香料業界の世界市場シェアの分析

世界の香精・香料メーカー(香精(Fragrance)+フレーバー(Flavor))の世界ランキング、市場シェア、業界再編や市場規模について分析しています。
IFF、ジボダン、フィルメニック、シムライズ、高砂香料、長谷川香料といった香料会社の動向も掲載しています。

【香料業界とは】

香料は大きく食品香料(フレーバー)と香粧品香料(フレグランス)に分かれます。フレーバーは飲料、菓子、冷菓、即席麺などの加工食品に、フレグランスは化粧品やトイレタリー製品に使用され、両市場の規模はほぼ同程度とされています。

香料メーカーは、熟練した フレーバーリスト(フレーバー)や パフューマー(フレグランス)が香りを調合し、設備投資を伴う生産体制を維持する必要があるため、新規参入の障壁が高い産業です。

一方、香料の原料はラベンダーやシナモンなどの 天然由来成分と、リナロール・シトロネロールなどの 化学合成成分(アロマケミカル)に大別されます。
これらの原料を製造する企業は「香料原料メーカー」として、香精・フレーバーを調合する香精・香料メーカーとは別カテゴリー として扱われます。事業構造・顧客層・収益モデルが異なるため、国際的な市場分析では両者を明確に区分するのが一般的です。

日本の香料会社は、これら原料の多くを輸入に依存しています。

【香料業界の世界市場シェア】

香料業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の香料業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はジボダン、2位はシムライズ、3位はDSMフィルメニックとなります。

香料業界の市場シェア(2025年) ©2026 Deallab

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 Givaudan ジボダン 27.56%
2位 Symrise シムライズ 16.78%
3位 DSM Firmenich DSMフィルメニック 12.80%
4位 ADM ADM 12.20%
5位 IFF IFF 7.27%
6位 MANE マン 6.62%
7位 Takasago International Corporation 高砂香料 4.12%
8位 Robertet ロベルテ 2.87%
9位 Sensient Flavors センシエント・テクノロジー 2.29%
10位 T. Hasegawa Co., Ltd. 長谷川香料 1.35%
11位 Huabao フアバオ 0.56%
香料の世界市場シェアと業界ランキング(2025年) ©2026 Deallab

1位は、スイスのジボダン(Givaudan)です。ジボダンは世界最大の香料メーカーとして、ナチュラル成分・化粧品原料の領域を継続的に拡大しています。

2019年にAMSilkの化粧品事業、天然成分に強みを持つAlbert Vieille、ベトナムのGolden Frogを買収し、2020年にはバイオ成分のAlderysや化粧品原料のIndenaを取り込むなど、香料隣接領域の拡大を進めてきました。さらに2023〜2025年には、バイオ由来香粧品成分を持つAmyrisの一部事業、イタリアのメイクアップ・スキンケアOEMであるb.kolor、北米の香料会社Belle Aire Creationsなどを統合し、フレグランス&ビューティ領域の強化を継続しています。

2位は、ドイツのシムライズ(Symrise)です。シムライズは食品・香粧品・ペットフードまで広い領域を持ち、自然由来と科学を組み合わせた “code of nature™” を軸にナチュラルソリューションを強化しています。持続可能な原料調達とクリーンラベル需要への対応を進めています。

3位は、DSMフィルメニック(dsm-firmenich)です。
オランダのDSMとスイスのFirmenichによる対等合併により誕生した企業で、ニュートリション、ヘルス&ビューティ、香料・香粧品原料などを統合した「コンシューマー向けサイエンス企業」として位置づけられています。Firmenichは従来から香料・フレーバー分野の大手であり、フランスの植物ベース化学原料メーカーLes Dérivés Résiniques et Terpéniques(DRT)の買収などを通じて、ナチュラル由来のアロマ原料を強化してきました。

4位は、米国のADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)です。
世界的な農産物加工企業であり、香料業界にも強い影響力を持っています。WILD Flavors買収以降、食品・飲料向けフレーバー事業を急拡大しています。
近年は Revela Foods や FDL の買収を通じて乳製品・機能性フレーバーを強化し、原料から最終製品向けソリューションまで一貫した提供体制を構築しています。

5位は、米国のIFF(International Flavors & Fragrances)です。
Frutarom 買収と DuPont N&B との統合により、フレーバー・フレグランス・バイオサイエンスを組み合わせた事業体制を確立しました。

【香料業界の世界市場規模】

当データベースでは、2025年の香料業界の市場規模を343億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社imarcによると、2025年の同業界の市場規模は343億ドルです。2034年にかけて年平均3.03%で成長し、規模は453億ドルへと拡大することを見込んでいます。

調査会社プレセデンスリサーチによると、2025年の同業界の市場規模は340億ドルです。2035年にかけて年平均5.26%で成長し、規模は567億ドルへと拡大すると予測されています。

市場規模 年平均成長率見込み
2025 343億ドル
2034 453億ドル 3.03%

香料業界の市場規模の成長予想 ©2026 Deallab

【M&Aの動向】

1958年 ジュースメーカーのオランダPolak & Schwarz社と香料メーカーのAmeringen-Haebler社の経営統合でIFFが誕生

2000年 ジボダンがロシュから分社化

2000年 IFFがBush Boake Allenを買収

2003年 ドイツの化学大手バイエルの香料子会社であるHaamann & Reimer社とDragocoの経営統合でシムライズが誕生

2006年 ジボダンが英国の化学大手ICIよりオランダの香料メーカーのクエスト・インターナショナルを買収

2007年 フィルメニックが食品成分大手のオランダDaniscoから香料事業を買収

2014年 シムライズがフランスの香料成分会社であるDianaを買収

2014年 ジボダンがネスレの香料部門であるFood Ingredients Specialitiesを買収

2014年 IFFがイスラエルの香料会社であるAromor Flavors & Fragrancesを買収

2014年 ADMがワイルド・フレーバーズを買収

2015年 フルタロムがドイツの香料メーカーのWibergとオーストリアの食品香料のSAGEMAを買収

2015年 シムライズが米国のアロマ成分メーカーPinova社とRenessenz社を買収

2015年 IFFが米国の香料会社Henry H. Ottens社を買収

2015年 IFFがカナダの化粧品向け成分会社であるLucas Meyer Cosmetics社を買収

2016年 ジボダンが米香料メーカーのSpiceTec社のFlavors&Seasoning事業を買収

2017年 IFFが米香料メーカーのPowderPure(Columbia Phytotechnology)を買収

2018年 ジボダンが仏Naturexを買収

2018年 IFFがフルタロムを買収

2019年 ジボダンがAMSilkのコスメティック事業を買収

2019年 ジボダンがフランスの自然成分に強みを持つAlbert Vieille社を買収

2019年 ジボダンがベトナムの香料大手であるGolden Frog社を買収

2020年 長谷川香料によるミッションフレーバーズ&フレグランスの買収

2020年 ジボダンが化粧品成分のIndenaを買収

2020年 ジボダンが仏バイオ技術のAlderysを買収

2021年 IFFによるデュポンからのニュートリション・バイオサイエンス事業の買収

2021年 Sensient Technologies が Flavor Solutions, Inc. の資産を買収

2022年 IFF、ヘルス・ライト・プロダクツの買収を完了

2023年 フィルメニック、DSMとの対等合併を完了

2023年 シムライズ、デンマークの香料会社エボディアバイオの少数株を取得

2023年 ADM、英国拠点のFDL買収でグローバルフレーバー事業を拡大

2024年 ジボダン社、b.kolorメイクアップ&スキンケアの買収を完了

【会社の概要】

INTERNATIONAL FLAVORS & FRAGRANCES INC.(IFF)

1833年創業の米国大手香料メーカーで、NYSEに上場しています。食品・飲料・パーソナルケア向けの香料・機能性成分に強みを持ちます。

2018年にイスラエルの香料大手Frutaromを買収し、中堅・地域ブランド向けの事業基盤を拡大しました。2021年にはDuPontのニュートリション&バイオサイエンス事業と統合し、Nourish、Health & Biosciences、Scent、Pharma Solutionsの4事業体制を確立しました。さらに詳しく

DuPont(デュポン)について

DuPontは1802年創業の世界的化学メーカーで、2011年に食品成分大手Daniscoを買収し、ニュートリション&バイオサイエンス事業を強化しました。同事業は2019年にIFFとの統合が決まり、2021年に正式に合併。IFFは香料と食品成分を統合した総合食品成分企業へと進化しました。水処理膜事業はDuPont Water Technologyとして継続し、RO膜で世界的なシェアを持ちます。さらに詳しく

Givaudan S.A.(ジボダン)

1768年創業のスイス本社の世界最大の香料メーカーです。1963年に製薬メーカーのロシュ傘下に入りましたが、2000年に分社化しスイス証券取引所に上場しました。
フレグランスはパリで、フレーバーは北米を中心に展開し、世界のパフューマーの約3分の1を育成する教育機関も持ちます。

2019〜2020年にAMSilk、Albert Vieille、Golden Frog、Indena、Alderysなど香料隣接領域を買収し、ナチュラル成分と化粧品原料を強化。2023〜2025年はAmyrisの一部事業、b.kolor、Belle Aire Creations、Vollmens Fragrancesなどを統合し、フレグランス&ビューティ領域の拡大を継続しています。

さらに詳しく

DSM Firmenich SA(DSMフィルメニック)

スイスの非上場大手香料メーカーで、デザイナーフレグランスの調香で世界的評価を持ちます。
過去には「Calvin Klein CK One(カルバン・クライン「シーケー ワン」)」や「FLOWER BY KENZO(ケンゾー「フラワー バイ ケンゾー」)」などデザイナーフレグランスの調香を行っていました。
2007年にDupon(デュポン)傘下の食品添加物大手のDanisco(ダニスコ)より香料部門を買収し、ナチュラル原料領域を強化。2023年にオランダのDSMと対等合併し、ニュートリション・香料・香粧品原料を統合した「サイエンス主導のコンシューマー企業」として再編されました。

DSMについて

DSMは、1902年に設立されたオランダに本拠を置くライフサイエンス企業です。オランダ政府が設立したリンブルフ州の石炭採掘会社(Dutch State Mines、DSM)が同社の源流となります。ラクトース菌の酵素、ビタミン、栄養脂質、カロテノイドといった食品成分や機能性素材などの開発・製造に強みを持ちます。さらに詳しく

Symrise AG(シムライズ)

ドイツの化学大手バイエル傘下のHaarmann & Reimer社とDragoco社が統合して誕生したドイツの大手香料メーカーで、フランクフルト証券取引所に上場しています。

2014年に香料成分大手Dianaを買収し、ナチュラル原料領域を強化。独自の“code of nature™”コンセプトを軸に、自然由来原料と科学的エビデンスを組み合わせたソリューションを展開しています。2023年にはデンマークのEvodia Bioの少数株を取得し、ナチュラル成分の研究開発を強化しています。バイエルとは

Bayer AG(バイエル)について

1863年にフリードリヒ・バイエル氏によって設立されたドイツに本拠を置く世界的な医薬品・化学品メーカーです。アスピリンの発明で有名です。第二次世界大戦中には、BASF、ヘキストとともにIG・ファルベンを形成しました。戦後にバイエルとして独立し、数々の買収や事業の売却を行っています。農薬・種子事業、ファーマスーティカル事業、コンシューマーヘルス事業が3本柱です。2015年にはマテリアルサイエンス部門をコベストロ(Covestro)として分社化・独立させています。農薬・種子事業においては、2016年にモンサントを買収し、農薬ビッグ4を一歩引き離す存在となりました。種子分野でも上位に入っています。さらに詳しく

ARCHER-DANIELS-MIDLAND COMPANY(ADM)

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は1902年創業の米国穀物メジャーで、油糧種子加工・食品成分・香料事業に強みを持ちます。2014年にスイスの大手香料会社Wild Flavorsを買収し、食品・飲料向けフレーバー事業を本格的に拡大。2023年には英国FDL、米Revela Foodsを買収し、乳製品フレーバーや機能性原料を強化。農産物由来原料から最終製品向けフレーバーまで一貫したソリューションを提供する体制を確立しています。 さらに詳しく

Wild Flavors(ワイルドフレーバーズ)について

スイスに本拠を置く大手香料会社でした。創業オーナーのHans-Peter Wildと米プライベートエクイティファンドのKKRが株式を保有していましたが、米穀物メジャーのArcher Daniels Midland (アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ADM)に買収され、現在はADM傘下です。

MANE(マン)

1871年創業のフランス大手香料メーカーで、Mane家がオーナーの非上場企業です。ナチュラル原料とフレグランスに強みを持ち、近年はアフリカ・中東の地域香料会社を複数買収し、グローバル展開を強化しています。

Sensient Technologies Corporation(センシエント・テクノロジー株式会社)

米国の大手香料・着色料メーカーで、NYSEに上場しています。食品向けフレーバーとカラーソリューションに強みを持ち、2021年にFlavor Solutionsの資産を買収するなど、食品香料領域を拡大しています。

Takasago International Corporation(高砂香料工業株式会社)

1920年創業の日本最大手香料メーカーで、東証プライム上場。フレーバーとフレグランスを両輪とし、グローバル展開を進めています。2014年にマレーシアのPeresscolを買収しハラル対応を強化。2020年には米MISSION FLAVORS & FRAGRANCESを買収し、スイート系フレーバーを補完しました。

Robertet(ロベルト)

1850年創業のフランス大手香料メーカーで、天然香料に特化し、南仏グラースを拠点とします。2021年にスペインのAroma Esencialを買収し、ナチュラルエッセンシャルオイル領域を強化しています。

T. Hasegawa Co., Ltd.(長谷川香料株式会社)

長谷川香料は1961年に設立された国内大手香料メーカーです。乳製品等のフレーバー系に強みを持ちます。2014年にマレーシアの香料加工を行うPeresscol(ペレスコル)社を買収し、ハラル対応が必要なイスラム圏での商圏拡大を狙っています。2020年に米国のMISSION FLAVORS &FRAGRANCES(ミッションフレーバーズ&フレグランス)を買収し、従来の食品香料(調味料・ドレッシング等のセイボリー系フレーバー)に加え、スイート系のフレーバーを補完・強化しています。さらに詳しく

Huabao International Holdings Limited(フアバオ・インターナショナル、華寶國際控股有限公司)

1996年に朱林瑶(Chu Lam Yiu)氏によって創業された中国に本拠を置く香料メーカーです。2006年に香港証券取引所に上場しています。タバコ向け香料や伝統的な中国の風味の調合にも強みを有しています。

その他の国内メーカー

小川香料や三井物産・東レ系の曽田香料があります。

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