原子力発電機器業界の世界市場シェアの分析

原子力発電機器業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。フラマトム(旧アレバNP)、GE、日立、ウェスティングハウス、上海電気といった大手原子力発電メーカーの概要や動向も掲載しています。

市場シェア

原子炉メーカー各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年の原子力発電機器業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はEDFフラマトム、2位は上海電気、3位は ウェスティンハウス となります。⇒参照したデータの詳細情報

原子力発電機器メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

順位会社名市場シェア
1位EDF・フラマトム11.7%
2位上海電機8.8%
3位ウェスティンハウス8.6%
4位三菱重工8.5%
5位GE4.9%
6位日立4.0%
7位東芝3.9%
8位ロスアトム3.4%
原子力発電機器メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

原子力発電機器メーカーの世界シェア(2021年)
原子力発電機器メーカーの世界シェア(2021年)

市場規模

当データベースでは、原子力発電機器業界の2021年の世界市場規模を324億ドルとして市場シェアを計算しております。参考にしたデータは以下の通りです。

調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2020年の同業界の市場規模は317億ドルです。2021年には324億ドルとなり、以降年平均2.6%で成長し、2028年には388億ドルへと拡大することが見込まれます。
調査会社のスタティスタやアライドマーケットリサーチによると、2017年の同業界の市場規模は365億ドルです。2025年にかけて年平均3.74%で成長し、同年には490億ドルへと拡大すると見込まれます。同社の推計を基に2020年の市場規模を算出すると407億ドルとなります。⇒参照したデータの詳細情報

原子力発電所の種類

原子力発電所は原子力の核反応によって発電用タービンを回転させ電気を取り出す発電所の総称です。原子力発電所には、PWR(加圧水型軽水炉)、BWR(沸騰水型軽水炉)、LWGR(軽水冷却黒鉛減速炉)、PHWR(加圧水型重水炉)、GCR(ガス冷却炉)、FBR (高速増殖炉)等の種類があります。2020年以降、原子炉の小型化の技術革新が進み、小型モジュール炉(SMR、Small Modular Reactor)が社会実装されつつあります。

特徴小型炉(SMR)従来の原子炉
冷却方法格納容器はプール内外部からの格納容器に注水
建設方法モジュール型で短工期テーラーメード型で長期
コスト安い高い
出力30万キロワット以下概ね100万キロワット以上
小型炉と従来の原子炉の比較 ©ディールラボ

主なM&A(合併買収)

2022年 ウラン採掘大手のカメコがウェスティンハウスを79億ドルで買収
2018年 東芝がウェスティンハウスをブルックフィールド・ビジネス・パートナーズに売却
2017年 EDFがアレバを買収し、フラマトム誕生
2006年 東芝がウェスティンハウスを買収

世界の主要な原子力発電所機器メーカーの動向

フラマトム(Framatome)

orano(オラノ、旧アレバ)に源流を持つフランス電力公社(EDF)傘下の原子力発電所メーカーです。2001年に前身のフラマトムが、シーメンスの原子力部門を買収し、ウラン濃縮大手の仏政府傘下のコジェマ(COGEMA)と共同持ち株会社のアレバが設立されました。アレバ傘下のアレバNPが原子力発電所プラント機器の設計、製造、建設を行っていましたが、フィンランドの原子力発電事業等で多額の損失を計上しました。2017年にフランス電力公社(EDF)に売却され、新生フラマトム(Framatome)となりました。コジェマに源流を持つウラン資源の開発から核燃料の再処理を行っている旧アレバNCはオラノへと社名を変更しました。日本の三菱重工は、120万kW級の加圧水型軽水炉(PWR)「ATMEA1」(アトメア1)を旧アレバNPと共同開発した経緯もあり、新生フラマトムへ出資(19.5%)を実行しました。2020年時点での株主構成は、EDF (75.5%)、三菱重工19.5%、Assystem( アシステム)(5%)となっています。

三菱重工の原子力発電機器事業

原子力分野では仏フラマトム(旧アレバNP)と提携を行い、加圧水型原子炉(PWR)に強みを持ちます。

三菱重工について

1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく

Westinghouse(ウェスティングハウス)

沸騰水型原子炉 (BWR)に強みを持つ東芝は、2006年に英国核燃料社より加圧水型原子炉(PWR)に強みを持つウェスティングハウス社を約6000億円で買収しました。原子力発電事業の世界的な展開を目指し、2015年には、原発建設を行うCB&Iストーン・アンド・ウェブスターを買収しました。しかし、電力会社への債務保証等による損失が重なり、2017年にウェスティングハウスはチャプター11を申請するに至りました。2018年に中国やインド向けの原子炉受注案件や安定した利益が魅力の保守・修理のアフターサービスに価値を見出したブルックフィールド・ビジネス・パートナーズへ46億ドルで売却しました。

日立GEニュークリア・エナジー

日米を代表する重電メーカーの日立とGEの原子力発電の共同会社です。沸騰水型原子炉 (BWR)での世界展開を目指しています。

GEについて

GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。さらに詳しく

 

日立について

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく

Rosatom(ロスアトム)

ロシアの国営原発会社です。ロシア原子力庁を母体として2007年に設立されました。原子力発電所の運営、ウランの濃縮や加工、原子力機器製造などを行う総合原子力会社です。海外展開に積極的で、原子力発電所の開発から運営、廃棄物の処理までを一貫して行う体制に強みがあります。傘下には、中間持株会社のAtomenergomash(アトムエネルゴプロム)、原子力発電所の運営会社であるRosenergoatom(ロスエネルゴアトム)、原子力発電機器メーカーであるАtomenergomash(アトムエネルゴマッシュ)、ウラン濃縮・転換のTvel(トベル)、ウラン探鉱・採掘のARMZ(アルムズ)、ウラン輸出のTenex(テネックス)、海外の原子力発電所建設のAtomstroyexport(アトムストロイエクスポルト)などを傘下に擁します。

上海電気集団

上海電気集団は、中国政府系の重電会社です。火力発電、原子力発電、風力発電や送配電設備、エレベーター、淡水化設備などを手掛けています。エレベーター事業は日本の三菱電機と合弁事業を展開しています。

参照したデータの詳細情報について


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