アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、1902年に米国のミネソタ州で設立された穀物商社・穀物メジャーです。設立当初は、リネン(亜麻)の圧搾加工に注力するなど、カーギル等と異なり穀物の加工事業から、現在の穀物メジャーの守備範囲である、穀物の集荷・流通・貯蔵・販売事業へと展開していきました。特に油糧種子加工、食品成分や香料事業に強みをもっています。
1997年にグレンコアのブラジル事業を買収する等して穀物メジャーとなりました。食品業界全体を見回しても、ネスレやコカコーラと売上規模では匹敵するジャイアントです。非公開企業がおおい、穀物商社・穀物メジャーの中で、ブンゲ(バンジ)と同様にニューヨーク証券取引所に上場しています。地域でみると売上の約7割は米国、ドイツ、スイス、事業でみると穀物の集荷・貯蔵・販売事業が5割以上です。一方で利益の面では油糧種子加工が、収益源となっています。

2020年度ADM売上構成©ディールラボ
下図の通り、穀物の保管・流通・プロセッシングという一連のバリューチェーンを保有し、全世界に幅広く流通網を確保しています。

ADMのビジネスモデル
出所:同社ホームページ
穀物商社事業では、穀物商社・穀物取引業界において、カーギルに次いで、世界大手の一角を担っています。上流の穀物トレーディングは穀物メジャーへの集約が進み、M&Aを通じて中流から下流領域の強化を図っています。
中国のウーデリグループや米国のアーデント・ミルズと並び、製粉業界でも存在感を示しています。同社アニュアルレポートによれば、2019年の年間製粉能力は2800万トンです。
香料業界では、2014年に香料業界世界6位(当時)のワイルドフレーバーズを買収して、同社にとっての川下分野を強化。同社が取り扱う、トウモロコシ加工、大豆加工等とのシナジーを狙っています。
製油・植物油・食用油業界においても、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、カーギルやウィルマ―インターナショナルと並ぶ大手企業となっている。
カカオ・ココア事業からオラムインターナショナルに事業を売却して撤退をした。チョコレート事業からは、カーギルに事業を売却して撤退をしています。
1997年 グレンコアのブラジル事業を買収
2002年 エタノール製造大手ミネソタ・コーン・プロセッサーを買収
2009年 ココア製造大江のショナキグを買収
2014年 香料大手のワイルド・フレーバーズを買収
2014年 チョコレート事業をカーギルへ売却
2015年 Tate&Lyleよりグルコース生産用のミルを買収