農機(農業機器)業界

農機業界の世界シェア、市場規模、業界再編を分析しています。ディア、CNH、アグロ、クボタ、クラース、マヒンドラ等の主要農機メーカー概要も掲載しています。

農機メーカーの世界市場シェア


「農業機械メーカーの世界売上高ランキング(2020年版)」の2019年農機メーカーの売上高ランキングから農機業界の市場シェアを計算しました。
市場シェアの計算にあたり参照にした農業機械の世界市場規模は市場規模の推測の欄をご参照下さい。1位は米国のディア、2位は日本のクボタ、3位はイタリアのCNHインダストリアル、4位はアグコとなっています。2018年と変更ない不動のトップ4である四天王健在です。

農業機械メーカーの2019年売上高世界市場シェア

1位 ディア・アンド・カンパニー 22.5%
2位 クボタ 13.9%
3位 CNHインダストリアル 10.4%
4位 アグコ 8.6%
5位 クラース・グループ 4.1%
6位 ヤンマー 3.9%
7位 マヒンドラ・マヒンドラ 2.1%
8位 井関農機 1.3%
9位 SDF 1.3%
10位 トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント 1.2%
11位 ファーストトラクター 0.8%
12位 アルゴ 0.4%

1位はディアです。2位のクボタは機械事業というセグメントでのみ情報開示をしているため、クボタには建機の売上高が含まれているのですが、それでも1.5倍以上の規模です。クボタは、稲作には圧倒的な強さを見せるものの、畑作向け農機で如何に欧米勢と競い合うかがポイントです。3位のCNHインダストリアルはフィアット傘下です。
1-4位は5位以下の売上の2倍の差をつけています。農機は、地域ごとの特性にあった機種(日本だったら稲作、ヨーロッパだったら畑作)を開発する必要があり、またメンテナンス等への対応力が問われるビジネスモデルです。グローバルな拠点を効率よく構築している点が四天王の強さと言えるでしょう。
5位のクラークスや6位のヤンマーは規模では劣るものの、欧州では圧倒的なブランド力があります。7位はインド最大手のマヒンドラが、10位にはインド2位のトラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント、11位には中国のファーストトラックが入ってきており、新興国メーカーも追い上げて来ています。

(参照)
なお、2018年農機メーカーの市場シェアは以下の通りです。農業機械メーカーの2018年売上高世界市場シェア(業界ランキング研究所の農業機械メーカーの世界売上高ランキング(2019年版)より作成しています。)

1位 ディア 17%
2位 クボタ 10%
3位 CNHインダストリアル 8%
4位 アグコ 7%
5位 クラース 3%
6位 ヤンマー 3%
7位 トロカンパニー 2%
8位 マヒンドラ 2%
9位 SDF 1%
10位 井関農機 1%

農業機器業界の再編の歴史

ディア、アグコ、クボタ、CNHなどの農機メーカーが積極的に海外事業や周辺領域の拡大のための買収を行っています。

2007年 DeereによるLescoの買収

2007年 Deereによる中国のNingbo Benye Tractor & Automobile Manufactureの買収

2008年 DeereによるイスラエルのPlastro Irrigation Systemsの買収

2010年  AGCOによる英Sparexの買収

2011年 クボタによるノルウェーのクバンランドの買収

2011年 AGCOによるGSI Groupの買収(約928百万ドル)

2012年 AGCOによるブラジルのSantal Equipamentosの買収

2014年 CNH Industrialによる米Miller-St. Nazianzの買収

2016年 クボタによるグレートプレーンズマニュファクチュアリングの買収

農機の種類

農業機器の種類には色々ありますが、トラクタ、田植え機、管理機、防除機とコンバインの5種類が主要農機です。

トラクタは作業機をつけることで、様々な農作業を行うことができる万能農機です。
稲等の植え付けに役に立つのは田植え機です。
ミニ耕うん機とも言われ、土を耕したり、溝を作ったりする時に使用する管理機です。
除草作業、草刈等に活用されるが防除機です。
最後に、稲等の刈り取り・脱穀を行うのがコンバインです。

市場規模の推計

Allied Market Research社によれば2019年の農機市場の規模は1050億ドルです。

同社によれば、2018年の市場規模は1025億ドルです。
The farm equipment market is projected to reach USD 132.50 billion by 2025 from USD 102.49 billion in 2018, at a CAGR of 4.04% during the forecast period.

世界の主要農機メーカーの一覧

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)

米国に本拠を置く世界最大の農機メーカーです。John Deere(ジョン・ディア)ブランドに強みを有します。日本ではヤンマーと業務提携しています。

CNH Industrial(CNHインダストリアル)

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。従業員数は約6万人を超え、65ヶ所超の工場、50超のリサーチ拠点を有し、全世界180ヶ国で事業を展開しています。2017年の売上高は262億ドル、営業利益率は約5.8%です。フィアット創業家が大株主となっています。
事業領域としては、CASEブランドで展開する建設機械、New Holland(ニューホランド)及びCASEブランドで展開する農業機械、商用車・トラックのIveco(イベコ)、旧ルノーの流れを汲むHeuliez Bus(ユーリエ・バス)、IVECO BUS (イベコバス、以前は Irisbus(アイリスバス)ブランド)、1864年から続く老舗消防車メーカーであるMagirus(マギルス)、エンジン・車軸・変速機等を製造するFPT Industrial(フィアット・パワートレイン・インダストリアル)となっています。
なお、CNHグローバルは、1999年にNew Holland(ニュー・ホランド)とCase Corporation(ケース・コーポレーション)が経営統合し誕生しています。

AGCO(アグコ)

米国に本拠を置く大手農機メーカーです。畑作向けの農機に強みを持ちます。

Kubota(クボタ)

日本の最大手農機メーカーです。ノルウェーの農機メーカーのKverneland(クバンランド)や北米の種まき・草刈り機大手のグレートプレーンズマニュファクチュアリング社を買収し、世界展開を強化しています。日本出自の農機メーカーということで、稲作用の農機に強みを持ちます。

CLAAS Group(クラース・グループ)

ドイツに本拠を置く大手農機メーカーです。欧州地域での展開に強みを持ちます。非上場です。

Mahindra & Mahindra(マヒンドラ・マヒンドラ)

インドに本拠を置くコングロマリットです。農機分野ではインド最大手です。

First Tractor(第一拖拉机股份有限公司)

YTO Group Corporation(中国一拖集团有限公司)傘下の中国最大手農機メーカーです。

ARGO Tractors Group(アルゴ・トラクターズ・グループ)

イタリアに本拠を置く大手農機メーカーです。非上場会社です。

Tractors and Farm Equipment Limited(トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント)

インドに本拠を置く大手農機メーカーです。非上場会社です。

SDF

イタリアに本拠を置く農機メーカーです。 DEUTZ-FAHR(ドイツファール)、Lamborghini Trattori(ランボルギーニ・トラットリーチ)、Hurlimann(ヒューリマン)、SAME等のブランドで農機を展開しています。SDFはSAME DEUTZ-FAHRの略です。

Toro(トロ)

1914年に設立された米国に本拠をおく芝刈り機メーカーです。芝刈り機以外にも掘削機、除雪向けのスプレッダー、ボーリングマシン、屋外照明機器、スプリンクラー等を製造販売しています。

Agrostroj

チェコの農機メーカーです。2018年の売上高は246百万ユーロです。

YTOグループ

中国の国有建機・農機メーカーであるSinomach(China National Machinery Industry Corporation、国机集団)傘下の農機メーカーです。2020年までに70億元の売上を目指しています。

JCバンフォード・エクスカベターズ (J. C. Bamford Excavators)

1945年に設立されたイギリスの建機・農機メーカーです。

主要な業界団体

Farm Equipment Manufacturers Association
一般社団法人日本農業機械化協会
日本農業機械工業会

農業機器業界の参考書籍

日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活 (講談社+α新書) [新書]
農業機械の構造と利用 (農学基礎セミナー) [単行本
農業機械入門 (基礎シリーズ) [単行本]

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