ターボチャージャー(過給機)業界の世界シェアと市場規模の分析

ターボチャージャー(過給機)業界の世界シェアと市場規模の情報について分析をしています。ギャレット、ボルグワーナー、三菱重工、石川島播磨(IHI)、ABB等の大手ターボチャージャー(過給機)メーカーの動向も掲載しています。

市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第4巻」に記載のターボチャージャーメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

1位 ギャレットモーション 29%
2位 ボルグワーナー 26%
3位 三菱重工業 17%
4位 IHIターボ 16%
5位 ABB 7%

ターボチャージャー(過給機)業界の市場シェア1位はギャレット社ですが、2020年に経営破綻し、投資ファンドの傘下に入っています。今後の業界再編の目となる可能性があります。2位はボルグワーナー、3位は三菱重工、4位はIHI、5位はABBと日米欧の5社にてほぼ市場を独占する構図が継続しています。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ターボチャージャー(過給機)業界の2019年の世界市場規模を110億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社のアイエイチエスによれば、2019年の同業界の世界市場規模は金額ベースで110億ドル、台数ベースで5000万台です。乗用車が約90%、商用車は10%です。2019年から2023年に年平均4%での成長、ディーゼル車は減少もしくは横ばいですが、ガソリン車向けが成長すると見込まれます。今後電気自動車(EV)の進展次第では、市場が縮小する可能性もあります。

ターボチャージャー(過給機)とは?
過給機は、エンジンの空気の密度を高めることで、エンジンの燃焼エネルギーを高める仕組みももつ機器の総称です。排気量の少ないエンジンでも大きなパワーを得ることができます。ターボチャージャー(過給機)は、船舶エンジン、自動車エンジン等で使われています。

ターボチャージャー(過給機)業界の動向

Garrett Motion(ギャレット・モーション)

米国に本拠をおくターボチャージャーやエレクトリックブースティングの専業メーカーです。1999年にハネウェル(Honeywell)がAlliedSignal(アライドシグナル)より買収しましたが、2019年にGarrett Motion(ギャレット・モーション)として分社化されました。2020年にチャプター11を申請し、KPS Capital Partners(KPSキャピタルパートナーズ)が約21億ドルで買収しました。

BorgWarner(ボルグワーナー)
米国に本拠を置く自動車部品メーカーです。オートマチックトランスミッション等の変速機の先駆者です。1899年に誕生したKühnle, Kopp & Kausch(KKK)を源流とするターボチャージャーにも強みがあり、BMW、ダイムラー、フィアットクライスラー、フォード、GM、VW、ボルボ等のメーカーへ供給しています。2020年にデルファイオートモーティブからパワートレイン関連事業が分社化したデルファイ・テクノロジーズを買収しました。

三菱重工業
日本を代表する重工業グループ。三菱重工エンジン&ターボチャージャにてターボチャージャー事業を展開しています。

石川島播磨(IHI)
日本を代表する重工大手です。船舶用エンジン向けのターボチャージャーで技術を蓄積しました。IHIターボがVW,ダイムラー、トヨタ向けにターボチャージャーを提供しています。同社資料によれば国内では三菱重工を上回る市場シェアです。

ABB

ABB(エービービー)は、スイスに本拠を置く重電・重工業大手です。ABBはAsea Brown Boveri(アセア・ブラウン・ボベリ)の略です。1988年にスウェーデンとアセアとスイスのブラウン・ボベリが経営統合をして誕生しました。アセアとブラウン・ボベリは1890年代に創業された両国を代表する老舗重電メーカーです。発電・送変電機器と自動化機器やソフトウェア事業に強みを持ちます。原子力発電と火力発電における発電機器事業は、それぞれWestinghouse(ウェスティングハウス)とAlstom(アルストム)に売却し撤退しました。2018年にGEよりエレクトリフィケーション事業を行うGEインダストリアルソリューションを買収しました。2020年は電力システムやパワーグリッド事業を日立に売却し、事業ポートフォリオの入れ替えを行っています。

ABBの事業は大きくエレクトリフィケーション、ロボティクス、モーション、インダストリアル・オートメーションに分かれます。

ABB売上構成2019年

ABB売上構成2019年(単位10億ユーロ)
出所:同社

エレクトリフィケーション事業では、質の高い電力供給に関係するソリューションを提供しています。低圧から高圧まで幅広い商品群を提供。商品群には、電気自動車向け充電インフラ、太陽光向けパワーコンディショナ、モジュラー型変電所、スイッチギヤ、サーキットブレーカ、計測およびセンシング機器、制御製品、データ通信ネットワーク、保護機器等が含まれます。電圧機器・配線機器では、シュナイダー、シーメンス、イートン等と競合しています。ブレーカーでは、ルグランと競合しています。直流電源機器ではバーティブやデルタと競合しております。北米市場強化を狙い、GEのエレクトリカルソリューション事業を担うGEインダストリアルソリューションを買収しました。インダストリアル・オートメーション事業では制御技術等を駆使してオートメーションの推進・最適化サービスを提供しています。エネルギー、プロセス、港湾業種向けのオートメーションや分散制御システム分野では世界シェア上位に位置しています。船舶や石油ガス施設向けのターボチャージャーにも強みを持ちます。産業の自動化と電力供給の効率化に関連する事業ポートフォリオを構築している点が特徴です。計測分野もカバーしています。ロボティクス事業では、産業用ロボットや分散型制御システム(DCS)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、プロセス間通信 (Inter-Process Communication、IPC)も手掛けています。モーション事業では、モータ、発電機、低/高圧ACドライブ,DCドライブ、産業用ロボットを展開しています。駆動制御を行う低中圧のサーボ・モーション、モーターの制御を行うモータードライブでは大手です。直流送電 (HVDC)技術に強みを持ち、送電、配電のソリューションを提供していた、パワーグリッド事業に関しては、2020年に日立に売却をしました。

現在はInvestor AB(インベストールAB)が筆頭株主となっています。インベストールはスウェーデン有数の富裕ファミリーであるヴァレンベリ家傘下の投資会社です。インベストール傘下には北欧有数の投資ファンドのEQTパートナーズを所有しています。

2013年 米インバータ大手のパワーワンを買収
2015年 ドイツの産業用ロボットメーカー大手Gomtecを買収
2016年  高圧ケーブル事業をNKTケーブルズに売却
2018年  GEよりGEインダストリアルソリューションズを買収
2020年 電力システム事業を日立に売却
グローバル経営史―国境を越える産業ダイナミズム―
スマート・ファクトリー ― 戦略的「工場マネジメント」の処方箋
電気エネルギー工学 新装版 発電から送配電まで

その他、ボッシュとマーレの合弁会社として設立され現在はファウンテインヴェスト・パートナーズ傘下のBMTS Technologyやドイツの Continental(コンチネンタル)が参入をしています。

業界関連図書
ターボ機械 (入門編) [単行本]
特許情報分析(パテントマップ)から見た「過給機(ターボチャージャ、スーパーチャージャ)」 技術開発実態分析調査報告書 (特許情報調査分析シリーズ/テーマ別) [大型本]
図解 自動車エンジンの技術 [単行本(ソフトカバー)]
ターボチャージャーの性能と設計 [単行本]

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