析

コンプレッサー業界の世界シェアや市場規模の情報について分析をしています。アトラスコプコ、GE、シーメンス、荏原、インガソールランド、日立等のコンプレッサー(圧縮機)大手メーカーの動向も掲載しています。

コンプレッサー・圧縮機業界の世界シェア

最新業界別売上高世界ランキング第8巻」に記載のコンプレッサーメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアトラス・コプコ、2位はインガソール・ランド、3位はシーメンスエナジーとなります。

1位アトラス・コプコ 13%
2位インガソール・ランド 7%
3位 シーメンスエナジー 6%
4位ベーカーヒューズ 5%
5位 日立 2.3%
6位荏原製作所 2.2%
7位 三菱重工 1.7%

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、コンプレッサー業界の2019年の世界市場規模を400億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のプレサイエントストラテジックインテリジェンスによると2019年の同業界の市場規模は399億ドルです。2030年にかけて年平均3.1%での成長を見込みます。調査会社のベリファイドマーケットリサーチによると、2019年の冷却冷蔵コンプレッサー業界の市場規模は156億ドルです。2026年には4.8%での成長を見込みます。調査会社のグローバルマーケットインサイツによると、2019年のエアーコンプレッサーの市場規模は755億ドルです。調査会社のマーケットスタディレポートによると、2019年の同業界の規模は162億ドルです。調査会社のグランドビューリサーチによると同年同業界の規模は313億ドルです。

コンプレッサー(圧縮機)とは?

気体を圧縮して物質に変化を起こす機械の総称です。空気とガスによって用途が異なります。空気(エアー)の場合は、エアコンプレッサーと言われ、電動工具やタービンの動力等に使用されます。ガスコンプレッサーは主にガスの輸送時に使われる技術となります。圧縮方法には、容積式とターボ式に分かれ、容積式はさらに往復式(レシプロ式)やスクリュー等の回転式に、ターボ式はさらに遠心式と軸流式へと分かれます。出力の大きさによって用いられる方式が異なることが特徴です。

コンプレッサー(圧縮機)業界の動向

Baker Hughes(ベーカーヒューズ)

BakerHughes(ベーカーヒューズ)は、1907年に設立された石油・ガス開発におけるサービスプロバイダーです。2017年にGEの石油・ガス事業と経営統合をしましたが、2019年にベーカーヒューズの分社化を決定しました。コンプレッサー(圧縮機)の分野では石油やガスインフラ向けに強く、GEが買収したShenyang Turbo MachineryやCameron Internationalのコンプレッサー部門を承継しております。

GEについて

GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。

デジタル・インダストリアル・カンパニーを標ぼうして、IoTの今後の動向を見据えた製造業の変革に積極的に取り組んでいます。2017年には下記7つあった事業本部が、2020年には、電力制御、送電やスマートグリッド等の機器の製造や火力・水力・原子力発電所向けのタービン等の機器を取り扱うパワー事業、CTスキャン等の医療用機器の製造を行うヘルスケア事業、航空機エンジン等の製造を行うアビエーション事業、風力や太陽光発電等の機器の製造を行うリニューアブル・エナジー事業、そしてキャピタル事業の5本部体制となっております。

GE事業ポートフォリオ2017年

GE事業ポートフォリオ2017年
出所:同社

ジェットエンジン、エナジーマネジメント、再生エネルギー部門がグループ全体の営業利益の3分の2、売上高の60%近く生み出す稼ぎ頭です。石油やガス関連向けに採掘・生産・パイプライン輸送、化学プラント向けの機器を提供するオイル&ガス事業は、2017年に、イメルト氏の「水より石油」というリーダーシップの下、水処理膜事業や水処理向けのプラントを含む工業用水処理事業のGE Waterをスエズエンバイロメントに売却し、石油サービス大手であるベーカー・ヒューズを買収しています。その後2019年には保有しているベーカー・ヒューズ株式を市場で売却しました。鉄道車両の製造を行うトランスポーテ―ション事業は米国の同業であるワブテックへ売却しました。祖業の照明機器を取り扱うライティング事業も2020年にサバント・システムズへ売却しました。

パワー事業では、ガスタービン、蒸気タービン、ボイラ(熱交換機)、分散電源向け発電機器(イエンバッハ、ワーキシャー、但し2018年に投資ファンドへの売却を発表)、原子力発電所のGE日立ニュークリア、フランスのアルストムより買収した送配電設備、特高変電設備等を製造しています。売上高は186億ドルと巨大な組織です。タービン、送配電、原子力発電の分野では大手です。
リニューアブル・エナジー事業では、風力発電所のタービン(Haliade 150-6MW等の超大型のものも対応可能)や設備、風車の羽根(ブレード)、水力発電所のポンプや設備を製造。水力発電設備の総発電能力のうち、4分の1以上がGEの発電機器によるものとされます。フランスのアルストムを買収し更なる事業の拡大を図っています。
ヘルスケア事業は、従業員約5万超、世界の約140ヶ国で展開、部門の売上は約200億ドルとGEの売上の約20%を占めるGEの主力事業の一角です。画像診断装置(MRI, CT, MIや超音波診断装置、骨密度測定装置、各種X線撮影装置、心臓カテーテルモニタリングシステム)、麻酔器、生体情報モニタおよびユニークパラメータ、分娩監視装置、新生児黄疸光線治療器、保育器、バイオテクノロジー関連機器・分析ソフト・試薬、バイオ医薬品製造向けシステム等を提供。医療機器分野では世界最大手の一角です。
アビエーション事業は、商用・軍用の航空機エンジンの世界3大メーカーの一角となっています。軍事用も手掛けています。ワイドボディー機向けのエンジンに強みを持ちます。ナローボディ機では、フランスのスネクマとCFM Internationalを展開しています。航空機リースの分野では、GECAS(ジーキャス)が世界最大手クラスです。

2006年 保険事業をスイス再保険へ売却
2007年 プラスチック部門をサウジアラビアのSABICに売却
2007年 GEセキュリティを米国のUTC(ユナイテッド・テクノロジーズ)に売却
2009年 メディア事業のNBCユニバーサルをコムキャストへ売却
2015年 仏重電大手のアルストムと発電事業及び鉄道車両事業における経営統合
2016年 家電事業を中国のハイアールへ売却
2016年 GEキャピタル傘下の消費者金融部門をシンクロニー・フィナンシャルとして分社化IPO
2017年 GE Waterをスエズエンバイロメントに売却
2017年 フランスで展開する消費者金融のGE Moneyを投資ファンドのサーベラスへ売却
2017年 デンマークのブレードと呼ばれる羽根の部分を製造する風力発電機器メーカー、LMウインド・パワーを買収
2018年 業務用照明部門(カレント)をアメリカン・インダストリアル・パートナーズに売却
2018年 分散型電源対応用のガスエンジンを生産するブランド「イエンバッハ」と「ワーキシャー」をアベンティスに売却
2018年 機関車事業を米鉄道機器メーカーのワブテックと経営統合
2018年 フィールドサービス管理ソフトウェアを提供するServiceMax(サービスマックス)をSilver Lakeに売却
2018年 ヘルスケア部門の分社化を発表
2019年 ベーカー・ヒューズの持分の売却
2019年 GEトランスポーテーションをワブテックへ売却
2020年 照明事業をサバント・システムズへ売却
GE 巨人の復活 シリコンバレー式「デジタル製造業」への挑戦
GE変化の経営
ジェフ・イメルト GEの変わりつづける経営
ウィニング 勝利の経営
GEが目指すインダストリアル・インターネット
オイル・ガス事業では、ガス・蒸気タービン、圧縮機、ポンプ、エキスパンダー等の回転機器、大型回転機械の振動計測サービス、発電所の制御装置、工業用計測機器、放射線モニタリング機器、非破壊検査機器、流体制御のバルブ製品等を製造していました。ベーカーヒューズを買収し、石油サービス分野では、世界大手級となったのでした。
GEトランスポーテーションでは、ディーゼル機関車等鉄道用車両や船舶用エンジンなどを製造・販売していました。2017年の売上高は約39億ドル。従業員数は約9000人。2018年に米機関車・貨客車製造大手ワブテックに株式の49.9%を29億ドルで売却されました。
照明事業はGEの祖業です。2018年に業務用照明部門を投資ファンドに売却をしました。消費者向けの照明は2020年にサバント・システムズに売却しました。

シーメンスエナジー

シーメンス(Siemens AG)は、ドイツのミュンヘンに本拠を置く大手総合電機メーカーです。1847年に、ヴェルナー・フォン・ジーメンス (Werner von Siemens) によって設立されました。世界初の電車を製造したことでも有名です。事業範囲は電力、交通システム、家電、医療等と社会インフラ全般に及びます。事業のポートフォリオを組み替えながら、モノ作りのデジタル化や産業機器のIoT化を含むインダストリー4.0を提唱し、強力に推進しています。米国のライバルであったGEと同じように再編を通じて、その時々の社会ニーズに即した組織体を作り上げる柔軟性のある経営を行っています。鉄道車両はグループ内のモビリティ事業本部が担当しています。ICEで知られるドイツの高速鉄道も手掛けています。2017年には鉄道車両部門でアルストムと経営統合を発表しましたが、2019年に欧州委員会がアルストムとの経営統合を承認せず遂行されませんでした。鉄道信号にも強みを持ち、上位株主には、象徴としてのシーメンス家が引き続き残っています。

Ingersoll Rand(インガソール・ランド)

Ingersoll-Rand(インガソール・ランド)は、1871年に創業された米国に本拠を置く産業機器メーカーです。2020年に真空ポンプ、コンプレッサー等の産業機械メーカーであるGardner Denver(ガードナーデンバー)と経営統合を行いました。統合に先立ち、空調事業はトレーン・テクノロジーズとして分社化しています。インガソール・ランドからは、過去、鍵のアレジオン、冷凍ショーケースのハスマン(2015年にパナソニックへ売却)等各分野でトップクラスの企業が巣立っております。コンプレッサー・エアツールや輸送用冷凍装置の分野でも強いです。ゴルフカートでは、クラブカーブランドを展開し、世界最大級の規模です。

インガソール・ランドの事業は、Industrial Technologies(インダストリー・テクノロジーズ)Precision and Science Technologies(プレシジョン&サイエンス・テクノロジーズ)Specialty Vehicle Technologies(スペシャリティビークルテクノロジーズ)、High Pressure Solution(ハイプレッシャーソリューション)の4事業に分かれます。
インダストリー・テクノロジーズでは、主にコンプレッサーと真空ポンプを取り扱っています。空調機、冷凍機向けのコンプレッサーでは世界大手です。取り扱っているコンプレッサーブランドとして、CompAir、NASH、Garo、Emco Wheaton、Eimo Rietschleなどがあります。プレシジョン&サイエンス・テクノロジーズでは、定量ポンプ(metering pump)、膜ポンプ(diaphragm pump)、ピストンポンプ、薬投与ポンプ(dosing pump)、シリンジポンプ(輸液ポンプ、Syringe Pump)、Peristaltic Pump(投薬ポンプ)などのポンプを手がけています。スペシャリティビークルでは、クラブカーブランドのゴルフカートやその他カートなどの製品を手がけています。同分野ではTextron(テキストロン)やヤマハと並ぶ大手です。ハイプレッシャーソリューションは、エネルギーの上流権益開発のためのドリルポンプや粉砕ポンプを製造しています。

錠前や鍵の事業も手掛けていましたが、Allegion(アレジオン)として分社化独立しています。

2015年 商業用冷凍庫メーカーのハスマンの株式持分を売却
2014年 輸送用冷凍装置を手掛けるドイツのFRIGOBLOCKを買収
2014年 ポンプ向けコンプレッサー等を手掛ける事業をCameron International より買収
2012年 錠前や鍵事業をAllegion(アレジオン)を分社化上場
2007年 空調機大手のTrane(トレイン)を買収
2007年 建機向けパーツメーカーのBobcatを韓国の斗山インフラコアへ売却
2007年 ボルボによる道路工事機器事業の買収
2004年 鍵やセキュリティを手掛けるイタリアのCISAを買収
2004年 投資ファンドによるDresser-Randの買収
2002年 ティムケンによるベアリング事業の買収
2000年 超硬工具業界大手のIngersoll Cutting Toolsの売却
2015年 冷凍・冷蔵ショーケースのHussmann(ハスマン)をパナソニックに売却
2019年 トレイン・テクノロジーズの分社化上場
2020年 ガードナーデンバーとの経営統合

荏原製作所
日本を代表するポンプメーカーです。コンプレッサー事業は子会社のエリオット(Elliott)が世界展開をしています。

Atlas Copco(アトラス・コプコ)
スウェーデンに本拠を置くコンプレッサー、建機等を製造する産業機器メーカーです。ナットランナーでは世界大手です。コンプレッサーではオイル・エアーともに手掛けています。

日本の三菱重工や日立製作所(2016年にサルエアーを買収)、スクリュ式非汎用圧縮機の分野では世界トップの神戸製鋼所、ドイツのKAESER KOMPRESSOREN(ケーザー・コンプレッサー)、スイスのSulzer(スルザー)もコンプレッサー大手です。

日立について

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をする選択と集中を進めています。

日立ABB
2020年から事業を開始した日立とABBのパワーグリッド機器の合弁会社です。日立がABBから当該事業の持分80%を買収することで誕生しました。直流送電 (HVDC)技術、変圧器や特別高圧製品等に強みを持ちます。

鉄道事業
日立の鉄道システム事業部が鉄道事業を手掛けています。従来は国内向けの車両生産がメインでしたが、近年海外売上の拡大を模索しています。2015年にAnsaldo Brenda(アンサルドブレーダ、現Hitachi Rail S.p.A.) とアンサルドSTS(現Hitachi Rail STS S.p.A.)の買収を発表し、欧州・米州・アジアで鉄道車両と信号のターンキーソリューションプロバイダーとして中国北車+南車陣営、欧米ビッグ3への追い上げを図っています。

日立建機
日本を代表する大手建機メーカーです。日立製作所の上場関連会社でもあります。2016年に豪州の鉱山機器向け消耗品に強みを持つブラッドケンを買収しました。

2000年 荏原製作所によるエリオットの買収
2010年 GEによるShenyang Turbo Machineryへの出資
2014年 シーメンスによるロールスロイスのコンプレッサー事業の買収
2014年 GEによるCameron Internationalのコンプレッサー部門を買収
2014年 インガソール・ランドによるCameron Internationalの遠心圧縮部門の買収
2015年 シーメンスによる米ドレッサー・ランドの買収
2016年 日立製作所による米サルエアー(Sullair)の買収
2019年 インガソール・ランドとガードナーデンバーが経営統合

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