マテハン(マテリアルハンドリング)業界の世界市場シェアの分析
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マテハン(マテリアルハンドリング)業界の世界市場シェアの分析

自動倉庫、台車、仕分機やコンベヤといったマテリアル・ハンドリング業界の世界市場シェアや市場規模の情報を分析しています。ダイフク、シェーファー、キオン(デマティック)、豊田自動織機(ファンダランデ)等の主要マテハン会社の概要や動向も掲載しています。

【マテリアル・ハンドリングとは】

工場や物流拠点内における全てのモノ(原材料、製品、半製品)の移動やロジスティクスを総称してマテリアル・ハンドリングといいます。特徴としては、顧客が物流会社や製造会社等多岐に亘り、さらに設置環境毎に製品仕様をカスタマイズする必要があるため、統合による規模のメリットを追求しにくい業界です。

【マテリアルハンドリング業界とは】

マテリアルハンドリング業界とは、生産拠点や物流拠点での原材料や半製品、製品といった「モノの移動」に関する取り扱いを指します。製造業ではFA(生産工程の自動化)に関わり、「生産性の向上」と「ヒューマンエラーの削減」といった業務効率化・省人化の推進手段として需要が高まっています。

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【市場シェア】

マテリアルハンドリング会社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のマテリアルハンドリング業界の世界市場シェアを簡易に試算しますと、1位はダイフク、2位はキオン、3位は豊田自動織機となります。

マテリアルハンドリング業界の市場シェア(2022年)

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 ダイフク 2.21%
2 キオン 1.95%
3 豊田自動織機 1.68%
4 村田機械 1.34%
5 ハネウェル 1.13%
6 クナップ 1.03%
7 SSIシェーファー 0.93%
8 メカルックス 0.76%
9 ウィトロン 0.58%
10 ボイマー 0.52%

【市場規模】

当サイトでは、マテリアルハンドリング業界の市場規模を2070億ドルとしております。参照した統計データは次の通りです。

調査会社のグランビューリサーチによれば、2021年の同市場規模は2133億ドルです。2030年にかけて5.7%での成長を見込みます。

調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば、同業界の2022年の世界市場規模は2161億ドルです。2030年に向けて年平均5.7%の成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

【M&Aの動向】

ダイフク 

・2019年、インドの物流システム企業Vega社を買収

・2019年、空港向けデジタル事業の強化へ ソフトウェア関連企業のオランダScarabee社およびオーストラリアIntersystems 社を買収

・2019年、独・AFT Industries AGが業務提携契約を締結

キオン

・2020年、ドイツ・物流システムインテグレーターのviastore(ヴィアストア)社を300億円規模にて買収。

・2021年、英国のソフトウェア会社デジタル・アプリケーションズ・インターナショナル・リミテッド(DAI)の株式100.0%を1億1,030万ユーロで取得。

SSI SCHAEFER

・2022年、SSI SCHAEFER社が移動ロボットメーカーDS AUTOMOTION社の株式を完全取得。

【会社の概要】

ダイフク(Daifuku)

ダイフクは日本のマテリアルハンドリングメーカーです。薬品、食品などの工場で保管・搬送・仕分け・ピッキングを全自動で行えるシステムや機器を提供しています。半導体や液晶製造工場でのクリーンルーム対応の保管・搬送システムも強みです。自動車の製造工程や空港の手荷物搬送(バゲッジハンドリング)も行っています。

SSI Schaefer Group(シェーファー)

1937年に創業したドイツの大手自動搬送機メーカーです。Schaefer一族が支配する非公開会社です。自動化のソフトウェアからピッキングシステムまで工場内の自動化・効率化に包括的に対応できる体制を整えています

MECALUX(メカルックス)

スペインに本拠を置く大手自動搬送機メーカーです。自動倉庫システムに強みを持ちます。

村田機械(Muratec)

日本の大手マテリアル・ハンドリング・メーカーです。非上場会社です。

キオン/Dematic(デマティック)

Dematic(デマティック)はドイツに本拠を置く自動搬送機の大手会社です。投資会社のAEAに買収されたのち、フォークリフト業界大手のキオンが買収しました。キオンは、フォークリフトを納入している工場での、搬送の自動化等をディマティックと行っています。

Kion(キオン)について

Kion(キオン)はドイツに本拠を置く大手フォークリフトメーカーです。2006年に独産業ガス大手のリンデ(Linde)グループよりKKRとゴールドマンサックスが買収後、2012年にフランクフルト証券取引所に上場しました。
現在はShandong Heavy Industry (山東重工業)傘下の中国のエンジンメーカーWeichai Power(潍柴濰柴動力股份有限公司)が筆頭株主です。
2016年にマテリアルハンドリング大手のDematicを買収しました。Linde Material Handling (リンデ・マテリアル・ハンドリング)、STILL(スティル)、Fenwick(フェンウィック)、OM STILL(オー・エム・スティル)、Baoli(バオリ)、Voltas(ヴォルタス、インドの大手地場フォークリフトメーカー)等のブランドで世界展開しています。さらに詳しく

豊田自動織機/VanDerLande(ファンダランデ)

ドイツに本拠をおくマテリアル・ハンドリング大手メーカーです。かつて日本のダイフクと資本提携していましたが、2017年に豊田自動織機が買収しました。

豊田自動織機について

1926年に設立されたトヨタ自動車工業の源流系企業です。自動車のエンジンやカーエアコン用コンプレッサー、カーエレクトロニクス(DC-ACインバーター)、産業車両(フォークリフト)やマテリアルハンドリング事業が主軸です。
フォークリフトでは独Kion(キオン)とともに業界首位を競っています。2012年米国のフォークリフト用アタッチメントの製造・販売の世界最大手のカスケード社を買収しました。2014年には台湾に本拠を置くフォークリフトメーカーのTailift(タイリフト、台湾)を買収しています。2017年にはマテハン業界大手の米国のバスティアンやオランダのファンダランデを買収しました。さらに詳しく

KARDEX(カーデックス)

スイスに本拠をおく自動運搬機器メーカーです。日本ではアルテック社と組み、縦型リフト式 自動収納庫などを展開しています。

Konecranes(コネクレーンズ)

Konecranes(コネクレーンズ)は、フィンランドに本拠を置く港湾用搬送機・クレーンメーカーです。エレベーター大手のコネから1994年に分社化独立しました。天井クレーン、コンテナハンドリング装置、港湾用クレーンなどに強みを持ちます。同じく2005年に分社化された荷役機器大手のCargotec(カーゴテック)とは同根です。2016年に米国の建機大手であるテレックスよりマテリアルハンドリング事業を買収しました。2021年にカーゴテックとの合併を発表しました。さらに詳しく

ハネウェル/Intelligrated(インテリグレイテッド)

米国に本拠を置くマテリアル・ハンドリング大手です。投資会社のPermiraが買収後、ハネウェル傘下へとなりました。

ハネウェルについて

ハネウェル(Honeywell)は1886年に設立された米国に本拠を置く複合企業です。航空機エンジンや電子制御機器、自動化機器、特殊素材分野、自動車部品等幅広く展開しています。ビルディング・オートメーションやターボチャージャーの分野では世界大手の1社です。2017年にターボチャージャー事業と住宅向け空調機器、火災報知器事業を分社化しました。さらに詳しく

Knapp(クナップ)

オーストリアに本拠をおく1952年に設立された倉庫内物流・オートメーション大手会社です。欧州を中心とした薬品や化粧品卸向けピッキングシステムに強みを持ちます。ダイフクと提携をしています。

Fives Group(フィブグループ)

2001年創業のフランスのマテリアル・ハンドリング大手です。仏保険大手のAXA傘下の投資会社が買収しました。

Witron GmbH(ヴィトロン)

ドイツに本拠を置く大手自動搬送機メーカーです。

Swisslog(スイスログ)

ドイツの産業用ロボットメーカーKUKA傘下の自動搬送機メーカーです。

Beumer(ボイマー)

1935年に設立されたドイツの大手マテハン会社です。搬送、荷役、パレット、包装、仕分け、配送を手掛けています。非公開会社です。

シーメンスロジスティクス

シーメンスのマテリアルハンドリング子会社です。

シーメンスについて

シーメンス(Siemens AG)は、ドイツのミュンヘンに本拠を置く大手総合電機メーカーです。1847年に、ヴェルナー・フォン・ジーメンス (Werner von Siemens) によって設立されました。世界初の電車を製造したことでも有名です。事業範囲は電力、交通システム、家電、医療等と社会インフラ全般に及びます。事業のポートフォリオを組み替えながら、モノ作りのデジタル化や産業機器のIoT化を含むインダストリー4.0を提唱し、強力に推進しています。米国のライバルであったGEと同じように再編を通じて、その時々の社会ニーズに即した組織体を作り上げる柔軟性のある経営を行っています。鉄道車両はグループ内のモビリティ事業本部が担当しています。ICEで知られるドイツの高速鉄道も手掛けています。2017年には鉄道車両部門でアルストムと経営統合を発表しましたが、2019年に欧州委員会がアルストムとの経営統合を承認せず遂行されませんでした。鉄道信号にも強みを持ち、上位株主には、象徴としてのシーメンス家が引き続き残っています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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