建設機械・建機業界の市場シェア・売上高ランキング・市場規模の分析

建設機械・建機メーカーの市場シェア(世界シェア)・市場規模・四半期ごとの売上高ランキングについて分析しています。キャタピラー、 コマツ、三一重工、テレックス、日立建機、ボルボ、徐工集団など世界大手建機・重機メーカーの概要や動向も掲載しています。

市場シェア

建設機械・建機メーカーの2021年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、同業界の世界市場規模を分母にして、建設機械業界の市場シェアを簡易に算定すると、2021年の世界1位はキャタピラー、2位はコマツ、3位は三一重工となります。

建機メーカーの2021年度売上高世界市場シェア

順位会社名市場シェア
1位キャタピラー20.1%
2位コマツ15.3%
3位三一重工10.7%
4位徐工集団9.0%
5位ディア7.6%
6位中連重科7.2%
7位ボルボ6.7%
8位日立建機5.9%
9位CNHインダストリアル2.9%
10位テレックス2.60%
11位斗山インフラコア2.57%
12位クボタ2.3%
建機メーカーの2021年度売上高世界市場シェア
©ディールラボ

建機メーカーの市場シェア(2021年)
建機メーカーの市場シェア(2021年)

キャタピラー(CAT)とコマツの2強体制に変化はありません。両社ともに、世界中の建設機械の位置情報、稼働時間、燃料消費、不具合情報などの電子データをリアルタイムに収集(キャタピラーはProduct Link、コマツはコムトラック)できることや建機のプラットフォームを立ち上げ、コネクティビティを強めたことが強みです。3位には、Sanyブランドで、中国最大手の三一重工が、ボルボ、日立建機、農機大手のディアを抜いて中国勢として初めてトップ3にランクインです。スウェーデンの建機・トラックのジャイアントであるボルボ、日立建機はおなじみの建機準大手2社ですが、日立建機は徐工集団、斗山インフラコアや中連重科に抜かれました。斗山インフラコアは韓国の斗山グループの建機メーカーです。ディアは2017年に道路建設に強いヴィルトゲンを買収したことで、売上が拡大しています。

建機市場シェア上位3社の主要財務指標

建機市場シェア上位3社の配当性向、ROE、EBITDA成長率を比較しました。数値は全て2021年度(直前期)の決算数値を基準にしています。

建機ビッグ3の指標比較(2021年度決算ベース)
建機ビッグ3の指標比較(2021年度決算ベース)
リフィニティブのデータを加工修正して作成
*配当性向は直前期の配当額と当期利益から計算しています。
**ROEは直前期の当期利益と期初と期末の自己資本額の平均値から計算をしています。
***EBITDA成長率は直前期を基準に過去5年間の年平均成長率(CAGR)を計算しています。

配当性向が高く投資家・株主への還元も重視するコマツ、ROEが高く効率的な経営のキャタピラー、EBITDA成長率が高く成長を志向する三一重工という構図が読み取れそうです。

売上高ランキング

2021年10-12月他の四半期売上高をベースとした建機メーカーランキングでは、1位キャタピラー、2位コマツ、3位三一重工です。2020年度の順位と比べ、大きな変更はありません。⇒参照したデータの詳細情報

建機業界の売上高ランキング(四半期ベース)
建機業界の売上高ランキング(四半期ベース)
*2021年10-12月の建機事業売上高
**2021年7-9月の建機事業売上高
***2021年11月-2022年1月の建機事業の売上高

市場規模

建設機械業界の2021年の世界市場規模を1500億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。

調査会社グランドビューリサーチによると、2021年度の同業界の市場規模は1129.8億ドルとなります。2030年にかけて、年平均3.9%での成長を見込みます。
調査会社グローバルマーケットインサイツによると、2021年の同業界の市場規模は1500億ドルです。2028年にかけて年平均5%での成長を見込みます。
調査会社リポートリンカーによると、2020年の同業界の市場規模は1296億ドルとなります。2020年から2027年にかけて年平均3.3%での成長を見込みます。
調査会社のアライドマーケットリサーチによると2019年の同業界の規模は1845億ドルです。2020年から2027年にかけて4.3%での成長を見込みます。
調査会社フリードニアによれば、同業界の2019年の規模は、2180億ドル(約23兆円)と予測されています。地域別の内訳は、中国と米国市場が最大で概ねそれぞれ30%程度の規模、次に欧州、インド、日本となります。種類別では油圧ショベルの割合が最も大きくなります。
調査会社のグランビューリサーチによれば、同業界の2019年の市場規模は1247億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

建機の推定市場規模予想成長率
2021年1130~1500億ドル3.9~5%
2020年1500億ドル3-4%
2019年2180億ドル4%
推計した建機の世界市場規模の推移©ディールラボ

建機業界の主要M&A

売上高企業価値倍率で見ると平均は1.5倍程度と計算されます。

発表年買収者売手対象会社企業価値通貨売上高倍率(倍)
2007ビュサイラスDBT
2008中連重科CIFA
2011キャタピラービュサイラス88億ドル3.2
2012三一重工プツマイスター6億ユーロ0.9
2013フィアット・インダストリアCNHグローバル1.6
2016コネクレーンズテレックステレックス
MH事業
11億ユーロ0.8
2016コマツジョイグローバル37億ドル1.2
2016日立建機ブラッドケン8.5億豪ドル1.1
2017ジョンディアヴィルトゲン家ヴィルトゲン46億ユーロ1.8
2019タダノテレックスデマーグ2.1億ユーロ0.4
2022伊藤忠・JIP日立製作所日立建機1,0020億円1.2
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算(⇒参照したデータの詳細情報)©ディールラボ

建機の種類

建設機械とは、建設現場において土砂の掘削、運搬などを行う機械であり、油圧ショベル、ブルドーザ、ダンプカーなどの種類があります。

世界の主要建機・クレーンメーカー一覧

Caterpillar(キャタピラー)

Caterpillar(キャタピラー)は1925年に設立された米国に本社を置く世界最大の建機・重機メーカーです。CATの愛称と建機における黄色の配色が特徴です。資源開発や建設工事向けの建機、鉱山機械、船舶エンジンなどを手掛けます。部品交換などのサポート体制が充実している点に強みがあります。リアルタイムのデータ収集はProduct Linkで展開しています。さらに詳しく

コマツ

1921年に銅山経営の竹内鉱業の機械製造部門から独立して誕生した日本を代表する建機メーカーです。「ダントツ」経営で、Caterpillar(キャタピラー)とグローバルで真っ向勝負をしています。建機の稼働時間等を遠隔モニターできるシステム(KOMTRAX)等で世界市場を開拓しました。2016年鉱山機器大手の米国ジョイグローバルを買収しました。コマツの強い鉱山の露天掘りとジョイの強い坑内掘りの相乗効果を狙っています。さらに詳しく

Terex Corporation(テレックス)

Terex Corporation(テレックス)は、旧GM(ジェネラル・モーターズ)の建機・特殊車両部門です。高所作業車、建設用クレーン、バルク材運搬機、道路舗装機の製造販売に強みがあります。2016年にフィンランドのKonecranes(コネクレーンズ)にマテリアルハンドリング事業を売却しました。2019年にドイツのデマーグをタダノに売却しました。さらに詳しく

Konecranes(コネクレーンズ)

Konecranes(コネクレーンズ)は、フィンランドに本拠を置く港湾用搬送機・クレーンメーカーです。エレベーター大手のコネから1994年に分社化独立しました。天井クレーン、コンテナハンドリング装置、港湾用クレーンなどに強みを持ちます。同じく2005年に分社化された荷役機器大手のCargotec(カーゴテック)とは同根です。2016年に米国の建機大手であるテレックスよりマテリアルハンドリング事業を買収しました。2021年にカーゴテックとの合併を発表しました。さらに詳しく

日立建機

1970年に設立された日本を代表する大手建機メーカーです。日立製作所の上場関連会社でもあります。油圧やミニショベル、ホイールローダー、破砕機、建機向けのアタッチメント、道路機械、マイニング機械やダンプの製造・販売を手掛けています。2016年に豪州の鉱山機器向け消耗品に強みを持つブラッドケンや米国の鉱山機械部品を手掛けるH-Eパーツを買収しました。2022年に伊藤忠と日本産業パートナーズが日立製作所より日立建機持分の26%を買収しました。さらに詳しく

日立製作所について

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく

Volvo Group(ボルボ・グループ)

Volvo(ボルボ)グループは、スウェーデンに本拠を置くトラック・建機メーカーです。1928年にトラックメーカーとして設立されて以降、現在もトラックの売上がグループ全体の約60%超を占めるなど、最大の事業部門となっています。さらに詳しく

CNH Industrial(CNHインダストリアル)

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。
建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化上場をしました。さらに詳しく

Deere(ディア)

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)は、1837年に創業された米国を代表する世界最大級の農機具メーカーです。グリーンのボディにイエローのホイールのトラクターとジョンディア (John Deere) の愛称で親しまれている老舗です。
現在では超高級車で知られているランボルギーニ社も、祖業はトラクターであり、現在でも販売をしています。トラクターの他に、コンバイン、プランター、ベーダ―、フォークリフト、スキッダー、バックホーローダー、ブルドーザー、トランスミッション等も手掛けています。1000ヘクタール以上の農場向けの500馬力トラクターでは他社の追随を許しません。さらに詳しく

Liebherr(リープヘル)

独大手建機メーカーです。未上場で同族経営が特徴です。スイスの持ち株会社がグループを統括しています。クレーン分野では世界最大級です。

Zoomlion(中連重科、ズームリオン)

Zoomllionは、1992年に設立された湖南省系の建機大手です。コンクリートポンプ、ミキサー車といったコンクリート用機械とクレーンに強みを持ちます。2008年にイタリアのコンクリート機器メーカーであるCIFA(シーバ)を買収し、世界展開を加速しています。

Sany(三一重工)

中国長沙に本拠を置く大手の建機会社です。中国国内ではコマツやキャタピラーと競っています。特にコンクリートポンプに強く、同社のコンクリートポンプ車が福島の原子炉建屋内の使用済み燃料貯蔵プールや原子炉に放水する際に使用されました。起重機、切削機、路面舗装設備、油圧プレス機なども手掛けています。ドイツのコンクリートポンプ大手のプツマイスター(Putzmeister Holding GmbH)を買収しました。

XCMG(徐工集団)

XCMGは1989年に設立された中国政府系の大手建機メーカーです。巻上機、掘削機、コンクリート機械、鉱山機械、ソイルショベルおよび輸送機械、道路機械、特殊車両、航空作業機械、杭打ち機、トレンチレス機械、トンネル機械、環境保護機械、消防機械、エネルギー掘削および鉱山機械などの製造販売を行っています。

タダノ

日本を代表するクレーンメーカーです。オールテレーンクレーンやラフテレーンクレーン等の建設用クレーンに強みを持ちます。大型クレーンの強化のために、米建機大手テレックスから、欧州に強い「Demag(デマーグ)」ブランドのクレーン事業を2019年に買収しました。2020年にドイツのデマーグとファウンが法的整理の手続きを申請しました。

Manitowoc(マニトワック)

1902年に設立された米国に本拠を置くクレーン大手です。Grove、Manitowoc、National Crane、Potain、Shuttleliftのブランド名でクローラクレーン及びブームトラックを製造販売しています。ニューヨーク証券取引所に上場しています。

参照したデータの詳細情報について


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