電動工具業界

電動工具業界の世界シェア、ランキング、市場規模、業界再編の情報を掲載しています。スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ボッシュ、マキタ等世界の主要な電動工具メーカーの概略掲載しています。2017年には投資ファンドのKKRがフランスのメタボ社を買収した日立工機(現工機ホールディングス)を買収する等業界再編が続いています。

市場シェア

最新業界別売上高ランキング」に記載の電動工具メーカー会社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位は米国のスタンレー・ブラック・アンド・デッカー社の35%、2位はテクトロニック・インダストリーズの23%、3位はボッシュの17%となります。

  • 1位    スタンレー・ブラック・アンド・デッカー    35%
  • 2位    テクトロニック・インダストリーズ    23%
  • 3位    ボッシュ    17%
  • 4位    マキタ    9%
  • 5位    スナップオン    7%
  • 6位    工機ホールディングス    6%

世界1位は米国のスタンレー・ブラック・アンド・デッカーです。2017年にニューウェルツールズを買収してさらなる規模拡大を目指しています。2位は香港テクトロニック・インダストリーズです。3位はドイツのボッシュとなります。4位には日本のマキタ、5位、6位には米国のスナップオンと工機ホールディングスが入っています。なお、スイスのヒルティに関しては売上高構成が開示されていないためランキングには含んでおりません。

スタンレーブラックデッカー社が独自に算定しているグローバルツールサービス市場の2019年同社シェア及び業界ランキングは以下の通りとなります。

グルーバルツールサービス市場シェア 出所:スタンレーブラックデッカー社AR

市場規模

調査会社のフォーチュン・ビジネス・インサイツによれば、2019年の電動工具業界の市場規模は255億ドルとなります。2027年にかけて年率平均3.1%の成長を見込みます。調査会社アライドマーケットリサーチによれば、2019年の同業界の市場規模は326億ドルです。2020年〜2027年に年平均4.8%の成長を見込みます。またスタンレーブラックデッカーによれば、グローバルツールサービス市場の規模は650億ドルです。

当サイトでは、同業界の世界市場シェア算定に当たり、市場規模を290億ドルとしています。なお、

電動工具の種類

電動工具は、主にねじを締める、穴をあける、切断する、削る(研磨する)時に使用します。穴をあける対象の素材によって、スクリュードライバー、電気ドリル、インパクトドライバー、振動ドリル、ルーター等が使われます。また材料を切断する際には電気鋸、ジグソー、スライドソーが使われます。削る際にはグラインダーやサンダー等が用いられます。

世界の主要な電動工具メーカーの一覧

Stanley Black & Decker(スタンレー・ブラック・アンド・デッカー)

Stanley Black & Decker(スタンレー・ブラック&デッカー)は米国を代表する世界最大級の電動工具メーカーです。2010年にStanley Works(スタンレー・ワークス)とBlack & Decker(ブラック・アンド・デッカー)が経営統合をして誕生しました。赤と黒でコーディネートされた電動ドリルは有名です。NYSEに上場しています。電動工具、錠前・鍵・セキュリティ、インダストリアルファスニングの3つの事業部門から構成されます。

スタンレーブラックデッカーの事業構成

事業構成
出所:同社AR

電動工具事業では、釘打ち機、エア工具、電動ドリル等を手掛けています。ボッシュやマキタとともに世界大手メーカーです。

錠前・鍵事業部門はスタンレーブランドで展開し、特に産業向けの電気錠(エレクトニックセキュリティ)事業に強みを持ちます。2019年のスタンレーセキュリティの売上構成(地域、顧客、商品別)は下図の通りとなります。

2019年のスタンレーセキュリティの売上構成(地域、顧客、商品別)

2019年のスタンレーセキュリティの売上構成(地域、顧客、商品別)
出所:同社AR

その他の事業としては、芝刈り機では、ハスクバーナ、トロ、ジョン・ディア、リョービと並ぶ業界大手の一角です。自動ドア事業でも世界上位に位置します。

1980年 Mac Toolsを買収
2012年 ドアノブ、シャワ等住宅設備等を手掛けるホームセンター部門をスペクトラム・ブランズへ売却
2016年 アーウィンやレノックスブランドを展開するニューウェル・ブランズの工具部門のニューウェル・ツールを買収
2017年 クラフツマンをシアーズホールディングスから買収

Robert Bosch(ボッシュ)

1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。産業用機器や車載用機器が主力事業ですが、電動工具事業も伝統的にも強みを持ちます。他に住宅向けの家電やエネルギー関連機器等を手掛けています。ボッシュ一族が支配する非上場会社です。独VW社と関係性が深いとされます。

ボッシュの事業構成は大きく自動車事業、消費財事業、産業機器事業、ソフトウェア事業へと分けることができます。

自動車事業
エンジン(ガソリン・ディーゼル)、シャシー、ブレーキ、パワーステアリング等のトランスミッション、車載ディスプレイ、センサー・電子機器、メーター等計測器、カーナビ・カーオーディオ機器等を幅広く展開しています。ドイツ自動車メーカーと親密です。自動車部品業界では世界シェアも上位に位置します。
消費財事業
家電事業では、もともとはシーメンスとの合弁会社であった子会社のBSHを通じて大型家電から小型家電までを手掛けています。家電業界でも世界シェア上位に位置し、個別では食洗機、掃除機に強みを持ちます。
電動工具業界ではスタンレー・ブラック・アンド・デッカーと並ぶ強豪の一角です。
産業機器事業
空気圧機器業界では世界シェア上位に位置します。
株主構成
ボッシュは持株比率と議決権が異なる株主構造となっており、所有と経営が分離されています。ボッシュ家が設立した公益財団であるRobert Bosch Stiftung GmbH(ロバート・ボッシュ財団)が持株比率では92%を保有していますが、議決権は保有していません。議決権は、ロバート・ボッシュ工業信託合資会社とボッシュ家が株式を保有しています。
ボッシュの事業再編・買収
1992年 電気丸鋸大手のイタリアのSkil(スキル)を買収
1993年 ロータリーツール大手のDremel買収
2007年 イタリアの電動工具アクセサリ大手のFreud 社を買収
2008年 ソフトウェア会社のInnovationsを買収
2010年 製薬大手のエーザイより検査機メーカーのエーザイマシナリーを買収
2012年 車両診断機大手のSPX Service Solutionsを買収
2014年 ステアリングシステム(電動式と油圧式)大手のZF Lenksystemeを買収
2015年 米SEEOを買収
2015年 シーメンスより家電の合弁会社のBSH株式取得
2016年 ITK Engineeringを買収
2016年 シェブロンへのSkilの売却

マキタ

日本を代表する電動工具メーカーです。国内シェアは圧倒的です。スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ボッシュと世界シェア首位を競っています。家庭・園芸用機器にも強みを持ちます。1991年に独ドルマ―(Dolmar)の買収を行っています。

Techtronic Industries(テクトロニック・インダストリーズ、TTI)

香港に本拠を置く1980年創業の電動工具メーカーです。過去日本のリョービより北米の電動工具事業を買収して事業を拡大しています。

Snap-on(スナップオン)

米国に本拠を置く大手工具メーカーです。ソケットレンチを開発した会社としても有名です。1920年の創業以来車向けを含めた各種工具を開発・販売しています。

Hilti(ヒルティ)

リヒテンシュタインに本拠を置く大手工具メーカーです。欧州においては高級路線の電動工具メーカーとして圧倒的存在感を示します。

工機ホールディングス

日本を代表する電動工具メーカーです。2015年にフランスの大手電動工具メーカーのMetabo(メタボ)社を買収しています。元々hさ日立グループに属していましたが、2017年に米国の投資ファンドのKKRが日立工機を買収し、独立を果たしました。

リョービ

ダイカスト、電動工具、ドアクローザ、オフセット印刷機等に強みを持つメーカーです。電動工具事業では、2000年にTTIに北米事業を売却、2017年に京セラに国内・アジア事業を売却しました。木材切断やドライバー等の工具に強みを持ちます。

京セラ

日本を代表する機器メーカーです。工具の分野では、2011年にデンマークの超硬工具メーカーのユニメルコ、2016年に米超硬工具メーカーのSGSツールカンパニー、2017年に住宅向けのくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングス、リョービの電動工具事業を買収して事業を拡大している。

電動工具業界の再編

  • 1991年 マキタによる独ドルマ―(Dolmar)の買収
  • 1992年 ボッシュによる米国スキル(Skil)の買収
  • 1993年 ボッシュによる独ドレメル(Dremel)の買収
  • 2000年 リョービが北米地域の電動工具事業をTTIに売却
  • 2006年 マキタによる兼松日産農林からの釘打ち事業の買収
  • 2010年 Stanley Works(スタンレー・ワークス)とBlack & Decker(ブラック・アンド・デッカー)が経営統合
  • 2015年 日立工機によるフランスのメタボの買収
  • 2016年 シェブロンによるSkilのボッシュからの買収
  • 2017年 KKRによる日立工機の買収
  • 2017年 京セラによるくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングスの買収
  • 2017年 スタンレー・ブラック・アンド・デッカーによるNewell Toolsの買収(18.6億ドル)
  • 2017年 京セラによるリョービの電動工具事業の買収

業界関連図書

  • 電動工具業界のページを作成するにあたり、以下の書籍を参考にしております。
  • DIY道具上達テクニック百科―電動ツール、手工具を使いこなす200の方法 (Gakken Mook DIY SERIES) [ムック]
  • 新版 チェーンソー パーフェクト マニュアル (ものづくりブックス) [大型本]

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