農機・農業機器メーカーの市場シェア・売上高ランキング・市場規模・業界再編の分析

農機業界の世界シェア・売上高ランキング・市場規模・業界再編について分析をしています。ディア、CNH、アグロ、クボタ、クラース、マヒンドラといった主要農機メーカーの概要や動向も掲載しています。

市場シェア

2021年度の農機メーカー各社の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分母に、同業界の世界市場規模を分母にして、農機業界の2021年の市場シェアを簡易に算定すると、1位は米国のディア、2位はイタリアのCNHインダストリアル、3位は日本のクボタ、4位はアグコとなっています。2020年はコロナ禍で各社とも売上が伸び悩みましたが、2018、2019年と変わらない不動のトップ4は健在です。

農業機械メーカーの売上高世界市場シェア(2021年)

順位会社名市場シェア(2021年)
1位ディア・アンド・カンパニー16.1%
2位CNHインダストリアル9.4%
3位クボタ8.2%
4位アグコ7.1%
5位ヤンマー4.4%
6位クラース・グループ3.5%
7位マヒンドラ・マヒンドラ1.6%
8位ファーストトラクター1.0%
9位井関農機0.9%
10位SDF0.8%
11位トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント0.6%
12位アルゴ0.3%
農業機械メーカーの売上高世界市場シェア(2021年)

農機業界の市場シェア(2021年)
農機業界の市場シェア(2021年)

1位はディアです。2位のCNHインダストリアルは建機やトラックも手掛けるイタリアの名門財閥です。3位のクボタは、稲作には圧倒的な強さを見せるものの、畑作向け農機で如何に欧米勢と競い合うかがポイントです。
1-4位は5位以下に引き続き大きな差をつけています。農機は、地域ごとの特性にあった機種(日本だったら稲作、ヨーロッパだったら畑作)を開発する必要があり、またメンテナンス等への対応力が問われるビジネスモデルです。グローバルな拠点を効率よく構築している点が四天王の強さと言えるでしょう。5位にはヤンマーが入りました。海外の会社と決算期が異なることから、同社の売上高は2020年度ベースです。2021年度の決算が反映されていないことに留意が必要です。6位のクラースは規模では劣るものの、欧州では圧倒的なブランド力があります。7位はインド最大手のマヒンドラが、8位には中国のファーストトラクター、11位にはインド2位のトラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメントが入ってきており、新興国メーカーも追い上げて来ています。

順位2018201920202021
1位ジョンディアジョンディアジョンディアジョンディア
2位クボタクボタクボタCNH
3位CNHCNHCNHクボタ
4位アグコアグコアグコアグコ
5位クラースクラースヤンマーヤンマー
農機メーカーの市場シェアの推移 ©ディールラボ

農機市場シェア上位3社の配当性向、ROEと売上高成長率比較

農機ビッグ3の指標比較(2021年度決算ベース)
農機ビッグ3の指標比較(2021年度決算ベース)
*配当性向は直前期の配当額と当期利益から計算しています。
**ROEは直前期の当期利益と期初と期末の自己資本額の平均値から計算をしています。
***売上高成長率は直前期を基準に過去3年間の年平均成長率(CAGR)を計算しています。

概ね市場シェア通りの指標となっています。CNHインダストリアルは複合企業のため、農機以外の事業からの業績への影響があることに留意が必要です。

市場規模

当サイトでは、下記を参照にして、1556億ドルを2021年の農機業界の市場規模としております。

調査会社グランドビューリサーチによると、2021年の同業界の市場規模は1556.8億ドルです。2030年にかけて年平均5%の成長を見込みます。
調査会社グローバルマーケットインサイツによると、同市場規模は2019年に1500億ドルを超え、2020年から2026年に年平均6%以上で成長すると予測されています。
調査会社のアライドマーケットリサーチによれば、2019年の農機市場の規模は1050億ドルです。同社によれば、2018年の市場規模は1025億ドルです。
一方、グランビューリサーチによれば、2019年の同業界の市場規模は1390億ドルです。2025年までに年平均8.9%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

農機市場規模成長率見込み
2021年1556.8億ドル5%
2020年1500億ドル6~9%
2019年1050~1500億ドル
2018年1025億ドル
注)成長率は市場規模推定時点での見込み
農機業界の市場規模の推移©ディールラボ

売上高ランキング

2021年10-12月他の直近四半期売上高をベースとした農機メーカーランキングでは、1位ディア・アンド・カンパニー、2位CNHインダストリアル、3位クボタとなっています。クボタが年間ランキングで巻き返せるか注目です。⇒参照したデータの詳細情報

なお、クラース・グループ、ヤンマー、SDF、トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント、アルゴについては非上場会社などの理由で四半期決算を発表しておらず、売上高ランキングからは除外しております。

農機業界の売上高ランキング(四半期ベース)
農機業界の売上高ランキング(四半期ベース)
*2021年10-12月の売上高
**2021年11月-2022年1月の売上高
*** 2021年7-9月の売上高

M&A(合併・買収・業界再編)

ディア、アグコ、クボタ、CNHなどの農機メーカーが積極的に海外事業や周辺領域の拡大のための買収を行っています。

買収対象会社売手企業価値通貨単位売上高倍率
2007ジョンディアLesco1.3億ドル0.2
2007ジョンディアNingbo Benye Tractor & Automobile Manufacture
2008ジョンディアPlastro Irrigation SystemsGvat1.4億ドル
2010アグコSparexRubicon Partners0.8億ドル2.2
2011クボタクバンランド
Kverneland
16.2億NOK0.7
2011アグコGSI GroupCenterbridge Partners9.3億ドル1.3
2012アグコSantal Equipamentos
2014CNHMiller-St. Nazianz
2016クボタグレートプレーンズマニュファクチュアリング4.3億ドル
2021クボタエスコーツ1400億円
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算(⇒参照したデータの詳細情報)©ディールラボ

農機の種類

農業機器の種類には色々ありますが、トラクター、田植え機、管理機、防除機とコンバインの5種類が主要農機です。トラクターは作業機をつけることで、様々な農作業を行うことができる万能農機です。
稲等の植え付けに役に立つのは田植え機です。ミニ耕運機とも言われ、土を耕したり、溝を作ったりする時に使用するのが管理機です。除草作業、草刈等に活用されるのが防除機です。稲等の刈り取り・脱穀を行うのがコンバインです。
参照:Farm Equipment Manufacturers Association、日本農業機械化協会

農機メーカー概要

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)

Deere and Company(ディア・アンド・カンパニー)は、1837年に創業された米国を代表する世界最大級の農機具メーカーです。グリーンのボディにイエローのホイールのトラクターとジョンディア (John Deere) の愛称で親しまれている老舗です。
現在では超高級車で知られているランボルギーニ社も、祖業はトラクターであり、現在でも販売をしています。トラクターの他に、コンバイン、プランター、ベーダ―、フォークリフト、スキッダー、バックホーローダー、ブルドーザー、トランスミッション等も手掛けています。1000ヘクタール以上の農場向けの500馬力トラクターでは他社の追随を許しません。さらに詳しく

CNH Industrial(CNHインダストリアル)

CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。
建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化上場をしました。さらに詳しく

AGCO(アグコ)

米国に本拠を置く大手農機メーカーです。畑作向けの農機に強みを持ちます。

Kubota(クボタ)

クボタは日本の最大手農機メーカーです。源流は、1890年に久保田権四郎氏によって設立された鋳物メーカーである大出鋳造所まで辿ることできます。コレラ対策のために、水道管の国産化を実現し飛躍しました。
ノルウェーの農機メーカーのKverneland(クバンランド)、北米の種まき・草刈り機大手のグレートプレーンズマニュファクチュアリング社、インドのエスコーツ社を買収し、世界展開を強化しています。日本出自の農機メーカーということで、稲作用の農機に強みを持ちます。農機以外にも、エンジン、建設機械、祖業の各種パイプ(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、スパイラル鋼管などを製造販売しています。
さらに詳しく

CLAAS Group(クラース・グループ)

ドイツに本拠を置く大手農機メーカーです。欧州地域での展開に強みを持ちます。非上場です。

Mahindra & Mahindra(マヒンドラ・マヒンドラ)

マヒンドラグループ(Mahindra)は、1945年に Kailash Chandra Mahindra(K.C.マヒンドラ)、J.C. Mahindra(J.C.マヒンドラ)とMalik Ghulam Mohammed(マリック・グラム・モハメッド)によって設立されたインドを代表する財閥です。当初はマヒンドラ&モハメッドとして創業しましたが、のちにマヒンドラ&マヒンドラへと社名変更しました。
事業の領域は多岐に亘り、航空宇宙産業、農業、自動車、防衛、エネルギー、農機、金融、物流、不動産、自動車、オートバイ等を行っています。グループ全体の売上高は約2兆円、世界で20万人以上の従業員を有しています。中核企業は、自動車と農機で、約7000-8000億円の売上規模となります。現在は、ハーバード・ビジネス・スクールを修了したJ.C.マヒンドラの孫にあたるアナンド・マヒンドラがCEOを務めています。
さらに詳しく

First Tractor(第一拖拉机股份有限公司)

YTO Group Corporation(中国一拖集团有限公司)傘下の中国最大手農機メーカーです。

ARGO Tractors Group(アルゴ・トラクターズ・グループ)

イタリアに本拠を置く大手農機メーカーです。Morraファミリーが保有する非上場会社です。

Tractors and Farm Equipment Limited(トラクターズ・アンド・ファーム・エクイップメント)

TAFEはインドに本拠を置く大手農機メーカーです。非上場会社です。

SDF

1927年に設立されたイタリアに本拠を置く農機メーカーです。 DEUTZ-FAHR(ドイツファール)、Lamborghini Trattori(ランボルギーニ・トラットリーチ)、Hurlimann(ヒューリマン)、SAME等のブランドで農機を展開しています。SDFはSAME DEUTZ-FAHRの略です。

Toro(トロ)

トロ(Toro)は、1914年に設立された米国に本拠をおく芝刈り機・除草機メーカーです。大きく業務用(ゴルフ場、公園、グランド向けなど)と住宅用で展開しています。掘削機、除雪向けのスプレッダー、ボーリングマシン、屋外照明機器、噴霧機器、スプリンクラーなども製造販売しています。さらに詳しく

Agrostroj

チェコの農機メーカーです。2018年の売上高は246百万ユーロです。

YTOグループ

中国の国有建機・農機メーカーであるSinomach(China National Machinery Industry Corporation、国机集団)傘下の農機メーカーです。2020年までに70億元の売上を目指しています。

JCバンフォード・エクスカベターズ (J. C. Bamford Excavators)

1945年に設立されたイギリスの建機・農機メーカーです。

参照したデータの詳細情報について


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