EV電池・車載電池業界の世界市場シェアの分析

EV電池・車載電池業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模の情報について分析をしています。中国政府からの潤沢な補助金で拡大を続ける寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、国軒高科(Guoxuan High-Tech)、天津力神(Lishen)等の有力中国メーカーに対し、パナソニック、LG化学、サムスンSDIが対抗しています。

市場シェア

SNEリサーチによれば2019年の車載電池の生産量ベースの市場シェアの順位は以下の通りとなります。

  • 1位 CATL 27.9%
  • 2位 パナソニック 24.1%
  • 3位 LG化学 10.5%
  • 4位 BYD 9.5%
  • 5位 サムスンSDI 3.6%
  • 6位 AESC 3.3%
  • 7位 Guoxuan 2.7%
  • 8位 PEVE 1.9%
  • 9位 Lishen 1.7%
  • 10位 SKイノベーション 1.7%

車載用の電池の分野は、電気自動車の世界最大の市場が中国ということもあり、かつての太陽電池や液晶パネルと同じ構造で、政府からの多額の補助金で、まずは生産設備を急拡大させるという、中国勢による市場席巻戦略が始まりました。その結果、2019年も、引続き中国政府系のキャトルが世界シェア1位となっています。世界2位は、日本のパナソニックです。米国のテスラ、日本のトヨタと組んで、日本、米国、中国の三極体制での、生産規模の拡大を目指します。世界3位は韓国のLG化学となっています。4位は電池から電気自動車まで通気一貫で製造する、BYDです。世界5位にはサムスンSDI、6位は旧日産自動車の子会社だったオートモーティブエナジーサプライ(AESC)となっています。世界7位は、中国のグオシュエン・ハイテクです。8位にはパナソニックとトヨタの合弁会社であるプライムアースEV(PEVE)です。2014年の生産量世界シェアでは、パナソニックが約5割、オートモーティブエナジーサプライが約2割、韓国勢(KG、サムスン)が約2割であったことを考えると、2017年頃から続いている中国製の躍進が継続しています。

市場規模

調査会社のSNEリサーチによれば車載電池市場の世界市場規模は2019年は116.7GWhと推計されています。調査会社のリサーチアンドマーケッツによれば、2020年のリチウムイオン電池市場の規模は442億ドルです。2025年かけて年平均16.4%での成長を見込みます。現状約25%が民生用(パソコンやスマホ向)です。車載用蓄電池の市場は、40%程度ですが、今後の世界的なEV(電気自動車)へのシフトによって、市場規模が急拡大する可能性があります。リチウムイオン電池は、蓄電池、UPS(無停電電源装置)、バックアップ電源用としても活用されています。

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業界の動向

太陽光電池や液晶パネルと同様に、EV電池業界も装置産業化しており、多額の資金を投じて最新の電池製造装置を装備した大規模工場を、競合より先に建設できるかが、競争優位の条件となりつつあります。日本勢が有していた技術的な優位性が薄れていく中、今後も装置産業化した業界での勝利の方程式は、政府からの資金援助が潤沢な中国勢に有利に働くと考えられます。

日酸自動車とNECの合弁会社として誕生したEV電池メーカー。2014年にはパナソニックに次ぐ市場シェアであったが、中国の投資会社であるGSRキャピタルへの売却を試みましたが、クローズせず、最終的に中国のエネルギーIoT大手であるエンビジョングループへの売却となりました。

SKイノベーション/SKグループ

SKグループは、1953年に設立された韓国第3位の財閥グループです。崔泰源会長の強いリーダーシップの下でM&Aを通じて事業を拡大しています。半導体(SKハイニックス)、石油・電池(SKイノベーション)、通信(SKテレコム)、医薬品(SKバイオファーム)、医薬品受託(SKバイオサイエンス)、半導体素材(SKシルトロン)等の分野に強みがあります。2021年には、米国の燃料電池メーカーのプラグパワーに出資をし、水素プラントへの進出をしています。

SKグループの持株会社が保有する主要関連会社
SKグループ

SKグループ一覧
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寧徳時代新能源科技(CATL)

寧徳時代新能源科技(CATL)は日本のTDKの携帯電話向け電池製造子会社であるアンプレックステクノロジー(ATL)から分社化して2011年に誕生した中国の車載用リチウムイオン電池メーカーです。中国ではBYDと規模を競っています。2017年にBMWが、2018年にはホンダがCATL製のEV電池を採用しました。2018年に日本にも進出。電池の権威であるロバート・ガリエン氏をはじめ、独コンチネンタル、仏ヴァレオ等から積極的に技術者を採用しています。

パナソニック

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となる予定です。さらに詳しく

BYD(比亜迪)

BYD(比亜迪)は、王伝福(Wang Chuanfu)氏によって1995年に設立された中国の電気自動車・車載電池メーカーです。スマホや産業機器向けのリチウムイオン電池の製造に加え、車載向けの電池と電気自動車製造の一貫生産体制が強みです。王氏は電池王とも称されています。電気自動車を含む新エネ車(EV自動車)でも世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット氏が投資をしたことでも有名です。2020年には刀片電池と言われる長距離走行が可能な車載電池を開発しました。

沃特瑪(OptimumNano、オプティマム・ナノ)

2002年に設立されたシンセンに本拠を置く車載電池メーカーです。バスやトラック等の商用車向けの電池の強みを持っていましたが、2019年に破綻しました。

LG化学

LGグループは1952年にク・インフェ氏によって設立された韓国を代表する財閥グループです。1958年にLuckyとGoldStarが経営統合をして設立されました。電機事業、化学事業、通信事業が3本柱です。子会社は、家電メーカーのLGエレクトロニクス、電子部品の製造を手掛けるLGイノテック、液晶ディスプレイを手掛けるLGディスプレイ、総合化学メーカーのLG化学など多岐にわたります。さらに詳しく

Samsung SDI(サムスンSDI)

Samsung(サムスン電子)は、韓国を代表する総合電機メーカーです。スマホ、半導体、テレビ、白物家電など、最終商品まで手掛けていることが強みです。垂直統合型の半導体チップメーカーとして、DRAM、NAND型フラッシュメモリ、SSDの自社製造を手掛けています。また半導体受託生産も行っております。最終製品のスマホやテレビにも強みを持ちます。OLEDや液晶パネルの製造はサムスンディスプレイ、リチウムイオン電池はサムスンSDI、電子部品はサムスン電気、造船はサムスン重工、バイオ製薬の製造はサムスンバイオロジックスで手掛けています。2016年には車載音響機器大手のハーマンを買収しました。さらに詳しく

国軒高科(Guoxuan High-Tech、グオシュエン・ハイテク)

江蘇省に本社を置くリチウム電池メーカーです。車載電池の製造に強みを持ちます。

オートモーティブ・エナジー・サプライ(AESC)

日産自動車とNECの合弁会社として誕生したEV電池メーカーです。2014年にはパナソニックに次ぐ市場シェアでした。中国の投資会社であるGSRキャピタルへの売却を試みましたが、クローズせず、最終的にエンビジョングループへの売却となりました。