ダノンはフランスを代表する大手乳製品メーカーです。1919年にスペインのヨーグルトの会社として誕生し、1972年にフランスの食品会社であるBSNと経営統合することでダノンが誕生しました。ダノンブランドのヨーグルトは特に有名です。エビアンやボルビックといったミネラルウォーター事業も手掛けています。ダノンの事業は大きく以下の4つの事業から構成され、新興国で全体の半分を売り上げています。2017年にアクティビストファンドであるKeith Meister(キース・マイスター)氏率いるCorvex Management(コーベックス・マネジメント)が同社の株式を取得しています。
乳製品
乳製品の中でもヨーグルトに強みを持ちます。Danone、Activa(アクティビア)、Actimel(アクティメル)、Yocrunch等のブランドで世界展開しています。乳製品の分野の世界シェアランキングでは食品の巨人ネスレと首位を争います。
ベビーフード
乳幼児や育児用のミルクや離乳食をBlédina(ブレディア)、Dumex(デュメックス)、アプタミル、ミルパ等のブランドで世界展開しています。ベビーフードの分野の世界シェアランキングでもスイスのネスレと首位を争っています。
ミネラルウォーター
日本人も馴染みの深いエビアン、ボルヴィック等のブランドに加えアクア、マイゾーンやボナフォン等で世界展開を図っています。ミネラルウォーターの世界シェアランキングでは業界首位級です。
上記3事業に加え、ダノンは医療用栄養補助食品(メディカルニュートリション)や植物由来の食品事業(買収したホワイトウェーブ)も展開しています。
売上高の推移(億ユーロ)
2015年 224
2016年 219→中国のベビーフード事業の売却
2017年 247→ホワイトウェーブ買収効果
2018年 246
2019年 252
1972年 フランスの食品会社BSNと経営統合
1980年 ボルビックを買収
2000年 クローネンブルク等のビール事業をビール大手スコティッシュ・ニューキャッスルに売却(スコティッシュ・ニューキャッスルはその後ハイネケンとカールスバーグに共同買収されています)
2002年 イタリアのフレッシュチーズ会社でであるEgidio Galbaniを投資ファンドへ売却
2005年 HPブランドのソース事業をハインツに売却(ハインツはどの後クラフトフーズと経営統合しています)
2007年 オランダの医療用食品のロイヤル・ヌミコ(Numico)を買収
2007年 シリアル及びビスケット事業を約76億ドルでモンデリーズに売却
2008年 ニュージーランドの飲料大手フルコア(Frucor)をサントリーに売却
2009年 インドの財閥であるWadia Groupがビスケット大手であるBritannia Brandsを買収
2010年 中国のHuiyuan Juice(汇源果汁)の株式の一部を買収
2010年 米国のアイスクリームや冷凍カスタードを手がけるYoCreamを買収
2012年 インドのWockhardtより幼児食事業を355百万ドルで買収
2013年 モロッコの乳製品メーカーであるCentrale Laitiereの一部株式を買収
2014年 中国のベビーフード大手の雅士利国際(Yashili International)の株式25%を買収
2015年 中国のベビーフード会社(Dumex Baby)をYashiliへ売却
2016年 北米のオーガニック食品大手のホワイトウェーブ・フーズを買収
2017年 北米のオーガニックヨーグルトメーカーであるStonyfieldをラクタリスより875百万ドルで買収
2018年 中国のYashiliよりニュージランドの乳製品会社の49%を買収
2020年 英国の「元祖ボトルウォーター」として名高いHarogate Spring Waterを買収
2020年 ヤクルト株式を市場で売却トグルボックス内容
買収総額は125億ドル。ホワイトウェーブの前日終値に対して19%のプレミアムを乗せた水準。
ホワイトウェーブは大豆などをベースにした有機食品に強く、消費者のヘルシーな食品へのニーズを捉えた成長を実現してきた。直近の売上高は40億ドル。
ダノンは、北米に強いブランド力を持つホワイトウェーブのホライゾンやヨーグルトのワラビーなどの健康食品ブランド乳製品や有機食品事業を買収することで、同地域での事業強化を図る。
オーガニック食品分野は消費者の健康志向から食品業界の中では成長領域。
ダノンが強みを持つヨーグルト等も広義の健康食品であり、ホワイトウェーブフーズの手掛けるオーガニック食品との親和性が高い。
ホワイトウェーブフーズは北米を中心に事業展開をしており、ダノンにとっては地理的な補完性を高める意味合いを持つ。