スペクトラムの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Spectrum Brands(スペクトラム ブランズ)は、2005年に設立された米国に本拠を置くブランド管理会社です。出自は電池メーカー世界大手のRayovac(レイオバック)です。2009年にチャプター11を申請後、2010年に家電や建材を手掛けるラッセルホブズ(Russell Hobbs)と経営統合を行いました。ブランド力のある商品を調理家電、美容家電、ペットフードや殺虫・防虫剤等の分野で幅広く展開しています。2021年に鍵やロック、蛇口配管、ヒンジや引き戸事業をアッサアブロイに売却しました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は3,802百万ドルで、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は72百万ドルになりました。営業利益率は2%になりました。粗利率が35.0%から34.3%に減少しました。これは主に、投入コストの増加によるものです。

2020年度
売上高は3,964百万ドルで、前年度比4%増となりました。営業利益は243百万ドルになりました。営業利益率は6%になりました。粗利益率が34.4%から34.6%に増加しました。これは主に販売量の増加によるものです。営業費用は、のれんの減損と無形資産の減損により増加しました。

2021年度
売上高は2,998百万ドルで、前年度比24%減となりました。営業利益は97百万ドルになりました。営業利益率は3%になりました。粗利率は、主に生産性の向上による販売量の増加、製品と投入量の増加により増加しました。営業費用は、輸送費と物流費の増加および販売費の増加がありました。

2022年度
売上高は3,133百万ドルで、前年度比4%増となりました。営業利益は23百万ドルになりました。営業利益率は1%になりました。粗利率は、運賃と投入コストのインフレペースが加速したこと、サプライチェーンの制約に起因するコストの増加、および前年と比較した数量の減少により減少しました。営業費用は、流通および輸送コストの増加、販売費の増加、倉庫保管および在庫管理コストの増加、人件費のインフレと売上高による営業の非効率、および一般管理費の減少により増加しました。

2023年度
売上高は2,919百万ドルで、前年度比7%減となりました。営業利益は206百万ドルの赤字になりました。粗利率が減少しましたが、これは前年度に蓄積された在庫コストの増加によるものです。のれんの減損と無形資産の減損により営業費用が増加しましたが、販売量の減少による販売コストと営業コストの減少により一部相殺されました。

スペクトラムブランズの業績推移

スペクトラムブランズの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第1四半期(10ー12月)
売上高は713百万ドルになりました。営業利益は20百万ドルの赤字となりました。

2023年第2四半期(1ー3月)
売上高は729百万ドルになりました。営業利益は77百万ドルの赤字となりました。

2023年第3四半期(4ー6月)
売上高は736百万ドルになりました。営業利益は125百万ドルの赤字となりました。

2023年第4四半期(7ー9月)
売上高は741百万ドルになりました。営業利益は16百万ドル、営業利益率は2%になりました。

2024年第1四半期(10ー12月)
売上高は692百万ドルになりました。営業利益は26百万ドル、営業利益率は4%になりました。

スペクトラムブランズの四半期業績推移

スペクトラムブランズの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比213%増の-5.92ドルになりました。1株当たりの配当は前年度と同額の1.68ドルになりました。

スペクトラムブランズのEPS・配当額・配当性向の推移

スペクトラムブランズのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

セグメントは、調理家電、美容家電、ペット用品、ガーデニングに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

スペクトラムブランズの売上構成(2023年度)

スペクトラムブランズの売上構成(2023年度)

事業構成別の製品と競合分析

調理家電
旧ラッセルホブズ(Russell Hobbs)が展開する電気ケトル、トースター、コーヒーメーカー、ブレンダー、ハンドミキサー、グリル、フードプロセッサー、ジューサー、トースター、アイロン、やかん、パン焼き機などの小型キッチン家電を製造しています。主なブランドはBlack&Decker、RussellHobbs、GeorgeForeman、Toastmaster、Juiceman、Farberware、およびBreadmanです。競合先はNewell Brands、De'Longhi America、SharkNinja、Hamilton Beach 、Sensio、Inc、SEB SA、Whirlpool Corporation、Conairなどが挙げれます。アイロンではフィリップスやニューウェルブランズと並ぶ大手メーカーの一角です。

美容家電
ヘアドライヤー、電気シェーバー、パーソナルグルーマー、口ひげトリマー、ボディグルーマー、鼻と耳のトリマー、女性用シェーバー、ヘアカット、脱毛システムなどをRemington(レミントン)、LumaBellaのブランドで展開しています。Koninklijke Philips、The Procter&Gamble、Conair Corporation、Wahl Clipper、Helen of Troyなどと競合しています。シェーバーでは、Remingtonブランドで展開し、フィリップスやP&Gのブラウンと並ぶ業界大手となっています。

ペットフード
飼育用動物や観賞用魚の飼料を8IN1(8-in-1)、Dingo、Nature'sMiracle、Wild Harvest、Littermaid、Tetra(テトラ)、Marineland、Whisperなどのブランドで展開しています。主な競合はMars Corporation、the Hartz Mountain CorporationやCentral Garden & Petです。

殺虫・防虫剤
殺虫、防虫、防草剤をHotShot、BlackFlag、Real-Kill、UltraKill、Spectracide、GardenSafe、CutterおよびRepelといったブランドで展開しています。主な競合はScotts Miracle-Gro、Central Garden & Pet、SBM 、S.C. Johnson & Son, Inc、Henkelです。

ブランドマネジメント会社という観点では、米国で同じくブランド管理を中心に行う米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)と競合しています。ABGは、買収を通じてバーニーズニューヨーク、ブルックス・ブラザーズやフォーエバー21、エディ・バウワー、エアロポステールなどの有力なブランドを保有しています。

売却された事業

鍵・ロック
住宅向け鍵事業をスタンレー・ブラック&デッカーより買収する等、鍵・ロック業界の世界シェアでは上位に位置しています。Kwikset、Weiser、Baldwin、TellManufacturingおよびEZSETブランドで展開しています。主な競合はAllegionやAssa Abloyです。

蛇口や配管
蛇口や配管機器をPfisterブランドで展開しています。主な競合はMasco、Fortune Brands、Kohler、American Standardです。

ヒンジなど
ヒンジ(蝶番)や引き戸をNationalHardware、FANALブランドで展開しています。主な競合はHillman Group、Hampton Products、Kochです。

M&A情報

2003年 パーソナルケア大手のRemington(レミントン)を買収
2003年 ペット大手のUnited Pet Groupを買収
2005年 観賞魚用飼料大手のテトラを買収
2005年 レイオバックからスペクトラム・ブランズへ社名を変更
2009年 チャプター11の申請
2010年 ラッセルホブズとの経営統合
2012年 スタンレー・ブラック&デッカーの家庭用鍵・家電事業を買収
2015年 Armored Auto Groupを買収
2017年 PetMatrixを買収
2017年 GloFishを買収
2018年 電池事業(Rayovac、レイオバック)をエネジャイザーに売却
2020年 Armitageを買収
2020年 Omega Seaを買収
2020年 ペット用スナックと遊具を製造する Armitage Pet Care の買収を発表
2021年 家庭用クリーニングとメンテナンスを専門とする Rejuvenate の買収契約を締結
2021年 Hardware & Home Improvement事業をアッサアブロイに売却
2022年 Tristar Products のキッチン家電および調理器具カテゴリーの買収を完了

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