ココア・カカオ業界の世界市場シェアの分析

カカオ豆やココア業界の業界ランキングと市場規模について分析をしています。Barry Callebaut(バリーカレボー) 、Transmar、Petra Foods(ぺトラ・フーズ) 、Blommer(ブロマー) 等の主要カカオ・ココアメーカーの一覧も掲載しています。

なお本ページではココアとカカオを同義として取り扱っています。カカオは元々はスペインが征服する前のメキシコの先住民が使用していた言葉で、欧州に伝わる際に、より発音しやすいココアとなりました。

【市場シェア】

バリーカレーボー社の2021年の資料によればココア磨砕能力では同社が1位(2020年で年間120万トンの磨砕)となっています。2位にはカーギル、3位はインドネシアのオラム、4位はマレーシアのGuan Chongとなっています。

業務用チョコレートの生産能力では、2020年は1位バリーカレボー、2位カーギル、3位不二製油となっています。
2019年の生産能力では、1位バリーカレボーの160万トン、2位は米国のカーギル(65万トン)、3位はブロマーを買収した日本の不二製油で40万トン程度です。不二製油は2018年に北米に本拠を置くカカオ加工大手であるブロマーを買収し規模を拡大しています。4位はベルギーのピュラトスです。

ココア世界ランキング 出所:バリーカレボー
ココアと業務用チョコレートの生産能力(2020年) 世界ランキング 出所:バリーカレボー

【市場規模】

調査会社のリサーチアンドマーケッツによれと、業務用チョコレートは、2020年以降5年間の年平均成長率4%で成長し、180万トン規模が拡大します。2020年の業務用チョコレートの市場規模は約1059万トンと推計されます。⇒参照したデータの詳細情報
バリーカレボーによれば、ココアの年間生産量は2020年は約514万トンです。

なお、農場で収穫されたカカオは、ココアパウダーとココアバターに分離されます。前者はパウダーミックスやコンパウンドとして、後者はチョコレート原料(クーヴェルチュール)になります。

ココア・カカオの加工プロセス 出所:バリーカレボー

【会社の概要】

Barry Callebaut(バリーカレボー)

1996年にベルギーのカレボー社とフランスのバリー社が経営統合をして誕生しました。現在はスイス・チューリッヒに本拠を置きます。40カ国以上で事業を展開しカカオ豆の調達からチョコの製造まで一貫して行います。投資会社のJacob Holdings(ヤコブホールディングス)が支配権を有しております。

Cargill(カーギル)

カーギルは、米国に本拠を置く1865年の食糧関連以外にも金融や製造業を営むコングロマリット企業です。穀物メジャー筆頭格でもあり、肥料、食肉、製塩、ココア等の分野でも圧倒的存在感を示します。売上高は食品業界最大級の10兆円を優に超える規模ではあるものの、カーギル家とマクミラン家が所有する非公開会社です。

  • 穀物取引事業:
    大豆や小麦等の集荷・輸送・販売を行う穀物取引分野では世界市場シェアは最大級の規模です。穀物メジャーと言われるADM、ブンゲ(バンジ)、ルイドレフュスとともにABCDの一角を担っています。
  • 製塩事業:
    工業用の塩を製造販売しています。道路向けの凍結防止塩も手掛けています。製塩業界の世界シェアではK+Sや中国国家塩産業とともに世界トップ3の一角です。
  • 飼料事業:
    EWOSブランドで養殖向け飼料、Purina、Nutrena、Provimiで動物向け飼料を手掛けています。飼料業界の世界シェアでは、タイのチャロンポカパンや中国の新希望集団と上位の座を競っています。
  • カカオ・ココア事業:
    カカオの集荷、加工、ココアパウダー、チョコレートバターの販売までを手掛けています。カカオ・ココア業界の世界シェアでは、スイスのバリーカレボーやシンガポールのオラムインターナショナルと並ぶ業界最大手の一角です。
  • パーム油・製油事業:
    パーム油を含む油種の加工・販売を行っています。パーム油・製油業界の世界シェアでは、パーム油大手のウィルマ―インターナショナル、ADM、ブンゲ(バンジ)等と世界首位の座を競っています。
  • その他、カーギルはパスタソース(Pomarolaブランドを展開)、食肉分野、木綿取引、スターチ等の食品成分の分野でも事業を展開しています。

Olam International(オラム・インターナショナル)

シンガポールの本拠を置く穀物商社です。米、コーヒー、ココア、香辛料、動物飼料、食用油やナッツ類の取扱いに強みを持ちます。2014年にADMからカカオ・ココア事業を買収しています。2015年三菱商事がオラムインターナショナルへの20%の出資を発表しました。2021年に米国の香辛料メーカーであるオールドトンプソンを9.5億ドルで買収しました。カカオ、ナッツ、香辛料、乳製品などを手掛ける食品原材料部門「オラム・フード・イングリディエンツ」を2022年にOFIグループとして分社化しました。

富士製油

祖業であるパーム油などの油脂加工技術に強みを持ちます。業務用チョコレートも強く、2018年に発表をしたブロマー買収後には1800億円となりました。不二製油は15年にブラジル、16年にマレーシア、18年にオーストラリアのチョコレート、米国のブロマーを買収するなど、この分野に大きな投資を継続的に行っています。

Archer-Daniel Midland(ADM、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、1902年に米国のミネソタ州で設立された穀物商社・穀物メジャーです。設立当初は、リネン(亜麻)の圧搾加工に注力するなど、カーギル等と異なり穀物の加工事業から、現在の穀物メジャーの守備範囲である、穀物の集荷・流通・貯蔵・販売事業へと展開していきました。特に、大豆やトウモロコシ、油糧種子加工、食品成分や香料事業に強みを持ちます。続きを読む

Puratos(ピュラトス)

1919年にベルギーで設立されたチョコレート・パティスリ向けの各種成分製造メーカーです。コンパウンドチョコレート、油脂成分、乳化剤、改良剤等を手掛けています。

Blommer(ブロマー)

北米に本拠を置くカカオ加工大手です。2018年に富士製油が買収しました。

JB Foods(JBフーズ)

シンガポールに本拠を置くカカオ加工・ココアメーカーです。JB cocoaブランドを展開しています。

BT Cocoa

インドネシアのカカオ・ココア会社です。

Guan Chong

マレーシアに本拠を置くカカオ大手です。2016年にカカオ加工の子会社で富士製油と資本提携しています。

Ecom Agroindustrial(エコム)

スイスに本拠を置くココア商社です。コーヒーや木綿も取り扱っています。

Petra Foods(ぺトラ・フーズ)

インドネシアに本拠を置くカカオ加工及びチョコレートメーカーです。ココア事業はバリーカレボーへ売却しました。

Transmar Group(トランスマー)

米国に本拠を置くカカオ・ココア大手です。2016年に伊藤忠商事と提携。2017年にチャプター11を申請しました。

Cemoi(セモア)

フランスに本拠を持つ業務用チョコレートメーカーです。業務用だけでなく、消費者向けに自社ブランドのチョコレートを販売しています。

IRCA

イタリアに本拠をおく業務用チョコレートメーカーです。投資ファンドのカーライルが買収をしました。イタリアのパティスリ会社であるDoblarを買収しています。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

市場規模について
Research and Markets

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