村田製作所の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

村田製作所は、1944年に創業した京都に本社を置く電子部品の世界的なメーカーです。チップ積層セラミックコンデンサ、EMI除去フィルタ、表面波フィルタ、酸化銀電池、セラミック発振子、ショックセンサや高周波関連備品といった分野に強みを持ちます。2016年にリチウムイオン電池事業をソニーから買収し、ノートPC・スマートフォン向けのラミネート型リチウム電池事業を強化しています。

業績推移(年次)


2018年度
売上高は1,575,026百万円で、前年度比15%増となりました。営業利益は266,807百万円になりました。営業利益率は17%になりました。

2019年度
売上高は1,534,045百万円で、前年度比3%減となりました。この売上高の減少は、基地局向けやカーエレクトロニクス向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少し、さらに、為替変動(前連結会計年度比2円16銭の円高)が影響した為です。営業利益は253,247百万円になりました。営業利益率は17%になりました。

2020年度
売上高は1,630,193百万円で、前年度比6%増となりました。この売上高増加の理由は、樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池がスマートフォン向けで減少したものの、主力製品の積層セラミックコンデンサが幅広い用途で堅調であったことに加え、インダクタやコネクティビテ ィモジュールがPC向けで増加し、また、高周波モジュールがスマートフォン向けで増加した為です。営業利益は313,240百万円になりました。営業利益率は19%になりました。

2021年度
売上高は1,812,521百万円で、前年度比11%増となりました。この売上高増加の理由は、コネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しました が、積層セラミックコンデンサがコンピュータ及び関連機器向けやカーエレクトロニクス向けで大きく増加したことに加え、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加した為です。営業利益は424,060百万円になりました。営業利益率は23%になりました。

2022年度
売上高は1,686,796百万円で、前年度比7%減となりました。この売上高減少の理由は、為替変動(前連結会計年度比23円10銭の円安)の影響もあり、樹脂多 層基板がスマートフォン向けで増加したほか、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加しましたが、積層セラミックコンデンサがコンピュータやスマートフォン向けで減少したことに加え、表面波フィルタや高周波モジュールがスマートフォン向けで減少した為です。営業利益は297,887百万円になりました。営業利益率は18%で前年度の23%を下回りました。これは、売上原価が2ポイント増加、販管費が2ポイント増加、研究開発費が1ポイント増加したためです。

村田製作所の業績推移

村田製作所の業績推移

業績推移(四半期)


2022年度第1四半期(04ー06月)
売上高は436,657百万円になりました。営業利益は88,613百万円、営業利益率は20%になりました。

2022年度第2四半期(07ー09月)
売上高は483,567百万円になりました。営業利益は106,361百万円、営業利益率は22%になりました。

2022年度第3四半期(10ー12月)
売上高は418,978百万円になりました。営業利益は77,285百万円、営業利益率は18%になりました。

2022年度第4四半期(01ー03月)
売上高は347,594百万円になりました。営業利益は25,628百万円、営業利益率は7%になりました。

2023年度第1四半期(04ー06月)
売上高は367,694百万円になりました。営業利益は50,111百万円、営業利益率は14%になりました。

村田製作所の四半期業績推移

村田製作所の四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比18%減の401.33円になりました。1株当たりの配当は前年度比15%増の150円になりました。配当性向は37%になりました。

村田製作所のEPS・1株配当・配当性向の推移

村田製作所のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2023年07月
2023年度第一四半期の報告書で、2023年度通期の売上収益は16,400億円、営業利益は2,200億円を予定していると掲載されています。

売上構成


セグメントは、コンデンサ、インダクタ・EMIフィルタ、高周波・通信、エナジー・パワー、機能デバイスに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

村田製作所の売上構成(2022年度)

村田製作所の売上構成(2022年度)

コンデンサ
この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。 2022年度は、積層セラミックコンデンサがモビリティ向けで増加しましたが、コンピュータやスマート フォン向けで減少しました。 その結果、コンデンサの売上高は前連結会計年度に比べ6.3%減の738,841百万円となりました。

インダクタ・EMIフィルタ
この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。 2022計年度は、EMI除去フィルタやインダクタがモビリティ向けで増加しましたが、インダクタがコン ピュータやスマートフォン向けで減少しました。 その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上高は前連結会計年度に比べ10.4%減の175,324百万円となりま した。

高周波・通信
この区分には、コネクティビティモジュール、高周波モジュール、表面波フィルタ、樹脂多層基板などが含ま れます。2022計年度は、樹脂多層基板が増加しましたが、表面波フィルタや高周波モジュール、コネクティビティ モジュールがスマートフォン向けで大きく減少しました。 その結果、高周波・通信の売上高は前連結会計年度に比べ14.1%減の453,646百万円となりました。

エナジー・パワー
この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。 2022年度は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加しました。 その結果、エナジー・パワーの売上高は前連結会計年度に比べ18.9%増の214,556百万円となりました。

機能デバイス
この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。2022年度は、センサがモビリティ向けで増加しましたが、センサやタイミングデバイスがコンピュータ 向けで減少しました。 その結果、機能デバイスの売上高は前連結会計年度に比べ12.8%減の92,778百万円となりました。

M&A情報

スマホや電子機器向けの周辺領域分野でM&Aを積極的に行っています。

2011年 MEMSセンサーに強いフィンランドのVTIテクノロジーを買収
2012年 通信モジュールメーカーのRFモノリシックスを買
2013年 NECのMRセンサー事業を買収
2013年 東京電波を完全子会社化
2014年 スマホ部品メーカーのペレグリンを買収
2016年 東光を完全子会社化
2017年 ソニーのリチウムイオン電池事業を買収
2017年 心拍数、呼吸数、心電図等を計測できるチェストセンサの開発と、それらをモニタリングするためのソフトウェア、クラウドサービス等を開発・提供しているヘルスケア IT 分野のベンチャー企業であるVios Medical(アメリカ)を買収
2019年 3D触力覚技術を活用したハプティクス・ソリューション技術を提供する株式会社ミライセンス(茨城県つくば市)を買収
2021年 RF回路の省電力化技術に強みがある米国Eta Wirelessを買収
2022年 RFフィルタのデザインに関するリーディングカンパニーであるResonant(アメリカ)を買収

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