ヘリコプター業界の世界シェア、市場規模、再編について分析をしています。シコルスキー、レオナルド・ヘリコプターズ(旧アグスタウェストランド)、ロシアン・ヘリコプターズ、ベル・ヘリコプターといった大手ヘリコプターメーカーの概要や動向も掲載しています。
市場シェア
ヘリコプターメーカー各社の2020年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年のヘリコプター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエアバス・ヘリコプターズ、2位はシコルスキー・エアクラフト、3位はレオナルド・ヘリコプターズとなります。
ヘリコプターメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2020年)
順位 | ヘリコプターメーカー | 市場シェア(2020年) |
---|---|---|
1位 | エアバス・ヘリコプターズ | 15.0% |
2位 | シコルスキー・エアクラフト | 11.7% |
3位 | レオナルド・ヘリコプターズ | 9.5% |
4位 | ベル・ヘリコプター | 6.5% |
5位 | ロシアン・ヘリコプターズ | 5.6% |
6位 | アビチャイナ | 5.1% |
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市場規模
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、ヘリコプター業界の2020年の世界市場規模を504億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。
調査会社のフォーチュンビジネスインサイトによると、2019年と2020年の同業界の市場規模(世界)は481億ドルと504億ドルです。2021年に523億ドルへ拡大し、2028年にかけて年平均4.1%での成長を見込みます。一方、スタティスタによると、2019年の同規模は482億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 推定市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2020年 | 504億ドル | 4.1% |
2019年 | 481億ドル | n/a |
業界のM&A動向
テキストロン、シコルスキー・エアクラフト、エアバス・ヘリコプターズ等のヘリコプター業界大手企業による経営統合や買収等の動向を時系列でまとめると以下の通りとなります。
1960年 テキストロン社によるBell Helicopterの買収
1992年 仏アエロスパシアル社と独MBB社の両ヘリコプター部門が経営統合しユーロコプター社誕生
1992年 テキストロン社によるCessna Aircraftの買収
2000年 伊フィンメカニカ子会社アグスタと英GKNの子会社GKN ウェストランド・ヘリコプターが経営統合し、アグスタウェストランド社が誕生
2007年 ロシアのミル社とカモフ社が合併しロシアン・ヘリコプターズ社が誕生
2014年 ユーロコプター社がエアバス・ヘリコプターズ社へと社名変更
2014年 テキストロン社によるBeechcraft社の買収
2015年 ロッキード・マーチンによるシコルスキーエアクラフト社のユナイテッドテクノロジーズ社からの買収
主要なヘリコプターメーカーの動向
Airbus(エアバス)
Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。
航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。
ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。さらに詳しく
シコルスキー・エアクラフト(Sikorsky Aircraft)
米国に本拠を置く世界的なヘリコプター会社です。米国のコングロマリット企業であるユナイテッド・テクノロジー傘下にありましたが、2015年にロッキードマーチンが買収しました。軍用・民用向けのヘリコプターを製造・販売しています。
ロッキードマーチンについて
ロッキードマーチンは、1995年にロッキードとマーティン・マリエッタが合併し誕生した米国の宇宙防衛会社です。F35やF22といった戦闘機、ヘリコプター、ミサイルといった軍用装備品や宇宙衛星・ロケットも手掛けています。米国政府が最大の顧客となります。さらに詳しく
レオナルド・ヘリコプターズ(Leonardo Helicopters)
元アグスタウェストランド(AgustaWestland)です。イタリアの防衛大手フィンメカニカ(Finmeccanica)傘下の大手ヘリコプター会社です。フィンメカニカとイギリスの防衛・航空メーカーのGKNのヘリコプター部門が経営統合して誕生しました。
ロシアン・ヘリコプターズ(Russian Helicopters)
ロシアを代表するヘリコプター会社です。ロシアのヘリコプター大手のミル社とカモフ社が統合して誕生しました。
ベル・ヘリコプター(Bell Helicopter)
米国の航空機分野大手のテキストロン (Textron)社傘下のヘリコプター会社です。兄弟会社にセスナ機を作るセスナ社があります。
テキストロンとは
Textron Aviation(テキストロン)は、1923年にスペシャル・ヤーン・カンパニーとして設立された米国に本拠を置く航空機メーカーです。ヘリコプター、ビジネスジェット、ゴルフカートや芝刈り機等を手掛けています。ビジネスジェットの分野ではビーチクラフトやセスナを相次ぎ買収し規模を拡大しました。
ヘリコプター事業では、エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、アグスタウェストランド等と並ぶ大手ヘリコプターメーカーのベル・ヘリコプター(Bell Helicopter )を展開しており、ヘリコプター業界の世界シェアでは上位に位置します。
ビジネスジェットの分野では、競合のガルフストリーム・エアロスペースやダッソーファルコンと並ぶ大手です。ゴルフカートでは、E-Z-GOブランドを展開し、インガソール・ランドやヤマハ発動機と並ぶゴルフカート御三家の一角です。ヤコブセン(Jacobsen)ブランドで芝刈り機を展開しています。そのほか、在庫金融や自動車部品等も手掛けています。さらに詳しく
ロビンソン・ヘリコプター(Robinson Helicopter Company)
ロビンソン・ヘリコプターはアメリカ合衆国の航空機製造会社です。民間用回転翼航空機のトップメーカーでもあります。1973年にベル・ヘリコプターとヒューズ・エアクラフトに勤めていたフランク・ロビンソンによって設立されました。
ボーイング・ロータークラフト・システムズ(Boeing Rotorcraft Systems)
米国航空最大手のボーイング社が手掛けるヘリコプター部門です。
ボーイングについて
ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。さらに詳しく
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。