工場等で稼働する荷役運搬機械(フォークリフト)業界の世界市場(マーケット)シェア、ランキング、市場規模、再編について分析をしています。キオン、三菱ロジネクスト(旧ニチユ三菱)、豊田自動織機、ハイスターエール、ユングハインリッヒといったフォークリフト大手の概略や動向も掲載しています。
なお、フォークリフト単体の数値が非開示の企業については本ランキングの対象外としております。
【フォークリフトとは】
フォークリフトの主要パーツ
フォークリフトを安全かつ効率的に稼働させるための主要な構成パーツには、荷物を支える「フォーク」や「バックレスト」、昇降を担う「リフトチェーン」や「マスト」、運転者を保護する「ヘッドガード」、車体の傾きを調整する「ティルトシリンダ」が含まれます。また、走行や制動を支える足回りとして「タイヤ」、各種フィルター類(「オイルエレメント」「エアエレメント」「フューエルエレメント」)、制動・駆動系統の「ブレーキシュー」「ディスクパッド」「ブレーキホイルシリンダー」「キングピンキット」「オイルシール」が重要です。
さらに、近年の環境対応や電動化の波において不可欠な「大容量バッテリー」や、各種制御・配電を担う「ワイヤー類」など、多岐にわたる精密な部品が組み合わさって成り立っています。
世界のフォークリフトの分類(Industrial Truck Association / ITA基準)
米国産業車両協会(ITA)の公式分類では、動力源や構造、利用環境に応じて以下の全7つのクラスに大別されます。
- Class 1(Electric Motor Rider Trucks):大型のバッテリーを動力源とするカウンターバランス型の電動フォークリフトです。車載バッテリー自体が重し(カウンターバランス)の役割も兼ねます。主に屋内で使用され、排出ガスが出ないため食品倉庫や流通センターの標準となっています。
- Class 2(Electric Motor Narrow Aisle Trucks):限られたスペースや狭い通路(ナローアイル)での高所ラック作業に特化したバッテリー式の倉庫向けフォークリフトです。リーチトラックや、オペレーターが搭乗して高所ピッキングを行うオーダーピッカーなどがこれに該当します。
- Class 3(Electric Motor Hand / Hand-Rider Trucks):電動のハンドパレットトラックやスタッカー、牽引用のトウトラクターが含まれます。作業者が歩きながら操作する「ウォークie型」や、立ち乗りして短距離の運搬・積載を行うモデルが中心で、小売店舗や積卸し現場で幅広く活用されています。
- Class 4(Internal Combustion Engine Trucks – Cushion Tires):ガソリン、LPG(液化石油ガス)、圧縮天然ガス(CNG)などの内燃機関(エンジン)を搭載し、硬質ゴム製のクッションタイヤ(ノーパンクタイヤ)を装着したシットダウン(座り乗り)型のフォークリフトです。主に屋内の平滑な床面環境で使用されます。
- Class 5(Internal Combustion Engine Trucks – Pneumatic Tires):エンジンを動力とし、空気入りタイヤ(または高耐久なソリッドニューマチックタイヤ)を装着したカウンターバランス型フォークリフトです。主に屋外の舗装されていないヤードや建設現場などのタフな環境で運用されます。
- Class 6(Electric and Internal Combustion Engine Tractors):荷物を垂直に持ち上げるリフト機構を持たず、荷台やコンテナ等を「牽引」することに特化したトラクター車両です。空港での手荷物搬送や、自動車工場などの巨大な組立ラインの部品搬送で重宝されています。
- Class 7(Rough Terrain Forklift Trucks):不整地や未舗装の建設現場、木材置場などの過酷な屋外環境を走行するため、大型のトラクター風タイヤと高トルクなディーゼルエンジンを備えた不整地用フォークリフトです。垂直マストタイプに加え、伸縮ブームを備えた変則リーチタイプなども含まれます。
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
物流革命
日本型ロジスティクス4.0
「水素エネルギー」で飛躍するビジネス
建設機械・建機業界の市場シェアの分析
マテハン(マテリアルハンドリング)業界の世界市場シェアの分析
【イラスト付き】市場占有率とは?意味や目標数値まで解説!
【フォークリフト業界の世界市場シェア】
フォークリフト業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年のフォークリフト業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は豊田自動織機、2位はキオングループ、3位はユングハインリッヒとなります。
.png)
| 順位 | Company name(English) | 企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Toyota Syokki | 豊田自動織機 | 23.48% |
| 2位 | KION Group | キオングループ | 11.88% |
| 3位 | JUNGHEINRICH | ユングハインリッヒ | 7.90% |
| 4位 | Crown Equipment | クラウン・エクイップメント | 6.51% |
| 5位 | Hyster-Yale | ハイスターエール | 4.63% |
| 6位 | Manitou | マニトウ | 3.68% |
| 7位 | Anhui Heli | ヘリ | 3.56% |
| 8位 | Hangcha | ハンチャ | 3.05% |
| 9位 | Lonking Forklift | 龍工 | 2.02% |
| 10位 | Mitsubishi Loginext | 三菱ロジネクスト | 0.49% |
日本の豊田自動織機が2位のキオンを大きく引き離し、圧倒的な1位をキープしています。豊田自動織機はオランダのファンダランデ(Vanderlande Industries B.V.)や米バスティアン(Bastian Solutions, Inc.)を買収し、フォークリフト単体の枠を超えて相乗効果を生み出すマテリアルハンドリング分野を強力に推し進めています。
これに続く2位のキオングループは、中国のWeichai Power(潍柴動力)からの出資を受け入れながら、米デマティック(Dematic)の買収などを通じてグローバルな事業基盤の強化を図っています。3位のドイツのユングハインリッヒも、ドイツのISI AutomationやコロンビアのAgencia Alemanaを買収するなど、オートメーションソリューションの拡充に余念がありません。上位勢によるこうした積極的な事業強化の姿勢が非常に印象的です。
さらに、4位以下の顔ぶれや動向も見逃せません。4位には独自の堅実な製品開発力と販売網を持つ米国のクラウン・エクイップメントがつけ、5位にはグローバルに産業用車両を展開するハイスターエールが続いています。6位のマニトウはフランスを拠点に、ラフテレーンフォークリフトや建設・農業向けの資材取り扱い機器で強みを発揮しています。
また、7位の安徽ヘリ、8位のハンチャ、9位の龍工といった中国勢が巨大な内需を背景に存在感を放ち、グローバル市場での展開を加速させています。そして10位には、日本の総合物流機器メーカーである三菱ロジネクストが位置しています。
このように、フォークリフトの大手メーカーたちは単にハードウェアの規模や販売台数を競い合う時代から、M&Aや技術提携を駆使してサプライチェーン全体を見据えた「ロジスティックソリューション分野」や「自動化」の強化へと、明確なかじを切っていると言えます。
【フォークリフト業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年のフォークリフト業界の市場規模を814億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社グランドビューリサーチによると、2025年の同業界の市場規模は814億ドルです。2026年から2033年にかけて年平均12.7%で成長し、規模は2,126億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2025 | 814億ドル | – |
| 2026 | 918億ドル | – |
| 2033 | 2,126億ドル | 12.7% |

【M&Aの動向】
2006年 KKRとゴールドマンサックの投資ファンドがドイツの工業用ガス大手のリンデからキオンを買収
2011年 産業革新機構が日産自動車と日立建機からフォークリフト子会社を買収し、ユニキャリアを設立
2012年 Shandong Heavy Industry (山東重工業)傘下の中国のエンジンメーカーWeichai Power(潍柴濰柴動力股份有限公司がキオンの株式を取得
2012年 米国のNACCOがフォークリフト事業をHyster-Yaleとして分社化
2012年 豊田自動織機が米国のフォークリフト用アタッチメントの製造・販売の世界最大手のカスケード社を買収
2015年 ユニキャリアをニチユ三菱フォークリフトとその親会社の三菱重工が共同買収
2018年 Hyster-Yale Materials Handling, Inc.、Zhejiang Maximal Forklift Co., Ltd.の支配権取得を完了
2021年 豊田自動織機の米国子会社であるCascade Corporationは、フォークリフト用荷役機器の生産・販売を行うLift Technologies,Inc.(米国)およびLift-Tek Elecar S.p.A.(イタリア)の全株式を取得し、完全子会社化
2021年 キオングループはHans Joachim Jetschke Industriefahrzeuge (GmbH & Co.) KGを買収
2023年 Jungheinrich AG がストレージ ソリューション グループを買収
2023年 マニトウ グループは、機械溶接部品の製造を専門とする会社 COME S.R.L の 75% と、レーザー切断を専門とする会社 Metal Work S.R.L の 75% を取得
2024年 豊田自動織機は、子会社のVanderlande 社が、Siemens社の子会社Siemens Logistics社の発行済株式100%を取得
2025年 マニトウ、シティアのロボット事業の買収
【会社の概要】
KION GROUP AG(キオン グループ)
ドイツに本拠を置く大手フォークリフトメーカー。2006年に独産業ガス大手リンデのグループからKKRとゴールドマン・サックスが買収し、2012年にフランクフルト証券取引所に上場しました。現在は中国のエンジンメーカーであるWeichai Power(山東重工業傘下)が筆頭株主です。2016年にマテリアルハンドリング大手のDematicを買収しており、Linde Material Handling、STILL、Fenwick、OM STILL、Baoli、Voltasなどのブランドで世界展開しています。さらに詳しく
Toyota Industries Corporation (株式会社豊田自動織機)
1926年設立のトヨタ自動車工業の源流系企業。自動車エンジン、カーエアコン用コンプレッサー、カーエレクトロニクス、産業車両(フォークリフト)やマテリアルハンドリング事業が主軸です。キオンとともに業界首位を競っており、2012年に米国のカスケード社、2014年に台湾のTailiftを買収。2017年には米国のバスティアンやオランダのファンダランデを買収しています。さらに詳しく
Hyster-Yale, Inc(ハイスターエール、旧Naccoナコ)
米国の大手フォークリフトメーカー。日本では住友重機械と提携し住友ナコとして運営しており、ニューヨーク証券取引所に上場しています。2012年にNacco Materials Handling Groupよりスピンオフして独立しました。Hyster、Yale、UTILEVのブランドで世界展開しています。さらに詳しく
JUNGHEINRICH AG(ユングハインリッヒ AG)
ユングハインリッヒ家がオーナーであるドイツの大手フォークリフトメーカー。フランクフルト証券取引所に議決権のない株式を上場しており、三菱ロジネクストと独占販売契約を締結しています。さらに詳しく。
Crown Equipment(クラウン・エクイップメント)
1945年創業の米国オハイオ州に本拠を置く非上場フォークリフトメーカーです。さらに詳しく
Manitou(マニトウ)
フランスの大手フォークリフトメーカー。フランス国内で豊田自動織機と提携しており、ユーロネクスト証券取引所に上場しています。さらに詳しく
Mitsubishi Logisnext Co., Ltd. (三菱ロジネクスト株式会社、旧ニチユ三菱フォークリフト株式会社)
エンジン式に強い三菱重工業のフォークリフト部門とバッテリー式に強いニチユが統合し、その後2015年にユニキャリアとの経営統合を発表して誕生しました。
三菱重工について
1884年創業の日本を代表する重工業グループであり、三菱グループの中核企業の1社。戦前は軍産複合体として戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け世界最高水準の技術力を維持し、戦後は民間向けの重工分野(発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器など)の製造販売を行っています。さらに詳しく
Unicareer (ユニキャリア)
日産自動車のフォークリフト部門と日立建機のフォークリフト子会社TCMが統合して誕生(産業革新機構が筆頭株主)。2014年に旧日産ディーゼルよりディーゼルエンジン事業を買収し、2015年にニチユ三菱フォークリフトとの経営統合を発表しました。さらに詳しく
Komatsu Lift (コマツリフト)
重機大手コマツ傘下のフォークリフト子会社でしたが、2018年にコマツ本体と合併しました。
コマツについて
1921年に竹内鉱業の機械製造部門から独立して誕生した日本を代表する建機メーカー。「ダントツ」経営を掲げCaterpillarとグローバルで競合し、建機の遠隔モニターシステム(KOMTRAX)などで世界市場を開拓しました。2016年には米国の鉱山機器大手ジョイグローバルを買収し、露天掘りと坑内掘りの相乗効果を狙っています。さらに詳しく
Anhui Heli Co., Ltd. (安徽合力、アンホイヘリ、安徽合力股份有限公司)
1958年創業の安徽省合肥に本拠を置く中国最大のフォークリフトメーカー。上海証券取引所に上場しており、Heliブランドで展開しています。さらに詳しく
Godrej Material Handling(ゴドレジマテリアルハンドリング)
インド最大級のフォークリフトメーカーです。白物家電等を製造販売するインド中堅のゴドレジ財閥のグループ企業です。
Hangcha Group(ジャージアン・ハンチャ、浙江省ハンチャ、浙江杭叉)
浙江省杭州市に本拠を置く中国大手フォークリフトメーカー。Hangchaブランドでフォークリフトを販売しています。さらに詳しく
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
農機・農業機器メーカーの世界市場シェアの分析
農業・畜産業・漁業・林業の分野でM&A対象となる会社の分析
芝刈り機・草刈り機業界の市場シェアの分析
電動工具業界の世界市場シェアの分析
建設機械・建機業界の市場シェアの分析
