タービン発電機業界の世界市場シェアの分析

水力・蒸気(火力・原子力・地熱)・ガス発電所向けタービン発電機業界の世界シェアや市場規模について分析をしています。GE、シーメンス、ドンファン、フォイトハイドロ、オーマット等のタービン発電機メーカーの動向も掲載しています。

タービン発電機は、化石燃料や水、風などから得られる機械エネルギーを電気エネルギーに変換する機械です。タービン発電機業界は電力需要の増加により、市場の拡大が見込まれています。

【タービンとは】

タービンとは、蒸気などの流体が持つエネルギーを回転エネルギーに変える機器のことです。タービンの種類は、用途で分ける場合には、発電所タービン、航空機タービン、船舶タービンといったように分かれます。動力で分ける場合は、風力、ガス、蒸気(火力、原子力、地熱発電用)、水力といった分け方ができます。

【市場シェア】

タービン発電機業界の2022年度の売上高ならびに収益を分子に、また後述するタービン発電機業界の市場規模を分母にして、2022年のタービン発電機業界の市場シェアを簡易に計算しますと、1位はGE、2位は三菱重工、3位はシーメンスエナジーとなります。

タービン発電機業界の世界市場シェア(2022)

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 GE 27.17%
2 三菱重工 14.81%
3 シーメンスエナジー 13.52%
4 キャタピラー 8.90%
5 ドンファンエレクトリック 6.74%
6 東芝 5.71%
7 ハルビン電機 4.98%
8 アンドリッツ 2.73%
9 バラート重電機 2.57%

タービン発電機業界は新興国の経済発展にともなう電力需要の増加により市場が拡大しています。特にアジア太平洋地域での市場の成長が目覚ましく今後10年で市場を支配すると予測されています。

昨年に引き続きGEが首位に立つタービン発電機業界ですが、中国やインドの経済発展に伴い、中国やインドの企業もランキング上位に入ってきています。市場が拡大している一方で、GEや三菱重工など上位常連だった企業の成長が伸び悩み、年々下位との差が縮まってきています。

【市場規模】

当データベースでは、調査会社の公表データを参考にし、タービン発電機業界の2022年の世界市場規模を600億ドルとして市場シェアを計算しております。参照したデータは以下の通りです。

調査会社のジオンマーケットリサーチによると、2022年のタービン発電機業界の市場規模は600億ドルとなっています。2030年にかけて年平均3.4%の成長を見込んでおり、2030年には770億ドルに達すると予測されています。

プレスデンスリサーチによるとガスタービン発電機業界の市場規模は2022年に244億7,000万米ドルと評価されています。2032年にかけて年平均7.5%の成長を見込んでおり、2032年に500億ドルに達すると予想されています。

【M&Aの動向】

・2023年 三菱電機株式会社と三菱重工業株式会社は両社の発電機事業を両社を出資者とする合弁会社に承継

・2022年 三菱重工業株式会社は燃料加工事業を新設するMHI原子燃料株式会社に承継

・2022年 三菱重工業株式会社はシンガポールの廃棄物焼却発電事業会社TuasOne Pte.Ltd.を完全子会社化

・2012年 三菱重工業株式会社は米国中小型ガスタービン事業プラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(PWPS)を買収

・2023年 TBJH株式会社は株式会社東芝の全株式を取得

・2022年 株式会社東芝は連結子会社である東芝キヤリア株式会社を米国大手プロバイダーCarrier Corporation社(アメリカ・デラウェア)に譲渡

・2023年 シーメンス・エナジーはスペインの風力タービンタワーメーカーウィンダー・リノバブルズの株式32%を英国の投資会社ブリッジポイント・グループに売却

【会社の概要】

GE

GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。さらに詳しく

シーメンスエナジー

シーメンスエナジー(Simens Energy)は、2020年にシーメンスからスピンオフ上場をした、電力機器メーカーです。火力発電等の発電所プラント向けガスタービン、蒸気タービン、Dresser-RandやADGT&Compを含むコンプレッサー、高電圧直流(HVDC)機器等を提供しているパワー&ガス事業と、洋上や陸上の風力発電所に風力タービンを含めた総合的なサービスを提供している風力発電&再生可能エネルギー事業を展開しています。さらに詳しく

シーメンスについて

シーメンス(Siemens AG)は、ドイツのミュンヘンに本拠を置く大手総合電機メーカーです。1847年に、ヴェルナー・フォン・ジーメンス (Werner von Siemens) によって設立されました。世界初の電車を製造したことでも有名です。事業範囲は電力、交通システム、家電、医療等と社会インフラ全般に及びます。事業のポートフォリオを組み替えながら、モノ作りのデジタル化や産業機器のIoT化を含むインダストリー4.0を提唱し、強力に推進しています。米国のライバルであったGEと同じように再編を通じて、その時々の社会ニーズに即した組織体を作り上げる柔軟性のある経営を行っています。鉄道車両はグループ内のモビリティ事業本部が担当しています。ICEで知られるドイツの高速鉄道も手掛けています。2017年には鉄道車両部門でアルストムと経営統合を発表しましたが、2019年に欧州委員会がアルストムとの経営統合を承認せず遂行されませんでした。鉄道信号にも強みを持ち、上位株主には、象徴としてのシーメンス家が引き続き残っています。さらに詳しく

Voith Hydro(フォイト・ハイドロ)

独重電メーカーのVoith(フォイト)とシーメンスの合弁会社です。

Dongfang(ドンファン、中国东方电气集团)

中国の政府系重電メーカーです。子会社のDongfang Electric Corporation Limitedは香港証券取引所に上場しています。

Bharat Heavy Electricals Limited(バラート重電機、BHEL)

インドに本拠を置く国営の重電メーカーです。ボイラー、タービン等発電事業関連の事業を手掛けています。

Andritz(アンドリッツ)

オーストリアの大手水力用タービンメーカーです。ウィーン証券取引所に上場しています。

Siloviye Mashiny(シロヴィエ・マシーヌィ、Power Machines)

ロシアの大手タービン・発電機メーカーです。Alexey Yegorov、Vladimir Lukin(セベルスタリグループ – アレクセイ・モルダショフ)氏がオーナーとなっています。

Harbin Electric(ハルビン電機、哈尔滨电机厂有限责任公司)

中国ハルビン創業のタービン・重電メーカーです。香港証券取引所に上場しています。

東芝

東芝は、日本を代表する重電メーカーです。重電5社(日立、三菱電機、富士電機、明電舎)の一角です。芝浦製作所と東京電気が経営統合して、東京芝浦電気(現東芝)が1939年に誕生しました。経団連会長を輩出するなど日本を代表するメーカーの1社でもあります。2016年のウェスティンハウスの減損問題発覚以降は、事業の再編を行い、ビジネスモデルを大きく転換しています。インフラサービス、インフラシステム、デバイスプロダクトが事業の柱となっています。さらに詳しく

三菱重工業のタービン事業

地熱を含む蒸気タービンと大型ガスタービンの分野に強みを持ちます。日立製作所と三菱日立パワーシステムズを設立しましたが、2020年に日立製作所より持分を買い戻し、三菱パワーへの名称を変更、その後、三菱パワーを三菱重工業に統合しております。

三菱重工について

1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく

Ormat(オーマット)

米国に本拠を置く地熱発電のオペレーターです。ニューヨーク証券取引所に上場。イスラエル発祥の会社です。

富士電機

日本を代表する重電メーカーです。タービン分野では地熱発電所に強みを持ちます。

べスタス

デンマークに本拠地を置く世界最大の風力発電機メーカーです。

キャタピラー

アメリカ合衆国に本拠地を置く建設機械や鉱山機械、ディーゼル及び天然ガスエンジン、並びに産業用ガスタービンエンジン分野における世界最大の製造会社です。

アトラスコプコ

コンプレッサー、真空機器、産業用機器、建設機械の4つの事業エリアを展開し、それぞれの分野での世界的リーダーです。

参照したデータの詳細情報について


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