製粉業界の世界市場シェアの分析

製粉業界の世界シェアの市場規模の情報を分析しています。五得利面粉集団、アーデント・ミルズ、ウィルマ―、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、中糧集団、ボガサリ等の大手小麦粉・製粉メーカーの動向も掲載しています。

市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第2巻」に記載されている製粉各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の製粉業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はウーデリグループ、2位 はアーデント・ミルズ、3位はーチャー・ダニエルズ・ミッドランド となります。

2019年製粉の業界シェア

1位 五得利面粉集団/ウーデリグループ 5.9%
2位 Ardent Mills/アーデント・ミルズ 4.6%
3位 Archer-Daniel Midland/アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド 4.1%
4位 Wilmar International/ウィルマ― 4.0%
5位 日清製粉 3.8%
6位 Bunge/バンジ 2.3%
7位 Bogasari/ボガサリ 2.2%
8位 COFCO/中糧集団 1.9%
9位 日本製粉 1.3%

1位のウーデリグループは中国政府系の製粉会社です。中国国内での製粉が主力事業です。
2位のアーデント・ミルズはカーギルとコナグラの製粉事業が統合して誕生した製粉大手会社です。3位のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは穀物メジャーの一角です。製粉事業も米国、カナダ、中国、ジャマイカ、英国等で手掛けています。米国内に38の製粉施設を有しています。4位のウィルマーインターナショナルはインドネシアのパーム油大手ですが、製粉も中国等で行っています。5位は日本の日清製粉となります。近年海外の製粉会社の買収を数多く手掛けています。6位には穀物間ジャーのバンジが入っています。北米、ブラジル、メキシコにあわせて20以上の製粉施設を有しています。

市場規模

本サイトでは、下記の調査会社の情報も参考にし、米国の製粉業界の規模が、小麦業界の規模に準じるものと仮定して、2019年の世界の製粉業界の規模を748億ドル、製粉のトン数ベースの規模を3.9億トンと推計しています。調査会社のテックサイエンスリサーチによれば2016年の同業界の市場は約1800億ドルです。また北米市場の規模は約25%です。調査会社のIBIS Worldによれば、2020年の米国の製粉業界の規模は187億ドルです。調査会社のモードーインテリジェンスによれば2018年の小麦の生産量は7.32億トンです。2025年にかけて年平均1.3%の成長を見込みます。調査会社のアイマークによれば2019年の小麦の消費量は3.91億トンです。

小麦粉の作り方(製粉プロセス)
昔ながらの石臼で挽くやり方でも小麦粉を作ることはできますが、現在は小麦粉の作り方は、精製→調質→挽砕→ふるい→純化→完成というプロセスを経ます。

業界関連書籍

製粉業界の動向

五得利面粉集団(Wudeli Group、ウーデリグループ)

1999年に創業した中国河北省に本拠を置く世界最大級の民営製粉会社です。中国における小麦消費量の拡大を受けて成長しています。年間約1100万トンの製粉能力があります。

Ardent Mills(アーデント・ミルズ)

2013年にカーギルとコナグラの製粉事業が統合されて誕生した製粉会社です。調査会社のworld grainによれば年間の製粉処理能力は900万トンです。

Wilmar Group(ウィルマ―グループ)

インドネシア系の穀物商社です。パーム油生産においては上から川下まで一貫体制をとっています。製粉事業は中国を中心に手掛けています。製粉に関しては関連会社も含めて年間約11百万トンの生産能力を有しています。製粉事業は、インドではAdani、中国ではCOFCOと共同で事業を行っています。搾油事業に関しては年間41百万トンを有しています。製糖事業は、豪州の旧Colonial Sugar Refining Company(CSR)からSucrogenを買収し製糖事業を強化しています。シンガポール証券取引所に上場していますが、米国の穀物メジャーであるArcher-Daniel Midlandが約25%の株式を保有しております。

Wilmar社のCrushing能力一覧

Wilmar製粉能力
出所:同社ホームページ

Archer-Daniel Midland(ADM、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)


アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、1902年に米国のミネソタ州で設立された穀物商社・穀物メジャーです。設立当初は、リネン(亜麻)の圧搾加工に注力するなど、カーギル等と異なり穀物の加工事業から、現在の穀物メジャーの守備範囲である、穀物の集荷・流通・貯蔵・販売事業へと展開していきました。特に油糧種子加工、食品成分や香料事業に強みをもっています。
1997年にグレンコアのブラジル事業を買収する等して穀物メジャーとなりました。食品業界全体を見回しても、ネスレやコカコーラと売上規模では匹敵するジャイアントです。非公開企業が多い、穀物商社・穀物メジャーの中で、ブンゲ(バンジ)と同様にニューヨーク証券取引所に上場しています。地域でみると売上の約7割は米国、ドイツ、スイス、事業でみると穀物の集荷・貯蔵・販売事業が5割以上です。一方で利益の面では油糧種子加工が、収益源となっています。
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COFCO(中糧集団、China National Cereals, Oils and Foodstuffs Corporation)

コフコ(COFCO)は1949年に設立された中国政府傘下の国有の食糧・穀物商社です。各種穀物や食糧の集荷、備蓄、運搬、輸出入、加工等を手掛け、最近では、食品・飲料分野でも成長を志向しています。2009年の売上高は約2兆2100億円(1782億元)でしたが、中国の成長に伴い、2017年には7兆5千億円(4420億元)へと急成長を遂げています。総資産は約8兆7千億円です。

コフコは、傘下に約19の事業会社・子会社を保有しています。うち上場子会社は13社で、9社は香港に上場、4社は上海で上場しています。穀物分野の世界市場シェアでは上位に位置します。
COFCOインターナショナルは、グローバルで各種穀物の集荷、貯蔵、運搬を行っています。オランダの穀物商社のニデラを2017年に完全子会社化しています。2013年に買収したシンガポールのノーブルの農作物部門はコフコアグリへと社名変更しました。
COFCOトレーディングは中国国内の穀物の集荷、貯蔵、運搬を担っています。101のエレベーターを有して、22百万トンの貯蔵容量、18百万トン/年の穀物取り扱い能力、1日6万7千トンの乾燥能力を誇ります。6つの出荷港、穀物運搬船、貨物列車も保有しています。
COFCO油&油料種子(オイル&オイルシーズ)は、大豆油、菜種油、ピーナツオイル、パーム油の加工、貯蔵、流通、販売を行っています。最終製品も手掛け、Fourseas、Xiyhgying, Fortuneなどのブランドで販売を行っています。年間加工能力は22百万トンです。製油・食用油業界では、カーギルやADM等の4大穀物メジャー、ウィルマ―・インターナショナル、IOI等に次ぐ規模を保有しています。
COFCOグレインズ&シリアルズ(コフコ穀物)は、お米、小麦、麺、パン、麦芽等を取り扱っています。4百万トンの精米能力、FORTUNEブランドのお米、350万トンの製粉能力、22万トンの製麺能力、3600トンの製パン能力、74万トンの発酵醸造能力が強みです。
COFCOバイオケミカルはスターチ、フルクトース(果糖)、エタノール、グルタミン酸、乳酸、クエン酸、糖アルコールなどを取り扱っています。トウモロコシの加工能力年間6百万トンです。
COFCO飼料は年間5.7百万トンの生産能力を持つ飼料部門です。配合飼料や粗飼料を販売しています。飼料業界でも大手です。
COFCO製糖は年間2百万トンの製糖能力を持ちます。中国の砂糖輸入量のほぼ半分をCOFCO製糖が担っています。製糖分野では、ズットツッカー、テレオス、ミトポン、ウィルマ―に並ぶ大手です。
コフコは食糧分野に加え食品分野にも参入をしています。COFCOワイン&スピリッツは14のワイナリーを保有しており、Greatwall(長城)、Jiugui、Kong Yiji、Huangzhonghaung等のブランドで展開しています。フランスのボルドーのワイナリーであるシャトー・ヴィオーやチリのワイナリーであるビスケルト社を買収しました。
COFCOコカコーラはコカコーラのボトリング事業を行い、中国のほぼ全土をカバーしています。
COFCOミートは、主に豚の畜産や加工を行っています。約2.3百万頭の豚の畜産、1万7千トンの加工処理能力を有しています。
乳製品分野では、コフコは蒙牛乳業(Mengniu Dairy)を擁しています。同じく中国のYili(伊利集団)と競っています。
そのほかにも、食品スーパー、中国茶製品、食品用容器製造、食品成分、不動産開発、金融サービスを提供しています。
2010年にチリのワイナリー、ビスケルト社の買収
2011年にフランスのシャトー・ヴィオーの買収
2013年にオランダの穀物商社ニデラの株式51%を1200億円超で買収
2013年にシンガポールの商品取引会社ノーブル・グループの農産物部門であるノーブル・アグリの株式51%を買収

 

アメリカの穀物輸出と穀物メジャーの発展 [単行本]
中国の食糧・農業 [単行本]

Bogasari(ボガサリ)

インドネシアに本拠を置く食品大手企業インドフード・スクセス・マクムール(Indofood Sukses Makmur)傘下の小麦粉・製粉メーカーです。パスタも展開しています。調査会社のAsean Recordsによれば年間の製粉能力は4百万トンです。

Grain Craft(グレイン・クラフト)

米国に本拠を置く2014年にCereal Food Processors(シリアル・プロセス・プロセッサーズ)、 Milner Milling(ミラー巳リング)とPFMが経営統合して誕生した製粉会社です。2019年の製粉能力は300百万トンです。

Bunge(バンジ、ブンゲ)

米国に上場するカーギル、ADM、ルイドレファスと並ぶ1818年に創業の穀物商社の大手です。長らくBunge家が支配する同族会社でしたが、2001年にニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。事業部門は大きく5つにわかれ、大豆やとうもろこし等の取引を行うアグリビジネス部門、食用油やその製品を取り扱う食用油事業、製粉事業、製糖事業、肥料事業に分かれています。従業員数は3万人程度です。2010年代後半には資源商社大手であるグレンコアや同業のADMとの経営統合を検討もしていたと噂されています。

全体の売上の7割はアグリビジネス部門が担っています。他の大手穀物商社と同様に農家からの買付け、集荷、保管、運搬、輸出まで一貫して行えるバリューチェーンを保有していることが強みです。特に大豆の取扱いでは世界最大級です。

バンジの大豆事業

バンジの大豆事業
出所:同社AR

次に大きいのは、食用油事業です。全体売上の約15%を占める。食用油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズ等を手掛けています。2017年にはマレーシアのIOI Loders Croklaanを買収し、事業拡大を図っています。この分野では、カーギル、スウェーデンの大手油脂メーカーであるAAK、ウィルマ―、ユニリーバ等と競合してます。

製糖事業は、全体の売上の約9%を占めます。製糖大国であるブラジルでのさとうきび事業、バイオエタノール事業が中心です。英国のABシュガー等と競合しています。

製粉事業や肥料事業は全体に占める割合は小さくなっています。

2004年 油糧種子大手のCereolを買収。
2008年 マーガリン大手のWalter Rauを買収。
2009年 マーガリン事業を食品成分会社のRaisio Groupから買収。
2013年 メキシコの製粉会社であるAltex(アルテックス)の買収
2015年 ブラジルの製粉会社であるMoinho Pacificoの買収
2017年 マレーシア油脂大手のIOI Loders Croklaanの株式70%を946百万ドルでパーム油大手のIOI Corpから買収
2018年 Grupo Minsaからの製粉事業の買収
2019年 北米の穀物エレベーター事業を全農へ売却
2019年 ブラジルのマーガリン・マヨネーズ事業をJBSへ売却

日本の製粉会社

日本では日清製粉が最大手(2018年度の生産量は189万トン)、日本製粉(同115万トン)、昭和産業(同46万トン)、日東富士製粉(同36万トン)と続きます。日清製粉は、2019年に豪州のアライドピナクルを買収する等、積極的に海外展開を図っています。