宇宙防衛業界の世界市場シェアの分析

航空機やミサイル等兵器・武器を製造している軍事・宇宙防衛企業の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。ロッキード・マーティン、BEA、ジェネラル・ダイナミクス、レイセオン等防衛大手概要も掲載しています。

宇宙防衛業界の世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第7巻」に記載の宇宙防衛各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はロッキードマーチン、2位はジェネラルダイナミックス、3位はノースロップ・グラマンとなります。

1位 ロッキードマーチン 7.5%
2位 ジェネラルダイナミックス 4.9%
3位 ノースロップ・グラマン 4.2%
4位 レイセオンテクノロジーズ 3.7%
5位 ボーイング 3.3%
6位 BAEシステムズ 3.2%
7位 タレス 2.5%
8位 エアバス 1.5%
9位 サフラン 1.3%

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、宇宙防衛業界の2019年の世界市場規模を8000億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。会計事務所のPWCによると、2018年の同業界の規模は7600億ドルです。また、リサーチアンドマーケッツによると、同市場は2025年には1兆6000億ドルまで拡大するとの予測です。

業界のM&A

1995年 ロッキードとマーティン・マリエッタが合併
1996年 ロッキード・マーティンによるロラール社の衛星事業買収
1997年 ボーイングによるマクドネルダグラス買収
1997年 レイセオンによるヒューズ・エレクトロニクスの買収
1997年 レイセオンによるテキサス・インスツルメンツの防衛事業の買収
1999年 ハネウェルによるアライドシグナル買収
1999年 ジェネラル・ダイナミクスによるガルフストリーム・エアロスペースの買収
1999年 BAE SystemsによるMarconiElectric SystemのGEからの買収
2000年 仏(アエロスパシアル・マトラ)、独(ダイムラー・クライスラー・アエロスペース)、スペイン(コンストルクシオネス・アエロナウティカス)の3社が合併し、エアバスグループの前身となるEADSが誕生
2002年 ノースロップ・グラマンによるTRWの防衛事業の買収
2005年 サフランによる軍用機エンジンおよび民間航空機エンジン大手のスネクマ買収
2006年 レイセオンによる Beechcraft Corporationの投資ファンドへの売却
2007年  BAE SystemsによるArmor Holdingsの買収
2008年 フィンメカニカによる米DRSテクノロジーズの買収
2010年 ユナイテッド・テクノロジーズによる航空機部品メーカーのグッドリッチの買収
2011年  ジェネラル・ダイナミクスによるVangentの買収
2012年 投資ファンドによる衛星事業を手掛けるHamilton Sundstrandのユナイテッド・テクノロジーズからの買収
2015年 ロッキード・マーティンによる Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のユナイテッド・テクノロジーズからの買収
2015年 レイセオンによるインタネットセキュリティ会社のWebsenseの買収
2016年 ハネウェルによる豪報知器メーカーのXtralis買収
2018年 サフランによるZodiacの買収
2018年 ジェネラル・ダイナミクスによるCSRAの買収
2018年 ノースロップ・グラマンによるOrbital ATKの買収
2018年 投資ファンドMelroseによるGKNの買収
2018年 SAICによるEngilityの買収

主な防衛関連企業の動向

Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)
米国の防衛企業最大手です。戦闘機、ヘリコプター、ミサイル等軍用装備品や宇宙衛星・ロケットも手掛けています。1995年にロッキードとマーティン・マリエッタが合併し誕生しました。

Boeing(ボーイング)

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。
ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。

防衛・宇宙業界では、米国のロッキード・マーティン、英国のBAEシステムズ、フランスのThales(タレス)といった軍事・防衛大手企業と並ぶ大手です。
民間向けの航空機では、中大型機の分野では、欧州のエアバスとほぼ市場を二分する最大手です。三菱重工、川崎重工、スバル(旧富士重工)のスリーへビーズが機体の主要な構造物の提供を行っています。今後の需要の拡大が予想される100席未満のリージョナルジェット機分野では、自社で手掛けておらず、また競合大手のボンバルディアがエアバスと資本提携したことを受け、エンブラエルの小型旅客機部門を買収で合意しましたが、2020年に合意を解消しました。
ヘリコプターの分野でもボーイング・ロータークラフト・システムズ(Boeing Rotorcraft Systems)を展開していますが、規模では、Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)やシコルスキー・エアクラフト(Sikorsky Aircraft)の後塵を拝しています。
航空機リースでは、子会社にボーイング・キャピタルを有して、同分野の世界シェアでも上位クラスです。一方、航空機リース業界では、GEの子会社であるGECAS(ジーキャス)と旧ILFCを買収したAerCap(エアキャップ)が2強として君臨しています。
航空機向けのサービスでは、2017年7月にボーイング・グローバル・サービシーズを立ち上げ、部品、修理、保守、人材養成(パイロット等)に注力をしています。部品関連では、アビオニクス、座席シート、エンジン、アクチュエーター等の内製化を図っています。こうした航空機の巨人ボーイングの動きに対抗して、航空機エンジンの大手のユナイテッド・テクノロジーズ(現レイセオンテクノロジーズ)は、電子機器に強いロックウェルコリンズの買収したとされます。
一方で、航空機サービス全体におけるボーイングの世界シェアは7%程度とされ、拡大余地は大きいと考えられます。

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BAE Systems(ビーエーイー・システムズ)
英国に本拠を置く欧州最大級の防衛関連企業です。旧ブリティッシュ・エアロスペース (BAe)です。戦闘機、ロケット、戦車、潜水艦等の開発・製造を行っています。

General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)
米国の防衛関連企業です。潜水艦や戦車の開発・製造を行っています。

Raytheon(レセイオンテクノロジーズ)

レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies、旧ユナイテッド・テクノロジーズグループ)は、米国に本拠を置く複合企業体です。現在のボーイングやユナイテッド航空の源流となったユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートが、1975年にユナイテッド・テクノロジーへと社名変更して誕生しました。航空機エンジン、エレベーター、空調機の分野でそれぞれ強力な製品群を揃えています。2018年に、ユナイテッド・テクノロジーズ社は、航空機部品事業、エレベーター事業、空調事業の分社化を発表、2019年に防衛大手のレイセオンと経営統合し、レイセオンテクノロジーズとなりました。2020年にエレベーター事業のオーティス及び空調事業のキャリアの分社化を実施しました。

分社化時点の売上高

分社化時点の売上高
出所:UTC

航空機エンジン事業Pratt & Whitney(プラット・アンド・ホイットニー)が手掛けています。民間航空機用や戦闘機用エンジンを提供していて、航空機エンジンの分野ではGEやロールス・ロイスと競合しています。ナローボディ機向けのエンジンでは、MTUエアロ・エンジンズ、日本連合(三菱重工、川崎重工、IHI)とともにIAEインターナショナル・エアロ・エンジンズを展開しています。
航空機部品事業は、旧UTCエアロスペース・システムズ(2011年に買収をした航空機の着陸装置メーカー大手のグッドリッチがベース)と2017年に買収した、ロックウェル・コリンズと事業を統合したものです。
防衛と航空宇宙システムは旧UTC系のハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand)とレイセオンの事業が統合されています。レイセオンはミサイルに強みがあります。レーダーの開発・製造も行っています。

2020年 オーティスとキャリアの分社化
2019年 レイセオンとの経営統合
2018年 エレベーター事業と空調事業の分社化を発表
2017年 米航空システム・機器大手ロックウェル・コリンズを買収
2015年 Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のロッキード・マーティンへの売却
2015年 仏セキュリティ大手のCIATの買収
2013年 Goodrich Pump(グッドリッチポンプ)の売却
2012年 ハミルトン・サンドストランドの産業材事業を投資ファンドへ売却
2011年 航空機部品大手の米Goodrich Corporationの買収
2009年 防災大手のGE Securityの買収
2009年 セキュリティ大手の香港GST Holdings
2007年 消防設備大手のフィンランドMarioff Corporation
2007年 セキュリティ大手の英国Initial Electric Security Groupを大手害虫駆除会社の英Rentokilからの買収
2005年 セキュリティ大手の米国Lenel Systems Internationalの買収
2004年 セキュリティ大手の英国Kiddeの買収
2003年 セキュリティ大手の英国Chubbの買収
1975年 エレベーター大手オーチスの買収
1979年 空調機大手のキャリアの買収

Airbus Group(エアバス・グループ)

Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)
米国の防衛関連企業です。軍艦に強みを持ちます。戦闘機・ミサイル等の開発・製造も行っています。

Thales(タレス)

タレス(Thales )は、フランスに本拠を置く防衛・重電メーカーです。前身はThomson-CSF社で、現在は航空関連の電子サービス(Flight avionics)、衛星、鉄道信号、マイクロ波、防衛セキュリティ、本人認証サービス等の分野を手掛けています。航空機部品は、ハネウェルやコリンズエアロスペースが競合会社です。エアバス、ATR、ベル、ボーイング、ボンバルディア、ダッソーアビエーション、エンブラエル、ガルフストリーム、レオナルド等へ販売をしています。機内エンターテイメント事業にも強く、グローバルイーグルエンターテイメント、ゴーゴー、パナソニック アビオニクスやゾディアック インフライト イノベーションズ(サフラングループ)と競合しています。マイクロ波およびイメージングサブシステムでは、Varian Medical Systems、CPIやL3Harrisと競合しています。さらに詳しく

Finmeccanica(フィンメカニカ)
イタリアの本拠を置く防衛関連大手です。イタリア政府が筆頭株主となっています。ミサイルや航空機を手掛けています。傘下の車両製造や車両信号を手掛ける会社(アンサルド、Ansaldo)は日立へ売却しました。

Safran(サフラン)

Safran S.A (サフラン)はフランスに本拠を置く防衛・通信大手企業です。傘下のSnecma(スネクマ)にて民間及び軍用の航空機エンジンの製造を行っています。ナローボディー機ではGEと手を組んでいます。2018年に機内エンターテイメント、シート、機内食機器に強いゾディアックを買収しました。

主要関連業界団体
一般社団法人 日本航空宇宙工業会
Defense News
SIPRI
SpaceNews
SIA | The Voice of the Satellite Industry