ベビーフード業界の世界市場シェアの分析

ベビーフード業界の世界市場シェア、市場規模と再編について分析をしています。ネスレ、ミード・ジョンソン、アボット、伊利集団等主要ベビーフードメーカーの概略も掲載しています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第4巻」に記載のベビーフードメーカー各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

1位 ネスレ 29 %
2位 アボット・ラボラトリーズ 8 %
3位 レキット・ベンキーザー 7 %
4位 ダノン 3.2 %
5位 伊利 2.6 %
6位 ヒーローグループ 0.9 %
7位 アサヒグループ食品 0.8 %
8位 贝因美 0.7 %

ベビーフード業界の世界市場シェア1位はスイスのネスレ社、2位は医薬品大手アボットが展開するアボットニュートリション、3位はイギリスの消費財大手レキット・ベンキーザー傘下のミード・ジョンソンとなります。

市場規模

調査会社のグローバルマーケットインサイツによれば、2018年のベビーフード業界の世界市場規模は143億ドルです。2019年から2025年にかけて年平均13.5%での成長を見込みます。調査会社のニールセンによれば2015年にベビーフードと粉ミルクの市場規模は300億ドル近くに達すると予測しています。一方、調査会社のグローバルインダストリーアナリシスによれば、2020年の同業界の規模を537億ドルと推定しております。2027年までに年平均4.1%での成長を見込みます。当サイトでは市場シェア算定にあたり、ベビーフード業界の市場規模を537億ドルとしております。

世界の主要ベビーフード会社

Nestle(ネスレ)

1866年に薬剤師のアンリ・ネスレ氏によって設立されたスイスに本拠を置く世界最大級の総合食品・飲料メーカーです。食品ではパスタのブイトーニやコンソメのマギー等、飲料ではネスカフェやミロ、乳製品、菓子類ではKitKatやCrunch等のチョコレートのブランドにて世界展開しています。2018年以降、アクティビストファンドであるサードポイントからの要請で、事業ポートフォリオの再構築を急いでいます。2019年には、投資ファンドのEQTパートナーズ、アブダビ投資庁およびPSPインベストメントに、同社のスキンヘルスケア事業の売却を検討を開始しました。スキンヘルス事業は、Proactive(プロアクティブ)やCetaphil(セタフィル)などのにきび防止用の洗顔料、保湿剤などのスキンケア用品などを展開しています。

事業構成

ネスレの商品構成は多岐に亘りますが、主な商品構成によって、以下のように分けられます。ネスレの各商品は、それぞれのカテゴリーで世界シェアが高いことも特徴です。

パスタ事業:著名なマギーとブイトーニのブランドで世界展開しています。スペインのエブロ・フーズやバリラ・グループ等のパスタメーカーとパスタ業界の世界シェア上位を争っています。

加工食品

加工食品 出所:ネスレ

菓子・チョコレート事業:KitKatやCrunch等のチョコレートの分野で世界展開しています。ライバルのペプシコやモンデリーズと菓子・チョコレート業界の世界シェア上位を争っています。

菓子とチョコのブランド

菓子とチョコのブランド
出所:ネスレ

ミネラルウォーター・飲料事業:ミネラルウォーターの分野ではヴィッテル、コントレックス、サンペレグリノ等を展開しています。フランスのダノンとの世界シェアの首位争いをしています。飲料分野では、麦芽飲料のミロシリーズを展開しています。

水ブランド

水ブランド
出所:ネスレ

冷凍食品事業:ドレイヤーズやマキシボン等のアイスクリームやストーファーズ等の冷凍食品事業を展開しています。乳製品も含むアイスクリーム分野では世界シェア首位級です。冷凍食品事業の分野でもイグルーやコナグラ等を競合を抑えつつ世界シェア首位級となっています。アイスクリーム業界ではDreyer's等のブランドを有し、世界シェア上位に位置します。

コーヒー事業:インスタントコーヒーのネスカフェ、カプセル式コーヒーメーカー(ネスプレッソ)、Dolce Gusto、コーヒー専用カプセル、Nesquick、ミロ、ブライト等のコーヒー用クリーム等を総合的に展開しています。コーヒー業界の世界シェアはJABホールディングスやチボーを寄せ付けないダントツの一位です。2017年にはプレミアムコーヒー製造やカフェ運営を手掛け、サードウエーブ(第3の波)と称されるコーヒーブルーボトルを、2018年には72億ドルでスターバックスのコーヒーを店舗以外で売る権利を買収しました。コーヒー粉末のネスカフェ、エスプレッソ機器のネスプレッソに続く成長分野での投資を積極化しています。ネスプレッソ事業は、ネスプレッソ機のみで使えるコーヒーカプセルを定期販売するという、コピー機のビジネスモデルに近い形で展開しています。

コーヒーブランド

コーヒーブランド
出所:ネスレ

ベビーフード事業:ベビーフード分野はCerelac、Gerber、NaturNes、NaturNes等のブランドで展開し、ダノンやミード・ジョンソン等のライバルとともに世界シェア上位に位置します。

ペットフード事業:ペットフードではピュリナワンやFriskies(フリスキー)といった著名ブランドを有しています。ペットフード業界の世界シェアでは米マーズとともに世界首位級です。

調味料とスープ事業:マギーブランドでドレッシングとスープを展開しています。調味料の分野ではユニリーバ、クラフトハインツ等を競合しています。スープの分野ではユニリーバやキャンベルスープ等と競合しています。

ネスレによる買収案件を時系列でまとめています。ネスレの前身は1866年設立のAnglo-Swiss Condensed Milk Companyと1867年設立のSociéité Anonyme Farine Lactée Henri Nestlé社です。

  • 1960年 イギリス調理用食品のクロス&ブラックウェルを買収
  • 1985年 米国の乳製品大手カーネーション・カンパニーを買収
  • 1988年 イタリアのパスタ大手のブイトーニ・ペルジーナグループを買収
  • 1988年 イギリスの菓子大手ロントリーを買収
  • 1992年 フランスの飲料大手ペリエを買収
  • 1993年 イタリアの冷凍食品のフィニタルジェルを買収
  • 1994年 米国のペットフード会社のアルポを買収
  • 1998年 英国ペットフード会社のSpillers Petfoods(スピラーズ)を買収
  • 2000年 米国栄養バーのPowerbarの買収
  • 2001年 米国アイスクリーム関連のIce Cream Partnersの買収
  • 2001年 米国のペットフード会社のラルストン・ピュリナを買収
  • 2002年 米国冷凍食品のChef America(シェフ アメリカ)の買収
  • 2003年 香港のミネラルウォーターのPower Waterを買収
  • 2004年 フィンランドのバリオから乳製品・アイスクリーム関連事業を買収
  • 2005年 フランスの機能性食品のプロティカを買収
  • 2005年 ドイツの冷凍食品のワグナーを買収
  • 2005年 オーストラリアの機能性飲料のムサシを買収
  • 2006年 米国アイスクリーム関連のDreyer's Grand(ドライヤーズ・グランド)を買収
  • 2006年 米国栄養剤メーカーのJenny Craigを買収
  • 2006年 スイスの医療用栄養剤事業をノバルティスから買収
  • 2007年 米国のベビーフード会社のGerber Products(ガーバー・プロダクツ)を買収
  • 2008年 韓国の飲料会社のプルムウォンウォーターを買収
  • 2010年 米国の冷凍ピザ事業をクラフトフーズから買収
  • 2009年 米国の紅茶大手のスウィートリーフティーを買収
  • 2011年 中国のスナック・キャンディ会社のHsu Fu Chi Internationalを買収
  • 2012年 ファイザーから米国の栄養食事業を買収
  • 2016年 イスラエルの栄養食会社のOsem Investmentへ出資
  • 2017年 プレミアコーヒー大手のブルーボトルを買収
  • 2018年 72億ドルでスターバックスのコーヒーを店舗以外で売る権利を取得
  • 2020年 調理済みの食事宅配の米フレッシュリーを9億5000万ドルで買収
トグルボックス内容

Danone(ダノン)

ダノンはフランスを代表する大手乳製品メーカーです。1919年にスペインのヨーグルトの会社として誕生し、1972年にフランスの食品会社であるBSNと経営統合することでダノンが誕生しました。ダノンブランドのヨーグルトは特に有名です。エビアンやボルビックといったミネラルウォーター事業も手掛けています。ダノンの事業は大きく以下の4つの事業から構成され、新興国で全体の半分を売り上げています。2017年にアクティビストファンドであるKeith Meister(キース・マイスター)氏率いるCorvex Management(コーベックス・マネジメント)が同社の株式を取得しています。

乳製品
乳製品の中でもヨーグルトに強みを持ちます。Danone、Activa(アクティビア)、Actimel(アクティメル)、Yocrunch等のブランドで世界展開しています。乳製品の分野の世界シェアランキングでは食品の巨人ネスレと首位を争います。

ベビーフード
乳幼児や育児用のミルクや離乳食をBlédina(ブレディア)、Dumex(デュメックス)、アプタミル、ミルパ等のブランドで世界展開しています。ベビーフードの分野の世界シェアランキングでもスイスのネスレと首位を争っています。

ミネラルウォーター
日本人も馴染みの深いエビアン、ボルヴィック等のブランドに加えアクア、マイゾーンやボナフォン等で世界展開を図っています。ミネラルウォーターの世界シェアランキングでは業界首位級です。
上記3事業に加え、ダノンは医療用栄養補助食品(メディカルニュートリション)や植物由来の食品事業(買収したホワイトウェーブ)も展開しています。

売上高の推移(億ユーロ)
2015年 224
2016年 219→中国のベビーフード事業の売却
2017年 247→ホワイトウェーブ買収効果
2018年 246
2019年 252

1970年 エビアンを買収
1972年 フランスの食品会社BSNと経営統合
1980年 ボルビックを買収
2000年 クローネンブルク等のビール事業をビール大手スコティッシュ・ニューキャッスルに売却(スコティッシュ・ニューキャッスルはその後ハイネケンとカールスバーグに共同買収されています)
2002年 イタリアのフレッシュチーズ会社でであるEgidio Galbaniを投資ファンドへ売却
2005年 HPブランドのソース事業をハインツに売却(ハインツはどの後クラフトフーズと経営統合しています)
2007年 オランダの医療用食品のロイヤル・ヌミコ(Numico)を買収
2007年 シリアル及びビスケット事業を約76億ドルでモンデリーズに売却
2008年 ニュージーランドの飲料大手フルコア(Frucor)をサントリーに売却
2009年 インドの財閥であるWadia Groupがビスケット大手であるBritannia Brandsを買収
2010年 中国のHuiyuan Juice(汇源果汁)の株式の一部を買収
2010年 米国のアイスクリームや冷凍カスタードを手がけるYoCreamを買収
2012年 インドのWockhardtより幼児食事業を355百万ドルで買収
2013年 モロッコの乳製品メーカーであるCentrale Laitiereの一部株式を買収
2014年 中国のベビーフード大手の雅士利国際(Yashili International)の株式25%を買収
2015年 中国のベビーフード会社(Dumex Baby)をYashiliへ売却
2016年 北米のオーガニック食品大手のホワイトウェーブ・フーズを買収
2017年 北米のオーガニックヨーグルトメーカーであるStonyfieldをラクタリスより875百万ドルで買収
2018年 中国のYashiliよりニュージランドの乳製品会社の49%を買収
2020年 英国の「元祖ボトルウォーター」として名高いHarogate Spring Waterを買収
2020年 ヤクルト株式を市場で売却トグルボックス内容

 

関連図書
本格化するソーシャルビジネス ユニクロ、ダノン、味の素が参入
食品〈2018年度版〉 (産業と会社研究シリーズ)

 

Mead Johnson(ミード・ジョンソン)
米国に本拠を置くベビーフード会社です。J&Jの共同創業者の一人が創業した会社です。一時期製薬大手のブリストル・マイヤーズスクイブ傘下となりましたが、現在は独立しニューヨーク証券取引所に上場しています。2017年に英国の消費財大手レキット・ベンキーザーが買収しました。

Abbott Nutrition(アボット)
米国に本拠を置く医薬品メーカーです。医薬品以外にもベビーフード、栄養補助剤、医療機器を展開しています。ベビーフード事業にはGo & Grow、EleCare、PediaSure等のブランドがあります。

Hero group(ヒーローグループ)
1886年に創業されたスイスに本拠をおく消費財メーカー大手です。乳児用調製粉乳、ベビーフード、ジャム、栄養スナック食品等を手掛けています。

Inner Mongolia Yili (伊利集団)
中国に本拠を置く乳製品メーカーです。伊利ブランドで粉ミルクも展開しています。

BEINGMATE(贝因美)
中国に本拠を置くベビーフードメーカーです。CICC Private EquityやPingan Caizhi、ニュージーランドのフォンテラも出資し、経営に参画しています。

ベビーフード業界の再編の歴史

2007年 アサヒビールによる和光堂の買収
2012年 ネスレによる米ファイザーのベビーフード事業の買収
2017年 レキット・ベンキーザーによるミード・ジョンソンの買収

業界関連図書

食品業界ビジネスガイド<2016年版> (食糧年鑑)
第13次業種別審査事典(第1巻) 【農業・畜産・水産・食料品・飲料 分野】

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