ADMの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、1902年に米国のミネソタ州で設立された穀物商社・穀物メジャーです。設立当初は、リネン(亜麻)の圧搾加工に注力するなど、カーギル等と異なり穀物の加工事業から、現在の穀物メジャーの守備範囲である、穀物の集荷・流通・貯蔵・販売事業へと展開していきました。特に、大豆やトウモロコシ、油糧種子加工、食品成分や香料事業に強みを持ちます。

1997年にグレンコアのブラジル事業を買収する等して穀物メジャーとなりました。食品業界全体を見回しても、ネスレやコカコーラと売上規模では匹敵するジャイアントです。非公開企業がおおい、穀物商社・穀物メジャーの中で、ブンゲ(バンジ)と同様にニューヨーク証券取引所に上場しています。地域でみると売上の約7割は米国、ドイツ、スイス、事業でみると穀物の集荷・貯蔵・販売事業が5割以上です。一方で利益の面では油糧種子加工が、収益源となっています。

業績推移(年次)

2021年度
穀物相場の上昇もあり、前年度比増収増益となりました。

2020年度
売上高は、販売価格の上昇(20億ドル)により一部相殺されたものの、販売数量の減少(23億ドル)に より、3億ドル減少の644億ドルとなりました。

ADMの業績推移
ADMの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比21.35%増の24,683百万ドルになりました。営業利益は前年同期比70.19%増の965百万ドルになりました。営業利益率は3.9%になりました。

2022年4-6月
売上高は前年同期比19.01%増の27,284百万ドルになりました。営業利益は前年同期比107.59%増の1,285百万ドルになりました。営業利益率は4.7%になりました。

2022年1-3月
売上高は前年同期比25.18%増の23,650百万ドルになりました。営業利益は前年同期比44.19%増の1,067百万ドルになりました。営業利益率は4.5%になりました。穀物相場の価格上昇傾向が継続し、前年同期比大幅な増収増益を達成しました。

ADMの四半期業績推移

ADMの四半期業績推移

EPS成長(年次)

好調な業績を反映して、2019年度以降希薄化後EPSも増加しています。

ADMの希薄化後EPSの推移
ADMの希薄化後EPSの推移

EPS成長(四半期)

2022年第2四半期(4-6月)
希薄化後EPSは前年同期比73.02%増の2.18ドルになりました。

ADMの希薄化後EPS(四半期)の推移

ADMの希薄化後EPS(四半期)の推移

売上構成

農業サービス、搾油&加工、炭水化物ソリューションとニュートリションが事業の主軸となっています。

ADMの売上構成(2021年度)
ADMの売上構成(2021年度)

農業サービス
農産物の集荷・販売・輸送・保管しています。

搾油&加工
大豆やソフトシード(綿実、ひまわり種、菜種、亜麻仁)などのオイルシードの粉砕・植物油やタンパク質ミールに加工する事業をグローバルに展開しています。ピーナッツ及びピーナッツ由来原料の主要供給 者でもあります。北米では、綿花セルロースパルプを製造し、化学品、製紙、その他の産業市場向けに販売しています。

炭水化物ソリューション
トウモロコシや小麦を、甘味料、トウモロコシや小麦のデンプン、シロップ、グルコース、小麦粉、ブドウ糖など、食品・飲料産業で使用される製品や原料に変換しています。飼料用原料として、コーングルテンフィード、ミール、ジスチラーズグレインなどを生産しています。

ヒューマンニュートリション
植物性たん白、天然フレーバー、フレーバーシステム、天然着色料、乳化剤、水溶性食物繊維、ポリオール、ハイドロコロイド、プロバイオティクス、プレバイオティクス、酵素、植物エキス、その他特殊食品・飼料原料などの幅広い素材やソリューションの製造、販売、流通に従事しています。

アニマルニュートリション
配合飼料、動物用健康・栄養製品の加工・販売、ペット用おやつ・食品の受託製造・自社ブランド化に関する事業を行っています。

競合分析

下図の通り、穀物の保管・流通・プロセッシングという一連のバリューチェーンを保有し、全世界に幅広く流通網を確保しています。

ADM-value-chain
ADM-value-chain 出所ADM

穀物商社事業では、穀物商社・穀物取引業界において、カーギルに次いで、世界大手の一角を担っています。上流の穀物トレーディングは穀物メジャーへの集約が進み、M&Aを通じて中流から下流領域の強化を図っています。

中国のウーデリグループや米国のアーデント・ミルズと並び、製粉業界でも存在感を示しています。同社アニュアルレポートによれば、2019年の年間製粉能力は2800万トンです。

香料業界では、2014年に香料業界世界6位(当時)のワイルドフレーバーズを買収して、同社にとっての川下分野を強化しています。同社が取り扱う、トウモロコシ加工、大豆加工等とのシナジーを狙います。

製油・植物油・食用油業界においても、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、カーギルやウィルマ―インターナショナルと並ぶ大手企業となっています。

カカオ・ココア事業からオラムインターナショナルに事業を売却して撤退をした。チョコレート事業からは、カーギルに事業を売却して撤退をしています。

M&A(合併買収)

1997年 グレンコアのブラジル事業を買収
2002年 エタノール製造大手ミネソタ・コーン・プロセッサーを買収
2009年 ココア製造大江のショナキグを買収
2014年 香料大手のワイルド・フレーバーズを買収
2014年 チョコレート事業をカーギルへ売却
2015年 Tate&Lyleよりグルコース生産用のミルを買収
2018年 プロバイオティクス大手のProbiotics Internationalを買収
2019年 動物飼料大手のNeoviaグループを買収
2021年 Golden Farm Production & Commerce Company Limited
2021年 ペット用おやつ・サプリメント会社のPetDine等の買収
2021年 プロバイオティクス・酵素技術に強い米DeerlandProbiotics & Enzymesを買収
2021年 非遺伝子組み換え大豆原料会社のソジャプロテインを買収
2021年 香料と食品成分会社のフレーバーインフュージョンインターナショナルを買収

市場シェア

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