電気シェーバー・カミソリ・髭剃り業界の世界市場シェアの分析

世界の大手電気シェーバー、カミソリ・髭剃りメーカーの世界市場シェアと市場規模について分析を行なっています。フィリップス、ブラウン、レミントン、ジレット、シック等シェーバー・髭剃りメーカー概要も掲載しています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第4巻」に記載の電気シェーバー・カミソリメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

1位 P&G 19%
2位 フィリップス 5%
3位 エッジウェル 4%
4位 パナソニック 2.1%
5位 レミントン 1.6%
6位 BIC 1.6%

2019年の髭剃りメーカーの市場シェア1位は、P&Gとなります。電気シェーバーに強いブラウンと替え刃式のジレットの両分野に強みを持ちます。2位はオランダのフィリップスです。近年ヘルスケア事業へ注力をしています。3位はエッジウェルで替え刃式シックブランドに強みを持ちます。4位は日本のパナソニックです。5位はスペクトラムブランズ傘下のレミントン、6位はフランスのBICとなります。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、電気シェーバーとカミソリ業界の2019年の世界市場規模を330億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。
調査会社のリポートリンカーによれば、2020年の北米の電気シェーバーの市場規模は40億ドルで、世界市場の27%を占めます。よって世界市場の規模は148億ドルと逆算できます。調査会社のプレサイエント&ストラテジックインテリジェンスによれば、2019年のカミソリ業界の世界市場規模は180億ドルとなります。2020年から2030年で年平均2.1%の成長を見込みます。BICによれば、カミソリ業界の中でウェットシェーバーの2019年の市場規模は150億ユーロ、使い捨てシェーバーは40億ユーロです。電気シェーバーには、刃を回転させるロータリーヘッド型と音波振動を出すフォイル(Foil)型があります。

1984年 ジレットによるブラウンの買収
2003年 レイオバック(現スペクトラム・ブランズ)によるレミントン・プロダクツの買収
2003年 エナジャイザーによるシックのファイザーからの買収
2005年 P&Gによるジレット(及びブラウン)の買収
2015年 エナジャイザーホールディングスの分社化。シックはエッジウェル・パーソナル・ケア・カンパニー傘下へ

Philips(フィリップス)

Philips(フィリップス)は、オランダに本拠を置く、家電・ヘルスケアメーカーであり、1891年にヘラルド・フィリップスによって設立されました。照明事業が祖業で、かつては半導体事業等も手掛けていましたが、近年、事業の再構築を行い、現在では医療機器、パーソナルヘルスケアの分野に注力しています。祖業でもある照明・ランプ事業は、フィリップスライティング(現シグニファイ)として分社化をしました。医療機器の分野では画像診断領域に強みを持ちます。家電はキッチン向けやシェーバー等のパーソナルケア向けの商品ラインアップを強化しています。掃除機、コーヒーメーカー、アイロン等の小型家電も手掛けています。パーソナルケアではシェーバーや電子歯ブラシが強いです。電子歯ブラシはソニッケア(Sonicare)ブランドで高機能帯をブラウンのオーラルBと二分しています。

パナソニック

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となる予定です。

Remington(レミントン)
米国に本社を置くSpectrum Brands(スペクトラム・ブランズ)社が展開するシェーバーブランドです。元々は拳銃等も製造するレミントンランド社傘下でしたが、レミントンランド社自体は現在のユニシスに吸収されています。電池のレイオバック、熱帯魚のテトラ、ペット製品のDINGO、鍵のKwikset等のブランドを保有しています。

P&G

P&G(プロクター&ギャンブル)は、米国に本拠を置く世界最大級の日用品メーカーで、1837年にウィリアム・プロクター氏とジェームズ・ギャンブル氏によって設立されました。日用品業界屈指の商品開発力・マーケティング力を誇っています。取り扱っている分野は、トイレタリー、ファミリーケア、ファブリックケア、ホームケア、ヘアケア、スキンケア、オーラルケアといった広範囲の消費財で、いずれもブランド力のある商品を展開しているのが特徴です。

ベビー・ファミリーケア部門:
おむつの分野では、パンパースブランドを世界的に展開し、業界最大級となっています。製紙・パルプの分野では、ペーパータオル「バウンティ」やティッシュペーパー「パフス」を展開し、クリネックスブランドのキンバリークラーク等と競っています。
ファブリック&ホームケア部門:
洗濯用洗剤のアリエール、柔軟剤のレノア、食器用洗剤のジョイ、エアケアのファブリーズ、柔軟剤のDowny(ダウニー)を展開しています。日用品・トイレタリー分野においては、ユニリーバやコルゲートを抑え、世界シェアトップを誇っています。
ヘアケア・化粧品部門:
ヘアケアのPantene(パンテーン)、ヴィダルサスーン、h&sを展開しています。化粧品分野においては、SK-II等の強力なブランドを有しており、業界内の世界シェアで上位に位置しています。香水分野では、ブランド系各社と提携し、大手の一角を占めています。主なブランドに、HUGO BOSS(ヒューゴボス)、Lacoste Fragrances(ラコステ・フレグランス)、Puma(ピューマ)、Naomi Campbell(ナオミ・キャンベル)、Escada Fragrances(エスカーダ・フレグランス)、Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)等があります。2015年、フレグランスブランドの「Hugo」「Gucci」、カラーコスメティックブランドの「COVERGLRL」「Max Factor」、ヘアカラービジネスの「Wella」「Clairol」をコティに売却しました。
ヘルス部門:
オーラルケアの分野では、Oral Bやクレストなどのブランドを展開し、歯磨き粉・マウスウォッシュともに世界シェアで上位に位置しています。
電動歯ブラシでは、子会社のブラウンがフィリップスと世界シェア1位を争っています。シェーバー・カミソリ業界では、シェーバーはBraun(ブラウン)が、カミソリは2005年に買収したGillette(ジレット)が世界シェア上位に位置しています。
2005年にP&Gが髭剃り大手のジレットを買収しました。P&Gは女性用美容機器に強みがあり、一方、ジレットは男性用髭剃りに強みがあります。傘下に電動シェーバーも保有しています。P&Gは買収によって男性用と女性用美容機器の分野で一気に存在感を示すことができました。当時のジレットは、ジレットモデルという消耗品(カミソリ)の買い替えモデルを確立し、超高収益企業ででした。
  • 参考書
    P&Gウェイ: 世界最大の消費財メーカーP&Gのブランディングの軌跡 [単行本]
    P&G 一流の経営者を生み続ける理由 [単行本(ソフトカバー)]
  • 2005年に米国のプロクター&ギャンブル(P&G)が米国のジレットを買収しました。
  • 買収金額は約56億ドルです。ジレットの終値に対して約18%のプレミアムを乗せた水準です。2,004年のジレットのEBITDAに対して約18倍のマルチプルとなりました。
  • 両社のブランドは補完的と言えます、P&Gは女性向けの美容製品に強みを持つ一方で、ジレットは男性向けの髭剃りに強みを持ちます。
  • さらに、既存P&Gの流通網やマーケティングノウハウを活用する形で、中国、ロシア、トルコなどの地域でのジレット製品の販売も強化予定です。
  • ジレットの替え刃モデルという消耗品で利益を得るというビジネスモデルは、コピー機のトナーや電動歯ブラシ等の分野でも応用されています。
  • ジレットは、1967年に電子シェーバーのブラウンを、1996年には乾電池世界大手のデュラセルを買収氏、事業領域の拡大を図るものの、P&G傘下での更なる成長を目指すこととなりました。
  • 2004年のジレットの売上高は約105億ドル、営業利益は約25億ドルでした。

Schick(シック)
米国に本社を置く替刃式カミソリ大手です。ワーナーランバート、ファイザー、アメリカの電池大手のエナジャイザー・ホールディングス (Energizer Holdings)傘下から現在はエッジウェル・パーソナル・ケア・カンパニー傘下となっています。

貝印
日本の誇る刃物メーカーです。Kai Raizor等のブランドで髭剃り事業を展開しています。独バイヤスドルフのニベアと組んで欧州展開を図っています。

業界関連図書

ヒゲの日本近現代史 (講談社現代新書) [新書]
世界の主要な電気シェーバーメーカーの一覧