リチウムイオン電池業界の世界市場シェア

リチウムイオン電池業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。アンプレックステクノロジー(TDK)、パナソニック、サムスンSDI等の世界大手のリチウムイオン電池メーカーの一覧も掲載しています。

市場シェア・ランキング

最新業界別売上高世界ランキング第2巻」に記載のリチウムイオン電池業界の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

1位 LG化学 18.9%
2位 サムスンSDI 17.5%
3位 CATL 17.4%
4位 TDK 13.6%
5位 パナソニック 12.0%
6位 BYD 8.6%
7位 村田製作所 2.3%

リチウムイオン電池の世界首位は、LG化学となっています。シボレー・ボルトに車載用電池の供給を開始しました。米国、欧州、アジアでリチウムイオン電池工場を建設して、更なる成長を狙っています。2位は、サムソンSDIとなっています。サムソンSDIは、世界1位の自社スマホ向けのリチウムイオン電池の共有が成長ドライバーとなっています。車載用ではBMW向けの電池を供給しています。3位は中国のCATLです。車載用のリチウムイオン電池に強みを持ちます。
4位は、TDKの子会社であるアンプレックステクノロジーとなっています。スマホ向けのラミネート型ポリマーリチウム電池に強みがあります。ラミネート型リチウム電池だけの世界市場シェア(電池のセル出荷数)では、2018年はアンプレックステクノロジーがシェア約4割をおさえ、2位以下のサムスンSDI(約15%)、BYD(約10%)、LG化学(約10%)を大きく引き離しています。5位は、パナソニックとなります。ノートPC、スマホ、車載用の全方位で、リチウムイオン電池を展開しています。民生用が中心だった主戦場が、車載用にシフトしていくなかで、車載用は米国のテスラとリチウムイオン電池のギガファクトリーを運営し、一気に規模拡大を狙っています。5位は中国のBYDとなります。車載用のバッテリーに強みを持ちます。

なお、2007年のリチウムイオン電池の世界シェアのランキングは、1位は三洋電機、2位はソニー、3位はサムスン、4位はパナソニック、5位はBYD、6位は日立マクセルとなっていました。市場規模は当時は1兆円程度、パソコンなどの小型電機製品向けのバッテリーがメインでした。市場規模の拡大にともない、1位と2位が、買収や撤退をしていった構図が読み取れます。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、リチウムイオン電池業界の2019年の世界市場規模を367億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のグランビューリサーチによれば、2019年の同業界の世界市場規模は、329億ドルです。2020年~2027年に13%の成長を見込みます。また同社によれば二次電池の2019年の市場規模は1084億ドルとなっています。
調査会社のアライドマーケットリサーチによれば、2019年の同市場規模は367億ドルです。2027年にかけて年平均18%で成長すると予測しています。
両調査会社の成長率からも推察できる通り、今後の世界的なEV(電気自動車)へのシフトによって、市場規模が急拡大する可能性があります。例えば、欧州では2030年までに乗用車向けCO2をキロメーターあたり50%削減、また中国では2035年までにガソリン車を禁止する計画を検討しています。リチウムイオン電池は、蓄電池、UPS(無停電電源装置)、バックアップ電源用としても活用されています。フランスの調査会社であるアビセンヌエナジーによると、2018年の電池市場(1次電池+2次電池)の規模は950億ドルです。

次世代電池

1991年にソニーが商品化に成功したリチウムイオン電池には、大量生産に向くものの、下記の業界分析の通り、希土類(レアアース)やコバルト(レアメタル)等の原材料が高騰したり、中国やアフリカに偏在するため、調達が不安定です。

レアアース業界の世界市場シェアの分析
レアアース業界の世界市場シェアや市場規模の情報について分析をしています。中国北方希土集団、中国南方レアアース集団、ライナス・コープレーション、チャイナルコ等のレアアース大手の動向も掲載しています。
コバルト生産・採掘会社の世界市場シェアの分析
コバルト生産・採掘会社の世界市場シェア、市場規模について分析を行なっております。コバルトの主要な生産会社であるグレンコア、チャイナモリブデン(CMOC)、ヴァーレ、ノリリスク等の会社概要も掲載しています。

そこで、全個体電池やナトリウムイオン電池といった新世代の蓄電池の開発が急がれています。
ナトリウムイオン電池、硫黄系電池、空気電池、全個体電池等が次世代電池として有望です。全個体電池は、固体電解質を使うことで、液漏れや気化リスクを軽減でき安全性が増すとされます。電極の隔離板も必要ないため、電池の小型化に向きます。さらに低温や高温への耐久力や大容量化にも向いています。一方で、製造方法が未確立や振動に弱いという欠点を抱えています。ナトリウムの電解質を利用するナトリウムイオン電池は、原材料はナトリウムで豊富で、電力容量も大きくできます。一方、電圧の低さや重さ等の点で更なる改良が必要とされています。
2018年6月に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がトヨタ自動車やパナソニックと全個体電池の開発を始めると発表しました。トヨタ自動車は全個体電池にかかる多くの特許を取得しています。

リチウムイオン電池世界大手メーカーの動向

Samsung SDI(サムスンSDI)

Samsung(サムスン電子)は、韓国を代表する総合家電メーカーです。スマホ、半導体、テレビ、白物家電など、最終商品まで手掛けていることが強みです。2016年に車載向けの音響に強いHarman Internationalを買収しています。スマートフォンの分野でも世界トップクラスです。NANDフラッシュメモリー、SSD、DRAMでも世界1位を長らく維持しています。通信基地局では、エリクソン、ノキア等の欧州勢、ファーウェイ等の中国勢を追い上げる立場にいます。液晶テレビでは長らく世界最大手の地位を維持しています。CMOSイメージセンサー分野では先行するソニーを追い上げています。プリンター事業はHPへ売却し撤退しました。

ファンドリ(半導体製造受託)分野にも積極的に投資を行い、台湾のTSMCを追い上げています。但し、サムソンへの製品の製造委託をすることは、最終製品も手掛けるサムスンへ技術が流出する懸念もあり、規模ではTSMCに劣っています。

液晶はサムスンディスプレーが担当しています。2012年にSamsung Mobile Display(サムスン・モバイル・ディスプレー)を吸収し、中小型から大型の液晶を製造・販売しています。テレビ向けが中心ですが、有機ELパネルの分野では、スマートフォン向け商品に強みを持ちます。江蘇省のCSOTとの液晶合弁事業の持分を売却し、大型液晶ディスプレーからの撤退を検討しております。

Samsung SDI(サムスンSDI)は、サムスンのグループ企業です。ノートPC、スマホの分野でのリチウムイオン電池に強みを持ちます。車載用のリチウムイオン電池は主にBMWに供給しています。車載用のリチウムイオン電池も強化をしており、主にBMWに供給しています。サムスン向けにフラットパネルや半導体向け部材も供給しております。
サムスンSDIの直近の売上高と営業利益率(括弧内)は以下の通りです。

2018年 9兆1582億ウォン(7.8%)
2019年 10兆974億ウォン(4.6%)

パナソニック

パナソニックは日本を代表する電機メーカーです。過去松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス、オート、インダストリアル、通信ソリューションで事業部制をひいております。

家電:東芝やシャープ等他の日本電機大手が苦戦するなかで家電分野でグローバル展開を目指しています。低コスト戦略のアジア勢、プレミアム戦略の欧米勢と競合しています。掃除機は国内トップクラスのシェアを誇り、今後成長が見込まれるロボット掃除機分野へも参入しています。電気シェーバーはラムダッシュブランドで展開しています。
車載電池:テスラとの米ネバダ州でのギガファクトリー、日本、中国の大連工場(遼寧省)での3極の生産体制を構築しています。テスラ以外にもトヨタと協業し、全方位戦略で中国勢を迎えうっております。装置産業化した事業におけるパワーゲームを制することができるか、に注目が集まります。
小型用リチウムイオン電池:ノートPC、スマホ向けの電池事業にも強みを持ちます。
エアコン空調:1957年からエアコン事業を展開しております。日本国内では最大手クラスです。エオリアブランドで展開をしています。
自動車部品:音響機器(カーオーディオ)やカーナビゲーション等の電子機器の分野に強みを持ちます。次世代コックピットやコネクティッドと言われている自動車のCASE対応では総合力を発揮できる立場におります。
乾電池:1931年から乾電池の生産をしています。ナショナルハイトップブランドで一世を風靡し、現在はEvoltaで世界展開しています。

Amperex Technology(アンプレックステクノロジー、ATL )

香港に本拠を置く小型リチウム電池メーカーです。日本のTDKの子会社です。スマホ向けのラミネート型ポリマーリチウム電池等に強みを持ちます。ギャラクシーノート7発火事件の際に、サムソンSDIに代わりリチウム電池をサムスンに供給しました。「ラミネート型」のリチウムイオン電池に特に強みを持ちます。

LG化学

LGグループは1952年にク・インフェ氏によって設立された韓国を代表する財閥グループです。1958年にLuckyとGoldStarが経営統合をして設立されました。電機事業、化学事業、通信事業が3本柱です。子会社は、家電メーカーのLGエレクトロニクス、電子部品の製造を手掛けるLGイノテック、液晶ディスプレイを手掛けるLGディスプレイ、総合化学メーカーのLG化学など多岐にわたります。

電機事業(LGエレクトロニクス):冷蔵庫等の白物家電業界では上位に位置しています。電子レンジや食洗機、スマートフォンや家庭用エアコン等を含む家電業界でも、フィリップスやハイアールと並び、世界上位に位置しています。テレビ製造や液晶パネル分野(LGディスプレイ)でも、サムスンと並び世界上位に位置しています。車載向け機器も手掛け、2018年にはオーストリアの自動車照明大手であるZKWを買収しました。

LGディスプレイ:韓国LGエレクトロニクス傘下の液晶メーカーです。サムスンディスプレイと双璧です。テレビ向け液晶に強みがあります。中小型液晶分野では日本の液晶メーカーとも競合しています。2008年まで蘭フィリップスと提携していました。テレビ向けの大型有機ELに強みを持ちます。

化学事業(LG化学):シリコンウエハ業界、偏光板業界やリチウムイオン電池業界では、日系企業と並び、世界トップクラスのシェアを維持しています。リチウムイオン電池にも注力をしており、スマートフォン向けや現代/起亜、ルノー向けの車載用に開発が進められています。

株主構成:創業ファミリーであるクー一族が、持株会社であるLGの株式を約50%保有しています。LGを通じて、LG化学、LGエレクトロニクス等のグループ会社の持分を保有し、緩やかなLGグループを構成ししています。

韓国企業モノづくりの衝撃~ヒュンダイ、サムスン、LG、SKテレコムの現場から~ (光文社新書)
有機ELに賭けろ! ―世界的権威が明かす日本企業がサムスンに勝つ方法
世界のスマートフォン&タブレット市場動向調査報告書2013 

村田製作所

ノートPC・スマートフォン向けのラミネート型リチウム電池に強みを持っています。2016年にリチウムイオン電池事業をソニーから買収しています。

BYD(比亜迪)

BYD(比亜迪)は中国の電気自動車メーカーです。車載用のリチウムイン電池の製造から始まり、EV電池、電気自動車製造の一貫生産体制に強みです。電気自動車を含む新エネ車の分野では、世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット氏が投資をしたことでも有名です。

CATL

寧徳時代新能源科技(CATL)は日本のTDKの携帯電話向け電池製造子会社であるアンプレックステクノロジー(ATL)から分社化して2011年に誕生した中国の車載用リチウムイオン電池メーカーです。中国ではBYDと規模を競っています。2017年にBMWが、2018年にはホンダがCATL製のEV電池を採用しました。2018年に日本にも進出。電池の権威であるロバート・ガリエン氏をはじめ、独コンチネンタル、仏ヴァレオ等から積極的に技術者を採用しています。

業界関連図書

  • バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線 [単行本]
  • ハイブリッド自動車用リチウムイオン電池 [単行本]
  • トコトンやさしい2次電池の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ) [単行本]
  • 二次電池市場・技術の実態と将来展望―次世代・二次電池市場/予測・関連部材・応用製品〈2015〉 (市場予測・電力自由化シリーズ) [単行本]
  • 瓶詰めのエネルギー―世界はリチウムイオン電池を中心に回る [単行本]
  • これだけ!電池 (これだけ!シリーズ) [単行本]
  • これだけ!燃料電池 (これだけ!シリーズ) [単行本]

電池に関する業界団体団体概要

  • 二次電池社会システム研究会
  • FCAについて | 燃料電池普及促進協会(FCA)
  • 一般社団法人 電池工業会

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