ウラン濃縮業界の世界市場シェアの分析

ウラン濃縮業界の世界シェアと市場規模の情報について分析をしています。米国のウラン濃縮大手であった合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんした結果、ロシアのトベル、英独蘭共同企業体のウレンコ、仏オラノ(旧アレバ)、中国核工業集団公司が現在のビッグ4となっています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第6巻」に記載のウラン濃縮会社各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はウレンコ、2位はオレノ、3位はトベルフュエルとなります。

1位  ウレンコ 61%
2位  オレノ 27%
3位  トベルフュエル 12%

市場規模

当サイトでは、濃縮ウラン生産上位3社の2019年度の売上高を濃縮ウランの概ね市場規模として、市場シェアを算定しております。
TEVフュエルによれば、世界にある約450の稼働中の原子力発電所(2018年時点)の燃料が濃縮ウランであり、今後も世界的には原子力発電所の数が増加すると予測されることから、市場規模は拡大傾向にあります。2013年は、年間51,550SWU、2015年は58,600SWU、2020年は66,700SWUと推計されています。なお、SWUは、分離作業量 (Separative Work Unit, SWU) の意味です。

原子力発電所市場規模
原子力発電所市場規模 出所:TEV Fuel

世界の主要なウラン濃縮メーカーの一覧

TVEL Fuel Company(トベル・フュエル・カンパニー)
2009年に設置されたロスアトム(Rosatom)傘下にあるAtomenergoprom(アトムネルゴプロム)の子会社です。ウラン転換、濃縮、再転換、燃料成型加工業務を専門に手掛けています。下の図表の通り、ロシア、中国、インド、イラン、アルメニア、ブルガリア、ウクライナ、フィンランド、スロバキア、ハンガリー、チェコ等にある原子力発電所への燃料の供給を行っています。

原子力燃料の供給先
原子力燃料の供給先 出所:TEV Fuel

ウラン濃縮は、アンガルスク電解化学コンビナート (Angarsk Electrolysis Chemical Complex (AECC))、ウラル電気化学コンビナート(Ural Electrochemical Integrated Plant (UEIP))、生産合同電気化学コンビナート(Production Association “Electrochemical Plant” (PA ECP))、シベリア化学コンビナート(Siberian Group of Chemical Enterprises (SGChE))のロシア国内4か所で行われています
ウラン燃料の加工における世界シェア(2018年)では、トップ3に一角を占めています。

ウラン加工燃料の世界市場シェア
ウラン加工燃料の世界市場シェア 出所:TEV Fuel

URENCO(ウレンコ)
1970年代に、イギリス、オランダ、ドイツ政府によって設立されたウラン濃縮会社です。現在もイギリス政府、オランダ政府、ドイツの電力会社連合(E. ON及びRWE)が、各1/3づつの株式を保有しています。濃縮工場は、イギリスのCapenhurst、オランダのAlmelo、ドイツのGronau、アメリカニューメキシコ州Euniceにあります。

Cogema(コジェマ )
フランスのOreno(オレノ、旧アレバ)傘下にある、ウラン濃縮会社です。2001年にアレバ設立に伴い、フランス原子力庁傘下でウランの採掘・製錬・濃縮までを担ってきたフランス核燃料公社(COGEMA)が、アレバ傘下となり、アレバの再編の過程でアレバNCとなりました。ウラン濃縮はフランスのGeorges Besse II工場でおこなわれています。

中国核工業集団公司(CNNC)
1999年に核工業総公司から独立して誕生した中国の国有原子力事業会社です。中国の国有資産監督管理委員会(国資委)直轄の中核国有会社の1社です。もともとは、核兵器の開発を担った軍事企業でしたが、民生利用の観点から、現在は原子力発電と核燃料サイクルの分野に注力しています。原子力事業の、ウラン探鉱・製錬、ウラン濃縮、燃料加工、再処理、廃棄という、上流から下流までのすべてのバリューチェーンを手がけています。
同じく国有の原子力発電所の建設・運営を手掛ける中国広核集団(CGN、China General Nuclear Power Group)とは発祥も異なり、別会社でもあります。

ウラン濃縮とは?

ウラン濃縮(Uranium Enrichment、ウラニウム・エンリッチメント)とは、「ウラン235」の濃度を高めるために行うプロセスです。天然ウランのなかには、核分裂を起こして膨大な熱エネルギーを放出する「ウラン235」と、核分裂を起こさない「ウラン238」が含まれています。しかし、天然ウラン鉱石の「ウラン235」含有率はわずか0.7%しかなく、このままでは原子力発電所(軽水炉)の燃料として使用することはできません。そのため、原子力発電所の燃料として使用するには、「ウラン235」の濃度を3~5%程度にまで高める必要があります。
なお、天然ウランは、「製錬」「転換」「濃縮」「再転換」「成型」「加工」という工程を経て、原子力発電に利用できる燃料集合体になります。(引用:日本原燃)
ウラン濃縮方法には、ガス遠心分離とガス拡散法がありますが、ガス拡散法を主導していた合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんしたことも影響し、現在はロシアのTVEL(トベル)とURENCO(ウレンコ)が開発を行っている、ガス遠心分離法が主流となっています。

参考書
ウランの生体濃縮 [単行本]