P&Gの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

P&G(プロクター&ギャンブル)は、米国に本拠を置く世界最大級の日用品メーカーで、1837年にウィリアム・プロクター氏とジェームズ・ギャンブル氏によって設立されました。日用品業界屈指の商品開発力・マーケティング力を誇っています。取り扱っている分野は、トイレタリー、ファミリーケア、ファブリックケア、ホームケア、ヘアケア、スキンケア、オーラルケアといった広範囲の消費財で、いずれもブランド力のある商品を展開しているのが特徴です。

業績推移(年次)

2022年度
売上高は前年度比5.35%増の80,187百万ドルになりました。営業利益は前年度比2.03%増の17,809百万ドルになりました。営業利益率は22.21%になりました。製品価格の引き上げや堅調な需要を背景に前年度比増収増益になりましたが、ドル高による収益の圧迫や安価なプライベートブランドへの切り替えなどが懸念材料です。

P&Gの業績推移

P&Gの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比1.35%増の20,612百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-1.67%の4,939百万ドルになりました。営業利益率は24.0%になりました。中国の高級美容品ポートフォリオがCOVIDのロックダウンの影響を受け前年同期比増収減益となりました。

2022年4-6月
売上高は前年同期比3.00%増の19,515百万ドルになりました。営業利益は前年同期比1.64%増の3,598百万ドルになりました。営業利益率は18.4%になりました。

2022年度第3四半期(2022年1-3月)
売上高は前年同期比7.02%増の19,381百万ドルになりました。営業利益は前年同期比6.31%増の4,024百万ドルになりました。営業利益率は20.8%になりました。幅広い商品での値上げが奏功し、原材料や輸送費のコスト増をこなし、前年同期比増収増益になりました。

2022年度第2四半期(2021年10-12月)
前年同期比増収減益となりました。ヘルスケアやビューティー部門が好調で増収となりましたが、原材料の価格高騰と物流コストの上昇から費用が増加し減益となりました。

2022年度第1四半期(2021年7-9月)
前年同期比増収増益となりました。

P&Gの四半期業績推移

P&Gの四半期業績推移

ESP成長(四半期)

2022年7-9月
希薄化後EPSは前年同期比-2.48%の1.57ドルになりました。1株当たりの配当は前年同期比4.60%増の0.91ドルになりました。配当性向は57.96%になりました。

P&GのEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

P&GのEPS・1株配当・配当性向の推移(四半期)

売上構成

売上構成はFabric & Home Care、Baby Feminine & Family Care、Beauty Health Care、 Groomingの4分野で構成されます。製品毎の売上は以下の通りとなります。

P&Gの売上構成(サブセグメント別、2022年度)

P&Gの売上構成(サブセグメント別、2022年度)

セグメント概略

おむつ:
おむつの分野では、パンパースブランドを世界的に展開し、業界最大級となっています。製紙・パルプの分野では、ペーパータオル「バウンティ」やティッシュペーパー「パフス」を展開し、クリネックスブランドのキンバリークラーク等と競っています。

bounty

バウンティ

ファブリック&ホームケア:
洗濯用洗剤のアリエール、柔軟剤のレノア、食器用洗剤のジョイ、エアケアのファブリーズ、柔軟剤のDowny(ダウニー)を展開しています。日用品・トイレタリー分野においては、ユニリーバやコルゲートを抑え、世界シェアトップを誇っています。

ヘアケア・化粧品:
ヘアケアのPantene(パンテーン)、ヴィダルサスーン、h&sを展開しています。化粧品分野においては、SK-II等の強力なブランドを有しており、業界内の世界シェアで上位に位置しています。香水分野では、ブランド系各社と提携し、大手の一角を占めています。

主なブランドに、HUGO BOSS(ヒューゴボス)、Lacoste Fragrances(ラコステ・フレグランス)、Puma(ピューマ)、Naomi Campbell(ナオミ・キャンベル)、Escada Fragrances(エスカーダ・フレグランス)、Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)等があります。2015年、フレグランスブランドの「Hugo」「Gucci」、カラーコスメティックブランドの「COVERGLRL」「Max Factor」、ヘアカラービジネスの「Wella」「Clairol」をコティに売却しました。

オーラルケア&髭剃り:
オーラルケアの分野では、Oral Bやクレストなどのブランドを展開し、歯磨き粉・マウスウォッシュともに世界シェアで上位に位置しています。
電動歯ブラシでは、子会社のブラウンがフィリップスと世界シェア1位を争っています。シェーバー・カミソリ業界では、シェーバーはBraun(ブラウン)が、カミソリは2005年に買収したGillette(ジレット)が世界シェア上位に位置しています。

ご参考:P&Gによるジレット買収の案件ハイライト
2005年にP&Gが髭剃り大手のジレットを買収しました。P&Gは女性用美容機器に強みがあり、一方、ジレットは男性用髭剃りに強みがあります。傘下に電動シェーバーも保有しています。P&Gは買収によって男性用と女性用美容機器の分野で一気に存在感を示すことができました。当時のジレットは、ジレットモデルという消耗品(カミソリ)の買い替えモデルを確立し、超高収益企業でした。

過去のM&A

2003年 化粧品大手Wellaを買収
2005年 ジレットを557億ドルで買収
2012年 ケロッグにプリングルスなどの菓子事業を売却
2014年 マーズにペットフード事業の一部を売却
2016年 ヘアカラーやカラーコスメティック事業をCotyに売却
2016年 バークシャー・ハサウェイに乾電池事業(Duracell)を売却
2017年 パーソナルケアブランド「Native」を買収
2018年 メルクの大衆薬事業を買収
2018年 オーガニック系パーソナルケアブランドのL.を買収
2018年 スキンケアメーカーのFirst Aid Beautyを買収
2018年 オーガニック系スキンケアメーカーのSnowberryを買収
2020年 女性向けカミソリブランドのBillieを買収
2021年 D2Cスキンケアブランドのファーマシー ビューティ(FARMACY BEAUTY)を買収
2021年 ヘアケアブランド「ウェイ(OUAI)」の買収

市場シェア

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