動物用医薬品・アニマルヘルス業界の界世界市場シェアの分析

動物用医薬品・アニマルヘルス業界の世界シェアと市場規模について分析しています。ゾエティス、エランコ、メルク、ベーリンガーインゲルハイム、ビルバックといった大手動物薬メーカーの概要や動向も掲載しています。

【市場シェア】

動物薬・アニマルヘルスメーカー各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年の動物薬・アニマルヘルス業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位ゾエティス、2位メルク、3位ベーリンガーインゲルハイムとなります。⇒参照したデータの詳細情報

動物薬・アニマルヘルスメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

順位会社名市場シェア
1位ゾエティス19.5%
2位メルク14.0%
3位ベーリンガーインゲルハイム12.2%
4位エランコ11.9%
5位アイデックス・ラボラトリーズ7.3%
6位セバ・サンテアニマル4.0%
7位ビルバック3.0%
8位フィブロ2.1%
動物薬・アニマルヘルスメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)
動物薬・アニマルヘルス業界の世界シェア(2021年)
動物薬・アニマルヘルス業界の世界シェア(2021年)

2021年もゾエティス、ベーリンガーインゲルハイム、メルク、エランコ(+バイエルアニマルヘルス)のトップ4は不動でした。但し、2020年に入り、エランコがバイエルのアニマルヘルス事業を買収した結果、トップ5体制からビッグ4が競う時代へと突入です。
バイエルは、農薬・種子大手のモンサントを巨額の資金(7兆円超)で買収し、バイエルのアニマルヘルス事業を売却して、資金の手当てを急いだ形となります。

【市場規模】

当データベースでは、2021年の動物用医薬品・アニマルヘルス業界の市場規模を399億ドルとしております。参照した調査会社の市場規模推計は次の通りとなります。

調査会社のグランビューリサーチによれば、2020年と2021年の同業界の市場規模は454億ドルと399億ドルです。2022年〜2030年にかけての年平均成長率は10%と見込まれています。⇒参照したデータの詳細情報

世界の人口は2050年には97億人に達すると予想されており、家畜からの食肉も含めた食糧供給への需要が継続します。アニマルヘルスの成長機会も見込まれます。

人用医薬品と動物用医薬品の相違点

医療用医薬品業界と比べて、臨床試験が必要ないため新薬の開発費用・時間は少なくて済みますが、市場規模は小さく、販売チャネルは獣医等の動物病院がメインといった参入障壁があります。また規制当局が人用医薬品の場合は厚生労働省ですが、動物用医薬品の場合は農林水産省となります。規制対象となる製品は、大きく動物用医薬品、動物用医薬部外品、動物用医療機器に分かれます。

動物薬と医薬品の違い
動物薬と医薬品の違い


さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

動物用ワクチン―その理論と実際
小動物の治療薬 第3版
医薬品・製薬業界の世界市場シェアの分析
製薬業界でM&Aや再編対象となる会社の分析
大衆薬・市販薬業界の世界市場シェアの分析
ジェネリック・後発医薬品業界の世界市場シェアの分析
日本動物用医薬品協会
動物用医薬品等データベース

【会社の概要】

ゾエティス

ゾエティス(Zoetis)は、米国に本拠を置く動物薬最大手メーカーです。2009年にFort Dodge買収により業容を拡大しています。2013年にファイザーから分社化して誕生しました。家畜(牛・豚・家禽・魚等)、ペット(犬・猫等)向け動物薬を総合的に手掛けています。犬のアレルギー性皮膚炎治療薬「アポキル錠」等の主力商品を多数抱えています。2018 年には、獣医向け診断機器メーカー、米アバキスを買収し、機器領域へ参入しました。

ベーリンガーインゲルハイム

1885年に設立されたベーリンガーインゲルハイムは、ドイツに本拠を置く大手医薬品メーカーです。心血管・代謝疾患、腫瘍、呼吸器疾患、免疫学、中枢神経系(CNS)の疾患向けの治療薬に強みを持ちます。動物薬の分野では、2015年に仏サノフィから動物薬事業を買収し業界大手となりました。ペット及び豚向けに強みを持ちます。コンシューマーヘルス事業は2015年にサノフィに売却し撤退しております。バイオ製薬の製造受託も行っています。

サノフィについて

サノフィは、1973年に設立されたフランスに本拠を置く大手製薬メーカーです。サノフィの発祥は、仏石油大手のTOTALの医薬品部門とヘキスト・ローヌ・プーラン・ローラー系の製薬事業です。ワクチン系の医薬品に強いとされます。2018年に抗体医薬を手掛けるベルギーのアブリンクスを買収しています。さらに詳しく

メルク

米国の製薬メーカーです。メルクアニマルヘルスが動物薬事業を展開します。ドイツの化学・医薬メーカーであるメルクから独立した経緯もあり、米国外ではMSDの名称で展開をしています。

エランコ

エランコ(Elanco)は、米大手製薬メーカーであるイーライリリー傘下の動物薬メーカーです。2011年にJ&Jから、2015年にノバルティスから動物薬事業を買収しました。2018年にイーライリリーから分社化独立しました。ペット向けから家畜全般の動物薬を手掛けています。2019年に動物薬などのバイエルのアニマルヘルス事業を76億ドル(約8千億円)で買収しました。

バイエルについて

Bayer AG(バイエル)は、1863年にフリードリヒ・バイエル氏によって設立されたドイツに本拠を置く世界的な医薬品・化学品メーカーです。アスピリンの発明で有名です。第二次世界大戦中には、BASF、ヘキストとともにIG・ファルベンを形成しました。戦後にバイエルとして独立し、数々の買収や事業の売却を行っています。農薬・種子事業、ファーマスーティカル事業、コンシューマーヘルス事業が3本柱です。2015年にはマテリアルサイエンス部門をコベストロ(Covestro)として分社化・独立させています。農薬・種子事業においては、2016年にモンサントを買収し、農薬ビッグ4を一歩引き離す存在となりました。種子分野でも上位に入っています。なお、香料大手であるシムライズは、2002年に同社の子会社の出会ったHaamann & Reimer社とDragoco社が経営統合をし、誕生した経緯があります。
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ノバルティスについて

Novartis(ノバルティス)は、スイスに本拠を置く世界最大級の製薬メーカーです。後発医薬品メーカー大手のSandoz(サンド)を傘下に保有しています。2014年に英グラクソ・スミスクラインの抗がん剤事業を160億ドルで、2017年にフランスの放射性医薬品会社アドバンスト・アクセレーター・アプリケーションズを39億ドルで、2018年に米国のがん治療薬メーカーであるエンドサイトを21億ドルで買収すると発表する一方で、コンタクトレンズ会社のアルコンは分社化、大衆薬事業は合弁相手のグラクソ・スミスクラインに売却し、先端医薬品分野を強化しています。さらに詳しく

アイデックス

アイデックス・ラボラトリーズ(IDEXX Laboratories)は、米国に本社を置く動物の臨床検査や品質検査を行う会社です。広義でのアニマルヘルス会社ですが、動物薬等の製造は手掛けていません。

セバ・サンテ

セバ・サンテ・アニマル(Ceva Santé Animale)は、1999年にSanofi(サノフィ)から分社化して誕生しました。害虫駆除薬に強く、ノミやダニ駆除薬であるベクトラシリーズは有名です。2020年に三井物産やカナダの年金ファンドであるPSPインベストメンツも出資しました。

ビルバック

ビルバック(Virbac)は、1968年に創業したフランスに本拠を置く動物薬メーカーです。ペット向けの動物薬に強みを持ちます。

フィブロ

フィブロ(Phibro Animal Health)は、米国に本拠を置く動物薬メーカーです。畜産向けに特化しているのが特徴です。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した売上高ランキング

参照した市場規模の情報

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