ウラン濃縮業界の世界市場シェアの分析

ウラン濃縮業界の世界シェアと市場規模の情報について分析をしています。米国のウラン濃縮大手であった合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんした結果、ロシアの トベルフュエル(ロスアトム) 、英独蘭共同企業体のウレンコ、仏オラノ(旧アレバ)、中国核工業集団公司が市場をほぼ寡占しています。

世界市場シェア

世界原子力委員会が発表したウラン濃縮会社各社の2020年の濃縮ウラン分離キャパシティ(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年のウラン濃縮業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はトベルフュエル、2位はウレンコ、3位はオレノとなります。

ウラン濃縮会社の世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

順位会社名市場シェア
1位トベルフュエル45.9%
2位ウレンコ30.4%
3位オレノ12.5%
4位中国核工業11.2%
ウラン濃縮会社の世界市場シェアと業界ランキング(2020年)

ウラン濃縮業界の世界シェア(2020年)
ウラン濃縮業界の世界シェア(2020年)

市場規模

当データベースでは、2020年の濃縮ウランの市場規模(キャパシティベース)を602億SWU/年としております。参照した各種統計データは次の通りとなります。SWUは分離作業量 (Separative Work Unit, SWU) の意味です。
世界原子力委員会によると、2020年の同規模は602億SWU/年です。2018年に611億SWU/年だったので、過去2年間の分離キャパシティの平均成長率はマイナス0.74%程度となります。
TEVフュエルによれば、世界にある約450の稼働中原子力発電所(2018年時点)の燃料が濃縮ウランであり、今後も世界的には原子力発電所の数が増加すると予測されることから、市場規模は拡大傾向にあります。

原子力発電所市場規模
原子力発電所市場規模
出所:TEV Fuel

燃料ウランの作り方

燃料ウランを作るには、ウラン鉱石を製錬しウラン精鉱にした後、転換と濃縮と再転換を行う必要があります。ウラン濃縮(Uranium Enrichment、ウラニウム・エンリッチメント)とは、 核分裂に伴う熱エネルギーを放出するウラン235の濃度を高め、原子力発電に適した燃料にするプロセスです。ウラン精鉱には核分裂を行わないウラン238も含まれており、ウラン235の比率を高めないと燃料としては利用できません。

ウランの作り方
ウランの作り方

ウラン濃縮方法には、ガス遠心分離とガス拡散法がありますが、ガス拡散法を主導していた合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんしたことも影響し、現在はロシアのTVEL(トベル)とURENCO(ウレンコ)が開発を行っている、ガス遠心分離法が主流となっています。

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世界の主要なウラン濃縮メーカーの一覧

TVEL Fuel Company(トベル・フュエル・カンパニー)

2009年に設置されたロスアトム(Rosatom)傘下にあるAtomenergoprom(アトムネルゴプロム)の子会社です。ウラン転換、濃縮、再転換、燃料成型加工業務を専門に手掛けています。下の図表の通り、ロシア、中国、インド、イラン、アルメニア、ブルガリア、ウクライナ、フィンランド、スロバキア、ハンガリー、チェコ等にある原子力発電所への燃料の供給を行っています。

原子力燃料の供給先
原子力燃料の供給先
出所:TEV Fuel

ウラン濃縮は、アンガルスク電解化学コンビナート (Angarsk Electrolysis Chemical Complex (AECC))、ウラル電気化学コンビナート(Ural Electrochemical Integrated Plant (UEIP))、生産合同電気化学コンビナート(Production Association “Electrochemical Plant” (PA ECP))、シベリア化学コンビナート(Siberian Group of Chemical Enterprises (SGChE))のロシア国内4か所で行われています
ウラン燃料の加工における世界シェア(2018年)では、トップ3に一角を占めています。

ウラン加工燃料の世界市場シェア
ウラン加工燃料の世界市場シェア
出所:TEV Fuel

Rosatom(ロスアトム)について

ロシアの国営原発会社です。ロシア原子力庁を母体として2007年に設立されました。原子力発電所の運営、ウランの濃縮や加工、原子力機器製造などを行う総合原子力会社です。海外展開に積極的で、原子力発電所の開発から運営、廃棄物の処理までを一貫して行う体制に強みがあります。傘下には、中間持株会社のAtomenergomash(アトムエネルゴプロム)、原子力発電所の運営会社であるRosenergoatom(ロスエネルゴアトム)、原子力発電機器メーカーであるАtomenergomash(アトムエネルゴマッシュ)、ウラン濃縮・転換のTvel(トベル)、ウラン探鉱・採掘のARMZ(アルムズ)、ウラン輸出のTenex(テネックス)、海外の原子力発電所建設のAtomstroyexport(アトムストロイエクスポルト)などを傘下に擁します。

URENCO(ウレンコ)

1970年代に、イギリス、オランダ、ドイツ政府によって設立されたウラン濃縮会社です。現在もイギリス政府、オランダ政府、ドイツの電力会社連合(E. ON及びRWE)が、各1/3づつの株式を保有しています。濃縮工場は、イギリスのCapenhurst、オランダのAlmelo、ドイツのGronau、アメリカニューメキシコ州Euniceにあります。

Cogema(コジェマ )

フランスのOreno(オレノ、旧アレバ)傘下にある、ウラン濃縮会社です。2001年にアレバ設立に伴いフランス原子力庁傘下でウランの採掘・製錬・濃縮までを担ってきたフランス核燃料公社(COGEMA)が、アレバ傘下となり、アレバの再編の過程でアレバNCとなりました。ウラン濃縮はフランスのGeorges Besse II工場でおこなわれています。

中国核工業集団公司(CNNC)

1999年に核工業総公司から独立して誕生した中国の国有原子力事業会社です。中国国有資産監督管理委員会(国資委)直轄の中核国有会社の1社です。もともとは、核兵器の開発を担った軍事企業でしたが、民生利用の観点から、現在は原子力発電と核燃料サイクルの分野に注力しています。原子力事業の、ウラン探鉱・製錬、ウラン濃縮、燃料加工、再処理、廃棄という、上流から下流までのすべてのバリューチェーンを手がけています。
同じく国有の原子力発電所の建設・運営を手掛ける中国広核集団(CGN、China General Nuclear Power Group)とは発祥も異なり、別会社でもあります。

日本では日本原燃が青森県の六ヶ所村でウラン濃縮を行っています。

参照したデータの詳細情報について


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