ヘリコプター業界の世界市場シェアの分析

ヘリコプター業界の世界シェア、市場規模、再編について分析をしています。シコルスキー、レオナルド・ヘリコプターズ(旧アグスタウェストランド)、ロシアン・ヘリコプターズ、ベル・ヘリコプター等の世界大手ヘリコプターメーカー概要も掲載しています。

ヘリコプター業界の世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第6巻」に記載のヘリコプターメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエアバス・ヘリコプターズ、2位はレオナルド・ヘリコプターズ、3位はベル・ヘリコプター 7%となります。

1位 エアバス・ヘリコプターズ 12%
2位 レオナルド・ヘリコプターズ 8%
3位 ベル・ヘリコプター 7%
4位 ロシアン・ヘリコプターズ 5%
5位 シコルスキー・エアクラフト 3%
6位 ロビンソン・ヘリコプター 0.4%

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ヘリコプター業界の2019年の世界市場規模を500億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社のフォーチュンビジネスインサイトによると、2019年の同業界の市場規模(世界)は481億ドルです。2027年にかけて年平均6.69%での成長を見込みます。一方、グランドビューリサーチによれば、2018年の商用(民間)ヘリコプターの市場規模は53億ドルです。2025年にかけて年平均3.8%での成長を見込みます。スタティスタによれば、2019年の軍事用ヘリコプターの規模は683億ドルです。

テキストロン、シコルスキー・エアクラフト、エアバス・ヘリコプターズ等のヘリコプター業界大手企業による経営統合や買収等の動向を時系列でまとめると以下の通りとなります。

1960年 テキストロン社によるBell Helicopterの買収
1992年 仏アエロスパシアル社と独MBB社の両ヘリコプター部門が経営統合しユーロコプター社誕生
1992年 テキストロン社によるCessna Aircraftの買収
2000年 伊フィンメカニカ子会社アグスタと英GKNの子会社GKN ウェストランド・ヘリコプターが経営統合し、アグスタウェストランド社が誕生
2007年 ロシアのミル社とカモフ社が合併しロシアン・ヘリコプターズ社が誕生
2014年 ユーロコプター社がエアバス・ヘリコプターズ社へと社名変更
2014年 テキストロン社によるBeechcraft社の買収
2015年 ロッキード・マーチンによるシコルスキーエアクラフト社のユナイテッドテクノロジーズ社からの買収

主要なヘリコプターメーカーの動向

Airbus(エアバス)

Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。

シコルスキー・エアクラフト(Sikorsky Aircraft)
米国に本拠を置く世界的なヘリコプター会社です。米国のコングロマリット企業であるユナイテッド・テクノロジー傘下にありましたが、2015年にロッキードマーチン社が買収しました。軍用・民用向けのヘリコプターを製造・販売しています。

レオナルド・ヘリコプターズ(Leonardo Helicopters)
元アグスタウェストランド(AgustaWestland)です。イタリアの防衛大手フィンメカニカ(Finmeccanica)傘下の大手ヘリコプター会社です。フィンメカニカとイギリスの防衛・航空メーカーのGKNのヘリコプター部門が経営統合して誕生しました。

ロシアン・ヘリコプターズ(Russian Helicopters)
ロシアを代表するヘリコプター会社です。ロシアのヘリコプター大手のミル社とカモフ社が統合して誕生しました。

ベル・ヘリコプター(Bell Helicopter)
米国の航空機分野大手のテキストロン (Textron)社傘下のヘリコプター会社です。兄弟会社にセスナ機を作るセスナ社があります。

テキストロンとは

Textron Aviation(テキストロン)は1923年にスペシャル・ヤーン・カンパニーとして設立された米国に本拠を置く航空機メーカーです。ヘリコプター、ビジネスジェット、ゴルフカートや芝刈り機等を手掛けています。ビジネスジェットの分野ではビーチクラフトやセスナを相次ぎ買収し規模を拡大しました。
ヘリコプター事業では、エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、アグスタウェストランド等と並ぶ大手ヘリコプターメーカーのベル・ヘリコプター(Bell Helicopter )を展開しており、ヘリコプター業界の世界シェアでは上位に位置します。
ビジネスジェットの分野では、競合のガルフストリーム・エアロスペースやダッソーファルコンと並ぶ大手です。ゴルフカートでは、E-Z-GOブランドを展開し、インガソール・ランドやヤマハ発動機と並ぶゴルフカート御三家の一角です。ヤコブセン(Jacobsen)ブランドで芝刈り機を展開しています。そのほか、在庫金融や自動車部品等も手掛けています。

テキストロン事業構成

テキストロン事業構成
出所:同社

1992年 セスナを買収
2001年 車載音響機器事業を売却
2006年 留め具事業を売却
2006年 在庫融資を手掛けるElectrolux Financialを買収
2007年 防衛関連事業を手掛けるUnited Industrialを買収
2008年 流体動力システム機器を投資ファンドに売却
2013年 ホーカー等のビジネスジェット機を手掛けるビーチクラフトを買収
2017年 オールテレーンタイヤを手掛けるArtic Carを買収

ロビンソン・ヘリコプター(Robinson Helicopter Company)
ロビンソン・ヘリコプターはアメリカ合衆国の航空機製造会社です。民間用回転翼航空機のトップメーカーでもあります。1973年にベル・ヘリコプターとヒューズ・エアクラフトに勤めていたフランク・ロビンソンによって設立されました。

ボーイング・ロータークラフト・システムズ(Boeing Rotorcraft Systems)
米国航空最大手のボーイング社が手掛けるヘリコプター部門です。

ボーイングについて

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。
ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。

防衛・宇宙業界では、米国のロッキード・マーティン、英国のBAEシステムズ、フランスのThales(タレス)といった軍事・防衛大手企業と並ぶ大手です。
民間向けの航空機では、中大型機の分野では、欧州のエアバスとほぼ市場を二分する最大手です。三菱重工、川崎重工、スバル(旧富士重工)のスリーへビーズが機体の主要な構造物の提供を行っています。今後の需要の拡大が予想される100席未満のリージョナルジェット機分野では、自社で手掛けておらず、また競合大手のボンバルディアがエアバスと資本提携したことを受け、エンブラエルの小型旅客機部門を買収で合意しましたが、2020年に合意を解消しました。
ヘリコプターの分野でもボーイング・ロータークラフト・システムズ(Boeing Rotorcraft Systems)を展開していますが、規模では、Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)やシコルスキー・エアクラフト(Sikorsky Aircraft)の後塵を拝しています。
航空機リースでは、子会社にボーイング・キャピタルを有して、同分野の世界シェアでも上位クラスです。一方、航空機リース業界では、GEの子会社であるGECAS(ジーキャス)と旧ILFCを買収したAerCap(エアキャップ)が2強として君臨しています。
航空機向けのサービスでは、2017年7月にボーイング・グローバル・サービシーズを立ち上げ、部品、修理、保守、人材養成(パイロット等)に注力をしています。部品関連では、アビオニクス、座席シート、エンジン、アクチュエーター等の内製化を図っています。こうした航空機の巨人ボーイングの動きに対抗して、航空機エンジンの大手のユナイテッド・テクノロジーズ(現レイセオンテクノロジーズ)は、電子機器に強いロックウェルコリンズの買収したとされます。
一方で、航空機サービス全体におけるボーイングの世界シェアは7%程度とされ、拡大余地は大きいと考えられます。

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