GSKの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

グラクソスミスクラインは、1999年にスミスクライン・ビーチャムとグラクソ・ウエルカムが経営統合して誕生した英国に本拠を置く大手製薬メーカーです。中枢系の医薬品に強みを持ちます。医薬品、ワクチンとコンシューマヘルスケアが事業の柱となっています。コンシューマヘルスケアの歯磨き粉では、アクアフレッシュ(Aquafresh)センソダイン(Sensodyne、日本名シュミテクト)や抗炎症剤「ボルタレン」などが主力製品です。2018年に米ファイザーと一般用医薬品(大衆薬)事業の統合を発表、GSKコンシューマヘルスケアが誕生しました。飲料事業(ルコゼード、ライビーナ)をサントリー食品に、抗がん剤事業をノバルティスに160億ドルで売却しました。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は前年度比9.52%増の337億5400万ポンドになりました。営業利益は26.096%増の69億6100万ポンドになりました。営業利益率は20.62%になりました。

2020年度
売上高は前年度比1.02%増の340億9900万ポンドになりました。営業利益は11.81%増の77億8300万ポンドになりました。営業利益率は22.82%になりました.

2021年度
売上高は前年度比27.58%減の246億9600万ポンドになりました。営業利益は44.02%減の43億5700万ポンドになりました。営業利益率は17.64%になりました。2021年度は売上高および営業利益が大幅に減少しました。特に営業利益の減少率が高く、営業利益率も低下しています。この年は市場環境の悪化や競争激化などが影響した可能性があります。

2022年度
売上高は前年度比18.74%増の293億2400万ポンドになりました。営業利益は47.65%増の64億3300万ポンドになりました。営業利益率は21.94%になりました。2022年度は売上高および営業利益が大幅に回復しました。特に営業利益の増加率が高く、営業利益率も上昇しています。経営戦略の見直しや市場の回復が功を奏した結果と考えられます。

2023年度
売上高は前年度比3.42%増の303億2800万ポンドになりました。営業利益は4.85%増の67億4500万ポンドになりました。営業利益率は22.24%になりました。2023年度は緩やかな増収増益を達成しました。営業利益率も前年並みの高水準を維持しており、安定した経営が続いていることが伺えます。

グラクソスミスクラインの業績推移
グラクソスミスクラインの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比3.32%減の69億5100万ポンドになりました。営業利益は20億8200万ポンド、営業利益率は29.95%になりました。前年同期比で売上高と営業利益ともに減少しましたが、営業利益率は依然として高い水準を維持しています。競争激化や市場の変動が影響した可能性があります。

2023年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比3.59%増の71億7800万ポンドになりました。営業利益は21億4100万ポンド、営業利益率は29.83%になりました。前年同期比で売上高が増加し、営業利益も大幅に増加しました。営業利益率も引き続き高い水準を保っており、事業運営の効率性が向上していることが示されています。

2023年第3四半期(7-9月)
売上高は前年同期比4.06%増の81億4700万ポンドになりました。営業利益は19億4900万ポンド、営業利益率は23.92%になりました。売上高が増加した一方で、営業利益の伸び率はやや鈍化しました。営業利益率も前年より低下しており、コスト増や一時的な経費が影響した可能性があります。

2023年第4四半期(10-12月)
売上高は前年同期比9.16%増の80億5200万ポンドになりました。営業利益は5億7300万ポンド、営業利益率は7.12%になりました。売上高は増加しましたが、営業利益が大幅に減少しました。営業利益率の低下は一時的な要因や特別費用が影響したと考えられます。

2024年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比5.93%増の73億6300万ポンドになりました。営業利益は24億4300万ポンド、営業利益率は33.18%になりました。前年同期比で売上高が増加し、営業利益も大幅に増加しました。営業利益率も高水準を維持しており、事業の健全な成長が続いていることが示されています。

グラクソスミスクラインの四半期業績推移

グラクソスミスクラインの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比67.26%減の1.20ポンドになりました。1株当たりの配当は前年度比5.31%減の0.58ポンドになりました。配当性向は48.37%になりました。

グラクソスミスクラインのEPS・配当額・配当性向の推移
グラクソスミスクラインのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年には、売上、調整後営業利益、およびEPS(1株当たり利益)のさらなる成長が見込まれており、売上は前年比7%以上、調整後営業利益は11%以上の成長率を予想しています。

売上構成

セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

グラクソスミスクライン製品別売上構成(2023年度)
グラクソスミスクライン製品別売上構成(2023年度)

呼吸器治療薬
Nucala、Relvar/Breo、Trelegyなど。吸入コルチコステロイド(ICS)や長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)とLABAの二重気管支拡張薬などの新薬開発にも力を入れています。

HIV治療薬
Tivicay、 Triumeq、Dovatoなど。ファイザーと塩野義製薬との合弁事業であるViiV Healthcareを通じて事業を展開しています。

免疫炎症治療薬
Benlysta、Duvroqなど

がん治療薬
Zejula、Blenrepなど

その他医薬品
抗感染症、アレルギー、中枢神経系、皮膚科、呼吸器系、泌尿器系などの技術的に確立した医薬品

髄膜炎ワクチン:
Bexseroなど

インフルエンザワクチン:
Fluarix/FluLavalなど

帯状疱疹ワクチン:
Shingrixなど

その他ワクチン:
Infanrix、Pediarix、Boostrixなど

M&A情報

GSKは主に製薬会社へのM&Aを積極的に進めています

2009年 アメリカ合衆国の歯科用品製造販売を行うNovaMin Technologyを買収
2010年 調剤ビジネスのアルゼンチンのPhoenixを買収
2012年 バイオ医薬品企業のHuman Genome Sciencesを買収
2013年 飲料事業(ルコゼード、ライビーナ)をサントリー食品に売却
2013年 HIVやマラリアなどのワクチンを開発する製薬会社のスイスのOkairosを買収
2014年 ノバルティスがグラクソスミスクラインのガン治療薬事業を買収
2018年 ノバルティスが保有するコンシューマー・ヘルスケア事業の持分36.5%を買収
2018年 英グラクソ・スミスクライン(GSK)と米ファイザーの一般用医薬品(大衆薬)事業が統合し、GSKコンシューマー・ヘルスケアが誕生
2018年 がん治療薬に特化したアメリカ合衆国のTesaroを買収
2022年 GSKコンシューマー・ヘルスケアの分社化を発表
2022年 次世代ワクチンを開発するフランスのAffinivaxを買収
2023年 RCCに対する薬品を開発するカナダのBellus Healthを買収
2024年 呼吸器アメリカ合衆国のAiolos Bioを買収

GSKのM&Aマルチプル分析
GSKのM&Aマルチプル分析

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