デロンギの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

デロンギ社はイタリアに本拠を置く小型家電メーカーです。1902年に創業。オイルヒーター等の暖房機器、エスプレッソ・コーヒーメーカー、ハンドブレンダーやオーブン等の調理器具を設計・製造・販売しています。コーヒーメーカーのDe'Longhi、調理用のKenwood、ハンドブレンダーやフードプロセッサーのBraun(P&G社のブラウンよりライセンス供与を受けている)等のブランド名で事業を展開しています。

業績推移

2021年度
売上高は前年度比37.02%増の3,222百万ユーロになりました。営業利益は57.35%増の412百万ユーロになりました。営業利益率は12.80%になりました。巣ごもり消費を受け、増収増益です。

デロンギの業績推移

デロンギの業績推移

競合分析

競合する会社としては、フランスの家電メーカー(ティファールのフライパンでも有名)なGroupe SEB(SEBグループ)、オランダのフィリップス、スウェーデンのエレクトロラックス(Electrolux)、米国のワールプール(Whirlpool)が挙げられます。
下記の売上高構成比較表の通り、同社は小型家電(スモールアプライアンス)の比率が高く、同分野に特化してことが特徴としてあげられます。

デロンギの売上構成比の他社比較

デロンギの売上構成比の他社比較
出所:同社AR

 

売上構成

コーヒーメーカー事業:下図の通り、同社の売上は大きく、コーヒーメーカー事業、調理家電事業、暖房器具(ホームケア)事業となっています。その中でもコーヒーメーカー事業の売上は、全体と51%と大きな割合を占めています。

セグメント別売上構成(2021年度)

セグメント別売上構成(2021年度)

コーヒーメーカー、特にエスプレッソ・コーヒーメーカーは業界トップクラスの実績です。同社によればコーヒーメーカーは大きく、フィルターを用いるドリップコーヒーメーカー、ネスレが推進するカプセル型のネスプレッソメーカー、そしてボタンを押すだけで自動的にコーヒーを注ぎ始めるオートマチック型のエスプレッソ・コーヒーメーカーに大別されます。
ドリップコーヒーの分野は、同社はBraunブランドで展開しています。カプセル型は、ネスレと提携して、デロンギブランドのネスプレッソ(Nespresso)やネスカフェ ドルチェ グスト(Dolce Gusto) を製造・販売しています。ちなみに同社は、業界大手のネスプレッソOEMメーカーでもあります。エスプレッソ型はデロンギブランドで展開しています。
主な競合会社として、高機能・高価格帯では、フィリップスの展開するSaeco(サエコ)、スイスのJura(ユーラ)、中低価格帯では、米国のKeurig(キューリグ)のSenseo(センセオ)、ネスプレッソ、ワールプールの展開するKitchenAid(キッチンエイド)、ボッシュ・シーメンス等と競合をしています。

調理家電事業:同社の売上で、コーヒーメーカーに次ぐのが調理家電です。概ね全体売上の40%弱の規模です。ハンドブレンダ―、フードプロセッサー、オーブン、電気ケルト、マルチグリルといった調理家電を製造・販売しています。調理家電は、ブラウンとケンウッドブランドで展開しています。同社によれば、ハンドブレンダ―の市場シェアは24%、フードプロセッサーは37%と非常に高くなっています。
主な競合は、フランスのSEBグループ、ワールプールのキッチンエイド、ダイソン、エレクトロラックス、パナソニック、美的集団、ボッシュ・シーメンスが挙げられます。

暖房・空調器具の分野では、オイルヒーター、Braunブランドのアイロンや空気清浄器が主力となっています。持ち運びできる空気清浄機では、世界トップクラスと言われています。

同社のM&Aとして、2001年に調理家電、ホームケアブランドに強いケンウッドとArieteを買収しました。2012年に調理家電、アイロン等に強みを持つBraunブランドをP&Gから買収しています。(BraunのシェーバーはP&Gが継続)。2017年に業務用コーヒーメーカーに強いEversysを買収しました。2020年には栄養素の抽出能力が高いNutribullet等のミキサーを販売しているCapital Brands Holdingsを420百万ドルで買収をしました。

同社の株式は、ミラノ証券取引所に上場をしていますが、引続き創業者Giuseppe De'Longhi (ジュゼッペ デロンギ)率いるであるデロンギ一族が約6割の株式を保有しているのが特徴です。

EN