乾電池業界の世界市場シェアの分析

乾電池等の世界市場シェアと市場規模と業界ランキング について分析をしています。パナソニックエナジー、Duracell(デュラセル) 、エナジャイザーといった乾電池メーカーの概要や動向も掲載しています。

電池の種類

電池の種類には、電極の材料の違い等によって、一次電池と言われるアルカリ乾電池、マンガン乾電池や二次電池と言われるリチウム電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等に分かれます。

乾電池の材料

最も簡単に電池を作るには、10円玉、1円玉の間に食塩水に浸したクッキングペーパーを挟むと、電流が発生し、電池となります。電極(今回は10円玉と1円玉)と電解液(食塩水)が電池の基本構造となります。

リチウムイオン電池は、通常は正極にリチウム金属酸化物、負極にカーボン系材料をつかいます。正極と負極で行きかうリチウムイオンの移動に伴い電流を発生させる仕組みです。

マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム一次電池、酸化銀電、池鉛蓄電池 、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池によって材料が異なります。

マンガン乾電池:負極材の亜鉛缶に、不織布のセパレータを敷き、正極材の二酸化マンガンと電解液の塩化亜鉛を入れます。

アルカリ乾電池:正極缶に二酸化マンガンを詰めます。不織布のセパレータに負極の亜鉛の粒と電解液の強アルカリ液を入れます。

酸化銀電池:正極材として酸化銀、負極材として亜鉛を用います。セパレータにはポリエチレンフィルムにアクリル酸をグラフト重合したイオン透過膜等を、電解液には強アルカリ液を使います。

リチウム電池:正極材として二酸化マンガン、負極材としてリチウム金属を用います。電解液には強アルカリ液、セパレータには不織布を使います。

【市場シェア】

乾電池メーカーの2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2022年の乾電池業界の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はパナソニックエナジー、2位はエナジャイザー、3位はデュラセル、となります。⇒参照したデータの詳細情報

乾電池メーカーの世界シェアと業界ランキング(2022年)

順位会社名市場シェア
1位パナソニックエナジー16.48%
2位エナジャイザー14.01%
3位デュラセル12.20%
4位ゴールドピーク3.95%
5位FDK2.24%
6位マクセル1.95%
乾電池メーカーの世界シェアと業界ランキング(2022年) ©ディールラボ
乾電池の世界シェア(2022年)

その他のプレーヤーとしては、ソニーの電池事業を買収した村田製作所、中国の南孚や中銀、VinnicブランドのChung Pak Battery Works、HENGWEIブランドの中国Jiaxing Hengwei Battery、韓国のBexel(ベクセル)等がありますが、いずれも市場シェアは10%以下と考えられます。また近年は、シンガポールのGP Batteries、インドネシアのABCバッテリー、中国のHi-watt Battery といったプライベートレーベルも、競争力のある価格を提示し、勢力を伸ばしています。

【市場規模】

本サイトでは乾電池の2022年の世界市場規模を164億ドルとしております。参考にした調査データは以下の通りです。

調査会社のアイマークによると、2022年の同市場の規模は164億ドルとなりました。2023年〜2028年にかけて年平均6.15%成長し、238億ドルに達すると予想しています。

調査会社モルドール・インテリジェンスによると、2022年の同市場の規模は159億ドルとなります。2027年までには208.9億ドルに達し、年平均成長率は5.62%になる見込みです。⇒参照したデータの詳細情報

【会社の概要】

Panasonic Energy Co., Ltd.(パナソニック エナジー)

2022年4月に設立されました。日々の便利で快適なくらしを支える乾電池や、幅広い分野の社会インフラ、EVをはじめとする車載業界を支える電池を事業領域とし、豊かなくらしと環境が矛盾なく調和する持続可能な社会の実現に貢献しています。5つの事業から成っています。

・技術部門

・営業本部

・エナジーデバイス事業部:乾電池、リチウム一次/二次電池、 ニッケル水素電池 等

・モビリティエナジー事業:車載用円筒形リチウムイオン電池

・エナジーソリューション事業部:リチウムイオン電池、蓄電モジュール、蓄電システム

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となりました。さらに詳しく

Energizer(エナジャイザー)

米国に本拠を置く大手乾電池メーカーです。アルカリ乾電池を発明する等乾電池の発展に寄与した会社です。エバレディ(Eveready)やエナジャイザーブランドで乾電池を展開しています。ソニーの乾電池事業は、当時ユニオンカーバイドに属していたエバレディとの合弁会社ソニーエバレディが源流です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。2018年にスペクトラム・ブランズからRayovac(レイオバック)を買収しました。

Duracell(デュラセル)

米国を代表するカッパートップデザイン(上が銅色、下が黒色)で有名な乾電池メーカーです。元々はGillette(ジレット)傘下にありました。ジレットがP&Gに買収されたことに伴い、P&G傘下となり、2014年にバフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが買収しました。買収時点の売上高は20億ドルです。

バークシャー・ハザウェイとは

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は、オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏率いるコングロマリットです。元々は1888年に設立された綿紡績業の会社でした。1960年代にウォーレン・バフェット氏が支配権を獲得、現在は保険(GEICO)・再保険事業(ジェネラル・リー )、鉄道、ガス電力、各種製造業等を幅広く展開しています。同社の株式は、ウォーレン・バフェット氏が議決権の30%程度を保有しています。さらに詳しく

Gold Peak Industries Limited(金山科技工業有限公司、ゴールドピーク)

ゴールドピーク (Gold Peak) は、香港に拠点を置く多国籍企業グループ。1964年に設立されたゴールドピークインダストリーズ(Gold Peak Industries (Holdings) Ltd./金山工業)を中心とする。

グループ企業には、電池メーカーの GP Batteries International、英KEFスピーカーなどを扱う GP Acoustics を傘下に治める GP Industries(シンガポール)、LEDパネルなどの開発・製造をする Lighthouse Technologies がある。

FDK Corporation(FDK)

FDKは、1950年に創設し東京に本社を置く日本の企業です。乾電池・充電池およびエレクトロニクス関連の素材・部品とそれらの応用製品の製造および販売をしています。

FDKは旧社名である富士電気化学(Fuji Denki Kagaku)に由来しています。現在はFDK、富士通(FUJITSU)ブランドで製造・販売を行っています。

Maxell Ltd.(マクセル)

マクセルは、1960年に創立した日本の企業です。世界トップシェアを誇るタイヤ空気圧監視システム用の耐熱コイン形リチウム電池をはじめ、車載カメラ用レンズユニット、LEDヘッドランプレンズ、安全運転を支援するHUD(ヘッドアップディスプレイ)などの製品を展開しています。旧社名は日立マクセル株式会社で日立グループの一社でしたが、2017年に日立から独立しました。

Rayovac(レイオバック)/Spectrum Brands(スペクトラム・ブランズ)

米国に本社を置くSpectrum Brands(スペクトラム・ブランズ)社が展開する乾電池事業でした。2008年に経営破たん後に建材等を手掛けるRussell Hobbと合併し再建し、現在スペクトラム・ブランズはニューヨーク証券取引所に上場しています。2018年に電池事業であるレイオバックをエナジャイザーへ売却しました。現在は熱帯魚のテトラ、ペット製品のDINGO、鍵のKwikset等のブランドを保有しています。

Fujian Nanping Nanfu Battery(南孚电池)

中国の大手電池メーカーです。Excellブランドで展開しています。2005年にジレットが買収しましたが、2014年に米P&Gが中国の投資ファンドのCDH Investmentに売却しました。

Zhongyin (Ningbo) Battery(中银(宁波)电池)

中国の大手電池メーカーです。PAIRDEER(双鹿、ペアディア)ブランドで乾電池を販売しています。Gold Peak IndustriesとNingbo Sonluk Batteryの合弁会社です。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

乾電池メーカーの売上高の推定

参照した市場規模の情報

※以下のsourceは御覧いただきますタイミングにより上記市場規模と数値が異なる場合がございます

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