医薬品・製薬業界

医薬品・製薬メーカーの世界シェア、市場規模、再編について分析をしています。ノバルティス、ファイザー、サノフィ、メルク、ロシュ、グラクソ・スミス・クライン等世界大手医薬品メーカーの動向も掲載しています。

市場シェア

「製薬・医薬品会社の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の医薬品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はRoche Holding(ロシュ)の5.2%、2位はPfizer(ファイザー)の4.1%、3位はNovartis(ノバルティス)の3.8%となります。

3位以下のシェアは以下の通りです。

1位 Roche Holding(ロシュ) 5.2%
2位 Pfizer(ファイザー) 4.1%
3位 Novartis(ノバルティス) 3.8%
4位 Merck(メルク) 3.7%
5位 GlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン) 3.4%
6位 Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン) 3.4%
7位 Bayer(バイエル) 3.4%
8位 Sanofi(サノフィ) 3.1%
9位 AbbVie(アッヴィ) 2.7%
10位 武田製薬 2.4%
11位 Bristol-Myers Squibb(ブリストル・マイヤーズ スクイブ) 2.1%
12位 AstraZeneca(アストラゼネカ) 1.9%
13位 Amgen(アムジェン) 1.9%
14位 Gilead Sciences(ギリアド・サイエンシズ) 1.8%
15位 Eli Lilly(イーライリリー) 1.8%
16位 Boehringer Ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム) 1.7%

1位はスイスのロシュです。2014年の米バイオ医薬品のインターミューンの買収以降、内部成長に力点を置いています。
2位は米国のファイザーです。2016年のバイオ医薬品大手のメディベーションや2015年のホスピーラの買収によって売上を伸ばしています。3位に位置するのはノバルティスです。ノバルティスは、2016年に血液病の治療薬に強い米同業セレクシス・ファーマシューティカルズを買収しています。
4位は米国のメルク(MSD)、5位には英国のグラクソ・スミスクラインが入っております。同社は飲料事業(ルコゼード、ライビーナ)をサントリー食品に売却したり、抗がん剤事業をノバルティスに売却するなど、選択と集中を進めています。

市場規模

IQVIA研究所によれば2018年の医薬品業界の市場規模は1.2兆ドルです。2023年にかけて年率4~5%で成長すると予測しています。

調査会社のスタティスタによれば2019年の規模は1.25兆ドルです。

以上より、当サイトでは市場シェアの計算のベースとなる市場規模を1.25兆ドルとしています。

再編

巨額の新薬開発投資を行うために、業界大手への集約や選択と集中が進んでおります。

1989年 ブリストル・マイヤーズとスクイブが合併してブリストルマイヤーズ・スクイブが誕生

1989年 スミスクラインとビーチャムが経営統合しスミスクライン・ビーチャムが誕生

1999年 仏ローヌ・プーランと独ヘキストの医薬事業が統合され、アベンティスが誕生

1995年 グラクソとウェルカムが経営統合しグラクソ・ウェルカムが誕生

1996年 トタル子会社の仏サノフィとロレアル子会社の仏サンテラボが経営統合しサノフィ・サンテラボが誕生

1996年 スイスのチバ・ガイギーとサンドが経営統合し、ノバルティスが誕生

1997年 スイスのロシュによる独ベーリンガー・マンハイムの買収

1999年 ヘキスト・マリオン・ルセルとローヌ・プラーン・ローラーが経営統合しアベンティスが誕生

1999年 英ゼネカとスウェーデンのアストラが合併しアストラゼネカが誕生

1999年 仏サンテラボとサノフィが合併し、サノフィ・サンテラボが誕生

2000年 ファイザーがワーナーランバートを買収

2000年 スミスクライン・ビーチャムとグラクソ・ウェルカムが経営統合し、グラクソ・スミスクラインが誕生

2001年 ブリストルマイヤーズ・スクイブがデュポンから医薬品部門を買収

2001年 アボットがBASFからの医薬品部門を買収

2002年 ファイザーが米ファルマシアを買収

2002年 ロシュによる中外製薬の買収

2003年 メルクが万有製薬を完全子会社化

2003年 ファイザーによるPharmaciaの買収

2004年 サノフィ・サンテラボとアベンティスが経営統合をしてサノフィ・アベンティス誕生

2004年 ファイザーによるバイオ医薬メーカーEsperion Therapeutisの買収

2005年 ファイザーによる抗体医薬メーカー米Biorenとバイオ医薬メーカーの仏Vicuronの買収

2005年 ノバルティスによる独Hexal買収

2005年 山之内製薬と藤沢薬品が合併しアステラス製薬誕生

2005年 第一製薬と三共が合併して第一三共が誕生

2005年 大日本製薬と住友製薬が合併し大日本住友誕生

2005年 GSKによるバイオ医薬の米Corixa買収

2006年 GSKによる抗体医薬の独Domantis買収

2006年 ノバルティスによる米Chiron買収

2007年 ファイザーによるワクチンメーカーの米Coleyの買収

2007年 ロシュによる抗体医薬大手Therapeutic Human Polyclonalsの買収

2008年 第一三共によるランバクシーを買収

2008年 ファイザーによるアニマルヘルスメーカーの米Schering-Ploughの買収

2008年 ロシュによるバイオ医薬の米Ventana Medical Systemの買収

2008年 ノバルティスによるAlcon買収

2009年 メルクが米主リング・プラウを買収

2009年 サノフィによる癌医薬に強い豪BiPar Scienceの買収

2011年 武田薬品によるナイコメッドの買収

2011年 ノバルティスによるネスレからコンタクトレンズ・眼科治療機器大手のアルコンの買収

2012年 GSKによる米ヒューマン・ゲノム・サイエンス買収

2013年 ファイザーが動物薬事業をZoetisとして分社化

2014年 ロシュによる米インターミューンの買収

2014年 ファイザーによるバクスターからのワクチン事業の買収

2014年 ノバルティスとGSKによる抗癌事業とワクチン事業の資産交換

2014年 アクタビスによるアラガン買収

2014年 バイエルがメルクより一般医薬品事業を買収

2015年 カナダのバリアントによるサリックス買収

2015年 アッヴィによるファーマサイリックスの買収

2015年 テバによるアラガンの後発薬の買収

2015年 アクティバによるアラガン買収

2015年 ファイザーによるホスピーラ買収

2016年 アイルランドのシャイアーによるバクスアルタの買収

2016年 ファイザーによるバイオ医薬品大手のメディベーション買収

2016年 J&Jによるアボット・ラボラトリーズからの眼科治療事業の買収

2017年 J&Jによるスイスのアクテリオン・ファーマシューティカルズの買収

2017年 ノバルティスがフランスの放射性医薬品会社アドバンスト・アクセレーター・アプリケーションズを買収

2018年 サノフィによる血友病治療薬に強い米バイオベラティブの買収(116億ドル)

2018年 サノフィによる抗体医薬を手掛けるベルギーのアブリンクスを買収(39億ユーロ)

2018年 ノバルティスによる米国のがん治療薬メーカーのエンドサイトの買収(21億ドル)

2018年 英グラクソ・スミスクライン(GSK)と米ファイザーの一般用医薬品(大衆薬)事業が統合し、GSKコンシューマー・ヘルスケアが誕生

業界の特徴

医薬品には、一般の消費者が購入できる一般医薬品と医師の処方が必要な医療用医薬品があります。医療用医薬品は、特許により権利が保護されている先発医薬品と特許切れの後発医薬品に分類されます。
先発医薬品の開発は、基礎研究から臨床実験、規制当局による承認審査を経る必要があるため、時間と多大なる研究開発費用が必要となってきます。先発医薬品の開発成功確率は0.01%以下と言われ、1000億円単位の開発費用がかかります。大手医薬品会社はこうした開発投資に勝ち抜くため、買収を通じて規模や新薬開発機会の発掘を積極的に行っています。

世界の大手製薬会社の動向

Novartis(ノバルティス)


スイスに本拠を置く世界最大級の製薬メーカーです。後発医薬品メーカー大手のSandoz(サンド)を傘下に保有しています。2014年に英グラクソ・スミスクラインの抗がん剤事業を160億ドルで、2017年にフランスの放射性医薬品会社アドバンスト・アクセレーター・アプリケーションズを39億ドルで、2018年に米国のがん治療薬メーカーであるエンドサイトを21億ドルで買収すると発表する一方で、コンタクトレンズ会社のアルコンは分社化、大衆薬事業は合弁相手のグラクソ・スミスクラインに売却し、先端医薬品分野を強化する方針です。

Pfizer(ファイザー)

1849年創業の米国に本拠を置く世界最大級の製薬メーカーです。2000年のワーナー・ランバート、2003年のファルマシア、2009年のワイス、2015年の後発医薬品の米ホスピーラ等積極的な買収を行っています。2014年に英アストラゼネカ買収を提案するが拒否されました。2015年に後発薬大手のアクタビスを傘下に持つAllergan(アラガン)の買収を発表しましたが、2016年に買収を断念しています。同年にはバイオ医薬品大手のメディベーションを買収しました。2018年に、グラクソ・スミスクライン(GSK)と一般用医薬品(大衆薬)事業の統合をしました。後発薬事業はアップジョンで展開しています。2019年にマイランと後発薬事業の経営統合を発表しています。新会社のViatris(ヴィアトリス)はファイザーの子会社となる予定です。

Sanofi(サノフィ)

フランスに本拠を置く大手製薬メーカーです。サノフィの発祥は、仏石油大手のTOTALの医薬品部門とヘキスト・ローヌ・プーラン・ローラー系の製薬事業です。ワクチン系の医薬品に強いとされます。2018年に抗体医薬を手掛けるベルギーのアブリンクスを買収しています。

Merck(メルク)

米国に本拠を置く製薬大手です。発祥はドイツのメルク社です。米国外ではMSDの名称で展開しています。日本では万有製薬を買収にメルク万有として事業を展開しています。

Roche Holding(ロシュ)

スイスを代表する製薬メーカーです。日本では中外製薬を買収して事業を展開しています。

GlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン)

英国に本拠を置く大手製薬メーカーです。中枢系の医薬品に強みを持ちます。飲料事業(ルコゼード、ライビーナ)をサントリー食品に、抗がん剤事業をノバルティスに160億ドルで売却しました。大衆薬事業では、歯磨きの「センソダイン」(日本名シュミテクト)や抗炎症剤「ボルタレン」などが主力製品です。2018年に米ファイザーと一般用医薬品(大衆薬)事業の統合を発表、GSKコンシューマー・ヘルスケアが誕生しました。

Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)

米国に本拠を置く日用品世界最大手メーカーです。医療機器と医薬品にも強みを持ちます。2016年にアボット・ラボラトリーズから眼科治療事業を買収しました。

AstraZeneca(アストラゼネカ)

英国に本拠を置く医薬品・製薬メーカーです。1999年に英国化学メーカーのICIから分社化したゼネカと、スウェーデンの医薬品メーカーのアストラが経営統合をして誕生しました。癌、循環器、呼吸器、消化器、中枢神経、麻酔薬の医薬品を開発・販売しています。2015年に高カリウム血症の治療薬に強い米国のZSファーマを買収しました。

Eli Lilly(イーライリリー)

米国に本拠を置く製薬メーカーです。糖尿病のインスリンを開発する等新薬の研究・開発に強みを持ちます。

アッヴィ(AbbVie)

米国に本社を置く新薬メーカーです。米国のアボット・ラボラトリーズから分離して誕生しました。抗体医薬に強みを持ちます。

ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)

米国に本拠を置くバイオ製薬会社です。肝炎やHIV感染治療薬に強みを持ちます。

武田製薬工業


日本最大級の製薬メーカーです。製薬大手シャイアーを買収し、規模拡大をはかります。

中国医薬集団総公司(Sinopharm)

中国の医薬品ディストリビューターです。薬局や医療機器の販売も手掛けています。

主要業界団体


日本製薬工業協会
日本製薬団体連合会
アイ・エム・エス・ジャパン株式会社
IMS Health

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