航空機リース業界の世界市場シェアの分析

航空機リース業界の市場規模や市場シェアの分析をしています。GECAS、エアキャップ、BBAM、アビエーション・キャピタル・グループ、SMBCアビエーション・キャピタル等の大手航空機リース会社の動向も掲載しています。

市場シェア

「航空機リース業界の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の航空機リース業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はGECAS(ジーキャス)の1.69%、2位はAerCap(エアキャップ)の1.70%、3位はAvolon(アボロン)0.90%となります。

航空機リース会社業界シェア
  • 1位 GECAS(ジーキャス) 1.69%
  • 2位 AerCap(エアキャップ) 1.70%
  • 3位 Avolon(アボロン) 0.90%
  • 4位 BOC Aviation(BOCアビエーション) 0.68%
  • 5位 Air Lease (エアーリース) 0.70%
  • 6位 Dubai Aerospace Enterprise(DAE) 0.49%
  • 7位 Aviation Capital Group(アビエーション・キャピタル・グループ) 0.41%
  • 8位 SMBC Aviation Capital(SMBCアビエーションキャピタル) 0.38%
  • 9位 AIRCASTLE(エアキャッスル) 0.32%
  • 10位 Nordic Aviation Capital(ノルディック・アビエーション・キャピタル) 0.31%
  • 11位 ICBC leasing(ICBCリーシング) 0.13%

航空機リース会社の世界市場シェアの動画によれば航空機リース会社の機体数別の世界市場シェア・ランキング1位はGEの子会社のジーキャスとなります。2位には、保険最大手のAIGからインターナショナル・リース・ファイナンス・コーポレーションを買収したエアーキャップとなります。エアーキャップにはアブダビ系の資本が入っております。ジーキャスとエアーキャップが突出して大きく、航空機リース業界の2強と言われています。続く3位は、航空機リース業界の台風の眼とされる中国の海南航空傘下でCITとアボロンを買収したボハイリーシング/アボロンです。オリックスが30%出資しています。4位は中国銀行系のBOCアビエーションです。5位は独立系のエアリースとなっています。

下記の図の通り、航空機の価値ベースの市場シェアでみても、ジーキャス、インターナショナル・リース・ファイナンスとエアキャップが世界ランキング上位に位置します。

出所:AirCap

業界バリューチェーン

航空機リース業界は、航空機業界と密接に関係しています。まず、航空機メーカーが発注した仕様書に基づき、航空機部品メーカーが部品を納めます。なお、航空機の部品点数は30万点以上にのぼるとされ、自動車部品の約10倍超となっているほど多品種の部品が必要となります。その後、製造された航空機は航空機リース会社が購入し、エアライン会社に対してリースされます。耐用年数を過ぎた飛行機は解体され、一部パーツは再利用されます。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、航空機リース業界の2019年の世界市場規模を2900億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社のバリューマーケットリサーチによれば、2017年の市場規模は2665億ドルです。2024年までに年率4.7%の成長を見込みます。調査会社のポラリスマーケットリサーチによれば2019年の市場規模は2901億ドルと予測されています。2020~2026年までに年率6.8%での成長を見込みます。航空機リース会社がリースする機体数は概ね1万機程度となっており、年々増加しております。

再編

  • 2005年4月、Cerberusによるdebis AirFinance(現AerCap)の株式45%をDaimlerChryslerより買収。買収総額は約2,600百万ドル
  • 2006年1月、Terra Firma(テラファーマ)によるAWASの買収。買収総額は約2,500百万米ドル
  • 2006年12月、Bank of ChinaによるSingapore Aircraft Leasing(現BOC Aviation)の買収。買収総額は約3,200百万米ドル、純資産に対する倍率は1.8倍
  • 2007年1月、AirCastleによるGuggenheim Partners傘下のGuggengeim Aviation Partnersからの航空機資産の買収。Guggenheim Partnersは米鉱山王のソロモン・R・グッゲンハイムの子孫が運営。買収総額は1,600百万米ドル
  • 2007年5月、欧州系のプライベートエクイティファンドのTerra Firma(テラファーマ)傘下のAWASによるPegasus Aviationの買収。買収総額は約5,000百万米ドル、純資産に対する倍率は約1.1倍
  • 2009年9月、AerCapとGenesis Leaseとの合併。買収総額は1750百万米ドル、簿価純資産に対する倍率は約1.1倍
  • 2010年10月、 アラブ首長国連邦のアブダビ系ソブリン(国富)ファンドのWaha Capital(CEOはSalem Rashid Abdulla Ali Al Noaimi氏)によるAerCapへの20%の出資。出資額は380百万米ドル。簿価純資産に対する比率は1.4倍程度
  • 2011年8月、FLY Leasingによる豪州のGAAM(Global Aviation Asset Management)の買収。買収総額は1,400百万ドル、簿価純資産に対する倍率は約0.9倍
  • 2012年10月、MUFJリースによるジャクソンアヴィエーションファイナンスの買収。買収総額は1,280百万米ドル、簿価純資産に対する倍率は1.8倍程度
  • 2012年1月、三井住友フィナンシャルグループ、住友商事等によるロイヤルバンク・オブ・スコットランドグループからのRBS Aviation Capitalの共同買収。買収総額は約7,300百万ドル、簿価純資産に対する倍率は約1.1倍程度
  • 2013年12月、AercapによるILFCの買収。買収総額は5,400億米ドル程度。簿価純資産に対する倍率は0.68倍程度
  • 2013年6月、丸紅によるAircastleへの15.25%の出資。出資総額は約209百万米ドル。簿価純資産に対する倍率は1.2倍程度
  • 2015年 海航集団(HNAグループ)による航空機リースのアボロン(Avolon)を買収
  • 2016年 海航集団(HNAグループ)による航空機リースのCIT Aerospaceを買収
  • 2017年 東京センチュリーリースがアビエーション・キャピタル・グループの株式の20%を1700億円で取得。
  • 2017年 Dubai Aerospace Enterprise (DAE) によるAWASの買収。
  • 2018年 オリックスがアボロンの30%株式を約2500億円で取得。
  • 2018年 エアアジアがBBAMに子会社の航空機リースアジア・アビエーション・キャピタルの株式を売却。
  • 2019年 丸紅とみずほリースがエアーキャッスルを買収

航空機リースの仕組み

航空会社各社にとって1機数十億以上する飛行機を購入することは財務負担となっています。大体の相場は、B737の700/800で80-90億円、B777で250億円、B787で200億円、A320で90億円、A380で400億円前後といわれております。当然、飛行機メーカーへの発注量や為替に応じて価格は変動するものと思われます。

そこで航空機リース会社が航空機を購入し、その航空機をエアライン会社が借りる(リースする)というニーズが生まれてきます。新興国の経済成長に伴う航空旅客数の増加やLCC(ローコストキャリア)の増加に伴い、エアラインにとって財務負担の軽い航空機リースのニーズは今後拡大していくことが見込まれます。

航空機リース会社は色々な飛行機を所有してエアライン各社にリースを行っていますが、その種類をざっくり分けると以下のようになります。基本は、ボーイング(B)対エアバス(A)の対立軸で理解できます。

B737NG(New Generation) familly

エアライン各社に最も人気のある中長距離向けの中型機です。700、700ER、800、900という具合に飛行機のサイズに応じてバリエーションがあります。(よってfamilyとなっています。)

A320 familly

B737の対抗馬です。こちらもサイズによって、A318、A319、A321というバリエーションがあります。

これらは中型の大きさで中距離を飛ぶという着眼の飛行機です。今後はB737MaxとA320Neoという次世代の飛行機で盟主の座の争いは引き継がれそうですが、後継の737MAXが墜落事故を起こしています。

B777family

ジャンボジェットの代名詞だったB747の後継機種です。-200、200ER、300、300ER等が人気どころです。

A380

エアバス社誇る2階建てのジャンボジェットです。

これらは大きな機体で長く飛ぶという発想の長距離用の飛行機です。

B787 vs. A350

飛行機の素材等を改良して、中型でも長距離を飛べるようにするという着眼での飛行機です。B787のほうが早くに世に出ております。

以上が、現世代の競合状況ですが、少し前の世代では、A330/340 vs. B767-300ERという争いもありました。

飛行機の経済的な耐用年数は大体35年から40年といわれております。実際には大体25年位で新しい機材にリニューアルされているようです。

一方、税務上の償却期間は、5から10年となっています。よって税務上の償却期間を過ぎた機体を購入した場合、税務上は一括償却することで損金を立てることが可能となります。個人富裕層向けにもレバレッジドリースという名称で匿名組合への出資等を通じて航空機に投資をする手法があるぐらいです。

また、リース期間の終了後の、航空機の転売マーケットでの価格も安定しているといわれており、機体の整備についても制度がととのっていることから価値の毀損が生じにくく、リース収入と転売収入にて、リース会社にとってはキャッシュフローの予測がたてやすいリース商品であるともいえます。但し、JALの旧ジャンボジェットB747の時のように一度に売りにだされると中古市場が機能しにくくなる場合もあるようです。経済耐用年数を過ぎた飛行機は処理所(モハベ砂漠など)に集められて処分されていきます。

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