家電業界の世界市場シェアの分析

家電・電機業界の世界市場シェア、ランキング、業界再編と市場規模について分析をしています。ワールプール 、ハイアール 、エレクトロラックス 、BSH、Philips(フィリップス)、美的集団 、パナソニック 、LGエレクトロニクスといった世界の主要な家電メーカーの概要や動向も掲載しています。

家電業界の世界市場シェア

家電メーカー各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の家電業界の世界シェアを簡易に算出すると、1位はサムスン電子の14.8%、2位はLGエレクトロニクスの10.9%、3位はハイアールの10.8%となります。

  • 1位 サムスン電子 14.8%
  • 2位 LGエレクトロニクス 10.9%
  • 3位 ハイアール 10.8%
  • 4位 パナソニック 7.3%
  • 5位 ワールプール 6.2%
  • 6位 美的集団 6.2%
  • 7位 B/S/H(ボッシュ) 5.7%
  • 8位 エレクトロラックス 4.8%
  • 9位 シャープ 3.8%
  • 10位 SEBグループ 2.9%
  • 11位 ダイソン 2.6%
  • 12位 ハイセンス 2.3%
  • 13位 フィリップス 2.2%
  • 14位 ミーレ・アンド・シー 1.9%
  • 15位 アルチェリク 1.7%
  • 16位 日立 1.5%

家電業界の世界シェア(2020年)
家電業界の世界シェア(2020年)

1位は不動のサムスンです。自社プレゼンテーション(2021年インベスタープレゼンテーション)においても、ホームアプライアンス事業は10年連続で市場シェア1位と記載しています。2位は僅差で韓国のLGエレクトロニクスです。韓国勢が圧巻の1位と2位独占です。3位は中国のハイアールです。ハイアールは日本の三洋電機や米国GEの家電事業を買収してプレミアム領域も積極的に展開しています。
4位は日本のパナソニックです。特にアプライアンスと言われる、家電の領域に注力しており、海外展開を積極的に目指しています。東芝が美的集団の、シャープが台湾のホンハイの傘下となり、純粋な日系企業として、総合家電の商品を展開しているのは、パナソニックと16位の日立のみとなりました。
5位には米国のワールプールが入っています。メイタグやキッチンエイドなどのブランドで主に白物家電で強みを発揮しています。6位は中国の美的集団とアジア勢が並びます。
7位は欧州勢からB/S/Hです。B/S/Hは、ボッシュとシーメンスの家電合弁会社として設立され、現在は独ボッシュ傘下のBSHです。デザイン力に優れた、大型家電やキッチン家電に強みを持ちます。
8位からは、スウェーデンのエレクトロラックス、フランスのSEBグループ、オランダのフィリップスと続きます。フィリップスは、現在小型家電やキッチン向け家電に注力しており、照明事業とは分社されました。
11位のダイソンは、吸引力に訴求した掃除機や、斬新なアイディアの製品を売り出しており、トップ10入りを狙えるポジションとなりました

1位 サムスン 12.5%
2位 ハイアール 8.7%
3位 パナソニック 6.5%
4位 ワールプール 6.3%
5位 LG 6.0%
6位 ミディア 4.9%
7位 B/S/H 4.9%
8位 エレクトロラックス4.0%
9位 SEBグループ 2.4%
10位 フィリップス 2.1%
11位 シャープ 1.9%
12位 ダイソン 1.8%
13位 Arcelik(アルチェリク) 1.7%
14位 日立 1.5%
15位 Miele & Cie 1.2%
16位 Hisence 0.7%

市場規模

当サイトでは家電業界の2020年の世界市場規模を2900億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。サムスン社の「2021年のインベスタープレゼンテーション」によると2021年の同市場規模は3370億ドルです。2011年~2021年の年平均成長率は3%です。また同社の「2020年のインベスタープレゼンテーション」によると、2019年の世界の同業界の市場の規模は2950億ドルと推計されています。また、調査会社のベリファイドマーケットリサーチによると、2018年の同市場規模は1705.8億ドルとなっております。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模前年比成長率
20213370億ドル16.2%
20202900億ドル-0.2%
20192950億ドルn/a
家電業界の推定市場規模の推移 ©業界再編の動向

主な再編事例

  • 2006年 WhirlpoolによるMay Tag(メイタグ)の買収。買収総額(企業価値)は26億ドル。EBITDAマルチプルは12.3倍
  • 2006年 PhilipsによるNXPセミコンダクターのKKR等投資ファンドへの売却
  • 2007年 Philipsによる米国のアウトドア照明大手であるGenlyte Groupの買収。買収総額(企業価値)は27億ドル。EBITDAマルチプルは11.4倍
  • 2009年 PhilipsによるオランダのコーヒーマシンメーカーであるSaeco Internationalの買収
  • 2010年 Spectrum Brandsによる米Russel Hobbsの買収
  • 2010年 ElectroluxによるエジプトのOlympic Groupの買収
  • 2011年 フランスのSEBによる中国キッチン・小型家電Suporの買収
  • 2011年 トルコのArcelikによる南アフリカのDefy Appliancesの買収
  • 2011年 ElectroluxによるチリのCIT買収
  • 2012年 KKRによるコーヒーマシーンメーカーの独WMF買収
  • 2012年 Middlebyによる米Viking Rangeの買収
  • 2013年 Whirlpoolによる合肥三洋の買収
  • 2014年 WhirlpoolがイタリアのIndesitを約22億ドルで買収。EBITDAマルチプルは9.8倍
  • 2015年 Middlebyによる英国のAGA Rangemasterの買収
  • 2016年 HaierによるGE Applianceの買収
  • 2016年 Midea(美的集団)による東芝ライフスタイルの買収
  • 2016年 ホンハイによるシャープの買収
    買収総額(企業価値)は25億ドル。EBITDAマルチプルは15.4倍
  • 2016年 PhilipsによるオランダのコーヒーマシンメーカーであるSaeco InternationalのN&W Global Vendingへの売却
  • 2016年 サムスン電子による音響大手であるHarman Internationalの買収。買収総額(企業価値)は86億ドル。EBITDAマルチプルは10.7倍
  • 2017年 Midea(美的集団)による中国のWuxi Little Swanの買収
  • 2020年 日立の海外事業の持分の過半をトルコのアルチェリクへ売却

世界の主要な家電メーカー

Whirlpool(ワールプール)

ワールプールは1911年に設立された米国に本拠を置く世界最大級の家電メーカーです。家庭向けの調理家電やコインランドリー向けの大型洗濯機に強みを有します。1911年には初の電気式洗濯機、1919年には初の家庭用スタンドミキサー、1967年には初のカウンタートップ型電子レンジ、1998年には初の省エネ・節水型トップロード洗濯機を開発したことでも有名です。2014年にイタリアの家電機器メーカーであるインデシット社を買収するなど、積極的な買収によって事業を展開しています。特に白物家電業界や食洗機の分野で強みを発揮しています。白物家電や食洗機、コインランドリー向けの大型洗濯機に強みを有しており、ワールプール、キッチンエイド、メイタグ、アマナ、ジェン・エアー、イングリス、ブラステンプなど、数多くのブランドを保有しています。2014年にイタリアの家電機器メーカーであるインデシット社を買収、2018年にはブラジルの冷蔵庫用コンプレッサセクター事業であるEmbraco(エンブラコ)を日本電産に売却し、選択と集中を図りながら、積極的な事業展開を行っています。

ワールプールの主要M&A

  • 2001年 グッドマングローバルからアマナコーポレーションを買収
  • 2006年 ハイアールとの買収合戦の末にメイタグを買収
  • 2014年 イタリアの家電メーカーのインデシットを買収

Haier Electronics(ハイアール・エレクトロニクス)

Haier (ハイアール)は、1984年に張瑞敏(チャン・ルエミン)氏によって設立された、中国の青島に本拠を置く白物家電世界大手会社です。 グループ傘下で上場会社のHaier Smart Homeが冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、パソコン等を世界的に展開しています。2011年に日本のメーカーである三洋電機の白物家電事業を買収し、アクア株式会社を傘下としました。また、2016年には米国のメーカーGEの家電部門を買収し、事業拡大を図っています。ハイアール、カサルテ、リーダー、GEアプライアンス、フィッシャー&ペイケル、AQUA、キャンディといったブランドで展開しています。さらに詳しく

Electrolux(エレクトロラックス)

スウェーデンを代表する家電メーカーです。食洗機、掃除機、洗濯機や冷蔵庫の分野で強みを持ちます。規制当局の合意が得られず、GEアプライアンス買収に失敗しました。

B/S/H

ドイツに本拠を置くボッシュの家電子会社です。キッチン回りの家電等に強みを持ちます。ボッシュとシーメンスが双方の家電事業を統合して誕生しましたが、現在はボッシュの100%子会社となっています。デザイン力に優れ、キッチン向け家電に強みを持ちます。

Philips(フィリップス)

Philips(フィリップス)は、オランダに本拠を置く、家電・ヘルスケアメーカーであり、1891年にヘラルド・フィリップスによって設立されました。照明事業が祖業で、かつては半導体事業等も手掛けていましたが、近年、事業の再構築を行い、現在では医療機器、パーソナルヘルスケアの分野に注力しています。祖業でもある照明・ランプ事業は、フィリップスライティング(現シグニファイ)として分社化をしました。医療機器の分野では画像診断領域に強みを持ちます。家電分野では、電子歯ブラシやシェーバー等のパーソナルケア向けの商品ラインアップを強化しています。電子歯ブラシはソニッケア(Sonicare)ブランドで高機能帯をブラウンのオーラルBと二分しています。2021年に家電事業の一部(掃除機、コーヒーメーカー、アイロン等の家電)を売却しました。さらに詳しく

Samsung(サムスン電子)

Samsung(サムスン電子)は、韓国を代表する総合電機メーカーです。スマホ、半導体、テレビ、白物家電など、最終商品まで手掛けていることが強みです。垂直統合型の半導体チップメーカーとして、DRAM、NAND型フラッシュメモリ、SSDの自社製造を手掛けています。また半導体受託生産も行っております。最終製品のスマホやテレビにも強みを持ちます。OLEDや液晶パネルの製造はサムスンディスプレイ、リチウムイオン電池はサムスンSDI、電子部品はサムスン電気、造船はサムスン重工、バイオ製薬の製造はサムスンバイオロジックスで手掛けています。2016年には車載音響機器大手のハーマンを買収しました。さらに詳しく

LG Electronics(LG電子)

LGグループは1952年にク・インフェ氏によって設立された韓国を代表する財閥グループです。1958年にLuckyとGoldStarが経営統合をして設立されました。電機事業、化学事業、通信事業が3本柱です。子会社は、家電メーカーのLGエレクトロニクス、電子部品の製造を手掛けるLGイノテック、液晶ディスプレイを手掛けるLGディスプレイ、総合化学メーカーのLG化学など多岐にわたります。さらに詳しく

Midea Group(美的集团)

1968年に何亮健(He Xiangjian)氏によって設立された中国に本拠を置く家電メーカーです。1993年に深セン証券取引所に上場しています。家庭用エアコンや洗濯機等に強みを持ち、2016年には東芝の家電部門とドイツの産業ロボット大手のKUKAを買収して事業規模を拡大しています。創業者の何享健が持ち株会社を通じて大株主となっています。さらに詳しく

パナソニック

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となる予定です。さらに詳しく

SEB Group(セブグループ)

SEBは1857年に設立されたフランスを本拠とする世界的な小型家電・調理器具メーカーです。日本でも有名なテフロン加工のT-fal(ティファール)ブランドのフライパンをはじめ、Rowenta, Krups, All Clad, Lagostina and Moulinex等のブランドを展開しています。業務用コーヒーメーカーのWMFを買収しています。議決権の約半分が創業家によって保有されています。2020年度の売上構成比では、小型家電が60%、調理器具が32%、業務用器具が8%となっています。2015年以降の売上高の推移は以下の通りとなります。
2015年 48億ユーロ
2016年 50億ユーロ ← KKRからWMFを買収
2017年 65億ユーロ
2018年 68億ユーロ
2019年 74億ユーロ
2020年 69億ユーロ

シャープ

日本を代表する家電メーカーです。液晶事業への大型設備投資が負担となり、2016年からは、台湾の大手受託会社であるホンハイの傘下に入りました。2017年に再上場を果たしています。

日立

日本を代表する総合重電メーカーです。冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も手掛けています。東芝の家電部門が中国の美的集団に買収されるなかで、規模では既に日立の家電事業の数倍となったアジア勢と今後どのように競っていき、利益率を向上させるかに注目が集まっています。2020年12月に、海外事業の過半の持ち分をトルコのアルチェリクへ売却しました。国内の家電事業は日立単独で、海外はトルクのアルチェリクと組んで利益率の改善を図りつつ事業展開していくことになります。

日立について

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をする選択と集中を進めています。さらに詳しく

日立ABB
2020年から事業を開始した日立とABBのパワーグリッド機器の合弁会社です。日立がABBから当該事業の持分80%を買収することで誕生しました。直流送電 (HVDC)技術、変圧器や特別高圧製品等に強みを持ちます。

鉄道事業
日立の鉄道システム事業部が鉄道事業を手掛けています。従来は国内向けの車両生産がメインでしたが、近年海外売上の拡大を模索しています。2015年にAnsaldo Brenda(アンサルドブレーダ、現Hitachi Rail S.p.A.) とアンサルドSTS(現Hitachi Rail STS S.p.A.)の買収を発表し、欧州・米州・アジアで鉄道車両と信号のターンキーソリューションプロバイダーとして中国北車+南車陣営、欧米ビッグ3への追い上げを図っています。

日立建機
日本を代表する大手建機メーカーです。日立製作所の上場関連会社でもあります。2016年に豪州の鉱山機器向け消耗品に強みを持つブラッドケンを買収しました。

エレベーター事業
日立の子会社である1956年に設立された日立ビルシステムが昇降機の製造・販売・保守を担っています。同社は、空調やビルのセキュリティ管理も行っています。2018年に台湾のエレベーター大手である永大機電工業を買収しました。

Arcelik(アルチェリク)

1955年にVehbi Koc(ヴェフビ・コチ)氏によって創業されたトルコ大手財閥であるコチグループ傘下の家電メーカーです。白物家電等に強く、トルコ国内では最大手です。海外展開にも積極的で、海外ではベコブランドで展開しています。EBITDAマージンが10%前後あり、収益性の高さが強みです。

アルチェリクの業績推移
アルチェリクの業績推移

ダイソン

英国から彗星の如く出現したプレミアム家電メーカーです。吸引力で差別化を図る掃除機や、羽根のない扇風機等、斬新なアイディアと技術力でブランドを確立しています。

デロンギ

デロンギ社はイタリアに本拠を置く小型家電メーカーです。1902年に創業。オイルヒーター等の暖房機器、エスプレッソ・コーヒーメーカー、ハンドブレンダーやオーブン等の調理を設計・製造・販売しています。コーヒーメーカーのDe'Longhi、調理用のKenwood、ハンドブレンダーやフードプロセッサーのBraun(P&G社のブラウンよりライセンス供与を受けている)等のブランド名で事業を展開しています。さらに詳しく

Miele & Cie(ミーレ・アンド・シー)

1899年に設立されたドイツに本拠を置く家電メーカーです。創業家であるミーレ家とツィンカン家が株式を保有している非公開会社です。洗濯機、冷蔵庫や調理家電に強みを持ちます。

参照したデータの詳細情報について


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